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ヤミイ

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「写真ですか。いい考えですね。ついでに、動画撮影も、いいですか?」
 柚葉の声が弾んだ。
「かまいませんが、ネットに上げたりしないでください。世間の人に僕だと特定されるのはさすがに困ります」
「そんなことしませんよ。約束します。私はただ、自分用に…。思い出に、ずっと残しておきたいので…」
 後ろめたいことがあるのか、柚葉の口調が尻すぼみになる。
 すぐにピンときた。
「わかった。つまりは、あなた自身のオナニーのネタにとっておきたいというわけだ。どうです。図星でしょう」
「ちょ、ちょっと、そんなにはっきり口に出して言わないでください」
 周囲を気にするように見回して、柚葉が声をひそめた。
「もちろん、そうですよ。だってこんなライブの男性の裸や性器や、その、官能シーンなんて、この先、死ぬまで絶対に見られないに決まってますもの」
 それはそうだろう。
 良家の子女と思われる柚葉ならば、尚更である。
 大学を出て、医局に就職し、医者と結婚、そして出産と幸せな家庭を築く人生に、こんな冒涜的なシーンが挟まることがあるとはとても思えない。
「だったらいっそのこと、あなた自身が犯されたり凌辱されたりする動画を撮ってはいかがですか? 僕も先生もバイセクシャルです。あなたを愛撫して逝かせることぐらいは、簡単にできると思いますよ」
 僕は提案した。
 むろん、その場合、場所は先生のマンションに変えたほうがいいだろう。
 ここで女性を襲ったりしたら、万一見つかった場合、僕と先生は犯罪者になってしまう。
「いいえ、それはいいのです」
 が、柚葉は首を横に振った。
「私は、自身の性体験にはあまり興味がないのです。それこそ、独りでするので十分満足なんです。他人と肌を合わせるなどというシチュエーションは、どうにも気が進まないので、それはもう、結婚して、子どもをつくるためだけでいいかなって…。だから、むしろ、見たいんですよ。普段妄想している男の人同士の激しい官能シーンを、この目で、はっきりと」
「他人と肌を合わせたくないのに、僕に触るのは、抵抗がないと?」
「それは…」
 柚葉の目の周りがまた赤く染まった。
「あなたが、私の理想の年齢層の少年だから…。あなたみたいな少年の躰に触れて、絶頂に導いて、逝かせるとどうなるのか、それをこの手で確かめるのが、私の夢だったから…」
「つまり、僕は、あなたから見ると、大人のおもちゃみたいなものなんですね。実験動物というか」
「ふふ、酷い言い方。まあ、そこまではあえて言いませんけど、近いものはありますね」
 柚葉が苦笑し、腕まくりすると、僕に寄り添った。
「では、そろそろ、いいですか? 3点責めっていうんですよね。それを、始めたいと思います。全裸の男子中学生のあそこの先っぽをぬるぬるにするための、とってもいやらしい3点責めを」
 そうしてスマホを取り出すと、ブースに取りつけられている小さなホワイトボードに立てかけ、本当に撮影をスタートさせたのだ。
 


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