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連載版
俺はペットではないらしい。
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「タツロー。お前の作ったものが食べたい」
ノルは魔王だ。
彼の家、魔王城で暮らし始め、初日にそんなこと言われた。
森で暮らしていた時は、調味料がなかったから作った料理と言われても、野草のスープとか、フライパンはノルが持っていたから、それで卵焼きを作ったり、したくらいだ。
卵は、勝手に鳥の素から拝借したもので、何の鳥かわからなかった。
結局卵のお母さんかお父さんも食べてしまったので、本当あの時残酷だったな。俺。
鳥のさばき方とか知っていてよかった。
父方の田舎では、卵を産まなくなった鳥とか処分する時に立ち会ってたし。あの時はなんでこんな残酷なこと見せるんだよって思っていたけど、役に立った。
本当、なんでも経験するものだな。
「鳥が必要か。私が取ってくる」
ノルは小さい時は僕って言っていたけど、今は私って自分のことを呼んでるる。大人だなあと思う。
それはそうだよな。今、三十歳くらいだっけ?
俺より一回り以上、上だ。
「おいおい、人間。魔王様のペットだからって調子にのるなよ」
「そのうち飽きられるぞ」
「その前の人間は、どれくらいだったか」
「三日ぐらいだったか?その後、俺たちにくれたんだよな。男だからちっとも面白くなかったけどな」
いやいや、物騒な話し始めたぞ。
手下の魔族たち。
なんていうか、飽きられたらそのまま捨てられるのか?
まじで?
いや、日本に帰してくれるんじゃないのか?
めっちゃ、不安なんだけど。
「タツロー。戻ったぞ。さあ、作ってくれ」
ノルは鳥を捕まえてすぐに戻ってきた。
それまで好き勝手に話をしていた魔族は急に押し黙る。
「タツロー。こいつらが変なことを言ったり、お前にちょっかい出したら私に言え。殺すから」
「へ!」
手下の魔族が急に震え始めるのが見えた。
俺になんか目でサインを送ってくる。
……とりあえず今さっき聞いたことは忘れよう。
でも聞きたいことはある。
「あのさあ、ノルが俺に飽きたら、ちゃんと日本に帰してくれる?そいつらに俺をあげたりしないよな?」
「ん?この私がタツローに飽きるわけないだろう。やっと見つけたんだ。こいつらにやる?なんの話をしてるんだ?もしかして、こいつら何か話したか?」
「あ、なにも、俺が単に思っただけだから」
助けてくれっという視線を浴びて、俺は誤魔化す。
これで借りを作り、いつか返してもらおう。あと、こいつらの秘密を握っていれば、何かに使えるかもしれない。
「いただきます!」
ノルは俺が教えたことを覚えていたみたいで、そう言って食べ始めた。
作ったのはスープで、お代わりまでしてもらった。
ちなみに魔王城に、なぜか俺用キッチンがあった。
どうやら召喚魔法を学ぶ傍ら、作り始めたらしい。
すごいな。
「タツロー。一緒に寝よう」
「は?なんだよ。それは。寝るわけないだろう」
「前は一緒に寝たぞ」
「それは一緒に寝たほうが暖かいし、お前小さくて、時たまうなされていたから」
「私は今でもうなされる。暑いのがよくないのか。だったら寒くする」
ノルがそう言うと部屋の温度が一気に下がる。
部屋の半分が凍っていた。
「ほら、寒くなった。寝るぞ」
「……いや、寒いけど。お前、もう三十歳だろ。親と寝るとかありえなくない?」
「親と寝る?何を言ってるんだ。タツローが俺の親のわけないだろうが」
「まあ、そうだけど」
例えとかわからなんのかなあ。
その時俺は単純にそう考えていて、仕方ないなと一緒に寝ることになった。
部屋がキンキンに冷えてるおかげで、ノルの体温が非常に心地よかった。
目を覚ました時、その腕に包まれていて、仰天して起きてしまったが……。
ありえねー。
男に抱きしめられるなんて。
「照れなくていいんだぞ」
「照れてない」
そうして始まった異世界生活イン魔王城。
また料理をねだられたので、ちゃんとしたものを作りたいと人間の街に出かけることになった。
日が落ちてからお店を探すのは大変だった。
ノルの赤い目は珍しいのか、じろじろ見られるので、離れて見守ってもらうことにした。
調味料を買い込んで、卵も売っていたので購入。
お金はノルが持っていたので借りた。
いつか返したいけど、まだ方法が考えていない。
「ノル。そこは触るな」
一緒に寝ていると、ノルが変なところ触るようになった。
俺は女じゃないのに。
「ノル。もしかして溜まってる?魔界には風俗とかないの?まあ、ノルは魔王だから必要ないと思うけど。そういえば、彼女とかいないの?」
「……タツローからそんなこと聞かれるのは不快だ」
そうか、そうだよな。
俺も親からそんなこと言われたらいやだもん。
「おう、わかるかったな。だけど、変なところ触るなよ。変な気持ちになるし。もう一緒に寝る必要もないよな?」
「変なところ触らない。だから一緒に寝る」
「……わかった」
ノルはどうして俺と一緒に寝たがるのか。
小さい時のトラウマかなあ?
俺たちが寝るのは昼間だ。
ノル達魔族が夜しか活動できないから当然だと思う。
ふと目覚めて、ノルが珍しく俺をぎゅっと抱きしめていなかったから、その腕から抜け出した。
廊下を歩いていると、魔物に見つかった。
俺より小さい魔物で、犬みたいな姿をしている。
「魔王様のペット発見!」
「人間だ。本当に人間だったんだ!」
俺はノルのペットだと魔物と魔族たちに認識されている。
魔物は知能が低いもので、動物に似ている四つ足歩行。
魔族は知能が高く、顔は動物のようなものだが全体的に人間に似ていて二足歩行。
魔王城は昼間でも暗いので、こうして廊下を歩く魔物たちがいる。
「お腹すいたなあ」
「この人間たべてもいいかな」
ひい、物騒な話してるよ。
「俺は美味しくないし、魔王様のペットだから勝手に食べたらおこられるんじゃないかな」
「そうだ。怒られる」
「うん。怒られる。やめとこう」
よかったあ。
「小さきものよ。何をしている」
「ひい、魔王様だ!」
「魔王様!」
俺の背後にいつの間にかノルがいた。
俺の背にぴったり張り付いて、魔物たちを恫喝している。
「こいつは、私のペットではない。伴侶だ。下手なことを言ったり、ちょっかいを出したら殺す」
「わ、わかりました!」
「ひゃー。ごめんなさい!」
魔物たちは死に物狂いに逃げ出す。
今、伴侶って聞こえた気がするけど。
「あ、の」
「タツロー。お前は私のペットではない。伴侶だ。ペットなどと言うな」
「え?伴侶?伴侶って何か知ってるの?ノル。結婚する相手のことだよ。例えた君の両親みたいに、男と女」
「知ってる。だが、魔族は簡単には死なないし、寿命も長い。繁殖も必要ないのだ。だから、伴侶が同性でも問題ない」
「も、問題あるよ。俺、聞いてないから」
なんだよ。それ。
いきなり。
ノルは魔王だ。
彼の家、魔王城で暮らし始め、初日にそんなこと言われた。
森で暮らしていた時は、調味料がなかったから作った料理と言われても、野草のスープとか、フライパンはノルが持っていたから、それで卵焼きを作ったり、したくらいだ。
卵は、勝手に鳥の素から拝借したもので、何の鳥かわからなかった。
結局卵のお母さんかお父さんも食べてしまったので、本当あの時残酷だったな。俺。
鳥のさばき方とか知っていてよかった。
父方の田舎では、卵を産まなくなった鳥とか処分する時に立ち会ってたし。あの時はなんでこんな残酷なこと見せるんだよって思っていたけど、役に立った。
本当、なんでも経験するものだな。
「鳥が必要か。私が取ってくる」
ノルは小さい時は僕って言っていたけど、今は私って自分のことを呼んでるる。大人だなあと思う。
それはそうだよな。今、三十歳くらいだっけ?
俺より一回り以上、上だ。
「おいおい、人間。魔王様のペットだからって調子にのるなよ」
「そのうち飽きられるぞ」
「その前の人間は、どれくらいだったか」
「三日ぐらいだったか?その後、俺たちにくれたんだよな。男だからちっとも面白くなかったけどな」
いやいや、物騒な話し始めたぞ。
手下の魔族たち。
なんていうか、飽きられたらそのまま捨てられるのか?
まじで?
いや、日本に帰してくれるんじゃないのか?
めっちゃ、不安なんだけど。
「タツロー。戻ったぞ。さあ、作ってくれ」
ノルは鳥を捕まえてすぐに戻ってきた。
それまで好き勝手に話をしていた魔族は急に押し黙る。
「タツロー。こいつらが変なことを言ったり、お前にちょっかい出したら私に言え。殺すから」
「へ!」
手下の魔族が急に震え始めるのが見えた。
俺になんか目でサインを送ってくる。
……とりあえず今さっき聞いたことは忘れよう。
でも聞きたいことはある。
「あのさあ、ノルが俺に飽きたら、ちゃんと日本に帰してくれる?そいつらに俺をあげたりしないよな?」
「ん?この私がタツローに飽きるわけないだろう。やっと見つけたんだ。こいつらにやる?なんの話をしてるんだ?もしかして、こいつら何か話したか?」
「あ、なにも、俺が単に思っただけだから」
助けてくれっという視線を浴びて、俺は誤魔化す。
これで借りを作り、いつか返してもらおう。あと、こいつらの秘密を握っていれば、何かに使えるかもしれない。
「いただきます!」
ノルは俺が教えたことを覚えていたみたいで、そう言って食べ始めた。
作ったのはスープで、お代わりまでしてもらった。
ちなみに魔王城に、なぜか俺用キッチンがあった。
どうやら召喚魔法を学ぶ傍ら、作り始めたらしい。
すごいな。
「タツロー。一緒に寝よう」
「は?なんだよ。それは。寝るわけないだろう」
「前は一緒に寝たぞ」
「それは一緒に寝たほうが暖かいし、お前小さくて、時たまうなされていたから」
「私は今でもうなされる。暑いのがよくないのか。だったら寒くする」
ノルがそう言うと部屋の温度が一気に下がる。
部屋の半分が凍っていた。
「ほら、寒くなった。寝るぞ」
「……いや、寒いけど。お前、もう三十歳だろ。親と寝るとかありえなくない?」
「親と寝る?何を言ってるんだ。タツローが俺の親のわけないだろうが」
「まあ、そうだけど」
例えとかわからなんのかなあ。
その時俺は単純にそう考えていて、仕方ないなと一緒に寝ることになった。
部屋がキンキンに冷えてるおかげで、ノルの体温が非常に心地よかった。
目を覚ました時、その腕に包まれていて、仰天して起きてしまったが……。
ありえねー。
男に抱きしめられるなんて。
「照れなくていいんだぞ」
「照れてない」
そうして始まった異世界生活イン魔王城。
また料理をねだられたので、ちゃんとしたものを作りたいと人間の街に出かけることになった。
日が落ちてからお店を探すのは大変だった。
ノルの赤い目は珍しいのか、じろじろ見られるので、離れて見守ってもらうことにした。
調味料を買い込んで、卵も売っていたので購入。
お金はノルが持っていたので借りた。
いつか返したいけど、まだ方法が考えていない。
「ノル。そこは触るな」
一緒に寝ていると、ノルが変なところ触るようになった。
俺は女じゃないのに。
「ノル。もしかして溜まってる?魔界には風俗とかないの?まあ、ノルは魔王だから必要ないと思うけど。そういえば、彼女とかいないの?」
「……タツローからそんなこと聞かれるのは不快だ」
そうか、そうだよな。
俺も親からそんなこと言われたらいやだもん。
「おう、わかるかったな。だけど、変なところ触るなよ。変な気持ちになるし。もう一緒に寝る必要もないよな?」
「変なところ触らない。だから一緒に寝る」
「……わかった」
ノルはどうして俺と一緒に寝たがるのか。
小さい時のトラウマかなあ?
俺たちが寝るのは昼間だ。
ノル達魔族が夜しか活動できないから当然だと思う。
ふと目覚めて、ノルが珍しく俺をぎゅっと抱きしめていなかったから、その腕から抜け出した。
廊下を歩いていると、魔物に見つかった。
俺より小さい魔物で、犬みたいな姿をしている。
「魔王様のペット発見!」
「人間だ。本当に人間だったんだ!」
俺はノルのペットだと魔物と魔族たちに認識されている。
魔物は知能が低いもので、動物に似ている四つ足歩行。
魔族は知能が高く、顔は動物のようなものだが全体的に人間に似ていて二足歩行。
魔王城は昼間でも暗いので、こうして廊下を歩く魔物たちがいる。
「お腹すいたなあ」
「この人間たべてもいいかな」
ひい、物騒な話してるよ。
「俺は美味しくないし、魔王様のペットだから勝手に食べたらおこられるんじゃないかな」
「そうだ。怒られる」
「うん。怒られる。やめとこう」
よかったあ。
「小さきものよ。何をしている」
「ひい、魔王様だ!」
「魔王様!」
俺の背後にいつの間にかノルがいた。
俺の背にぴったり張り付いて、魔物たちを恫喝している。
「こいつは、私のペットではない。伴侶だ。下手なことを言ったり、ちょっかいを出したら殺す」
「わ、わかりました!」
「ひゃー。ごめんなさい!」
魔物たちは死に物狂いに逃げ出す。
今、伴侶って聞こえた気がするけど。
「あ、の」
「タツロー。お前は私のペットではない。伴侶だ。ペットなどと言うな」
「え?伴侶?伴侶って何か知ってるの?ノル。結婚する相手のことだよ。例えた君の両親みたいに、男と女」
「知ってる。だが、魔族は簡単には死なないし、寿命も長い。繁殖も必要ないのだ。だから、伴侶が同性でも問題ない」
「も、問題あるよ。俺、聞いてないから」
なんだよ。それ。
いきなり。
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