【R18】僕とあいつのいちゃラブな日々@U.S.A.

紫紺

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第57話 好きなだけどうぞ

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 しかし、この時代劇面白そうだな。再来年始まる連続ドラマなんだけど、テーマが斬新だし、今まで取り上げられたことのない人物だ。
 脚本も切り口が鋭いって評判な人だし、これを勝ち取ったら知名度爆上がりかもな。親父も喜ぶだろう。

「今までドラマになってなかったって不思議だよな」
「初めてってわけでもないらしいけど、見たことないな」

 水口さんにこちらの意向を伝えたら、すぐに資料を送ってくれた。そのなかでも僕らにとって新境地とも言える時代劇の内容に二人とも興味津々だ。

「こっちは締め切りまであんまりないな。大丈夫か?」
「誰に聞いてるんだ?」

 なあんて、鼻息荒く応じる佐山。確かにこういうこと、おまえは裏切らないからな。

「じゃあ、出来上がりを楽しみにしてるよ」



 日々粛々と進めていく映画の仕事の合間を縫って、佐山はコンペの曲に手を付け始めた。
 作曲に関しては、佐山はほぼ毎日何かしらスコアを書いてる。自筆の場合もあるし、モバイルに入力してるのもある。

 作家が思いついたフレーズを書き留めるのと同じことだ。だからベッドの横にもアコギが置いてあるんだ。
 最も、ベッドルームではギターより僕を抱いていることの方が圧倒的に多いけどね。

 だけど、スタジオでも寝室でも、音と向き合ってる佐山は本当にカッコいい。心底惚れてしまうよ。
 きっと誰が見ても、神秘的ですらある姿に胸を締め付けられると思う。


「ん? どした?」
「あ、ごめん。邪魔したかな」

 自宅スタジオで一人ギターを弾いてる佐山に見惚れていたら、見つかってしまった。
 ポットに珈琲を淹れて持ってきたんだけど、あまりにカッコ良すぎて惚れ惚れとしてた。

「いや、まさか。珈琲持って来てくれたんだろ? いただくよ」

 珈琲をマグカップに注ぎあいつに渡す。それから前に置いてあるスコアを覗いた。

「これ、コンペ用の?」
「ああ、時代劇のさ。ちょっと聞いてみる? サワリだけど」
「え?! もちろん、聞きたい!」

 おお、もう出来たのか。おまえの新しい曲はいつも楽しみだけど、これは何よりも楽しみにしてたんだ。
 佐山はにやりと笑い、ギターをつま弾きだす。複雑なアルペジオが繰り返され、そこからきらびやかなコードに移る。ボレロのように盛り上がりが加速していく感じだ。

「すごい……今まで聴いたことのない雰囲気だ」

 2分ほどの短い断片的なものだったけど、ワクワク感半端ない。

「だろ? ドラマのイメージに合ってると思うんだけどな」
「うん、確かに。理性的で物静かなイメージだけど、実は沸々と湧き上がるような野心があった、みたいな感じかな」
「そうそう、それだよ。やっぱり倫はわかってるなあ」

 佐山は立ったままの僕を見上げる。そして、右手で僕のTシャツをくいくいと引っ張った。

「なに?」
「でもな。仕上げに必要なのがあってさ」
「なんだよ? なんでも揃えてやるから言えよ」
「ん? そりゃあ、あんたにしか出来んことだからな」
「だからな……って……」

 佐山はギターを椅子に立て、代わりに僕を引き寄せた。空いた腕に抱く。

「つまり……そういうこと……か」
「そういうこと……あんたを抱くと、メロディーが浮かんでくるんだよ」

 以前にもそんなことを言ってた記憶が。嘘かホントか知らないけど、そんなこと言われたら断れない。

「好きなだけ、どうぞ……僕も続きが聴きたいから……さ」
「そうこなくちゃね」

 あいつのエロい唇が降って来た。ひょいと僕をお姫様抱っこするとスタジオの隅にあるソファーに連れて行く。
 今、どんなメロディーがあいつの頭に流れているのか、今度絶対教えてもらわなきゃな。



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