149 / 195
第二部
波乱のあとでⅥ
しおりを挟む
「ふう」
痛みも薄れてきたので、部屋の中を歩いてリハビリ中。だいぶ歩けるようになったわ。
テラスに出ると爽やかな風が吹いて気持ちがいい。新鮮な空気を吸って深呼吸を繰り返していると心の中が洗われていくようです。
ベンチに座って腰を落ち着けると外の景色を眺めました。
レイ様の宮に過ごすようになってから数日。少しずつ慣れてきましたが、毎朝レイ様の顔を見ることは不思議な感じで戸惑って照れくさくなってしまうこともしばしば。
そんな思いがあっても、レイ様に会えることは嬉しくて笑顔になります。
一緒にいる時間は幸せで手放せなくなってしまいました。
「ローラ」
テラスに顔を覗かせたレイ様から声がかかり、ゆっくり振り返るとレイ様の穏やかな表情に私も自然と笑顔になります。
「レイ様」
「ディアナが来ているんだ。部屋の中でお茶をしないか?」
「ディアナが?」
頻繁に見舞いに訪れてくれる彼女。今日も来てくれたのね。怪我で療養すること以外は何もすることがなくて、退屈している私のために話し相手になってくれるディアナ。
私を抱きかかえる姿勢になったレイ様に
「レイ様。歩けますから」
あまり過保護にしてもらっては甘え癖がついてしまいます。ただでさえレイ様の腕の中は居心地がいいのですから。
「ディアナも待っているし、こっちの方が早い。それとも俺に抱っこされるのはイヤ?」
置いてきぼりにされた子犬のようなしょんぼりとした顔で腰をかがめたレイ様と目が合います。
「もう。レイ様、ずるいです」
そんな顔をされると拒否できないわ。
「まだ、完治していないのだから当然のことだよ。さあ、行こう」
抵抗してみたけれどそういわれると何も言えなくて、結局、レイ様に体を預けて抱きかかえられた私。
お姫様抱っこで運ばれてきた私を見たディアナ。
「あいかわらず仲がいいわね」
からかうような声と生暖かくニヨニヨした表情で迎えてくれたディアナを前にして、顔が真っ赤になってしまったのはいうまでもありません。
♢♢♢♢♢♢
「腫れもなく痛みもないようですね」
足首の様子を診た先生にはいと返事をしました。
「これからは普通の日常生活に戻っても大丈夫ですよ」
先生のお墨付きをもらって心が軽くなりました。
痛めた足首に負荷をかけないように少しずつ歩行練習もしていたけれど、ようやくいつも通りに生活できるのね。よかったわ。
「でも、治ったからと言って無茶なことは禁物ですよ。お転婆なことはなさらないように」
よっぽど浮かれた顔をしていたのかしら。
釘をさすことを忘れない先生。
お転婆な事って、もしかして、木登りの事かしら?
先生に初めて会った日のことを思い出してしまったわ。
「もう。先生、子供ではないのですから、ちゃんとわかっていますよ」
拗ねてほっぺを膨らませる私に
「それは、失礼いたしました」
ぺこりと頭を下げる先生。顔を見合わせた途端に室内に響く笑い声。
お茶の準備をしていたエルザ達の顔もにこやかです。
久しぶりに皆が明るくなったようで、私の心も晴れやかになっていきました。
先生とお茶を飲みながら寛いでいると
「フローラ様にお礼を言わなければいけませんね」
「お礼ですか?」
何のことかわからずに首を傾げました。
「はい。サムシューズの事です。売り出して頂いたおかげでたくさんの収入を得ることができました」
「それは、先生のアイディアの賜物ですわ。本当に役立つ商品でしたから、私は少しばかり協力しただけです」
サムシューズはすごい売れ行きで生産が追いつかないほど。従業員も増やして増産しているところです。
「いえ、いえ。フローラ様が見出して下さったからこそです。そのおかげで治療院開業の夢に一歩近づきました」
「治療院ですか?」
「はい。二十四時間体制の治療院を作ることが私の長年の夢だったのです」
「二十四時間体制とは、素晴らしい夢ですね」
「夜中に診察をしてくれる医者は少ないですから、これをシステムとして組み込めば患者さんも医者を探して駆け込む必要はなくなるでしょう。病気や怪我は時間を選びませんからね」
確かにそうだわ。夜間に診てくれる医者は限られているものね。いつでも診察ができる治療院があればみんな安心だわ。そして、それを実行に移す先生も素晴らしい。
「実はそれについてはブルーバーグ侯爵様が協力して下さっているのです。それに賛同してくれる出資者も募って下さっています」
「まあ。お父様が?」
ビックリして目を丸くしました。お父様が協力者とは。
「サムシューズはフローラ様と侯爵夫人。治療院は侯爵様。本当にお世話になりっぱなしで、ブルーバーグ侯爵家に足を向けて寝れません。感謝してもしきれないくらいです」
先生は深々と頭を下げました。
「それは先生のお人柄だと思います。両親も先生だからこそ協力しているのでしょう。私もですけれど。先生の夢の実現に微力ながらでもお力になれたのなら、こんな嬉しいことはありません」
頭を下げたままの先生の表情はわかりませんが、肩が震えていました。
「これからも先生のお役に立てるように協力しますから、なんでもおっしゃってくださいね」
「なんて、もったいないお言葉を……」
顔を上げた先生の目には涙が光っていました。
♢♢♢♢♢
先生の診察とお茶の時間が終わってしばらくたった頃、レイ様が姿を見せました。
執務の合間に顔を見せてくれるレイ様ですが、ちょっとそわそわしていらっしゃるよう。
「ローラ。どうだった?」
空いていたソファに座ったレイ様は診断結果が気になるのでしょう。
「腫れもなく痛みもありませんので、日常生活に戻って大丈夫だと言われました」
「そうか、よかった」
安堵の息をついて微笑みを浮かべたレイ様に私の顔も綻びます。
「少し散歩しない?」
「はい。時間は大丈夫ですか?」
「気分転換。それにローラ不足だし、ねっ」
そういって片目を瞑ってみせるレイ様にドキッとしました。
「それに……」
意味深に口を閉ざしたレイ様にさらに心臓の鼓動が速まります。
先にある出来事を思うと躊躇する気持ちも生まれましたが、差し出された手を取り立ち上がると庭園へと足を運びました。
痛みも薄れてきたので、部屋の中を歩いてリハビリ中。だいぶ歩けるようになったわ。
テラスに出ると爽やかな風が吹いて気持ちがいい。新鮮な空気を吸って深呼吸を繰り返していると心の中が洗われていくようです。
ベンチに座って腰を落ち着けると外の景色を眺めました。
レイ様の宮に過ごすようになってから数日。少しずつ慣れてきましたが、毎朝レイ様の顔を見ることは不思議な感じで戸惑って照れくさくなってしまうこともしばしば。
そんな思いがあっても、レイ様に会えることは嬉しくて笑顔になります。
一緒にいる時間は幸せで手放せなくなってしまいました。
「ローラ」
テラスに顔を覗かせたレイ様から声がかかり、ゆっくり振り返るとレイ様の穏やかな表情に私も自然と笑顔になります。
「レイ様」
「ディアナが来ているんだ。部屋の中でお茶をしないか?」
「ディアナが?」
頻繁に見舞いに訪れてくれる彼女。今日も来てくれたのね。怪我で療養すること以外は何もすることがなくて、退屈している私のために話し相手になってくれるディアナ。
私を抱きかかえる姿勢になったレイ様に
「レイ様。歩けますから」
あまり過保護にしてもらっては甘え癖がついてしまいます。ただでさえレイ様の腕の中は居心地がいいのですから。
「ディアナも待っているし、こっちの方が早い。それとも俺に抱っこされるのはイヤ?」
置いてきぼりにされた子犬のようなしょんぼりとした顔で腰をかがめたレイ様と目が合います。
「もう。レイ様、ずるいです」
そんな顔をされると拒否できないわ。
「まだ、完治していないのだから当然のことだよ。さあ、行こう」
抵抗してみたけれどそういわれると何も言えなくて、結局、レイ様に体を預けて抱きかかえられた私。
お姫様抱っこで運ばれてきた私を見たディアナ。
「あいかわらず仲がいいわね」
からかうような声と生暖かくニヨニヨした表情で迎えてくれたディアナを前にして、顔が真っ赤になってしまったのはいうまでもありません。
♢♢♢♢♢♢
「腫れもなく痛みもないようですね」
足首の様子を診た先生にはいと返事をしました。
「これからは普通の日常生活に戻っても大丈夫ですよ」
先生のお墨付きをもらって心が軽くなりました。
痛めた足首に負荷をかけないように少しずつ歩行練習もしていたけれど、ようやくいつも通りに生活できるのね。よかったわ。
「でも、治ったからと言って無茶なことは禁物ですよ。お転婆なことはなさらないように」
よっぽど浮かれた顔をしていたのかしら。
釘をさすことを忘れない先生。
お転婆な事って、もしかして、木登りの事かしら?
先生に初めて会った日のことを思い出してしまったわ。
「もう。先生、子供ではないのですから、ちゃんとわかっていますよ」
拗ねてほっぺを膨らませる私に
「それは、失礼いたしました」
ぺこりと頭を下げる先生。顔を見合わせた途端に室内に響く笑い声。
お茶の準備をしていたエルザ達の顔もにこやかです。
久しぶりに皆が明るくなったようで、私の心も晴れやかになっていきました。
先生とお茶を飲みながら寛いでいると
「フローラ様にお礼を言わなければいけませんね」
「お礼ですか?」
何のことかわからずに首を傾げました。
「はい。サムシューズの事です。売り出して頂いたおかげでたくさんの収入を得ることができました」
「それは、先生のアイディアの賜物ですわ。本当に役立つ商品でしたから、私は少しばかり協力しただけです」
サムシューズはすごい売れ行きで生産が追いつかないほど。従業員も増やして増産しているところです。
「いえ、いえ。フローラ様が見出して下さったからこそです。そのおかげで治療院開業の夢に一歩近づきました」
「治療院ですか?」
「はい。二十四時間体制の治療院を作ることが私の長年の夢だったのです」
「二十四時間体制とは、素晴らしい夢ですね」
「夜中に診察をしてくれる医者は少ないですから、これをシステムとして組み込めば患者さんも医者を探して駆け込む必要はなくなるでしょう。病気や怪我は時間を選びませんからね」
確かにそうだわ。夜間に診てくれる医者は限られているものね。いつでも診察ができる治療院があればみんな安心だわ。そして、それを実行に移す先生も素晴らしい。
「実はそれについてはブルーバーグ侯爵様が協力して下さっているのです。それに賛同してくれる出資者も募って下さっています」
「まあ。お父様が?」
ビックリして目を丸くしました。お父様が協力者とは。
「サムシューズはフローラ様と侯爵夫人。治療院は侯爵様。本当にお世話になりっぱなしで、ブルーバーグ侯爵家に足を向けて寝れません。感謝してもしきれないくらいです」
先生は深々と頭を下げました。
「それは先生のお人柄だと思います。両親も先生だからこそ協力しているのでしょう。私もですけれど。先生の夢の実現に微力ながらでもお力になれたのなら、こんな嬉しいことはありません」
頭を下げたままの先生の表情はわかりませんが、肩が震えていました。
「これからも先生のお役に立てるように協力しますから、なんでもおっしゃってくださいね」
「なんて、もったいないお言葉を……」
顔を上げた先生の目には涙が光っていました。
♢♢♢♢♢
先生の診察とお茶の時間が終わってしばらくたった頃、レイ様が姿を見せました。
執務の合間に顔を見せてくれるレイ様ですが、ちょっとそわそわしていらっしゃるよう。
「ローラ。どうだった?」
空いていたソファに座ったレイ様は診断結果が気になるのでしょう。
「腫れもなく痛みもありませんので、日常生活に戻って大丈夫だと言われました」
「そうか、よかった」
安堵の息をついて微笑みを浮かべたレイ様に私の顔も綻びます。
「少し散歩しない?」
「はい。時間は大丈夫ですか?」
「気分転換。それにローラ不足だし、ねっ」
そういって片目を瞑ってみせるレイ様にドキッとしました。
「それに……」
意味深に口を閉ざしたレイ様にさらに心臓の鼓動が速まります。
先にある出来事を思うと躊躇する気持ちも生まれましたが、差し出された手を取り立ち上がると庭園へと足を運びました。
3
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄された聖女リリアナの庭には、ちょっと変わった来訪者しか来ません。』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
王都から少し離れた小高い丘の上。
そこには、聖女リリアナの庭と呼ばれる不思議な場所がある。
──けれど、誰もがたどり着けるわけではない。
恋するルミナ五歳、夢みるルーナ三歳。
ふたりはリリアナの庭で、今日もやさしい魔法を育てています。
この庭に来られるのは、心がちょっぴりさびしい人だけ。
まほうに傷ついた王子さま、眠ることでしか気持ちを伝えられない子、
そして──ほんとうは泣きたかった小さな精霊たち。
お姉ちゃんのルミナは、花を咲かせる明るい音楽のまほうつかい。
ちょっとだけ背伸びして、だいすきな人に恋をしています。
妹のルーナは、ねむねむ魔法で、夢の中を旅するやさしい子。
ときどき、だれかの心のなかで、静かに花を咲かせます。
ふたりのまほうは、まだ小さくて、でもあたたかい。
「だいすきって気持ちは、
きっと一番すてきなまほうなの──!」
風がふくたびに、花がひらき、恋がそっと実る。
これは、リリアナの庭で育つ、
小さなまほうつかいたちの恋と夢の物語です。
前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。
前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。
外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。
もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。
そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは…
どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。
カクヨムでも同時連載してます。
よろしくお願いします。
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
冷徹侯爵の契約妻ですが、ざまぁの準備はできています
鍛高譚
恋愛
政略結婚――それは逃れられぬ宿命。
伯爵令嬢ルシアーナは、冷徹と名高いクロウフォード侯爵ヴィクトルのもとへ“白い結婚”として嫁ぐことになる。
愛のない契約、形式だけの夫婦生活。
それで十分だと、彼女は思っていた。
しかし、侯爵家には裏社会〈黒狼〉との因縁という深い闇が潜んでいた。
襲撃、脅迫、謀略――次々と迫る危機の中で、
ルシアーナは自分がただの“飾り”で終わることを拒む。
「この結婚をわたしの“負け”で終わらせませんわ」
財務の才と冷静な洞察を武器に、彼女は黒狼との攻防に踏み込み、
やがて侯爵をも驚かせる一手を放つ。
契約から始まった関係は、いつしか互いの未来を揺るがすものへ――。
白い結婚の裏で繰り広げられる、
“ざまぁ”と逆転のラブストーリー、いま開幕。
異世界転生公爵令嬢は、オタク知識で世界を救う。
ふわふわ
恋愛
過労死したオタク女子SE・桜井美咲は、アストラル王国の公爵令嬢エリアナとして転生。
前世知識フル装備でEDTA(重金属解毒)、ペニシリン、輸血、輪作・土壌改良、下水道整備、時計や文字の改良まで――「ラノベで読んだ」「ゲームで見た」を現実にして、疫病と貧困にあえぐ世界を丸ごとアップデートしていく。
婚約破棄→ザマァから始まり、医学革命・農業革命・衛生革命で「狂気のお嬢様」呼ばわりから一転“聖女様”に。
国家間の緊張が高まる中、平和のために隣国アリディアの第一王子レオナルド(5歳→6歳)と政略婚約→結婚へ。
無邪気で健気な“甘えん坊王子”に日々萌え悶えつつも、彼の未来の王としての成長を支え合う「清らかで温かい夫婦日常」と「社会を良くする小さな革命」を描く、爽快×癒しの異世界恋愛ザマァ物語。
元お助けキャラ、死んだと思ったら何故か孫娘で悪役令嬢に憑依しました!?
冬野月子
恋愛
乙女ゲームの世界にお助けキャラとして転生したリリアン。
無事ヒロインを王太子とくっつけ、自身も幼馴染と結婚。子供や孫にも恵まれて幸せな生涯を閉じた……はずなのに。
目覚めると、何故か孫娘マリアンヌの中にいた。
マリアンヌは続編ゲームの悪役令嬢で第二王子の婚約者。
婚約者と仲の悪かったマリアンヌは、学園の階段から落ちたという。
その婚約者は中身がリリアンに変わった事に大喜びで……?!
【完結】 笑わない、かわいげがない、胸がないの『ないないない令嬢』、国外追放を言い渡される~私を追い出せば国が大変なことになりますよ?~
夏芽空
恋愛
「笑わない! かわいげがない! 胸がない! 三つのないを持つ、『ないないない令嬢』のオフェリア! 君との婚約を破棄する!」
婚約者の第一王子はオフェリアに婚約破棄を言い渡した上に、さらには国外追放するとまで言ってきた。
「私は構いませんが、この国が困ることになりますよ?」
オフェリアは国で唯一の特別な力を持っている。
傷を癒したり、作物を実らせたり、邪悪な心を持つ魔物から国を守ったりと、力には様々な種類がある。
オフェリアがいなくなれば、その力も消えてしまう。
国は困ることになるだろう。
だから親切心で言ってあげたのだが、第一王子は聞く耳を持たなかった。
警告を無視して、オフェリアを国外追放した。
国を出たオフェリアは、隣国で魔術師団の団長と出会う。
ひょんなことから彼の下で働くことになり、絆を深めていく。
一方、オフェリアを追放した国は、第一王子の愚かな選択のせいで崩壊していくのだった……。
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる