公爵子息だったけど勘違いが恥ずかしいので逃走します

市之川めい

文字の大きさ
23 / 57
第一部

通じ合うってこういうこと?

しおりを挟む
 さらさらな漆黒の髪の間から見える緑色の瞳を潤ませ、ベッドの真ん中に仰向けになったレオン。容姿端麗、思慮深く謙虚ながら圧倒的な強さで魔王を倒した英雄が無防備に体を晒しているなんて、誰が想像できるだろう。
 英雄に対して思いのまま命令し、跪かせ、奉仕させる――俺だけがその特権を手にし、享受きょうじゅしているなんて、平民の使用人だと思っていたレオンを好きに扱ってた時より高揚感がないか?

 
 興奮で逸る気持ちを抑えつつ、足を開かせ、レオンのあなに触れようとして気が付いた。

「あ、俺持ってない……」

 なんでだよ、これからって時に。
 
「あの……潤滑剤、でしょうか……?」
「そうだ」
「それでしたら――私の、鞄の中に……ございます」

 あれ? 今、レオンの口から思ってもみない言葉が出てきたぞ。だが聞き間違えではないようで、レオンは体を起こして自分の鞄から潤滑剤を取り出し、恥ずかしそうに俺に差し出した。見覚えのある容器だ。

「これは俺の物だが――もちろん他のやつと使おうとしたわけじゃないよな?」
「はい。あの晩の翌朝、ジルベール様がいらっしゃらないことが分かり、部屋を他の使用人と共に確認させていただいた時にこれを見つけました。ずっと私が保管しておりましたので、もちろん他の方達は知りません。それで今回……お迎えに伺う際に持って参りました」
「ということは、レオンも俺とするのを望んでいた――と解釈していいんだな?」
「はい、ジルベール様」
「来い」
  

 渡された容器の蓋を開け、どろっとした液体を指にたっぷりと取った。それを再度仰向けになったレオンの秘所にあて、少しずつ指で慣らす。硬く閉じているそこは、俺が不在の間、誰とも交わっていないことを簡単に想像させ、安心させてくれる。

 ――って、王女様とならここは使わないから実際は分からないか。レオンは王宮に泊まったんだから機会はあっただろうし、かなり積極的な女性っぽいから王女様から迫ってきそうだ……
 いや、考える必要はない。レオンは誠実だ。疑う要素など一切なく、純粋な緑色の瞳は俺だけを映している。

 レオンが声を上げよがる箇所、そこを丹念に擦ると内側がうねり、俺を受け入れようと反応する。目尻が濡れ光っているのは嬉し涙だろう。先程達したはずの中心は、すでに上を向いている。
 必死に俺から与えられる刺激だけを追い求め、レオンの形の良い薄い唇から荒い息が漏れ出す。

「ジルベール様……あ、っ、これ以上は……へんになり……ます、あっ、あん」
「レオン、遠慮せずもっと自分を出せ。全て受け止めるから」
「っ、あ、だめ……で……あっん、あ」
「ここか?」
「ん、ん、うっん、ゔ、いっ、い……あ――っ」

 念入りにそこの部分を擦り続けると、内壁の収縮が激しさを増した。漆黒の髪を乱しながら出す切羽詰まった感じの嬌声が鼓膜に響き、レオンが俺の側にいるということを実感させてくれる。

 たまらなく可愛い俺のレオン、自分から一度手放そうとしたが、もう二度と離したくない。

「挿れるぞ」

 返事もままならないレオンは、緑色の瞳で縋るように俺を見ている。あの時の金色が懐かしい――レオンが英雄だった時の嫉妬など忘れ(この瞬間だけだぞ、実際はやっぱり悔しい!)、自分の髪色とお揃いだったと嬉しく思うのは重症だろうか。

 レオンが自分の手によって快感を得て、こんなにも自分を求めている。その事実が、俺自身の高まりにも繋がるとは知らなかった。
 俺はなんて愚かだったのだろう。自分だけが一方的に良くなることを求めるより、相手のことを想い、要望に応え、通じ合うことで体だけでなく精神的にも満たされる。そしてそれがまた相乗効果で極上の快楽をもたらしていく……

 レオンに愛撫しただけでいつも以上に硬くなっている下半身をゆっくりと侵入させていく。
 動き始めると、レオンが俺の首に手を回してきた。それに応えるように、唇を近付ける。溶けそうなくらいに熱い口内で、二人の唾液が入り交じり舌を絡め合う。

 奥までねじ入れるように押し込むと、内側が吸い付くように性器にまとわりついてくる。そこを突いたり擦ったりと、動きを変えながらレオンの反応を確かめていく。
 
「ジルベール様……ん、あんっ、あ……あっ、あ、ん」
「ああレオン、おまえはやっぱり……こういうのが好きだろう?」

 ここ――という箇所を重点的に攻めると、レオンは体を硬直させあっという間に二度目の頂点を向かえ射精した。

「もう達したのか?」
 
 意識が飛び、虚ろな目を見開いて息をするのもおぼつかないレオンの頬を両手で挟んだ。

「大丈夫か? 痛かったら言え」

 少しずつやっと息を吸えるようになったレオンが「幸せすぎて……」と頬を赤くしながら言う姿に、俺はそれだけで達しそうになるのをこらえた。童貞じゃないんだから……てかレオンが煽ってくるせいだな。無意識だからタチが悪い。
 レオンは容姿端麗、成績優秀、血統良しでしかも英雄だ。全てが揃った若者を狙う令嬢達はおろか、この色っぽさと可愛さだと男達からもモテるだろう。
 レオンの気持ちは完全に信じられるが、この先俺は嫉妬したり色々と苦労しそうだ。


 ――っていや、少し前までそのポジションは俺だったぞ! 自分で自分に突っ込みたくないけど。なんで逆転してるのを当たり前に受け入れているんだよ。俺は笑いの才能は持ち合わせていない。それはラファエルの役回りだ。
 やばい、急にラファエルのことなんて思い出したから萎えそうになったじゃないか。そもそもやってる最中に他の男――完全になしのやつでも――を思い浮かべるなんて失礼だ。

 気を取り直して俺は動きを再開し、すぐに硬さを取り戻した下肢で、絶頂を迎えてうねり、締まっているレオンの中をこじ開けるように犯す。

「あん、あ、あん、っ……イッたばかりなので……ジルベール様……ゔっ、あん、あっ、あ――」
「レオン、そのままでいろ。もっと気持ち良くしてやる」
「ジルベール……様……」
「レオン……好きだ」
「わた、し……も……あっん、あ、ゔ――――」
「ゔ、俺もイきそうだ……レオン、あっ、あ」

 レオンへの想いとともに、今までで一番の高まりを感じながらレオンの奥へと熱いものを吐き出した。自分の腕の中で同時に達したレオンを包み込むようにして耳元で囁く。

「レオン――ありがとう。とても気持ち良かった」
「ジルベール様、私も気持ち良くしていただきありがとうございます」
「いや、お礼を言うのは俺の方だ。おまえのおかげで何が大事なのか――気が付くことができた」
「ジルベール様、もったいないお言葉です。あの、先ほどきちんと言えませんでしたので……ジルベール様、愛しております」
「っおい、レオン! おまえは本当に……無意識で……やめろよ」
「すみません。ご迷惑、でしょうか……?」
「違う、すごく嬉しい。可愛いすぎて俺がもたなくなるからやめろ――って意味だ。それに……俺が先におまえを――」
「……ジルベール様?」

 恥ずかしい。なんでレオンは普通に言えるんだ?

「ご気分が優れませんか? 休まれたほうが……」
「違う、大丈夫だ。はあ、ちょっと待て」
「――はい」

 この場をのがしたら言えなくなる。よし――

「レオン、俺が先に言いたかったんだがすまない」
「――――?」
「あい……してる」 

 聞こえるか聞こえないかくらいの音量だったが、レオンは何を言ったか分かったようだ。嬉しそうに顔を歪ませ、瞳は涙で翠玉すいぎょくのように輝いている。


 
「レオン、馬車は朝早いのか?」
「いえ、朝食を取ってから出れば間に合います」
「なら――今夜はまだまだゆっくりできるな。おいでレオン、一緒に入浴しよう。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

白い結婚だと思っていたら、(溺愛)夫にガブガブされて、番になっていたようです

まんまる
BL
フレア王国の第3王子シルティ(18歳.Ω)は、王宮騎士団の団長を務める、キーファ侯爵家現当主のアリウス(29歳.α)に、ずっと片想いをしている。 そんなシルティは、Ωの成人王族の務めとして、自分は隣国のαの王族に輿入れするのだろうと、人生を半ば諦めていた。 だが、ある日突然、父である国王から、アリウスとの婚姻を勧められる。 二つ返事でアリウスとの婚姻を受けたシルティだったが、何もできない自分の事を、アリウスは迷惑に思っていないだろうかと心配になる。 ─が、そんなシルティの心配をよそに、アリウスは天にも登る気持ち(無表情)で、いそいそと婚姻の準備を進めていた。 受けを好きすぎて、発情期にしか触れる事ができない攻めと、発情期の記憶が一切ない受けのお話です。 拗らせ両片想いの大人の恋(?) オメガバースの設定をお借りしています。ぼんやり設定です。 Rシーンは※つけます。 1話1,000~2,000字程度です。

抑制剤の効かない薬師オメガは森に隠れる。最強騎士団長に見つかり、聖なるフェロモンで理性を溶かされ、国を捨てた逃避行の果てに番となる

水凪しおん
BL
「この香りを嗅いだ瞬間、俺の本能は二つに引き裂かれた」 人里離れた森で暮らす薬師のエリアルは、抑制剤が効かない特異体質のオメガ。彼から放たれるフェロモンは万病を癒やす聖なる力を持つが、同時に理性を失わせる劇薬でもあった。 ある日、流行り病の特効薬を求めて森を訪れた最強の騎士団長・ジークフリートに見つかってしまう。エリアルの香りに強烈に反応しながらも、鋼の理性で耐え抜くジークフリート。 「俺が、貴方の剣となり盾となる」 国を救うための道具として狙われるエリアルを守るため、最強の騎士は地位も名誉も投げ捨て、国を敵に回す逃避行へと旅立つ。 シリアスから始まり、最後は辺境での幸せなスローライフへ。一途な騎士と健気な薬師の、運命のBLファンタジー。

異世界で聖男と呼ばれる僕、助けた小さな君は宰相になっていた

k-ing /きんぐ★商業5作品
BL
 病院に勤めている橘湊は夜勤明けに家へ帰ると、傷ついた少年が玄関で倒れていた。  言葉も話せず、身寄りもわからない少年を一時的に保護することにした。  小さく甘えん坊な少年との穏やかな日々は、湊にとってかけがえのない時間となる。  しかし、ある日突然、少年は「ありがとう」とだけ告げて異世界へ帰ってしまう。  湊の生活は以前のような日に戻った。  一カ月後に少年は再び湊の前に現れた。  ただ、明らかに成長スピードが早い。  どうやら違う世界から来ているようで、時間軸が異なっているらしい。  弟のように可愛がっていたのに、急に成長する少年に戸惑う湊。  お互いに少しずつ気持ちに気づいた途端、少年は遊びに来なくなってしまう。  あの時、気持ちだけでも伝えれば良かった。  後悔した湊は彼が口ずさむ不思議な呪文を口にする。  気づけば少年の住む異世界に来ていた。  二つの世界を越えた、純情な淡い両片思いの恋物語。  序盤は幼い宰相との現実世界での物語、その後異世界への物語と話は続いていきます。

守ってあげます、旦那さま!〜筋肉が正義の家系で育った僕が冷徹公爵に嫁ぐことになりました〜

松沢ナツオ
BL
アイハレク帝国の守護神と呼ばれるベニトア辺境伯の三男オリヴィンは、筋肉の一族の中でただ一人、絶世の美女である母の容姿を受け継いで溺愛されている。 本人は父や兄達と違うほっそりした体型にコンプレックスを持ち、必死で鍛えてきた。 努力を続け一人前の騎士と父の認められたばかりなのに、皇帝の命により将来有望と呼び声高い若き公爵リオネルと結婚することになってしまった。 皇位継承権のあるリオネルに不満を持つ皇后が、実子の王太子の地位を守るため形骸化していた同性での結婚を持ち出したのである。 当然、辺境伯である父は激怒。家族も憤慨していたが、皇帝の命令には逆らえない。オリヴィンは首都レージュヌに向かい、初めてリオネルに会う。 そこにいたのは、家族とは全く違う冷徹な雰囲気の青年で……? 愛されすぎて美的感覚がバグっているオリヴィンと、両親を事故で失った挙句命を狙われる孤独なリオネル。 正反対の二人が出会って認め合い、やがて愛し合う。そんなドタバタラブストーリーです。

贖罪公爵長男とのんきな俺

侑希
BL
異世界転生したら子爵家に生まれたけれど自分以外一家全滅という惨事に見舞われたレオン。 貴族生活に恐れ慄いたレオンは自分を死んだことにして平民のリオとして生きることにした。 一方公爵家の長男であるフレドリックは当時流行っていた児童小説の影響で、公爵家に身を寄せていたレオンにひどい言葉をぶつけてしまう。その後すぐにレオンが死んだと知らされたフレドリックは、以降十年、ひたすらそのことを悔いて生活していた。 そして十年後、二人はフレドリックとリオとして再会することになる。   ・フレドリック視点は重め、レオン及びリオ視点は軽め ・異世界転生がちょいちょい発生する世界。色々な世界の色々な時代からの転生者の影響で文明が若干ちぐはぐ。 ・世界観ふんわり 細かいことは気にしないで読んでください。 ・CP固定・ご都合主義・ハピエン ・他サイト掲載予定あり

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

処理中です...