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ヤミイ

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 少しずつ、封印された記憶が戻ってきた。
 ここへ来る日、僕を車で迎えに来た先生を出迎えた母と、父。
 その時のシーンがよみがえってきたのだ。
 先生を誘惑しようとでもいいたげな、時代錯誤なムチムチのボデイコンミニドレスの母。
 その隣に、頭頂の禿げた冴えない中年男性が立っている。
 丸眼鏡をかけた、何もかもが丸い、僕の父。
 でも、僕は知っている。
 小5から中1の終わりにかけての約3年間、父は僕の性的パートナーだったのだ。
 そう、あの日までは…。

 父は地方公務員で、地味な性格だった。
 見かけ同様大人しく、人当たりがよくて、どちらかというと、寡黙。
 なのに、どこでどう間違ったのか、隠れた男色家であり、またおぞましい小児性愛者だったのだ。
 裸に剥き、全身を舐め、アナルに小指を入れるところから始めて、父は幼い僕を徐々に調教していった。
 なんとか小指が入るぐらいになると、お風呂場では必ずローションを使われた。
 二本、三本と指を入れても痛くないように、アナルを馴らすためである。
 ペニスの挿入が可能になったのは、中学1年の後半になってからだと思う。
 父のイチモツがいくら貧弱だったとはいえ、ペニスは指よりはるかに太い。
 最初のうちは、痛みのほうが勝っていた。
 だから僕は、入れられるのが嫌でたまらなかった。
 でも、父の機嫌を損ねないようにと我慢しているうちに、だんだん身体のほうが先に感じるようになってきた。
 開花したのは、ショッピングモールのトイレの個室で、いきなり父に犯された時である。
 親子三人の買い物の途中。
 婦人服売り場に行く母と別れると、父はすぐに僕をトイレの個室に連れ込み、ズボンと下着を脱がせた。
 自分も下半身裸になった父は、獣のように血走った眼をしていた。
 僕に片足をバレリーナみたいに高く上げさせると、父は腰をかがめ、剥き出しになった僕のアナルを、斜め下から興奮した如意棒で狂おしく突いてきた。
 まるで人が変わったようだった。
 いつも優しく僕を扱ってくれる父が、ケダモノに変じて、狂ったように僕を貪り始めたのだ。
 しかも、ショッピングモールのトイレという、非日常の空間で。
 貫かれて半ば宙に浮いたまま、僕は叫び、痙攣を繰り返し、そして、逝った。
 ミルクにまみれた僕の勃起ペニスを、父が舐めた。
「おいしいね、おまえのバナナから出る熱いミルクは」
 そう言いながら、陰嚢と肛門を指でまさぐって。

 がー。
 そこまで僕を狂わせながら、ある日突然、父は不能になってしまった。
 急に職場で倒れ、重度の糖尿病で、入院することになってしまったのである。
 父は変わった。
 半年の入院の末、退院してくると、完全な草食系人間に変貌してしまっていた。
 糖尿病から更に前立腺を病んだせいで、性機能をすっかり喪失してしまっていたのである。
 僕に魔手を伸ばすこともなくなり、母との性交渉も途絶えたらしかった。
 そんな父が、家の中で存在感をなくすのに、大して時間はかからなかった。
 思春期に入ると、僕は父のような冴えない中年男に長年抱かれていた自分が嫌になった。
 性行為ができなくなった父は、ただの禿げた小太りのブサメンに過ぎなかったのだ。
 僕は父との記憶を封印し、あふれる性欲をオナニーで解消することで忘れ去ることにした。
 僕は多岐にわたる奇怪な自慰の手法を編み出し、自撮りで貯めた動画を見ながら一日に何度も射精した。
 今思えば、僕は父との行為を忘れるために、ナルシストとしての道を歩むことに決めたのだ…。
 
 



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