124 / 195
第二部
すれ違う心Ⅳ
しおりを挟む
「はあ……」
大きな溜息が飛び出します。今日は何回目かしら。
邸の研究室。今日の工程を終えて記録誌を閉じました。リッキー様の語学学習を終えた後、まっすぐに帰宅して研究室に直行して、仕事に没頭していました。
そうしなければ考えてしまうから。
「はあ……」
もう何度目かのため息の後
「まあ、大きな溜息ね。どうしたの?」
「お母様」
開いた扉から顔を覗かせていたのはお母様でした。気づかなかったわ。いつからいらっしゃったのかしら。
「休憩は取れそうかしら? 一緒にお茶でもどうかしらと思って、誘いに来たのよ」
「はい。大丈夫です。今日の分は終わりましたし、ちょうどお茶したいなって思っていたところでした」
「よかったわ。テラスでお茶しましょう」
お母様と連れ立って研究室を出ました。
「珍しいですね。こちらまで足を運ぶなんて、サリーに頼んでもよかったのに」
「そうね。たまにはいいでしょう。運動にもなるし、植物に元気ももらえるわ。ここの植物は生き生きしていて癒されるのよ」
「そうなのですか?」
「実はね。時々、ローレンツと一緒にここを散歩しているのよ」
「ええー。そうだったのですか?」
初めて聞きました。
「邪魔するといけないと思って、あなたがいない時にね、こっそりと」
悪戯が見つかった子供のような表情で肩を竦めたお母様。
敷地内に造られた植物園は何種類もの薬草やハーブなどを栽培しています。一年を通して何らかの植物が花を咲かせたり、実をつけていたりと目にも楽しませてくれるので散歩がてら観賞するには最適です。私も癒されている一人です。
お父様と一緒というのが、我が親ながら微笑ましい。本当に仲の良い夫婦です。両親は私の理想の夫婦像。こんな関係が築けたら幸せになるのだろうという見本のような夫婦。だからそんな結婚を夢見ていました。
「フローラ、うちのお店に行ってみない? たまには外で食事をするのはどうかしら?」
紅茶を頂いているとお母様からの素敵な提案に、即座に賛成しました。
「オープンしてから一度も行っていないので、気になってました。すっかりお母様に任せっぱなしにしてしまって、申し訳ありません」
オープン前からいろいろとありすぎて、おまけに風邪で寝込んでしまったせいで、開店の忙しいときに何の役にも立ちませんでした。お母様も看病と開店準備で大変だったと思うわ。本人は何も言わないけれど。
「何を言ってるの。元々わたくしのお店よ。もちろんフローラがいれば心強かったとは思うわ。でも一人に頼ってばかりでは事業は上手くいかないものね。それに優秀なスタッフも揃っていたから、滞りなくオープンできたのよ。だから心配することはないの。今だってうまくいっていて経営も順調なのだから、当日はお客として食事を楽しんでちょうだいね」
「そうですね。そうします」
商品開発には携わりましたが、オープンしてしまえば私にできることはありません。オープン当日の大盛況だったという様子をこの目で見たかったとは思いますが、こればかりはどうしようもないことですものね。
霞がかかったように曖昧に流れる時間。お母様と話をしていても現実味がないように感じて、ぼんやりしてしまいます。笑っている自分は本当の自分なのか、よくわからないまま、日々を過ごしている。時々、胸の奥で泣いている自分がいて、心を痛めながらも、感情をそのまま表に出すことはできなくて。迷子のように出口を探してさまよっているだけ。
一人になったテラスから見える庭には、季節の花々が咲き始めていました。木々の合間から見えるのは雲の多い空。切れ切れに青空が覗いています。
本来なら、今頃はレイ様と……
静かな空間に身を置いていると知らずに頭に浮かんできます。レイ様の笑顔や笑い声。低めの穏やかな声色。抱きしめられた時の温もりも、シトラスの香りも。本当はからかわることもイヤではなかったわ。
ずっと、好きだった。
『結婚してほしい』
その言葉が今もリフレインしている。
あの日のレイ様の真剣な顔が思い浮かんできます。
好きだと言われて、嬉しかった。レイ様も同じ気持ちだったと聞いて嬉しかったの。
けれど……
自信が持てなかった。
レイ様は第三王子殿下。選べる立場。
私よりも相応しい方がいるわ。地味で冴えない私よりも相応しい令嬢は他にいるでしょう。
驚愕に開かれた目と絶望に青ざめた表情が頭から離れない。
傷物だと地味で冴えないなどとさんざん言われて、どこにも身の置き場がなくて、自信なんてなくて、どうしたらよかったのかわからない。
レイ様はこんな私のどこがよかったのかしら?
小さく溜息をつくとカップに手を伸ばして紅茶を飲みました。
どんなに考えたところで答えは見いだせない。ただ、レイ様を好きな気持ちは消えてはくれない。時がたてば少しは薄れるかもと思ったのに……思いは募るばかり……
物思いに耽っていると急にテーブルが陰って、薄曇りだった天気が太陽が隠れてにわかに暗くなってきました。
「お嬢様、天気が怪しくなってきましたね。お部屋に移動されていかがでしょうか」
サリーの案じるような声に頷き、自室に帰ってぼんやりと窓の外を見ていると雨が降ってきました。雨粒が葉を揺らして地面を濡らしていきます。
「この雨をレイ様も見ているのかしら?」
窓を滴り落ちる雨の雫を眺めながら、思い出すのはレイ様の事。
同じ空の下でレイ様は今、何をしていらっしゃるかしら。きっとお仕事で忙しくて私のことなど忘れていらっしゃるかもしれないわね。
しとしとと降り続く雨。空を分厚く覆う雨雲。この空模様はまるで私の心のよう。考えるほどに空虚感に苛まれるだけ。
くよくよしても始まらないわ。もっとしっかりしなくては。
気持ちを切り替えるように息を吐いて、机に向かって本を広げたのでした。
大きな溜息が飛び出します。今日は何回目かしら。
邸の研究室。今日の工程を終えて記録誌を閉じました。リッキー様の語学学習を終えた後、まっすぐに帰宅して研究室に直行して、仕事に没頭していました。
そうしなければ考えてしまうから。
「はあ……」
もう何度目かのため息の後
「まあ、大きな溜息ね。どうしたの?」
「お母様」
開いた扉から顔を覗かせていたのはお母様でした。気づかなかったわ。いつからいらっしゃったのかしら。
「休憩は取れそうかしら? 一緒にお茶でもどうかしらと思って、誘いに来たのよ」
「はい。大丈夫です。今日の分は終わりましたし、ちょうどお茶したいなって思っていたところでした」
「よかったわ。テラスでお茶しましょう」
お母様と連れ立って研究室を出ました。
「珍しいですね。こちらまで足を運ぶなんて、サリーに頼んでもよかったのに」
「そうね。たまにはいいでしょう。運動にもなるし、植物に元気ももらえるわ。ここの植物は生き生きしていて癒されるのよ」
「そうなのですか?」
「実はね。時々、ローレンツと一緒にここを散歩しているのよ」
「ええー。そうだったのですか?」
初めて聞きました。
「邪魔するといけないと思って、あなたがいない時にね、こっそりと」
悪戯が見つかった子供のような表情で肩を竦めたお母様。
敷地内に造られた植物園は何種類もの薬草やハーブなどを栽培しています。一年を通して何らかの植物が花を咲かせたり、実をつけていたりと目にも楽しませてくれるので散歩がてら観賞するには最適です。私も癒されている一人です。
お父様と一緒というのが、我が親ながら微笑ましい。本当に仲の良い夫婦です。両親は私の理想の夫婦像。こんな関係が築けたら幸せになるのだろうという見本のような夫婦。だからそんな結婚を夢見ていました。
「フローラ、うちのお店に行ってみない? たまには外で食事をするのはどうかしら?」
紅茶を頂いているとお母様からの素敵な提案に、即座に賛成しました。
「オープンしてから一度も行っていないので、気になってました。すっかりお母様に任せっぱなしにしてしまって、申し訳ありません」
オープン前からいろいろとありすぎて、おまけに風邪で寝込んでしまったせいで、開店の忙しいときに何の役にも立ちませんでした。お母様も看病と開店準備で大変だったと思うわ。本人は何も言わないけれど。
「何を言ってるの。元々わたくしのお店よ。もちろんフローラがいれば心強かったとは思うわ。でも一人に頼ってばかりでは事業は上手くいかないものね。それに優秀なスタッフも揃っていたから、滞りなくオープンできたのよ。だから心配することはないの。今だってうまくいっていて経営も順調なのだから、当日はお客として食事を楽しんでちょうだいね」
「そうですね。そうします」
商品開発には携わりましたが、オープンしてしまえば私にできることはありません。オープン当日の大盛況だったという様子をこの目で見たかったとは思いますが、こればかりはどうしようもないことですものね。
霞がかかったように曖昧に流れる時間。お母様と話をしていても現実味がないように感じて、ぼんやりしてしまいます。笑っている自分は本当の自分なのか、よくわからないまま、日々を過ごしている。時々、胸の奥で泣いている自分がいて、心を痛めながらも、感情をそのまま表に出すことはできなくて。迷子のように出口を探してさまよっているだけ。
一人になったテラスから見える庭には、季節の花々が咲き始めていました。木々の合間から見えるのは雲の多い空。切れ切れに青空が覗いています。
本来なら、今頃はレイ様と……
静かな空間に身を置いていると知らずに頭に浮かんできます。レイ様の笑顔や笑い声。低めの穏やかな声色。抱きしめられた時の温もりも、シトラスの香りも。本当はからかわることもイヤではなかったわ。
ずっと、好きだった。
『結婚してほしい』
その言葉が今もリフレインしている。
あの日のレイ様の真剣な顔が思い浮かんできます。
好きだと言われて、嬉しかった。レイ様も同じ気持ちだったと聞いて嬉しかったの。
けれど……
自信が持てなかった。
レイ様は第三王子殿下。選べる立場。
私よりも相応しい方がいるわ。地味で冴えない私よりも相応しい令嬢は他にいるでしょう。
驚愕に開かれた目と絶望に青ざめた表情が頭から離れない。
傷物だと地味で冴えないなどとさんざん言われて、どこにも身の置き場がなくて、自信なんてなくて、どうしたらよかったのかわからない。
レイ様はこんな私のどこがよかったのかしら?
小さく溜息をつくとカップに手を伸ばして紅茶を飲みました。
どんなに考えたところで答えは見いだせない。ただ、レイ様を好きな気持ちは消えてはくれない。時がたてば少しは薄れるかもと思ったのに……思いは募るばかり……
物思いに耽っていると急にテーブルが陰って、薄曇りだった天気が太陽が隠れてにわかに暗くなってきました。
「お嬢様、天気が怪しくなってきましたね。お部屋に移動されていかがでしょうか」
サリーの案じるような声に頷き、自室に帰ってぼんやりと窓の外を見ていると雨が降ってきました。雨粒が葉を揺らして地面を濡らしていきます。
「この雨をレイ様も見ているのかしら?」
窓を滴り落ちる雨の雫を眺めながら、思い出すのはレイ様の事。
同じ空の下でレイ様は今、何をしていらっしゃるかしら。きっとお仕事で忙しくて私のことなど忘れていらっしゃるかもしれないわね。
しとしとと降り続く雨。空を分厚く覆う雨雲。この空模様はまるで私の心のよう。考えるほどに空虚感に苛まれるだけ。
くよくよしても始まらないわ。もっとしっかりしなくては。
気持ちを切り替えるように息を吐いて、机に向かって本を広げたのでした。
3
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄された聖女リリアナの庭には、ちょっと変わった来訪者しか来ません。』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
王都から少し離れた小高い丘の上。
そこには、聖女リリアナの庭と呼ばれる不思議な場所がある。
──けれど、誰もがたどり着けるわけではない。
恋するルミナ五歳、夢みるルーナ三歳。
ふたりはリリアナの庭で、今日もやさしい魔法を育てています。
この庭に来られるのは、心がちょっぴりさびしい人だけ。
まほうに傷ついた王子さま、眠ることでしか気持ちを伝えられない子、
そして──ほんとうは泣きたかった小さな精霊たち。
お姉ちゃんのルミナは、花を咲かせる明るい音楽のまほうつかい。
ちょっとだけ背伸びして、だいすきな人に恋をしています。
妹のルーナは、ねむねむ魔法で、夢の中を旅するやさしい子。
ときどき、だれかの心のなかで、静かに花を咲かせます。
ふたりのまほうは、まだ小さくて、でもあたたかい。
「だいすきって気持ちは、
きっと一番すてきなまほうなの──!」
風がふくたびに、花がひらき、恋がそっと実る。
これは、リリアナの庭で育つ、
小さなまほうつかいたちの恋と夢の物語です。
前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。
前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。
外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。
もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。
そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは…
どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。
カクヨムでも同時連載してます。
よろしくお願いします。
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
冷徹侯爵の契約妻ですが、ざまぁの準備はできています
鍛高譚
恋愛
政略結婚――それは逃れられぬ宿命。
伯爵令嬢ルシアーナは、冷徹と名高いクロウフォード侯爵ヴィクトルのもとへ“白い結婚”として嫁ぐことになる。
愛のない契約、形式だけの夫婦生活。
それで十分だと、彼女は思っていた。
しかし、侯爵家には裏社会〈黒狼〉との因縁という深い闇が潜んでいた。
襲撃、脅迫、謀略――次々と迫る危機の中で、
ルシアーナは自分がただの“飾り”で終わることを拒む。
「この結婚をわたしの“負け”で終わらせませんわ」
財務の才と冷静な洞察を武器に、彼女は黒狼との攻防に踏み込み、
やがて侯爵をも驚かせる一手を放つ。
契約から始まった関係は、いつしか互いの未来を揺るがすものへ――。
白い結婚の裏で繰り広げられる、
“ざまぁ”と逆転のラブストーリー、いま開幕。
異世界転生公爵令嬢は、オタク知識で世界を救う。
ふわふわ
恋愛
過労死したオタク女子SE・桜井美咲は、アストラル王国の公爵令嬢エリアナとして転生。
前世知識フル装備でEDTA(重金属解毒)、ペニシリン、輸血、輪作・土壌改良、下水道整備、時計や文字の改良まで――「ラノベで読んだ」「ゲームで見た」を現実にして、疫病と貧困にあえぐ世界を丸ごとアップデートしていく。
婚約破棄→ザマァから始まり、医学革命・農業革命・衛生革命で「狂気のお嬢様」呼ばわりから一転“聖女様”に。
国家間の緊張が高まる中、平和のために隣国アリディアの第一王子レオナルド(5歳→6歳)と政略婚約→結婚へ。
無邪気で健気な“甘えん坊王子”に日々萌え悶えつつも、彼の未来の王としての成長を支え合う「清らかで温かい夫婦日常」と「社会を良くする小さな革命」を描く、爽快×癒しの異世界恋愛ザマァ物語。
元お助けキャラ、死んだと思ったら何故か孫娘で悪役令嬢に憑依しました!?
冬野月子
恋愛
乙女ゲームの世界にお助けキャラとして転生したリリアン。
無事ヒロインを王太子とくっつけ、自身も幼馴染と結婚。子供や孫にも恵まれて幸せな生涯を閉じた……はずなのに。
目覚めると、何故か孫娘マリアンヌの中にいた。
マリアンヌは続編ゲームの悪役令嬢で第二王子の婚約者。
婚約者と仲の悪かったマリアンヌは、学園の階段から落ちたという。
その婚約者は中身がリリアンに変わった事に大喜びで……?!
【完結】 笑わない、かわいげがない、胸がないの『ないないない令嬢』、国外追放を言い渡される~私を追い出せば国が大変なことになりますよ?~
夏芽空
恋愛
「笑わない! かわいげがない! 胸がない! 三つのないを持つ、『ないないない令嬢』のオフェリア! 君との婚約を破棄する!」
婚約者の第一王子はオフェリアに婚約破棄を言い渡した上に、さらには国外追放するとまで言ってきた。
「私は構いませんが、この国が困ることになりますよ?」
オフェリアは国で唯一の特別な力を持っている。
傷を癒したり、作物を実らせたり、邪悪な心を持つ魔物から国を守ったりと、力には様々な種類がある。
オフェリアがいなくなれば、その力も消えてしまう。
国は困ることになるだろう。
だから親切心で言ってあげたのだが、第一王子は聞く耳を持たなかった。
警告を無視して、オフェリアを国外追放した。
国を出たオフェリアは、隣国で魔術師団の団長と出会う。
ひょんなことから彼の下で働くことになり、絆を深めていく。
一方、オフェリアを追放した国は、第一王子の愚かな選択のせいで崩壊していくのだった……。
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる