15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜 【完結】

日下奈緒

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第6章 あなたが甘くなったのは、私のせい?

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「シャワー、浴びる?」

玲央さんのその一言に、頭が真っ白になった。

……そう、今日は特別な日。

心の準備をしてきたはずなのに、急に現実味を帯びて、胸がドキドキと高鳴る。

「うん。」

そう答えるだけで精一杯だった。

私たちは並んでバスルームに向かった。

ドアの前で、ふと立ち止まった私は、玲央さんが優しく聞いた。

「あの、一緒に入るんですか?」

「……ダメ?」

そう言って、玲央さんが少しだけ首をかしげ、私の顔を覗き込む。

その仕草が可愛くて、少しだけ力が抜けた。

「ううん。」

頷いた私に、玲央さんは安心したように微笑んだ。

そして私は、ワンピースの背中のファスナーをそっと下ろした。

下着を外す手が震えるけれど、見ないようにしてくれる彼の優しさに救われる。

お風呂場にはやわらかな湯気が立ちこめていて、湯船のお湯が心地よい香りを放っていた。

玲央さんと一緒に湯船に浸かると、その温かさが体だけでなく心まで解きほぐしてくれるようだった。

「はぁ……ああ、最高。」

玲央さんはそう言って、湯船のふちに頭を預ける。

リラックスしきった顔が、いつもより少し子供っぽくて、私は思わず見とれてしまった。

「気持ちいい?」

「うん。……ひよりとこうしてるの、夢みたいだ。」

その言葉に、胸がぎゅっとなる。

少しだけ近くに寄ったら、玲央さんの肩と私の肩が触れ合った。

びくっとしたけど、彼はそっと、私の手を握ってきた。

お湯の中、心まで溶けていくようなぬくもり。

──特別な夜は、ゆっくりと始まっていく。

お風呂から上がると、ふわりとバスタオルを巻いた私に、玲央さんがTシャツを手渡してくれた。

「これ、着る?俺のだけど。」

「うん……ありがとう。」

ふかふかのタオルで髪を拭きながら、玲央さんのTシャツに袖を通す。

彼の香りがふわっと包み込んで、胸がじんと熱くなる。

ふと、部屋の空気が静かに感じられて──

もしかして、このままベッドに行くのかな……と、心のどこかで覚悟していた。

でも、玲央さんはベッドに座って、私を見上げるようにして言った。

「……何、寂しそうな顔してんの?」

その声に顔を上げた瞬間、彼の唇がそっと私の唇に触れた。

やわらかくて、あたたかくて、優しいキス。

「言ったでしょ、ひよりが俺に体を許してくれるまで、待つって。」

──その言葉に、胸がいっぱいになる。

私は思わず、玲央さんの胸に飛び込んだ。

「特別な夜にするって……私、今日、覚悟してきたんだよ?」

震える声でそう伝えると、彼の腕がそっと背中に回ってくる。

「知ってる。でも……こうして抱きしめてるだけで、十分幸せだよ。」

玲央さんの匂い。あたたかさ。鼓動。

何もかもが心地よくて、安心できる。
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