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第21話 彼女に会わないで
③
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芹香は本当に嬉しそうに笑う。
「黒崎さん、清楚系がお好きなんでしょう?」
「えっ?」
「礼奈が言ってました。」
堂々と私の名前を出してくるなんて、その根性、凄いわ。
「そうなんだ。芹香さんは、礼奈と仲がいいんだね。」
「ええ、とっても。」
そしてコーヒーが運ばれて来て、二人は優雅に飲んでいる。
似合う。悔しいくらいに似合う。
一杯、1200円のコーヒーを、二人は完全に制覇している。
「お待たせしました。コーヒーでございます。」
私のところにもコーヒーは運ばれてきた。
しかも、このカップ!
マイセンじゃない⁉
一度、TVで観た事がある!
どうりで、一杯1200円もするはずだよ。
そう思いながら、一口コーヒーを飲んだ。
「ほう、美味しい。」
円やかで酸味と苦味が調和している。
くー、世の中にはこんなコーヒーもあるのね。
「お母さんはどんな様子かな。」
「さあ。お父さんは、私に様子を教えてくれないので。」
「今は、入院しているの?それとも、家?」
「分かりません。」
「意外と冷たいんだね。」
「お母さんには、二十歳の頃から会っておりませんので。」
えっ……5年もお母さんに会っていないの?芹香。
「会っていた頃は、元気だったのかな。」
「まあ。そこそこ。たまに体調が悪くて、臥せってましたけれど。」
「じゃあ、病気になられて、結構経つんだね。」
信一郎さんがそう言うと、芹香はフッと笑った。
「お母さんの話をしに来たんじゃありませんよ。」
「そうだね。君は、仕事は何をしているの?」
「してませんわ。」
「どうして?」
「お父さんが、家の管理をしなさいって言うので。」
おかしい。芹香は、いつも自分の決めた道を歩みたいって言っていたのに。
仕事も、在宅でやっているって言ってたのに。
私には嘘をついていたの?
「具体的には、どんな事をしているの?」
「使用人の管理ですかね。」
「使用人の管理?君が?」
「ええ。結婚しても、やる事になるのだから、今の内に慣れておきなさいって、お父さんが。」
芹香はもっと自由で、自分の意見を持っていていた。
お父さんがそう言ったからって、それに従っていた?
本当は、どっちが本当の芹香なの?
「礼奈から聞いていた君とは、随分差があると思うけれど。」
「ふふふ。実際会ってみると、違うものでしょう?」
「君はもっと主体性がある人だと思ってたよ。」
「どうして?」
芹香は首を傾けて、お嬢様を気取る。
「君は、礼奈に何を吹き込んでいたんだ。」
「ありのままの自分ですけど?」
「そうか。君は、お父さんの籠の中で、自由に飛び回りたいと礼奈に言っていたのか。」
そうなの?
私に語っていたのは、夢だったの?芹香!
「ある意味、そうかもしれないですね。」
そして芹香のコーヒーが、無くなった。
「お代わりいいかしら。黒崎さん。」
「どうぞ。好きなだけ飲むといい。」
「有難うございます。」
そして分かった。
二人の空気が、一緒だと言う事を。
私はコーヒーを飲み干すと、お会計をした。
「黒崎さん、清楚系がお好きなんでしょう?」
「えっ?」
「礼奈が言ってました。」
堂々と私の名前を出してくるなんて、その根性、凄いわ。
「そうなんだ。芹香さんは、礼奈と仲がいいんだね。」
「ええ、とっても。」
そしてコーヒーが運ばれて来て、二人は優雅に飲んでいる。
似合う。悔しいくらいに似合う。
一杯、1200円のコーヒーを、二人は完全に制覇している。
「お待たせしました。コーヒーでございます。」
私のところにもコーヒーは運ばれてきた。
しかも、このカップ!
マイセンじゃない⁉
一度、TVで観た事がある!
どうりで、一杯1200円もするはずだよ。
そう思いながら、一口コーヒーを飲んだ。
「ほう、美味しい。」
円やかで酸味と苦味が調和している。
くー、世の中にはこんなコーヒーもあるのね。
「お母さんはどんな様子かな。」
「さあ。お父さんは、私に様子を教えてくれないので。」
「今は、入院しているの?それとも、家?」
「分かりません。」
「意外と冷たいんだね。」
「お母さんには、二十歳の頃から会っておりませんので。」
えっ……5年もお母さんに会っていないの?芹香。
「会っていた頃は、元気だったのかな。」
「まあ。そこそこ。たまに体調が悪くて、臥せってましたけれど。」
「じゃあ、病気になられて、結構経つんだね。」
信一郎さんがそう言うと、芹香はフッと笑った。
「お母さんの話をしに来たんじゃありませんよ。」
「そうだね。君は、仕事は何をしているの?」
「してませんわ。」
「どうして?」
「お父さんが、家の管理をしなさいって言うので。」
おかしい。芹香は、いつも自分の決めた道を歩みたいって言っていたのに。
仕事も、在宅でやっているって言ってたのに。
私には嘘をついていたの?
「具体的には、どんな事をしているの?」
「使用人の管理ですかね。」
「使用人の管理?君が?」
「ええ。結婚しても、やる事になるのだから、今の内に慣れておきなさいって、お父さんが。」
芹香はもっと自由で、自分の意見を持っていていた。
お父さんがそう言ったからって、それに従っていた?
本当は、どっちが本当の芹香なの?
「礼奈から聞いていた君とは、随分差があると思うけれど。」
「ふふふ。実際会ってみると、違うものでしょう?」
「君はもっと主体性がある人だと思ってたよ。」
「どうして?」
芹香は首を傾けて、お嬢様を気取る。
「君は、礼奈に何を吹き込んでいたんだ。」
「ありのままの自分ですけど?」
「そうか。君は、お父さんの籠の中で、自由に飛び回りたいと礼奈に言っていたのか。」
そうなの?
私に語っていたのは、夢だったの?芹香!
「ある意味、そうかもしれないですね。」
そして芹香のコーヒーが、無くなった。
「お代わりいいかしら。黒崎さん。」
「どうぞ。好きなだけ飲むといい。」
「有難うございます。」
そして分かった。
二人の空気が、一緒だと言う事を。
私はコーヒーを飲み干すと、お会計をした。
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