15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜 【完結】

日下奈緒

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第4章 追いかけた先に、あなたがいた

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「はい……」

私は声にならない声で頷いた。

ふたりの未来が、ゆっくりと動き出した気がした。

食事が終わり、玲央さんが会計を済ませてくれた。

「ご馳走様でした。」

私は丁寧に頭を下げる。

すると玲央さんが、ふいに耳元で囁いた。

「奢った甲斐があった。」

「えっ?」

「若い彼女、できたし。」

その一言に、心臓がドクンと鳴った。

思わず見上げたその笑顔が、嬉しそうで、少しだけ照れていて――。

「私、自慢できますか?」

そう聞くと、玲央さんは声を立てて笑った。

「ははは。当たり前じゃん。」

その言葉が、胸にすっと染み込んでくる。

ああ、この人のそばにいたい。この人の隣で、ずっと笑っていたい。

「これから、どうする?」玲央さんが私の顔を覗き込む。

「ああ……」

私はそっと時計に目をやった。

まだ、帰るには早い。あともう少しだけ、この時間が続いてほしい。

「ホテルでも行く?」

ぽつりとつぶやいた玲央さんの言葉に、私は思わず顔を上げて、じっと見つめた。

「……嘘だよ。そんな軽い女じゃないでしょ、ひよりさんは。」

玲央さんは笑いながら椅子を引いてくれた。

その仕草が優しくて、私は立ち上がりながら、そっと玲央さんのスーツの袖をつかんだ。

「もし……玲央さんがしたいんだったら……」

声が震える。でも、それでも伝えたかった。だって私は、玲央さんが大好きだから。

「ほら、男性は……処理しないと大変だって……」

恥ずかしくて、小さな声で続けると、玲央さんが吹き出した。

「それ、何情報?」

顔が熱くなって、私は俯いたまま呟いた。

「大学の男友達が……言ってて……」

すると玲央さんが、くしゃっと私の頭を撫でてくれた。

「確かに。男子大学生の性欲は半端ない。」

さらりと笑って言う玲央さんに、私は目を丸くする。

「だ、大丈夫だよ。俺、もうそこまで野獣化しないし。」

「野獣……⁉」

思わず復唱してしまった私に、玲央さんはいたずらっぽく笑った。

「安心して、ひよりさんのことはちゃんと大切にするから。」

そう言い残して、玲央さんは足取り軽くレストランを出て行く。

「ほらっ!ひよりさん!」

入り口の向こうから手を振る姿が見えて、胸が高鳴った。

私なんかで、本当にいいのかな。でも——

「……行こう。」

私はそっと一歩を踏み出した。あの人の背中を、追いかけるように。

玲央さんと並んで歩く道。そっと差し出された手を、私は緊張しながら握った。

こんなふうに、誰かと手を繋いで歩くなんて——初めて。

「なんか、ひよりさん。ゆでだこみたいになってるけど、大丈夫?」

「……あはは。顔、熱いかも。」

手であおいでみせると、玲央さんも笑いながら私の頬に風を送ってくれた。

「なんか、私……彼氏できるの、初めてで。」
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