15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜 【完結】

日下奈緒

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第10章 15歳差の恋、いま永遠になる

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天井の高いバンケットには、透き通るようなクリスタルのシャンデリア。

どこを見ても、まるで雑誌の中の世界。

「……職種を広げすぎじゃありません? 玲央さん。」

私はこっそり囁いた。

周囲には、会場スタッフがずらりと完璧な笑顔で並び、式の準備を進めている。

玲央さんは、少し肩をすくめて笑った。

「ああ、“子供から大人まで、すべての人生の節目をサポートする”っていうのが、親父のモットーだから。」

「なるほど……」

言葉にしながら、私はふと気づいた。

この式場、ブライダル部門はもちろん、保育施設や高齢者向けリゾートまで併設されていた。

ほんとに人生丸ごとってわけね……。

すると、控室の外からヒソヒソと声が聞こえてきた。

「21歳の花嫁さんですって。」

「まあ、可愛らしい。旦那さまは副社長なんでしょ?」

「うちの息子と同じ歳よ。……すごい世界ね。」

私は鏡越しに、少し照れたように笑った。

そう、私は今月──つい数日前、21歳になったばかり。

どうしても「誕生日に合わせて結婚したい」と言ったのは、玲央さんの方だった。

「君が大人になった“その日”に、俺の人生を預けたい。」

そう、指輪を見つめながら言ってくれたあの夜。

胸がきゅっと苦しくなるくらい嬉しくて、泣きながら「はい」と頷いた自分を、私は忘れない。

「……できたよ。」

控室のドアが開いて、玲央さんがタキシード姿で立っていた。

白いシャツにグレーのベスト、落ち着いたトーンのタイ。

どこまでも大人で、どこまでも私の好きな人だった。

「迎えに来た。俺の花嫁。」

「……はい。」

私の手を取ったその瞬間──

この3か月のすべての緊張や不安が、幸せな実感へと溶けていく。

私はもう、迷わない。

この人と、家族になる。

この人と、未来をつくっていく。

「玲央さん、私……ちゃんと、支えられるようになります。」

そう言うと、玲央さんは微笑んだ。

「支え合おう。ずっと、一緒に。」

扉の向こうから、祝福の音楽が響き始めた。

この日、この瞬間から。

私は、“ひより”としての人生を終えて──

“玲央さんの妻”としての、新しい人生を歩き出した。

結婚式が終わり、あたたかな拍手とともに扉が閉まる。

そして私たちは、披露宴会場へと向かった。

シャンデリアがきらめく豪華なバンケットホール。

白とゴールドを基調にした上品なテーブルセッティング。

招待されたゲストたちがカメラを構え、あちこちから「綺麗……」という声が聞こえてくる。

そして、壇上に立った司会者の声が響いた。

「本日の司会を務めさせていただきます、フリーアナウンサーの大澤真理子です。」

まさかの、有名アナウンサー。

さすがは一ノ瀬グループの本気の披露宴、といったところだ。
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