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第二部
ディアナside④
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「そんな恐れ多い……ローズ様から贈られたものだったなんて……お返し……するわ」
震える声で途切れ途切れにやっと、言葉を紡ぐフローラ。
新品を見繕って二十着ぐらい届けさせたドレス。それらは西の宮の一部屋におさまっている。ドレスに合わせたアクセサリーも一緒に。
「フローラ。頂いた以上はもうわたしの物なの。それに頻繁に王宮に泊まるわけではないから、すべてのドレスを着る頃には流行遅れになってしまうわ。だから、フローラに着てもらえて助かっているのよ」
ローズ様には娘のようにかわいがってもらっているから、プレゼントもけっこう豪快なのよね。有難く享受しているけれど。
「でも、ローズ様。お気を悪くされないかしら?」
「それはないわ。喜んでくれると思うわよ。疑うのなら、今度ローズ様にドレスを見せに行きましょうか?」
「えっ? それは……」
ぎょっとした顔を見せたフローラ。
「冗談よ」
見せになんて行ったら『今度はわたくしがプレゼントするわ』って、ローズ様言いかねないもの。今はまだ自重して頂かないとね。
わたしの言葉に明るくなったけれど、刺激が強すぎたのかしらね。
フローラって、自己肯定感が低いから物事によってはしり込みしちゃうところがあるのよね。もう少し、自信を持ってほしいところなのだけど。
「そういうわけだから、どんどん着てちょうだい。お願いね」
テーブルに置かれた手をぎゅっと握ると、思案するように瞳を伏せていたフローラはやっと納得してくれたのか、黙ったまま頷いてくれた。
西の宮に突然現れた侯爵令嬢。
レイニーのお気に入りとなれば、侍女たちも色めき立つというもの。
彼女たちも初対面でメロメロになったみたいでフローラの着せ替えを喜んでやっているようだし、浮かれすぎでは? と思うくらいには宮が華やいでいるものね。
よいことだわ。
「それにしても、今日は早かったわね」
ティーカップをソーサーに戻すとシャロン様が話題を変えてくれた。
これまた優雅な仕草だわ。これもレクチャーしてもらおうかしら。わたしも見習わなくていけないわね。
「ええ。レイ様に急なお仕事が入ってしまって、邪魔するといけないので帰ってきたの」
フローラの表情には心なしか哀愁が漂っているよう。
リチャードの勉強が終わった次の日は丸一日レイニーと一緒ですものね。まだ日が高いうちに帰ってきたから、ぽっかりと穴が開いたような寂しさもあるのかもしれないわ。
「それなら、仕事が終わるまで待っておけばよかったのに。そう何時間も待たせるようなことはなかったと思うわよ」
この日のために仕事を前倒しでやっていると聞いているから、緊急性の仕事が入ることはないと思うのだけど。よほどのことだったのかしら。
「レイ様もそう言ってくださったのだけど、やっぱり、お仕事の邪魔になるのは申し訳ないと思ったから……」
レイニーのことだから、かなり引き留めたのではないかしら。
でも、しょうがないわね。たまには引くことも大事よ。
「そうなのね。たまにはそんなこともあるわ。せっかく早く帰ってきたのだから、今日はゆっくりと過ごしたらいいと思うわよ」
フローラもワーカホリックな所があるから、身体を休めることも必要よ。
「そうよ。そうしなさい。部屋でゆっくり休むといいわ」
シャロン様も同意してくれる。
「でも、ディアナが……」
「わたしなら気にしなくていいわよ。勝手に来たんですもの。適当な時間になったら帰るわ」
「そうよ。ディアナちゃんはわたくしが相手をするから大丈夫よ。あなたはゆっくりしなさい」
わたしの顔とシャロン様の顔を見つめた後、答えが出たのかフローラのスッキリとした声がした。
「はい。それでは、お言葉に甘えて温室に行ってきます。それから、研究室で残っている資料のまとめをしますので、お母様、よろしくお願いします。ディアナ、ここで抜けちゃうけれど、ごめんなさい」
素早く席を立ったフローラは風のように部屋から去って行った。
ゆっくり休めと言ったのに。
ワーカホリック。こんな時は行動が素早いのね。
震える声で途切れ途切れにやっと、言葉を紡ぐフローラ。
新品を見繕って二十着ぐらい届けさせたドレス。それらは西の宮の一部屋におさまっている。ドレスに合わせたアクセサリーも一緒に。
「フローラ。頂いた以上はもうわたしの物なの。それに頻繁に王宮に泊まるわけではないから、すべてのドレスを着る頃には流行遅れになってしまうわ。だから、フローラに着てもらえて助かっているのよ」
ローズ様には娘のようにかわいがってもらっているから、プレゼントもけっこう豪快なのよね。有難く享受しているけれど。
「でも、ローズ様。お気を悪くされないかしら?」
「それはないわ。喜んでくれると思うわよ。疑うのなら、今度ローズ様にドレスを見せに行きましょうか?」
「えっ? それは……」
ぎょっとした顔を見せたフローラ。
「冗談よ」
見せになんて行ったら『今度はわたくしがプレゼントするわ』って、ローズ様言いかねないもの。今はまだ自重して頂かないとね。
わたしの言葉に明るくなったけれど、刺激が強すぎたのかしらね。
フローラって、自己肯定感が低いから物事によってはしり込みしちゃうところがあるのよね。もう少し、自信を持ってほしいところなのだけど。
「そういうわけだから、どんどん着てちょうだい。お願いね」
テーブルに置かれた手をぎゅっと握ると、思案するように瞳を伏せていたフローラはやっと納得してくれたのか、黙ったまま頷いてくれた。
西の宮に突然現れた侯爵令嬢。
レイニーのお気に入りとなれば、侍女たちも色めき立つというもの。
彼女たちも初対面でメロメロになったみたいでフローラの着せ替えを喜んでやっているようだし、浮かれすぎでは? と思うくらいには宮が華やいでいるものね。
よいことだわ。
「それにしても、今日は早かったわね」
ティーカップをソーサーに戻すとシャロン様が話題を変えてくれた。
これまた優雅な仕草だわ。これもレクチャーしてもらおうかしら。わたしも見習わなくていけないわね。
「ええ。レイ様に急なお仕事が入ってしまって、邪魔するといけないので帰ってきたの」
フローラの表情には心なしか哀愁が漂っているよう。
リチャードの勉強が終わった次の日は丸一日レイニーと一緒ですものね。まだ日が高いうちに帰ってきたから、ぽっかりと穴が開いたような寂しさもあるのかもしれないわ。
「それなら、仕事が終わるまで待っておけばよかったのに。そう何時間も待たせるようなことはなかったと思うわよ」
この日のために仕事を前倒しでやっていると聞いているから、緊急性の仕事が入ることはないと思うのだけど。よほどのことだったのかしら。
「レイ様もそう言ってくださったのだけど、やっぱり、お仕事の邪魔になるのは申し訳ないと思ったから……」
レイニーのことだから、かなり引き留めたのではないかしら。
でも、しょうがないわね。たまには引くことも大事よ。
「そうなのね。たまにはそんなこともあるわ。せっかく早く帰ってきたのだから、今日はゆっくりと過ごしたらいいと思うわよ」
フローラもワーカホリックな所があるから、身体を休めることも必要よ。
「そうよ。そうしなさい。部屋でゆっくり休むといいわ」
シャロン様も同意してくれる。
「でも、ディアナが……」
「わたしなら気にしなくていいわよ。勝手に来たんですもの。適当な時間になったら帰るわ」
「そうよ。ディアナちゃんはわたくしが相手をするから大丈夫よ。あなたはゆっくりしなさい」
わたしの顔とシャロン様の顔を見つめた後、答えが出たのかフローラのスッキリとした声がした。
「はい。それでは、お言葉に甘えて温室に行ってきます。それから、研究室で残っている資料のまとめをしますので、お母様、よろしくお願いします。ディアナ、ここで抜けちゃうけれど、ごめんなさい」
素早く席を立ったフローラは風のように部屋から去って行った。
ゆっくり休めと言ったのに。
ワーカホリック。こんな時は行動が素早いのね。
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