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第18話 もう忘れなよ
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その部屋に、芹香が入って来た。
芹香、上等なワンピースを着て、化粧もしている。
本気だ。
私は、庭から窓際に移動した。
中の会話が、聞こえるようにだ。
「本日は、いらっしゃって頂き、有難うございます。」
芹香のお父さんが、挨拶をする。
「今回の結婚の話を、まとめたいと思っています。」
やっぱり、結婚ありきの話だった!
「その前に、芹香さんのお気持ちは、どうなんですか。」
信一郎さんが、芹香に聞いている。
ああ、もう少し移動できたら、芹香の表情も見られるのに。
「私は、黒崎さんと結婚したいと思っています。」
「それは、本心ですか。」
離れていても、二人のピリピリとした空気が伝わってくる。
「一度決めた事です。気持ちは変わりません。」
芹香、こんな時でも頑固なんだから。
「少々、芹香さんの事を、調べさせて頂きました。」
信一郎さんが、何か書類を出している。
「芹香さんには、お付き合いしている方が、いらっしゃいますね。」
うわっ!信一郎さん!
それは、芹香にとって禁句だよ~!
「芹香、これはっ!」
きっとあの書類には、配達員のあの人の情報が、載っているんだろうなぁ。
「お父さん、落ち着いて下さい。」
芹香、怖いくらいに冷静になっている。
「この方とは、既に別れています。」
「本当ですか?」
「はい。身分が釣り合わないからと、彼から別れを切り出されました。」
芹香、よくその事を言ったね。
ううん、もしかして信一郎さんに対して、本気だから?
「信一郎。こんな綺麗なお嬢さんなんだから、恋人の一人くらいいたって、仕方ないじゃないか。」
「そうね。もう別れているって言う話ですし。」
びっくりしたのは、信一郎さんのご両親、この結婚に乗り気なの?
「結婚した後は、信一郎一人にして頂ければいいのだから。」
「そのつもりです。」
ああ、このままじゃあ、本当に結婚の話がまとまってしまう。
ここで、出て行くべきか。
どうする⁉私!!
その瞬間、信一郎さんと目が合った。
マズい。
私は、一瞬身を引いたけれど、今が乗り込むタイミングだと思い、もう一度身を乗り出した。
そして信一郎さんが、首を振る。
今は、飛び込むタイミングじゃないって事⁉
それとも、来るなって事⁉
「沢井さんの家のご事情は、知っています。」
「事情?」
信一郎さんのご両親は、驚いている。
「事情とは何ですか?」
信一郎さんのお父さん、お金を出すのに、事情を知らないの?
「沢井さんの奥さんが、ご病気で施設に入るのに、支度金を使うようです。」
「奥様がご病気?」
信一郎さんのお母さんも、心配な様子だ。
「施設に入るなんて、何のご病気なんですか。」
芹香のお父さんは、困った顔をして、信一郎さんを睨んでいる。
きっと、知られたくなかったのだろう。
「沢井さん。」
信一郎さんのお父さんが、もう一度聞く。
「……妻は、若年性認知症でして。」
「そうでしたか。」
これで、芹香の事は諦めて。
お願い、信一郎さんのお父さん!
芹香、上等なワンピースを着て、化粧もしている。
本気だ。
私は、庭から窓際に移動した。
中の会話が、聞こえるようにだ。
「本日は、いらっしゃって頂き、有難うございます。」
芹香のお父さんが、挨拶をする。
「今回の結婚の話を、まとめたいと思っています。」
やっぱり、結婚ありきの話だった!
「その前に、芹香さんのお気持ちは、どうなんですか。」
信一郎さんが、芹香に聞いている。
ああ、もう少し移動できたら、芹香の表情も見られるのに。
「私は、黒崎さんと結婚したいと思っています。」
「それは、本心ですか。」
離れていても、二人のピリピリとした空気が伝わってくる。
「一度決めた事です。気持ちは変わりません。」
芹香、こんな時でも頑固なんだから。
「少々、芹香さんの事を、調べさせて頂きました。」
信一郎さんが、何か書類を出している。
「芹香さんには、お付き合いしている方が、いらっしゃいますね。」
うわっ!信一郎さん!
それは、芹香にとって禁句だよ~!
「芹香、これはっ!」
きっとあの書類には、配達員のあの人の情報が、載っているんだろうなぁ。
「お父さん、落ち着いて下さい。」
芹香、怖いくらいに冷静になっている。
「この方とは、既に別れています。」
「本当ですか?」
「はい。身分が釣り合わないからと、彼から別れを切り出されました。」
芹香、よくその事を言ったね。
ううん、もしかして信一郎さんに対して、本気だから?
「信一郎。こんな綺麗なお嬢さんなんだから、恋人の一人くらいいたって、仕方ないじゃないか。」
「そうね。もう別れているって言う話ですし。」
びっくりしたのは、信一郎さんのご両親、この結婚に乗り気なの?
「結婚した後は、信一郎一人にして頂ければいいのだから。」
「そのつもりです。」
ああ、このままじゃあ、本当に結婚の話がまとまってしまう。
ここで、出て行くべきか。
どうする⁉私!!
その瞬間、信一郎さんと目が合った。
マズい。
私は、一瞬身を引いたけれど、今が乗り込むタイミングだと思い、もう一度身を乗り出した。
そして信一郎さんが、首を振る。
今は、飛び込むタイミングじゃないって事⁉
それとも、来るなって事⁉
「沢井さんの家のご事情は、知っています。」
「事情?」
信一郎さんのご両親は、驚いている。
「事情とは何ですか?」
信一郎さんのお父さん、お金を出すのに、事情を知らないの?
「沢井さんの奥さんが、ご病気で施設に入るのに、支度金を使うようです。」
「奥様がご病気?」
信一郎さんのお母さんも、心配な様子だ。
「施設に入るなんて、何のご病気なんですか。」
芹香のお父さんは、困った顔をして、信一郎さんを睨んでいる。
きっと、知られたくなかったのだろう。
「沢井さん。」
信一郎さんのお父さんが、もう一度聞く。
「……妻は、若年性認知症でして。」
「そうでしたか。」
これで、芹香の事は諦めて。
お願い、信一郎さんのお父さん!
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