社長は身代わり婚約者を溺愛する

日下奈緒

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第4話 二人の間の壁

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もし私の方が、先に付き合っていると知ったら、芹香は傷つくかな。

「流石じゃん。私なんて、まだまだだよ。」

「ええ?そうなの?」

芹香と恋愛話もするのも、楽しい。

「ほら、相手の人社長だから、私と身分が合わないんじゃないかって。」

「そんなの、気にしてたらダメだよ。」

芹香に、背中をバシッと叩かれる。

「何んで”玉の輿”って言葉があるの?そういう身分差を超えて、結ばれてきたからでしょ。」

「そうだよね。」

すると芹香は、パンと手を叩いた。

「そうだ。社長って、何て会社の社長?」

「えっ……」

「私、調べてあげるよ。お父さんに聞けば、一発かもしれないし。」


ハッとした。

芹香に言ったら、一発で信一郎さんだって、バレてしまう。


「……小さい会社だって、言ってたから。」

「関係ないよ。ウチのお父さん、顔広いから小さい会社まで網羅してるし。」

「でも、まだ知られてないかもしれないし。」

「調べれば分かるって。」

しつこく聞いてくる芹香に、腹が立った。

「何でもかんでも、知ろうとしないでよ!」

思わず大きな声を出してしまった。

芹香の驚いた顔が、目に飛び込んでくる。


「礼奈?どうして怒るの?」

「……ごめん。」

「私、礼奈の力になりたいのに。」

「だからごめん。私、大丈夫だから。」

二人の間に、不穏な空気が漂う。


「分かった。でも、私いつでも礼奈の味方だから。」

うんと頷く事ができなかった。

どうして?

お金まで貸してくれる友人なんて、ほんといないのに。


「今度会った時は、お互いいい報告ができるといいね。」

私が不機嫌な態度を取ったのに、芹香はそれを直そうとしている。

だから、腹立たしい。

「私は、芹香とは違うよ。」

きっと芹香だったら、その宅配便のお兄さんと、堂々と付き合えるんだろう。

でも私は、芹香の名前を名乗らないと、信一郎さんに会う事すらできない。

本当の私は、ダメなんだ。

「どうしてそんな事言うの?礼奈だって私だって、一人の女の子じゃない。」

「違うよ。芹香はお嬢様で、私は貧乏だよ。」

芹香の視線が痛い。

「それがどうしたって言うの?恋愛には関係ないじゃない。」

「それは、お嬢様だから言えるんだよ。」

芹香の顔は、悲しい表情になった。

「相手は芹香だったら、皆OKするよ。」

「それは、私がお金持ちのお嬢様だからだって言うの?」

「そうじゃない。でも、高嶺の花には間違いないよ。芹香は。」


男性だって、お金を持っている人は、それだけで魅力的だ。

女性だって、お金持ちのお嬢さんだって知れば、手の届かない人だって、憧れの対象になる。


「言ってる事、分かんない。私の魅力は、お嬢様だけって聞こえる。」

私の代わりに、芹香が不機嫌になった。

そうじゃない。

芹香の魅力は、たくさんある。

「そう聞こえたら、ごめん。」

お互い気まずい雰囲気になるなんて、どうしてこうなったの?


ううん。芹香といい雰囲気の時なんて少なかった。

いつも私が、芹香のご機嫌を取っていたんだ。
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