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第4話
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ルルは、はしたないことだと分かっていても、2人が向かった内庭の様子を覗きたくて、皆がワルツを踊っている隙に、さりげなく広間の東へ移り、内庭を覗き、玻璃の張られた扉を開け迷路のように入り組んだ垣根ねと入り、2人を追った。
声が聞こえてきたのは、北の東屋。
薔薇の垣根が1つ。ルルの姿を遮っていた。
「ねえ、ユシス」
「はい」
「本当に婚約してしまうの?」
「それは……」
どうしてそこで言いよどむのか。衝撃を受けて、ルルの呼吸は少し浅くなった。
「ねえ、ユシス。もし、婚約が嫌なら……」
(ユシスが私との婚約を嫌がるわけないじゃない。……ユシスは何て答えるのかしら)
薔薇の垣根超しに、耳を大きくしたつもりで、ルルはユシスの声に集中した。だが、不運なことに風に遮られてしまい、ユシスがどんな答えを返したのか、ルルには聞こえなかった。
(……ユシスの馬鹿)
ルルはなんだかもう泣きたくなった。泣きたくなって、その場にいると辛いから、踵を返そうとして、ドレスの裾が薔薇の棘に引っかかった。
「ど、どなた?」
アラナのか細い声。
そんな声を出したりしたら、優しいユシスのことだから、気にかけてしまうに決まっている。
「……少し様子を見てきますね」
ユシスの声。そして足音。
(駄目。聞き耳たててたなんて知られたら……)
ドレスの裾がなかなか取れない。あがいていると、真横にユシスの立つ気配がした。
「ルル?」
驚いたような声音。
「ユシス、どうしたの。やっぱりそこに誰かいらっしゃるの?」
「……いえ」
ユシスは戸惑いを隠しながら、アラナの声に答えた。
「少し、ここで待っていてください」
それが自分に掛けられた言葉だと理解して、ルルは急いで頷いた。薔薇の垣根の向こうで、2人のやりとりが聞こえてくる。
「小さな猫が入り込んでいただけのようです」
「まあ、そうなの」
「どなたかの飼い猫かもしれませんから、王宮の者に預けて参ります」
「それでは、また後で。私のところに来てくださる?」
「ええ、後で伺います」
ユシスの返答に、ルルは心臓が痛くなった。
(なによ、なによ。伺いますって。そんな優しい答え方しなくたっていいじゃない!)
やきもきしていると、ユシスが急くような足取りでルルの元へと戻って来た。
「ルル、こんなところで一体なにを?」
「な、なにも」
我ながら苦しい。なにもないのに、こんな内庭に来るなんてありえない。察することに長けたユシスがそれに気づかないはずはないのに。
「……丁度、良かった。ルルに話があります」
何が?
と聞く前に、見上げた月光に照らされるその顔があまりにも儚く悲し気で、ルルは息を呑む。
「……婚約の約束を取り消しませんか」
声が聞こえてきたのは、北の東屋。
薔薇の垣根が1つ。ルルの姿を遮っていた。
「ねえ、ユシス」
「はい」
「本当に婚約してしまうの?」
「それは……」
どうしてそこで言いよどむのか。衝撃を受けて、ルルの呼吸は少し浅くなった。
「ねえ、ユシス。もし、婚約が嫌なら……」
(ユシスが私との婚約を嫌がるわけないじゃない。……ユシスは何て答えるのかしら)
薔薇の垣根超しに、耳を大きくしたつもりで、ルルはユシスの声に集中した。だが、不運なことに風に遮られてしまい、ユシスがどんな答えを返したのか、ルルには聞こえなかった。
(……ユシスの馬鹿)
ルルはなんだかもう泣きたくなった。泣きたくなって、その場にいると辛いから、踵を返そうとして、ドレスの裾が薔薇の棘に引っかかった。
「ど、どなた?」
アラナのか細い声。
そんな声を出したりしたら、優しいユシスのことだから、気にかけてしまうに決まっている。
「……少し様子を見てきますね」
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ドレスの裾がなかなか取れない。あがいていると、真横にユシスの立つ気配がした。
「ルル?」
驚いたような声音。
「ユシス、どうしたの。やっぱりそこに誰かいらっしゃるの?」
「……いえ」
ユシスは戸惑いを隠しながら、アラナの声に答えた。
「少し、ここで待っていてください」
それが自分に掛けられた言葉だと理解して、ルルは急いで頷いた。薔薇の垣根の向こうで、2人のやりとりが聞こえてくる。
「小さな猫が入り込んでいただけのようです」
「まあ、そうなの」
「どなたかの飼い猫かもしれませんから、王宮の者に預けて参ります」
「それでは、また後で。私のところに来てくださる?」
「ええ、後で伺います」
ユシスの返答に、ルルは心臓が痛くなった。
(なによ、なによ。伺いますって。そんな優しい答え方しなくたっていいじゃない!)
やきもきしていると、ユシスが急くような足取りでルルの元へと戻って来た。
「ルル、こんなところで一体なにを?」
「な、なにも」
我ながら苦しい。なにもないのに、こんな内庭に来るなんてありえない。察することに長けたユシスがそれに気づかないはずはないのに。
「……丁度、良かった。ルルに話があります」
何が?
と聞く前に、見上げた月光に照らされるその顔があまりにも儚く悲し気で、ルルは息を呑む。
「……婚約の約束を取り消しませんか」
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