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第四章 揺れる心と溺愛の兆し ①
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その日は、私の誕生日だった。
朝から落ち着かない気分で、きっと今日は宮殿に伺うのだと思っていた。
けれど、予想に反して──カイル殿下が、私の屋敷に直接いらしてくださったのだ。
「カイル殿下、来てくださってありがとうございます……!」
少し緊張気味に頭を下げると、カイル殿下はふっと微笑んだ。
「こっちこそ。今日という日に、君に会えないなんて我慢できなかったからね」
そして、背中に隠していたものを、すっと私の前に差し出した。
「セレナ、誕生日おめでとう」
「うわあ……」
思わず声が漏れた。
両腕いっぱいの白い花のブーケ。
ふんわりと香る、やさしい匂いに胸がいっぱいになる。
「セレナは、白い花が好きだっただろ?」
──そう。
幼い頃、いつも庭で摘んで私に手渡してくれたのも、決まって白い花だった。
カモミール、マーガレット、白い薔薇……
忘れていなかったんだ。
「……覚えててくれたんですね」
目頭が熱くなる。
「もちろん。君の好きなものくらい、全部覚えてるさ。」
その言葉が、私の胸にやさしく灯る。
誕生日に、こんなに幸せな気持ちになれるなんて、思ってもみなかった──
そして夜──カイル殿下をお招きして、私の誕生日パーティーが始まった。
屋敷の広間は花で飾られ、テーブルの上には見たこともないような料理がずらりと並ぶ。
いつもよりもずっと豪勢なディナー。
料理長も張り切ったのだろう。
けれど何より、カイル殿下がその一つひとつを嬉しそうに口に運んでくださるのが、私にとっては一番の喜びだった。
「これは……ローストビーフと柑橘ソースの組み合わせ。絶妙ですね」
「ありがとうございます、殿下。」
お父様が深く頭を下げる。
「いえいえ。私どもの屋敷で誕生日パーティーを開くなんて、勿体ないことで……」
「お父上、私は“セレナのために”ここに来たんですよ?」
さらりとそう言われて、お父様はますます頭が上がらない様子。
そんな様子を見て、母がそっと笑いを噛み殺している。
私はというと、殿下が“私のために来た”という言葉だけで、胸がいっぱいになっていた。
ケーキの火を吹き消す時、カイル殿下がそっと私の手に触れた。
「願い事は?」
「……この幸せが、ずっと続きますように」
心の中でそっと呟いた──それは、今の私の、何よりの本音だった。
そしてパーティーの後、夜の庭を、私たちはゆっくりと歩いた。
木々に吊るされたランプが、揺れるたびに柔らかな灯りを落とし、足元の芝を優しく照らしている。
「幻想的ね……」
私がそう呟くと、カイル殿下はそっと私の手を取った。
歩きづらい裾を気にかけてくれているのが伝わる。
彼の指先はあたたかくて、心まで安心に包まれた。
朝から落ち着かない気分で、きっと今日は宮殿に伺うのだと思っていた。
けれど、予想に反して──カイル殿下が、私の屋敷に直接いらしてくださったのだ。
「カイル殿下、来てくださってありがとうございます……!」
少し緊張気味に頭を下げると、カイル殿下はふっと微笑んだ。
「こっちこそ。今日という日に、君に会えないなんて我慢できなかったからね」
そして、背中に隠していたものを、すっと私の前に差し出した。
「セレナ、誕生日おめでとう」
「うわあ……」
思わず声が漏れた。
両腕いっぱいの白い花のブーケ。
ふんわりと香る、やさしい匂いに胸がいっぱいになる。
「セレナは、白い花が好きだっただろ?」
──そう。
幼い頃、いつも庭で摘んで私に手渡してくれたのも、決まって白い花だった。
カモミール、マーガレット、白い薔薇……
忘れていなかったんだ。
「……覚えててくれたんですね」
目頭が熱くなる。
「もちろん。君の好きなものくらい、全部覚えてるさ。」
その言葉が、私の胸にやさしく灯る。
誕生日に、こんなに幸せな気持ちになれるなんて、思ってもみなかった──
そして夜──カイル殿下をお招きして、私の誕生日パーティーが始まった。
屋敷の広間は花で飾られ、テーブルの上には見たこともないような料理がずらりと並ぶ。
いつもよりもずっと豪勢なディナー。
料理長も張り切ったのだろう。
けれど何より、カイル殿下がその一つひとつを嬉しそうに口に運んでくださるのが、私にとっては一番の喜びだった。
「これは……ローストビーフと柑橘ソースの組み合わせ。絶妙ですね」
「ありがとうございます、殿下。」
お父様が深く頭を下げる。
「いえいえ。私どもの屋敷で誕生日パーティーを開くなんて、勿体ないことで……」
「お父上、私は“セレナのために”ここに来たんですよ?」
さらりとそう言われて、お父様はますます頭が上がらない様子。
そんな様子を見て、母がそっと笑いを噛み殺している。
私はというと、殿下が“私のために来た”という言葉だけで、胸がいっぱいになっていた。
ケーキの火を吹き消す時、カイル殿下がそっと私の手に触れた。
「願い事は?」
「……この幸せが、ずっと続きますように」
心の中でそっと呟いた──それは、今の私の、何よりの本音だった。
そしてパーティーの後、夜の庭を、私たちはゆっくりと歩いた。
木々に吊るされたランプが、揺れるたびに柔らかな灯りを落とし、足元の芝を優しく照らしている。
「幻想的ね……」
私がそう呟くと、カイル殿下はそっと私の手を取った。
歩きづらい裾を気にかけてくれているのが伝わる。
彼の指先はあたたかくて、心まで安心に包まれた。
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