15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜 【完結】

日下奈緒

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第4章 追いかけた先に、あなたがいた

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「俺が結婚の話をしてても、ちょっとピンとこないかな。」

その言葉に、心臓がドクンと跳ねる。も、もしかして、それって……!

「結婚⁉ 私とですか?」

思わず大きな声を出してしまい、慌てて口を手で押さえる。

玲央さんは少し驚いたように目を丸くして、それから苦笑した。

「今すぐにではないけれど、付き合うなら結婚前提の人じゃないと困る。」

――えええええええ⁉

頭が真っ白になる。だって私、まだ大学生。

就職もしていないのに、結婚なんて現実味がなさすぎる。

「その……」私はカクテルグラスを指でなぞりながら、勇気を出して尋ねた。

「いつぐらいに、結婚をお考えですか?」

玲央さんはしばらく考えるように視線を落とし、それからゆっくりと答えた。

「……理想を言えば、2、3年以内かな。会社の後継ぎの話もあるし。」

2、3年。私は、あと少しで卒業。

それまでに玲央さんの“隣に立てる自分”になれるんだろうか。胸がぎゅっとなる。

「正直、就職して……自分の夢だった司書をしたいです。」

言葉にするのは少し怖かった。

でも、これはずっと心に抱いてきた私の人生の目標だった。

玲央さんは驚くこともなく、穏やかに微笑んだ。

「もちろん。それは邪魔しない。司書もすればいい。」

え……?

私は混乱していた。あまりにもあっさり受け入れてくれたから。

「副社長の奥さんが、働いていていいんですか?」

「いいんじゃない?別に専業主婦じゃなきゃいけないって、規定はないんだし。」

軽やかにそう言って、玲央さんはグラスの水を口に運んだ。

その横顔があまりに自然で、私は胸がいっぱいになる。

「……優しいですね、玲央さんは。どこまでも。」

「そんなことないよ。ただ、君が君らしくいられる方が、俺も嬉しい。」

私はつい声を絞るように言った。

「私、玲央さんを……困らせたくないです。」

玲央さんの手がそっと私の手に触れた。

「困ってなんかないよ。むしろ、ひよりさんが夢を追う姿を、誇りに思うよ。」

その言葉に、私は初めて「未来」を信じた気がした。

ああ、この人となら、一緒に生きていける。

そんな確信のような感情が、胸の奥にゆっくりと満ちていく。

「私、玲央さんと一緒にいたいんです。」

声に出した瞬間、自然と涙が頬をつたった。

「あなたの笑顔を見ると、私も幸せになって……」

寂しくて心細かった入院中、毎日のように顔を見せてくれた玲央さんの優しさ。

あの微笑みだけで、孤独や不安なんてすぐに吹き飛んだ。

「玲央さんにも、幸せでいてほしいんです。」

私の心からの願いに、玲央さんはしばらく黙って、それからそっと頷いた。

「……じゃあ、そのためには――俺の彼女にならないとね。」

涙をぬぐう暇もなく、玲央さんの手が私の手を包み込む。

そのぬくもりが、何よりも確かだった。
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