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第二部
本当の理由は
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フェリーが茶を手に戻ってきた。
「待たせてすまない」
「いえ。こちらこそ、大隊長に……気が利かず申し訳ございません」
俺とレオンの重なった言葉に、フェリーは口元を緩めた。
「私が飲みたかったんだ。それに私が一番頼みやすいだろう?」
「――ありがとうございます」
イリュダで人気があるという茶はグレンロシェで好まれている茶より苦味が強く、今までに飲んだことがない味だった。
フェリーが半分ほど飲んだ茶を置き、視線を俺達に向けた。
「それで先ほどの話の続きだが、イリュダ側が原因だとしたら君達は何か思いつくかな?」
「もし拒否しているとしたら、その商品販売を独占したい、または後から惜しくなった、ということでしょうか?」
俺の意見にフェリーは頷いた後、彼の見解を示した。
「それも有り得る。だが原石の輸出そのものを止められてしまうことは、イリュダにとってなるべく避けたい結果なはずだ」
イリュダには他の工業技術もあるため、輸入ができなくなっても経済的に大した打撃にはならない。だが文化的で発展した国というイメージに少なからず影響を与えるだろうし、裕福な貴族達が装飾品をわざわざ外国から買いに来る際に落とす金の減少も見込まれる。
「フェリー大隊長、よろしいでしょうか」
「レオン、何だ?」
「通常、嫁がれた後も母国と連絡は取られると思います。ヴァラン国王陛下からマチルダ王妃に、何か話があってもおかしくないはずでは……」
フェリーが溜息をついた。
「交流はあるそうだが、ヴァラン側から不満などは言われていないと。ただ王妃は実の父である国王と直接ではなく、叔父の王弟を介してやり取りしているらしい」
「なぜ王弟なのか気になりますね。どのような方なのかご存知ですか?」
レオンが訊き、フェリーは少し考えるようにしながら答えた。
「宰相も理由は分からないと言っていた。だが人となりは、冷酷と噂されている国王と違い真面目で誠実、優しい人物だそうだ。その王弟が、原石が採れる地域の管理を任されている」
二人同時に頷いた。
「ちなみにイリュダ国王夫妻だが、国王は王妃を溺愛しているそうで仲は良く、周囲からの評判もいい。夫である国王に意見を言えない雰囲気、ということもないと」
「工場建設の話が問題だということ自体、思い過ごしということは?」
俺の問いに、フェリーは曖昧に首を横に振った。
「これはあくまで一般論での話だが、人の胸の内は分からない。表と裏、別の顔を持つこともある」
父上みたいに――ってか。いや、俺もか。
頭に浮かんだ疑問を口にする。
「異能者は……いないのですか」
「人の考えが読める能力ということかな?」
「はい」
フェリーは答える前に茶を飲んだ。
「いるだろう。だが王宮、執務に関係のある部署に所属しているとは限らないし、その者の証言のみだ。その人物が真実を言っているという確実な証拠が提示されなければ、結局は推測に過ぎない」
確かにそうだ。なら……父上はシャンティエに絶対的な信頼を寄せているということか。普通なら息子のほうを信じそうなのに、シャンティエが伝えたであろう、俺の完璧なはずの貴公子の仮面の下に隠された、本当の俺を疑わなかった。
「フェリー大隊長、お伺いしたいのですが」
「ジルベール、言ってくれ」
「順調に思われていたイリュダとヴァランの国交に不安な点があることは理解しましたが、今回の夜会とどう関係があるのでしょうか」
フェリーの顔が険しくなった気がした。
「ローズ王女殿下はまだ婚約者がいない。そのためルーク王太子殿下との婚約の可能性について噂されていることは知っているか?」
「はい」
「噂ではなく、本当だ」
俺は思わずレオンを見た。緑色の瞳もこちらを向き温かさを持っているように見えるが、口元は引き締まり感情を外に出していない。
「正確には、ルーク王太子がローズ王女に結婚の申し込みを予定されていらっしゃる、と言ったほうが正しいが」
「その話はイリュダの宰相からですか?」
「元々はルーク王太子からの手紙に、そのような旨が記載されていたのだよ」
工業視察の方が主たる目的だと思っていたが本当は逆で、視察は後付けだったのか。
「なので今回の旅の護衛とエスコート役にレオンを指名したということでしょうか?」
ルーク王太子への牽制のために。
「実を言うと……ある上官がローズ王女の承諾を得て、今回の護衛任務を決定したのだよ」
「そうだったんですね」
容易に想像が付くその人物は、俺には認めるような発言をしながらも本心ではやはり正常な相手を望んでおり、外堀から埋めようとしているのだろう。
王女のわがままと思われて可哀想な気も少々するが、その人物にとっては好都合だ。それも計算の内かもしれない。
レオンは元々内心を顔に出さない性格だ。全く驚いたりしていないように見える。王女からすでに何かしら聞いていたのか、その人物から別の任務を受けていたのか。
だがますます今回の意図が分からない。
「フェリー大隊長、俺はその――求婚のしきたりなどに詳しくないのですが、普通は来てもらうのではなく、申し込む側が行かれるのではないのでしょうか?」
「絶対にとまでは言えないが、頼むほうから出向くのが通常ではある。今回の件は事情があり、ローズ王女がイリュダまでいらっしゃることになったのだ」
「事情――ですか」
「そうだ」
「実は以前からヴァラン国王陛下の名でレオンが招待を受けていてね」
初耳だった。思ってもみない話に返す言葉を失う。自分を抑えられるレオンはさすがに顔に出していないが、俺達は五歳の時から家族同然として過ごしているのだから、分かる。レオンは知っていたようだ。小国とはいえ国王陛下からの招待……レオンの実力は認めているはずなのに、称賛よりも黒い感情が生まれてくる。
時間が経てば経つほど次の言葉を発するのが気まずくなると分かっているが、頬の筋肉が硬直し上手く動かせない。
「――それは……どのような招待なのでしょうか?」
幼少期から貴公子を演じてきた俺は発した声に動揺を見せることはしなかったはずだが、葛藤した時間は見抜かれていた。それに応えるためか、フェリーはレオンに自身で説明するかと訊く。
「レオン、自分で言うか? 私から話してもいいが」
レオンは数秒間沈黙した後、返事をした。
「フェリー大隊長。私自身も詳細は知らされておりませんし、私見が入ってしまうかもしれませんので……申し訳ありませんが、お願いできますでしょうか」
フェリーは全てを理解しているかのような様子で頷いた。
「端的に言うと『英雄をヴァラン国王に招待し、将来に続く交流を持ちたい』、このような感じだ」
「それは――今まであまりなかった国交を英雄を通じて持つ、ということでしょうか。唐突過ぎますし我が国にもたらされる益は無いように見受けられますが」
グレンロシェは農産物の輸出や金融の中心として発展し裕福だが、イリュダのような工業技術はない。そもそも山が多く原石以外の資源に乏しい小国のヴァラン。大国に窮地を訴え支援を懇願するならばまだ理解ができるが……図々しくないか?
「ヴァラン国王陛下の孫、ニナ王女は絶世の美女と大変な評判らしい」
弱い立場のはずのヴァランがなぜ強気なのか理解できた。
「その王女とレオンを結婚させようと画策しているということですね」
「年齢も適当、君達の三つ下だと聞いている」
フェリーがレオンを見ながら頷いた。ここまではレオンも聞いているようだ。
ヴァランからはそのような美女なら英雄ですら簡単に落ちると思われているのか。母親も有名な絶世の美女で、レオンが規格外の美女も見慣れているという情報は、残念ながらヴァランまで届いていないらしい。
「だが断るとして、いくらグレンロシェが強国だとしてもヴァラン国王――というよりどの国に対しても余計な恨みは持たれたくない。だからといってどのような異能者がいるか分からない場所に、レオンを行かせることも控えたい」
一般論ではあるが父上の意見だろう。万が一にも、息子を自分のような被害者にさせないために。
「ちょうど同時期にルーク王太子から国王陛下宛にグレンロシェ訪問についての手紙があり 、『ローズ王女にお会いしたく貴国に伺いたい』と、このようなことが記載されていた」
緊張からか喉は完全に乾いている。声を出す代わりに頷き、茶を飲んだ。苦さに思わず顔を歪めたが、それは精神的な苦痛からだったかもしれない。
フェリーが続ける。
「返事を出す前に話し合いイリュダの国王にも相談した上で、最終的にイリュダの国王陛下主催の夜会にてレオンとニナ王女も対面することが決まった」
水面下でそのような動くがあったことなど、俺は気付きもしていなかった。
「ヴァラン国王は納得されたのですか?」
「『レオンは任務で多忙なためヴァランまで行く時間が作れそうにない。ローズ王女がイリュダへ向かわれる際の護衛としてレオンも同行するので、ヴァランの方ともお会いできることを願っている』、このような返事を書いた。当然向こうは嬉しくはないだろうが反論できるほどではないし、面目も一応は保たれる。最終的にヴァランの王太子とニナ王女が視察目的でイリュダに来られることになった」
簡単な任務の確認かと思っていた話は重く複雑で、国の運営にも関わる話だった。四大公爵家嫡男とはいえ国王軍に入隊したばかりの普通の隊員であれば、到底知らされることもない内容。当然と割り切れればいいのかもしれないが、話し合いの場にいるにも拘わらず、俺は全く内容に関係のない人間だ。レオンは当事者ということもあり、事前に父上から話を聞いていた。俺はやはり父上に言われた通り飾りの公爵……表向きと逆で、実際はレオンの従者としか見られていないのか。
話が始まってからかなりの時間が経過したように思えるが、実際は精神的な負担がそう感じさせるだけか……どちらにしろ、話はまだ終わりそうにない。
「待たせてすまない」
「いえ。こちらこそ、大隊長に……気が利かず申し訳ございません」
俺とレオンの重なった言葉に、フェリーは口元を緩めた。
「私が飲みたかったんだ。それに私が一番頼みやすいだろう?」
「――ありがとうございます」
イリュダで人気があるという茶はグレンロシェで好まれている茶より苦味が強く、今までに飲んだことがない味だった。
フェリーが半分ほど飲んだ茶を置き、視線を俺達に向けた。
「それで先ほどの話の続きだが、イリュダ側が原因だとしたら君達は何か思いつくかな?」
「もし拒否しているとしたら、その商品販売を独占したい、または後から惜しくなった、ということでしょうか?」
俺の意見にフェリーは頷いた後、彼の見解を示した。
「それも有り得る。だが原石の輸出そのものを止められてしまうことは、イリュダにとってなるべく避けたい結果なはずだ」
イリュダには他の工業技術もあるため、輸入ができなくなっても経済的に大した打撃にはならない。だが文化的で発展した国というイメージに少なからず影響を与えるだろうし、裕福な貴族達が装飾品をわざわざ外国から買いに来る際に落とす金の減少も見込まれる。
「フェリー大隊長、よろしいでしょうか」
「レオン、何だ?」
「通常、嫁がれた後も母国と連絡は取られると思います。ヴァラン国王陛下からマチルダ王妃に、何か話があってもおかしくないはずでは……」
フェリーが溜息をついた。
「交流はあるそうだが、ヴァラン側から不満などは言われていないと。ただ王妃は実の父である国王と直接ではなく、叔父の王弟を介してやり取りしているらしい」
「なぜ王弟なのか気になりますね。どのような方なのかご存知ですか?」
レオンが訊き、フェリーは少し考えるようにしながら答えた。
「宰相も理由は分からないと言っていた。だが人となりは、冷酷と噂されている国王と違い真面目で誠実、優しい人物だそうだ。その王弟が、原石が採れる地域の管理を任されている」
二人同時に頷いた。
「ちなみにイリュダ国王夫妻だが、国王は王妃を溺愛しているそうで仲は良く、周囲からの評判もいい。夫である国王に意見を言えない雰囲気、ということもないと」
「工場建設の話が問題だということ自体、思い過ごしということは?」
俺の問いに、フェリーは曖昧に首を横に振った。
「これはあくまで一般論での話だが、人の胸の内は分からない。表と裏、別の顔を持つこともある」
父上みたいに――ってか。いや、俺もか。
頭に浮かんだ疑問を口にする。
「異能者は……いないのですか」
「人の考えが読める能力ということかな?」
「はい」
フェリーは答える前に茶を飲んだ。
「いるだろう。だが王宮、執務に関係のある部署に所属しているとは限らないし、その者の証言のみだ。その人物が真実を言っているという確実な証拠が提示されなければ、結局は推測に過ぎない」
確かにそうだ。なら……父上はシャンティエに絶対的な信頼を寄せているということか。普通なら息子のほうを信じそうなのに、シャンティエが伝えたであろう、俺の完璧なはずの貴公子の仮面の下に隠された、本当の俺を疑わなかった。
「フェリー大隊長、お伺いしたいのですが」
「ジルベール、言ってくれ」
「順調に思われていたイリュダとヴァランの国交に不安な点があることは理解しましたが、今回の夜会とどう関係があるのでしょうか」
フェリーの顔が険しくなった気がした。
「ローズ王女殿下はまだ婚約者がいない。そのためルーク王太子殿下との婚約の可能性について噂されていることは知っているか?」
「はい」
「噂ではなく、本当だ」
俺は思わずレオンを見た。緑色の瞳もこちらを向き温かさを持っているように見えるが、口元は引き締まり感情を外に出していない。
「正確には、ルーク王太子がローズ王女に結婚の申し込みを予定されていらっしゃる、と言ったほうが正しいが」
「その話はイリュダの宰相からですか?」
「元々はルーク王太子からの手紙に、そのような旨が記載されていたのだよ」
工業視察の方が主たる目的だと思っていたが本当は逆で、視察は後付けだったのか。
「なので今回の旅の護衛とエスコート役にレオンを指名したということでしょうか?」
ルーク王太子への牽制のために。
「実を言うと……ある上官がローズ王女の承諾を得て、今回の護衛任務を決定したのだよ」
「そうだったんですね」
容易に想像が付くその人物は、俺には認めるような発言をしながらも本心ではやはり正常な相手を望んでおり、外堀から埋めようとしているのだろう。
王女のわがままと思われて可哀想な気も少々するが、その人物にとっては好都合だ。それも計算の内かもしれない。
レオンは元々内心を顔に出さない性格だ。全く驚いたりしていないように見える。王女からすでに何かしら聞いていたのか、その人物から別の任務を受けていたのか。
だがますます今回の意図が分からない。
「フェリー大隊長、俺はその――求婚のしきたりなどに詳しくないのですが、普通は来てもらうのではなく、申し込む側が行かれるのではないのでしょうか?」
「絶対にとまでは言えないが、頼むほうから出向くのが通常ではある。今回の件は事情があり、ローズ王女がイリュダまでいらっしゃることになったのだ」
「事情――ですか」
「そうだ」
「実は以前からヴァラン国王陛下の名でレオンが招待を受けていてね」
初耳だった。思ってもみない話に返す言葉を失う。自分を抑えられるレオンはさすがに顔に出していないが、俺達は五歳の時から家族同然として過ごしているのだから、分かる。レオンは知っていたようだ。小国とはいえ国王陛下からの招待……レオンの実力は認めているはずなのに、称賛よりも黒い感情が生まれてくる。
時間が経てば経つほど次の言葉を発するのが気まずくなると分かっているが、頬の筋肉が硬直し上手く動かせない。
「――それは……どのような招待なのでしょうか?」
幼少期から貴公子を演じてきた俺は発した声に動揺を見せることはしなかったはずだが、葛藤した時間は見抜かれていた。それに応えるためか、フェリーはレオンに自身で説明するかと訊く。
「レオン、自分で言うか? 私から話してもいいが」
レオンは数秒間沈黙した後、返事をした。
「フェリー大隊長。私自身も詳細は知らされておりませんし、私見が入ってしまうかもしれませんので……申し訳ありませんが、お願いできますでしょうか」
フェリーは全てを理解しているかのような様子で頷いた。
「端的に言うと『英雄をヴァラン国王に招待し、将来に続く交流を持ちたい』、このような感じだ」
「それは――今まであまりなかった国交を英雄を通じて持つ、ということでしょうか。唐突過ぎますし我が国にもたらされる益は無いように見受けられますが」
グレンロシェは農産物の輸出や金融の中心として発展し裕福だが、イリュダのような工業技術はない。そもそも山が多く原石以外の資源に乏しい小国のヴァラン。大国に窮地を訴え支援を懇願するならばまだ理解ができるが……図々しくないか?
「ヴァラン国王陛下の孫、ニナ王女は絶世の美女と大変な評判らしい」
弱い立場のはずのヴァランがなぜ強気なのか理解できた。
「その王女とレオンを結婚させようと画策しているということですね」
「年齢も適当、君達の三つ下だと聞いている」
フェリーがレオンを見ながら頷いた。ここまではレオンも聞いているようだ。
ヴァランからはそのような美女なら英雄ですら簡単に落ちると思われているのか。母親も有名な絶世の美女で、レオンが規格外の美女も見慣れているという情報は、残念ながらヴァランまで届いていないらしい。
「だが断るとして、いくらグレンロシェが強国だとしてもヴァラン国王――というよりどの国に対しても余計な恨みは持たれたくない。だからといってどのような異能者がいるか分からない場所に、レオンを行かせることも控えたい」
一般論ではあるが父上の意見だろう。万が一にも、息子を自分のような被害者にさせないために。
「ちょうど同時期にルーク王太子から国王陛下宛にグレンロシェ訪問についての手紙があり 、『ローズ王女にお会いしたく貴国に伺いたい』と、このようなことが記載されていた」
緊張からか喉は完全に乾いている。声を出す代わりに頷き、茶を飲んだ。苦さに思わず顔を歪めたが、それは精神的な苦痛からだったかもしれない。
フェリーが続ける。
「返事を出す前に話し合いイリュダの国王にも相談した上で、最終的にイリュダの国王陛下主催の夜会にてレオンとニナ王女も対面することが決まった」
水面下でそのような動くがあったことなど、俺は気付きもしていなかった。
「ヴァラン国王は納得されたのですか?」
「『レオンは任務で多忙なためヴァランまで行く時間が作れそうにない。ローズ王女がイリュダへ向かわれる際の護衛としてレオンも同行するので、ヴァランの方ともお会いできることを願っている』、このような返事を書いた。当然向こうは嬉しくはないだろうが反論できるほどではないし、面目も一応は保たれる。最終的にヴァランの王太子とニナ王女が視察目的でイリュダに来られることになった」
簡単な任務の確認かと思っていた話は重く複雑で、国の運営にも関わる話だった。四大公爵家嫡男とはいえ国王軍に入隊したばかりの普通の隊員であれば、到底知らされることもない内容。当然と割り切れればいいのかもしれないが、話し合いの場にいるにも拘わらず、俺は全く内容に関係のない人間だ。レオンは当事者ということもあり、事前に父上から話を聞いていた。俺はやはり父上に言われた通り飾りの公爵……表向きと逆で、実際はレオンの従者としか見られていないのか。
話が始まってからかなりの時間が経過したように思えるが、実際は精神的な負担がそう感じさせるだけか……どちらにしろ、話はまだ終わりそうにない。
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