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第二部
ビビアンside⑤
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「今、なんとおっしゃいました?」
お父様の執務室。
重厚な机と精緻な彫りが施された椅子。硝子戸の本棚には専門書がずらりと並んでいる。その一角にテーブルと椅子が配置されている。
お父様に呼ばれてきてみればお母様の姿もあった。物々しい雰囲気に予感めいたものを感じ取り、心を浮き立たせたのも束の間。予想だにしなかった話がわたくしの耳に飛び込んできた。
「ロジアム侯爵家との縁談の話が来ている。相手は三男のトーマス・ロジアム。騎士団所属の将来有望な騎士だそうだ。とても良い縁談だと思うがどうだ?」
「三男で騎士? それが良い縁談なのですか?」
縁談だと聞いて、てっきりレイニー殿下とのお話だと思ったのに。蓋を開けてみれば、格下の侯爵家。
「ああ、いいと思うがな。ロジアム侯爵家は歴史も古い名門の裕福な貴族。侯爵も大臣を務めるほどの名士。家柄的には何の問題もない。わしとしてはこの縁談を進めていきたいのだが、どうだろうか」
何の問題もない? 大ありだわ。
わたくしが血の滲むような努力をして身につけた様々な教養は、侯爵家の三男に嫁ぐためのものではない。嫡男ならいざ知らず、なんで三男なんかと。
わたくしの努力が水の泡になるのかと思うと眩暈がしてくる。
「わたくしは嫌です」
キッパリと言い切った。困惑したようにわたくしを見つめたお父様の顔がにわかに曇る。お母様も目を開いて驚いている。二人共、快く了承すると思っていたのかもしれない。
「なぜだね。何が気に入らないのだね」
「なぜ? 侯爵家の三男なんて結婚する価値がありませんわ。わたくしは公爵家の娘。もっと相応しい縁談があると思うのですわ」
「相応しい、か。侯爵家の三男では釣り合わないと思っているのかね」
「当然ですわ」
ここはキチンと主張しておかないと丸め込まれてはたまらない。
わたくしは自信たっぷりに言った後、紅茶に口をつけた。カップの取り方、飲み方、ソーサーに戻す仕草さえも完璧に計算されつくした優雅なもの。たった一つの所作だってどれほどの努力で身につけたものなのか、お父様に見せてあげたいくらいだわ。
「しかしな。トーマス殿は騎士団の中でも出世頭、将来有望だと聞いている。第一騎士団長のユージーン殿下の親友であり片腕。殿下が将来、騎士団の総帥の座についた際の幹部候補でもある。それだけでも十分に価値はあると思うのだがな」
「わたくしにはありませんわ」
「ふう……」
お父様は頑なに拒むわたくしに困り果てたように息を吐いた。こんなに抵抗されるとは思わなかったのかもしれない。でも、わたくしにだって夢があるわ。愛する方がいるのに別の男に嫁げなどと言われて、はいそうですかと頷けるものではない。それが貴族の結婚だと言われても。
「ビビアン、ここは聞き分けてくれないか? そなたの意思を無視して無理やりに婚約を結ぶことだってできる。でもそうしないのはそなたのことを思うからだ」
「ビビアン。わたくしもいいお話だと思うのよ。ユージーン殿下は王籍を抜けるけれど、王族の血を引く高貴なお方なのには変わりはないわ。その殿下の親友で将来の幹部候補なのだから、王族ともつながりはできるわ。どうかしら?」
お母様まで、お父様の味方なのね。
二人でレイニー殿下とお似合いだと手放しで何度も褒めていたのに、それはどこにいったのかしら? わたくしでは王族に嫁するには不足だとでも思っていらっしゃる?
「お父様もお母様もわたくしに相応しいのは、レイニー殿下だとおっしゃっていたわ」
「レイニー殿下? そなたは殿下と結婚したかったのか?」
心底、驚いたという顔をしたお父様。
祝賀会のあと、馬車の中でちょっと匂わせてはいたものの、本気だとは思っていなかったという表情。お母様も同じ。
「いえ、そういうわけでは……でも、身分に相応しいと言えば、やはり……」
両親の意外な反応に言葉を濁してしまった。親は王子妃を望んでいても、娘は思惑など関係ない無欲な令嬢だとでも思っていたのかしら。
「確かに身分で言えば王族との結婚は相応しいと思う。それにビビアンは品格も教養も持ち合わせている。王子妃として何の遜色もない。わしらも望んでいなかったかと言えば嘘になる。しかし、それでも叶わぬ事はあるのだよ」
「叶わぬとは?」
嫌な予感しかない。お父様は苦渋の色を滲ませてわたくしを見つめている。
「ここだけの話だが、レイニー殿下には心に決めた令嬢がいらっしゃるそうだ」
心に決めた? まさか……フローラ? 思い出したくもない顔が咄嗟に浮かぶ。でも、違うかもしれないと思い直して、浮かんできた顔を振り払った。一縷の望みをかけて聞いてみる。
「その令嬢とは、どなたなのですか?」
「名前は明かされなかった。まだ発表する段階ではないようでな、もうしばらく待ってほしいとのことだった。両陛下もご承知のようだから、我々には報を待つより他はない」
「それならば、わたくしかもしれないのでは?」
そうよ。名前がわからないのであれば、自分の可能性だってあるのではないかしら。だったら、早々に結婚相手を決める必要もない。せめて、名前が明かされるまでは猶予があるはずよ。わたくしにもチャンスはあるわ。
「残念だが、それはないんだよ。ビビアンの期待を打ち砕くようで心苦しいが、それは限りなくないに等しい」
お父様の容赦ない言葉に望みを託したわたくしはどん底に突き落とされる。
「どうして、そんなことがわかりますの? もしかして、名前がわかっているのですか?」
「いや、それはわしたちにもわからない。正式に発表できないからと陛下が硬く口を閉ざしてしまわれたからな。憶測ではあるが、両陛下もご承知の上で、結婚相手として相応しいとの判断であれば、相手の令嬢の身内にはすでに打診がいってるはず。先に別の婚約が成立すれば取り返しがつかないからな」
「そんな……」
「わしとしても、こんな展開が待っているとは思ってもいなかった。二人の王子殿下は複数の候補者から選ばれていたからな。今回もそうだとばかり思っていた。議会でも候補者の名前は出ておった。その中にはビビアン、そなたの名前もあったのだよ。しかし、水面下で結婚の話が動いているとなると……」
沈痛な面持ちで言葉を途切らせたお父様の眉間には深い皺が刻み込まれていた。
「けれども、まだ決定したわけではないのでしょう?」
なりふり構っていられない。お父様を困らせたいわけではないけれど、どうにかできないかと懇願してみる。
相手がフローラだったとしたら、まだチャンスがあるのではないかしら。傷物令嬢ですもの。わたくしとどちらが相応しいかと言えば、一目瞭然のはず。お父様だって大臣。味方だっているはずだわ。重鎮達の協力があれば覆せるのではないかしら。
「レイニー殿下は第三王子。王太子殿下ほどの重要な立場ではないからな。本人に任せているともおっしゃっていた。名前が明かされたらよほどでない限り、議会でも承認されるだろう」
「……」
なんて、無力な……
膝の上で扇子を握りしめる。
「よほどとは?」
「身分が低い令嬢か、素行に問題があるか。どなたなのか聞いてみないと判断はつかないがね」
素行。婚約破棄もそれにあたるかしら? 世間では傷物令嬢と揶揄される存在ではあるけれども。
一縷の望み。まだ、つながっているかもしれないわ。
「そういうわけだ。ビビアン、この婚約はわしらとしても進めていきたい。できれば早いうちに決めてほしい。よく考えて色よい返事を待っているよ」
お父様に同意するようにお母様も頷いた。
両親の間では侯爵家の三男との婚約はまるで決定事項のようだった。
誰もわたくしの気持ちをわかってくれない。わたくしの味方はいない。わたくしはレイニー殿下と結婚することを望んでいるのに。わたくしこそが相応しいのに。
なぜ、思い通りにいかないの。
お父様の執務室。
重厚な机と精緻な彫りが施された椅子。硝子戸の本棚には専門書がずらりと並んでいる。その一角にテーブルと椅子が配置されている。
お父様に呼ばれてきてみればお母様の姿もあった。物々しい雰囲気に予感めいたものを感じ取り、心を浮き立たせたのも束の間。予想だにしなかった話がわたくしの耳に飛び込んできた。
「ロジアム侯爵家との縁談の話が来ている。相手は三男のトーマス・ロジアム。騎士団所属の将来有望な騎士だそうだ。とても良い縁談だと思うがどうだ?」
「三男で騎士? それが良い縁談なのですか?」
縁談だと聞いて、てっきりレイニー殿下とのお話だと思ったのに。蓋を開けてみれば、格下の侯爵家。
「ああ、いいと思うがな。ロジアム侯爵家は歴史も古い名門の裕福な貴族。侯爵も大臣を務めるほどの名士。家柄的には何の問題もない。わしとしてはこの縁談を進めていきたいのだが、どうだろうか」
何の問題もない? 大ありだわ。
わたくしが血の滲むような努力をして身につけた様々な教養は、侯爵家の三男に嫁ぐためのものではない。嫡男ならいざ知らず、なんで三男なんかと。
わたくしの努力が水の泡になるのかと思うと眩暈がしてくる。
「わたくしは嫌です」
キッパリと言い切った。困惑したようにわたくしを見つめたお父様の顔がにわかに曇る。お母様も目を開いて驚いている。二人共、快く了承すると思っていたのかもしれない。
「なぜだね。何が気に入らないのだね」
「なぜ? 侯爵家の三男なんて結婚する価値がありませんわ。わたくしは公爵家の娘。もっと相応しい縁談があると思うのですわ」
「相応しい、か。侯爵家の三男では釣り合わないと思っているのかね」
「当然ですわ」
ここはキチンと主張しておかないと丸め込まれてはたまらない。
わたくしは自信たっぷりに言った後、紅茶に口をつけた。カップの取り方、飲み方、ソーサーに戻す仕草さえも完璧に計算されつくした優雅なもの。たった一つの所作だってどれほどの努力で身につけたものなのか、お父様に見せてあげたいくらいだわ。
「しかしな。トーマス殿は騎士団の中でも出世頭、将来有望だと聞いている。第一騎士団長のユージーン殿下の親友であり片腕。殿下が将来、騎士団の総帥の座についた際の幹部候補でもある。それだけでも十分に価値はあると思うのだがな」
「わたくしにはありませんわ」
「ふう……」
お父様は頑なに拒むわたくしに困り果てたように息を吐いた。こんなに抵抗されるとは思わなかったのかもしれない。でも、わたくしにだって夢があるわ。愛する方がいるのに別の男に嫁げなどと言われて、はいそうですかと頷けるものではない。それが貴族の結婚だと言われても。
「ビビアン、ここは聞き分けてくれないか? そなたの意思を無視して無理やりに婚約を結ぶことだってできる。でもそうしないのはそなたのことを思うからだ」
「ビビアン。わたくしもいいお話だと思うのよ。ユージーン殿下は王籍を抜けるけれど、王族の血を引く高貴なお方なのには変わりはないわ。その殿下の親友で将来の幹部候補なのだから、王族ともつながりはできるわ。どうかしら?」
お母様まで、お父様の味方なのね。
二人でレイニー殿下とお似合いだと手放しで何度も褒めていたのに、それはどこにいったのかしら? わたくしでは王族に嫁するには不足だとでも思っていらっしゃる?
「お父様もお母様もわたくしに相応しいのは、レイニー殿下だとおっしゃっていたわ」
「レイニー殿下? そなたは殿下と結婚したかったのか?」
心底、驚いたという顔をしたお父様。
祝賀会のあと、馬車の中でちょっと匂わせてはいたものの、本気だとは思っていなかったという表情。お母様も同じ。
「いえ、そういうわけでは……でも、身分に相応しいと言えば、やはり……」
両親の意外な反応に言葉を濁してしまった。親は王子妃を望んでいても、娘は思惑など関係ない無欲な令嬢だとでも思っていたのかしら。
「確かに身分で言えば王族との結婚は相応しいと思う。それにビビアンは品格も教養も持ち合わせている。王子妃として何の遜色もない。わしらも望んでいなかったかと言えば嘘になる。しかし、それでも叶わぬ事はあるのだよ」
「叶わぬとは?」
嫌な予感しかない。お父様は苦渋の色を滲ませてわたくしを見つめている。
「ここだけの話だが、レイニー殿下には心に決めた令嬢がいらっしゃるそうだ」
心に決めた? まさか……フローラ? 思い出したくもない顔が咄嗟に浮かぶ。でも、違うかもしれないと思い直して、浮かんできた顔を振り払った。一縷の望みをかけて聞いてみる。
「その令嬢とは、どなたなのですか?」
「名前は明かされなかった。まだ発表する段階ではないようでな、もうしばらく待ってほしいとのことだった。両陛下もご承知のようだから、我々には報を待つより他はない」
「それならば、わたくしかもしれないのでは?」
そうよ。名前がわからないのであれば、自分の可能性だってあるのではないかしら。だったら、早々に結婚相手を決める必要もない。せめて、名前が明かされるまでは猶予があるはずよ。わたくしにもチャンスはあるわ。
「残念だが、それはないんだよ。ビビアンの期待を打ち砕くようで心苦しいが、それは限りなくないに等しい」
お父様の容赦ない言葉に望みを託したわたくしはどん底に突き落とされる。
「どうして、そんなことがわかりますの? もしかして、名前がわかっているのですか?」
「いや、それはわしたちにもわからない。正式に発表できないからと陛下が硬く口を閉ざしてしまわれたからな。憶測ではあるが、両陛下もご承知の上で、結婚相手として相応しいとの判断であれば、相手の令嬢の身内にはすでに打診がいってるはず。先に別の婚約が成立すれば取り返しがつかないからな」
「そんな……」
「わしとしても、こんな展開が待っているとは思ってもいなかった。二人の王子殿下は複数の候補者から選ばれていたからな。今回もそうだとばかり思っていた。議会でも候補者の名前は出ておった。その中にはビビアン、そなたの名前もあったのだよ。しかし、水面下で結婚の話が動いているとなると……」
沈痛な面持ちで言葉を途切らせたお父様の眉間には深い皺が刻み込まれていた。
「けれども、まだ決定したわけではないのでしょう?」
なりふり構っていられない。お父様を困らせたいわけではないけれど、どうにかできないかと懇願してみる。
相手がフローラだったとしたら、まだチャンスがあるのではないかしら。傷物令嬢ですもの。わたくしとどちらが相応しいかと言えば、一目瞭然のはず。お父様だって大臣。味方だっているはずだわ。重鎮達の協力があれば覆せるのではないかしら。
「レイニー殿下は第三王子。王太子殿下ほどの重要な立場ではないからな。本人に任せているともおっしゃっていた。名前が明かされたらよほどでない限り、議会でも承認されるだろう」
「……」
なんて、無力な……
膝の上で扇子を握りしめる。
「よほどとは?」
「身分が低い令嬢か、素行に問題があるか。どなたなのか聞いてみないと判断はつかないがね」
素行。婚約破棄もそれにあたるかしら? 世間では傷物令嬢と揶揄される存在ではあるけれども。
一縷の望み。まだ、つながっているかもしれないわ。
「そういうわけだ。ビビアン、この婚約はわしらとしても進めていきたい。できれば早いうちに決めてほしい。よく考えて色よい返事を待っているよ」
お父様に同意するようにお母様も頷いた。
両親の間では侯爵家の三男との婚約はまるで決定事項のようだった。
誰もわたくしの気持ちをわかってくれない。わたくしの味方はいない。わたくしはレイニー殿下と結婚することを望んでいるのに。わたくしこそが相応しいのに。
なぜ、思い通りにいかないの。
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