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第二部
卒業パーティーⅢ
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時が過ぎるのは早いもの。
今日卒業を迎えました。卒業式はとっくに終えて、午後からは王宮の会場で卒業パーティーが行われます。煌びやかに着飾った卒業生にその保護者。招待された貴族達が集っています。
今年の卒業パーティーは国王陛下の名代として王太子両殿下とリチャード殿下が出席なさっています。特にリチャード殿下の登場に驚きと共に歓迎ムードが会場に広がりました。
金髪碧眼の可愛らしい容姿は王太子殿下にそっくり。慣れない場でぎこちなく笑みを作るリチャード殿下の姿が微笑ましくほっこりとしました。
それから、王太子殿下の挨拶も済み、出席者達は各々ダンスや挨拶回り、知り合いと談笑していたりと会場は和やかな雰囲気に包まれていました。
「ローラ、疲れただろう? 飲み物を持ってこようか?」
私に声をかけたのはレイ様。今日は私のパートナーとして出席してくださいました。
シルバーグレイを基調とした正装姿。すらりとした長身にロングコートがよく似合っています。私は光沢のある花紫色のドレス。真珠をちりばめて裾には百合の花が咲いています。アクセサリーは真珠のネックレスやイヤリング。これらドレス一式はレイ様から贈られたものです。
初めてのレイ様からのプレゼント。感極まって泣いてしまいレイ様をオロオロと慌てさせてしまいましたが、それも良い思い出。
卒業パーティーの場に二人で現れたせいか、注目度が物凄くて、一気に視線が集中したのが分かって膝ががくがくと震えて立ちすくんでしまったほど。そんな私をレイ様は支えて導いてくれました。腰に回された手の温もりに勇気をもらい落ち着くことができました。
やはり王族の方は違う。威風堂々とした立ち居振る舞い、ちょっとやそっとでは動揺しないものなのですね。堂々とした態度だけではなく、私への気遣いまで。レイ様がいなければ倒れていたかもしれません。そのくらいの人々の圧を感じてしまったもの。
平常心を取り戻した私はレイ様の隣で、祝福を述べるために列をなす貴族達とあいさつや言葉を交わしての繰り返し。やっと人も途切れて一段落したところでした。
「ありがとうございます」
そういわれれば喉が渇きました。ずっとしゃべりっぱなしだったわ。
「じゃあ、持ってくるから、ちょっと待ってて」
軽く手をあげると人波をかき分けるようにしてドリンクコーナーへと歩いていくレイ様を見送って、一人になった私は壁際に移動して彼を待つことにしました。
ダンスを踊るカップルや談笑している貴族達をぼんやりと眺めていると
「ローラおねえちゃん」
リッキー様の声がしました。小さいながらも正装に身を包んだリッキー様は紛れもなく王子様でした。
「リチャード殿下。お久しぶりでございます」
私はカーテシーをして挨拶をしました。公式の場ですから気軽に愛称では呼べません。
「リチャード殿下って、誰? ローラおねえちゃんに、そんな呼び方を許した覚えはないよ」
「……」
随分と大人びた言葉遣いを覚えられたようです。
ぷうと不服そうにほっぺを膨らませたリッキー様は年相応に可愛らしいのですが……
どうしたらいいのでしょう?
後ろにはエイブが控えていました。彼に視線をよこすと頷いています。
「リッキー様でよろしいのですか?」
「うん。その方がいい。ローラおねえちゃんにリッキーって呼ばれるのが好きなんだ」
そういわれると何も言えません。親愛の情を示されると自然と頬も緩んでしまいます。満面の笑みを浮かべたリッキー様は私に抱き着きました。
「リッキー様、一人でよろしいのですか?」
「ローラおねえちゃんの所に行ってくるって言ったら母上がいいって言ったし、エイブがいるから大丈夫だよ」
大人の中で退屈になったのかしら。レイ様もいらっしゃるし顔見知りに会いたくなったのかもしれないわ。そう思いリッキー様のお相手をしていると
「きゃあ、かわいい」
黄色い声にも似た声をあげた令嬢が目の前に立っていました。
今日卒業を迎えました。卒業式はとっくに終えて、午後からは王宮の会場で卒業パーティーが行われます。煌びやかに着飾った卒業生にその保護者。招待された貴族達が集っています。
今年の卒業パーティーは国王陛下の名代として王太子両殿下とリチャード殿下が出席なさっています。特にリチャード殿下の登場に驚きと共に歓迎ムードが会場に広がりました。
金髪碧眼の可愛らしい容姿は王太子殿下にそっくり。慣れない場でぎこちなく笑みを作るリチャード殿下の姿が微笑ましくほっこりとしました。
それから、王太子殿下の挨拶も済み、出席者達は各々ダンスや挨拶回り、知り合いと談笑していたりと会場は和やかな雰囲気に包まれていました。
「ローラ、疲れただろう? 飲み物を持ってこようか?」
私に声をかけたのはレイ様。今日は私のパートナーとして出席してくださいました。
シルバーグレイを基調とした正装姿。すらりとした長身にロングコートがよく似合っています。私は光沢のある花紫色のドレス。真珠をちりばめて裾には百合の花が咲いています。アクセサリーは真珠のネックレスやイヤリング。これらドレス一式はレイ様から贈られたものです。
初めてのレイ様からのプレゼント。感極まって泣いてしまいレイ様をオロオロと慌てさせてしまいましたが、それも良い思い出。
卒業パーティーの場に二人で現れたせいか、注目度が物凄くて、一気に視線が集中したのが分かって膝ががくがくと震えて立ちすくんでしまったほど。そんな私をレイ様は支えて導いてくれました。腰に回された手の温もりに勇気をもらい落ち着くことができました。
やはり王族の方は違う。威風堂々とした立ち居振る舞い、ちょっとやそっとでは動揺しないものなのですね。堂々とした態度だけではなく、私への気遣いまで。レイ様がいなければ倒れていたかもしれません。そのくらいの人々の圧を感じてしまったもの。
平常心を取り戻した私はレイ様の隣で、祝福を述べるために列をなす貴族達とあいさつや言葉を交わしての繰り返し。やっと人も途切れて一段落したところでした。
「ありがとうございます」
そういわれれば喉が渇きました。ずっとしゃべりっぱなしだったわ。
「じゃあ、持ってくるから、ちょっと待ってて」
軽く手をあげると人波をかき分けるようにしてドリンクコーナーへと歩いていくレイ様を見送って、一人になった私は壁際に移動して彼を待つことにしました。
ダンスを踊るカップルや談笑している貴族達をぼんやりと眺めていると
「ローラおねえちゃん」
リッキー様の声がしました。小さいながらも正装に身を包んだリッキー様は紛れもなく王子様でした。
「リチャード殿下。お久しぶりでございます」
私はカーテシーをして挨拶をしました。公式の場ですから気軽に愛称では呼べません。
「リチャード殿下って、誰? ローラおねえちゃんに、そんな呼び方を許した覚えはないよ」
「……」
随分と大人びた言葉遣いを覚えられたようです。
ぷうと不服そうにほっぺを膨らませたリッキー様は年相応に可愛らしいのですが……
どうしたらいいのでしょう?
後ろにはエイブが控えていました。彼に視線をよこすと頷いています。
「リッキー様でよろしいのですか?」
「うん。その方がいい。ローラおねえちゃんにリッキーって呼ばれるのが好きなんだ」
そういわれると何も言えません。親愛の情を示されると自然と頬も緩んでしまいます。満面の笑みを浮かべたリッキー様は私に抱き着きました。
「リッキー様、一人でよろしいのですか?」
「ローラおねえちゃんの所に行ってくるって言ったら母上がいいって言ったし、エイブがいるから大丈夫だよ」
大人の中で退屈になったのかしら。レイ様もいらっしゃるし顔見知りに会いたくなったのかもしれないわ。そう思いリッキー様のお相手をしていると
「きゃあ、かわいい」
黄色い声にも似た声をあげた令嬢が目の前に立っていました。
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