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第1話
今日は待ちに待った婚約発表の日。
アベリア王国の公爵令嬢であるルル・ユクシオンは、心を弾ませていた。大好きな、大好きな人と婚約することが出来る。それが嬉しくて嬉しくて、堪らなかった。
ルルの想い人、アベリア王国の第二王子─ユシス
公爵家の令嬢であるルルなら、王子達の遊び相手として身分が釣り合うから。という理由でユシスの遊び相手に選ばれて以来、ルルはずっとユシスのことが好きだった。
ユシスは気持ちを伝えるのが、あまり得意ではないのか言葉を返してくれることはあまりなかったけれど、それでも行動と態度で、ルルへの愛情を示してくれた。
だから今日という日が、とても嬉しい。両想いの2人が結ばれるのだから。
(きっと、ユシスも嬉しいはずだわ)
「こら、ルル。話を聞いていたか?」
婚約発表をするためのパーティーが開かれる王城へ向かう馬車の中。目の前に座る父──ユクシオン公爵が呆れ顔でルルを見ていた。
「ええ、聞いていたわ。隣国の使者様もパーティーにいらっしゃるんでしょう?なんでも急なご来訪だとか」
自信満々に言ってのけるルルに、ユクシオンは溜息を吐いた。
「はあ、分かっているならいい。確かに今日はお前とユシス様の婚約発表の日だが、くれぐれも不相応な行動は取ることのないように。隣国からの使者様を歓待するという目的を第一になすことが、ユシス様の公務となって……」
「そんなこと、分かっているわよ、お父様」
「その自信満々なところが不安なんだが……」
トホホ、と額を拭うユクシオンに、その隣に座る母──アリアが微苦笑を零した。
「まあ、まあ、あなた。そんなに心配なさらなくても。この子は色々と器用なところもありますから。大丈夫ですよ。なにかあれば私達がフォローすればいいのですから」
美しいアリアの微笑みを見て、ユクシオンは照れ臭そうに顎鬚を掻いた。
「ア、アリアがいうなら。……うん、そうだな。ルルは私達の子だしな」
仲の良い両親を横目に見ながら、ルルは「まだか、まだか」と心の中で馬車の速度を上げた。
心なしか馬車の窓を風景の流れる速度が上がったような気がして、ルルは高揚に心を躍らせた。
アベリア王国の公爵令嬢であるルル・ユクシオンは、心を弾ませていた。大好きな、大好きな人と婚約することが出来る。それが嬉しくて嬉しくて、堪らなかった。
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