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第5話 妃達の戦場
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「そなたと一緒にいると、私は、自分が今まで生きてきた意味を、思い知らされるよ。」
「生きてきた……意味ですか?」
「ああ。荒んだ戦いや目まぐるしい仕事の中で、どうして私は、この王家に生まれたのだろうと、自分が王である事に、嫌気がさす事もあった。」
「信志様……」
黄杏は、そっと信志の手を、握った。
「だが、今は違う。王でなければ、そなたと出会う事など、できなかった。」
優しくて甘い声が、黄杏の耳元に届く。
「だから、黄杏も。自分が自分である事を、恥じる事はない。黄杏が、あの村で育ってくれたから、そなたが妃候補ではなく、宴の準備をしていたから、こうして愛し合う事ができたんだ。」
黄杏は、信志と初めて会った、月夜の事を思い出した。
月に目を奪われ、真っ直ぐに池に落ちて行ってしまった人。
それが今の、夫になる人だったなんて。
黄杏も、巡り会えた奇跡に、感謝した。
黄杏の屋敷に戻った二人は、どちらからともなく、唇を合わせ、お互いに着ている物を、脱がしていった。
黄杏のお付きの女人は、もう隣の部屋にもいない。
無事、信志を受け入れた事が分かったのか、それとも、二人の情愛の熱さに、側にいる事ができないのか。
それほど、二人が情を交わす声は、屋敷の周りを護衛する兵士でさえ、顔を赤くするものだった。
「あぁ……そんな目で信志様に見つめられると……胸の奥が、切なくなります……」
「どうして?今の私は、そなただけの物だと、知っているはずなのに……」
信志の熱を帯びるその瞳が、黄杏の火照った体に、悦びを注ぎ込むのだ。
「……綺麗だ、黄杏。なぜこんなにも、君は私を虜にしてやまないのだ。」
「それは……想い慕う方に、強く抱かれているからでございます……」
黄杏が信志の妃になって、二日目の夜。
二人は、夫婦になった喜びに、溺れているのだった。
新しい妃を迎えると、王は三日三晩、夕食と寝屋をその妃と共にした。
それが終われば、王は正后・白蓮と夕食を摂り、寝屋は好きな場所に、決める事ができた。
だが、黄杏を妃に迎えて以来、信志は夕食後を、黄杏の屋敷で過ごしていた。
その情愛は、浅くなる事を知らず、時々湯殿で肌を合わせたり、陽が昇り朝食を終えた後も、信志は黄杏の屋敷を出ない事が多くなった。
「王。今日も、寝屋は黄杏の屋敷に、なさるのですか?」
夕食の際、白蓮が信志に聞いた。
「ああ。」
黄杏が妃になってから、1ヶ月が経とうとしていた。
「相当、お気に召されたのですね。」
信志は、ちらっと白蓮を見た。
怒っている様子もなく、沈んでいる様子でもなく、白蓮は淡々と、夕食を食べていた。
「白蓮と初めて枕を交わした時も、同じくらい屋敷に通ったではないか。」
「そう……でしたかしら。」
知らない振りをする白蓮に、自分の心を見透かされたような気がする信志。
「言いたい事は、分かっている。一人の女に溺れて、己の成すことを忘れるなと言いたいのだろう?」
「いえ、私は……」
否定しようとする白蓮を、信志はそっと止めた。
「もう少しだけ、通わせてくれ。黄杏は……初めて心を通わせた相手なのだ。」
白蓮は、息が止まった気がした。
初めて、心を通わせた相手?
幼い頃に嫁いで以来、いつ何時でも、王の心を支えようと努力してきた自分と、心を通った時はなかったのか。
白蓮は、手をぎゅっと握りしめた。
「あの者と一緒にいると、心が安らぐ。王でもなく、ただ一人の男でいられるのだ。それに……」
信志は、白蓮を白い目で見つめた。
「もう白蓮は、私を男として、受け入れてはくれないのだろう?」
「えっ?」
「私とて、ただの男だ。自分の妃なのに、男として受け入れて貰えないなんて、自分は無能なのではないかと、思い悩む事もあるのだ。」
「あ、あの……」
白蓮は、自分が年を重ね、子供を他の妃に委ねなければならないと知った時、自分の中に眠る王への情愛に、蓋を閉めたのだ。
それが反って、王を苦しめる事になるなんて。
「だが、黄杏は違う。私の心も体も、いつでも受け入れてくれる。男としての、自信をくれるのだ。」
「そこまで……黄杏を……」
白蓮は椅子の上で、崩れ落ちた。
体は他の妃に譲っても、本当に心を通わせている相手は、自分だけだと思っていたのだ。
「そなたはきっと、情愛など陳腐な物だと、馬鹿にするだろうがな。」
「そんな事は!」
だが信志は、白蓮の本当の気持ちなど、知ろうともせず、夕食の途中で立ち上がった。
「王?」
「……黄杏の元へ行く。」
そう言ったきり、白蓮の屋敷を出て行った。
「うぅっっっ……」
自分への気持ちなど、もう無くなっているのだと分かった白蓮は、机の上で泣き崩れた。
白蓮の屋敷を出た信志は、真っ直ぐ黄杏の屋敷へ、足を運んだ。
「信志様……今日も、お出でくださったんですね。」
「ああ。」
屈託のない笑顔を見せる黄杏を、女人の前だと言うのに、抱き締める信志。
「今日は、夕食を残さず食べたか?」
「はい。」
「足りない物など、なかったか?」
そんな事を聞く信志に、黄杏はクスクスと笑う。
「ん?」
「いえ。まるで父上みたいに、心配なさるのですね。」
「父上みたいに……」
信志の胸が、少しだけチクっとする。
「すみません。嫌ですよね、父と一緒にされたら。」
黄杏は、信志の腕からスルリと抜けると、お酒の用意を始めた。
この1ヶ月の間、信志がひたすら通いつめた事で、黄杏も信志の行動が、手に取るように分かるのだ。
「すっかりそなたは、私の妃だな。」
「そうですか?これでも、まだまだ知らない事ばかりです。」
「1ヶ月で全てを知られては、私の方が困る。」
そしてまた可笑しそうに笑う黄杏。
信志は一日の中で、この時間が何よりも、好きだった。
黄杏の笑顔を酒の肴にして、他愛のない話を聞き、少し酔うと、黄杏と一緒に湯殿に入り、寝る前には情を交わして、その可愛い寝息を聞きながら、眠りにつく。
信志に、今までの人生の中で、至福の時が訪れていた。
そんな事が起こっているとは、汁ほどにも分からない紅梅は、1ヶ月以上王を独り占めしている黄杏を、憎らしく思っていた。
たまたま湯殿に入っている時、王よりも先に湯殿に着いた黄杏と、鉢合わせした。
王の情愛を一身に浴びているせいか、黄杏の肌艶は、羨ましいほどによかった。
「紅梅様……」
しかも、自分の顔を見て、立ち去ろうとした黄杏。
「ご遠慮なさらずに、一緒に入りましょうよ、黄杏さん。」
親切そうに、声を掛けた。
「あの……」
「私達、同じ年でしょう。恥ずかしい事なんてないわよ。」
その言葉に、すっかり気を許した黄杏は、そっと湯船の中に入ってきた。
「奥様から聞いたわ。黄杏さん、王のお気に入りなんですってね。」
「そんな事は……」
謙遜しているが、顔は嬉しくて嬉しくて、仕方がないという表情だった。
「ちらっと見えたけれど、黄杏さんって、いい身体してるわよね。さすが、王が夢中になるのも、分かる。」
「いえいえ。紅梅さんだって、いい身体してるじゃないですか。」
照れながら答える黄杏は、紅梅の心の奥に、静かに嫉妬の炎を燃やした。
「ねえ、黄杏さん。」
「はい。」
「なぜ王は、妃が3人いるのに、また新しい妃を、迎えようと思われたのかしら。」
急に難しい質問をされて、黄杏は困る。
「……なかなか、お子様ができないからでしょうか。」
「そうね。」
紅梅は、ニヤッとして、黄杏に近づく。
「じゃあ黄杏さんは、私達にはもうお子は産めないって、思ってらっしゃる?」
「いいえ、そんな事は、思っていません!」
意地悪い質問にも、正直に答える黄杏。
分かっている。
王は、そういう可愛らしい黄杏に、心引かれたのだ。
「そう?でも黄杏さんは、そう思ってらっしゃるから、王を自分の元へ、通わせ続けているんでしょう?」
「えっ……」
湯気を境に、攻守が逆転する。
「私や青蘭さんだって、まだお子を諦めたわけじゃないのよ。奥様だって、本当はまだお子を産めるはずなのに……」
悲しげな顔をしながら、紅梅はちらっと、黄杏を見た。
作戦通り、黄杏の顔は、湯に浸かっていると言うのに、青白くなっている。
「黄杏さん。王の妃は、あなた一人ではないのよ。みんなから、お子を授かる機会を、奪ってはいけないと、私は思うの。」
「でも……王が、通って来て下さるから……」
紅梅は優しく、黄杏の腕を掴んだ。
「通って下さる日が続いた時には、ご自分から他の妃の元へ通い下さいと、仰るのが妃の心得と言うものよ。」
「紅梅……さん……」
「私だって、3日続けて王が通って下さったら、他の妃の名前を出すわ。もちろん、黄杏さんの名前もね。」
黄杏の目に、涙が溜まりそうになっている。
紅梅の目は、勝ち誇ったかのように、強かに輝いていた。
「分かっているわよね。この宮殿では、王を独り占めできない事を。」
黄杏は紅梅の、優しさの中にある嫉妬を、見抜いていた。
王を自分に取られたと思い、奪い返そうとしているのだ。
そして、この瞬間。
紅梅も、王を慕っているのだと言う事を、改めて知る黄杏。
一人一人、妃の置かれている立場は、違うだろう。
だがここは、その一人一人違う4人の妃同士が、たった一人しかいない王の心を奪い合う、戦場なのだと黄杏は思い知らされた。
「生きてきた……意味ですか?」
「ああ。荒んだ戦いや目まぐるしい仕事の中で、どうして私は、この王家に生まれたのだろうと、自分が王である事に、嫌気がさす事もあった。」
「信志様……」
黄杏は、そっと信志の手を、握った。
「だが、今は違う。王でなければ、そなたと出会う事など、できなかった。」
優しくて甘い声が、黄杏の耳元に届く。
「だから、黄杏も。自分が自分である事を、恥じる事はない。黄杏が、あの村で育ってくれたから、そなたが妃候補ではなく、宴の準備をしていたから、こうして愛し合う事ができたんだ。」
黄杏は、信志と初めて会った、月夜の事を思い出した。
月に目を奪われ、真っ直ぐに池に落ちて行ってしまった人。
それが今の、夫になる人だったなんて。
黄杏も、巡り会えた奇跡に、感謝した。
黄杏の屋敷に戻った二人は、どちらからともなく、唇を合わせ、お互いに着ている物を、脱がしていった。
黄杏のお付きの女人は、もう隣の部屋にもいない。
無事、信志を受け入れた事が分かったのか、それとも、二人の情愛の熱さに、側にいる事ができないのか。
それほど、二人が情を交わす声は、屋敷の周りを護衛する兵士でさえ、顔を赤くするものだった。
「あぁ……そんな目で信志様に見つめられると……胸の奥が、切なくなります……」
「どうして?今の私は、そなただけの物だと、知っているはずなのに……」
信志の熱を帯びるその瞳が、黄杏の火照った体に、悦びを注ぎ込むのだ。
「……綺麗だ、黄杏。なぜこんなにも、君は私を虜にしてやまないのだ。」
「それは……想い慕う方に、強く抱かれているからでございます……」
黄杏が信志の妃になって、二日目の夜。
二人は、夫婦になった喜びに、溺れているのだった。
新しい妃を迎えると、王は三日三晩、夕食と寝屋をその妃と共にした。
それが終われば、王は正后・白蓮と夕食を摂り、寝屋は好きな場所に、決める事ができた。
だが、黄杏を妃に迎えて以来、信志は夕食後を、黄杏の屋敷で過ごしていた。
その情愛は、浅くなる事を知らず、時々湯殿で肌を合わせたり、陽が昇り朝食を終えた後も、信志は黄杏の屋敷を出ない事が多くなった。
「王。今日も、寝屋は黄杏の屋敷に、なさるのですか?」
夕食の際、白蓮が信志に聞いた。
「ああ。」
黄杏が妃になってから、1ヶ月が経とうとしていた。
「相当、お気に召されたのですね。」
信志は、ちらっと白蓮を見た。
怒っている様子もなく、沈んでいる様子でもなく、白蓮は淡々と、夕食を食べていた。
「白蓮と初めて枕を交わした時も、同じくらい屋敷に通ったではないか。」
「そう……でしたかしら。」
知らない振りをする白蓮に、自分の心を見透かされたような気がする信志。
「言いたい事は、分かっている。一人の女に溺れて、己の成すことを忘れるなと言いたいのだろう?」
「いえ、私は……」
否定しようとする白蓮を、信志はそっと止めた。
「もう少しだけ、通わせてくれ。黄杏は……初めて心を通わせた相手なのだ。」
白蓮は、息が止まった気がした。
初めて、心を通わせた相手?
幼い頃に嫁いで以来、いつ何時でも、王の心を支えようと努力してきた自分と、心を通った時はなかったのか。
白蓮は、手をぎゅっと握りしめた。
「あの者と一緒にいると、心が安らぐ。王でもなく、ただ一人の男でいられるのだ。それに……」
信志は、白蓮を白い目で見つめた。
「もう白蓮は、私を男として、受け入れてはくれないのだろう?」
「えっ?」
「私とて、ただの男だ。自分の妃なのに、男として受け入れて貰えないなんて、自分は無能なのではないかと、思い悩む事もあるのだ。」
「あ、あの……」
白蓮は、自分が年を重ね、子供を他の妃に委ねなければならないと知った時、自分の中に眠る王への情愛に、蓋を閉めたのだ。
それが反って、王を苦しめる事になるなんて。
「だが、黄杏は違う。私の心も体も、いつでも受け入れてくれる。男としての、自信をくれるのだ。」
「そこまで……黄杏を……」
白蓮は椅子の上で、崩れ落ちた。
体は他の妃に譲っても、本当に心を通わせている相手は、自分だけだと思っていたのだ。
「そなたはきっと、情愛など陳腐な物だと、馬鹿にするだろうがな。」
「そんな事は!」
だが信志は、白蓮の本当の気持ちなど、知ろうともせず、夕食の途中で立ち上がった。
「王?」
「……黄杏の元へ行く。」
そう言ったきり、白蓮の屋敷を出て行った。
「うぅっっっ……」
自分への気持ちなど、もう無くなっているのだと分かった白蓮は、机の上で泣き崩れた。
白蓮の屋敷を出た信志は、真っ直ぐ黄杏の屋敷へ、足を運んだ。
「信志様……今日も、お出でくださったんですね。」
「ああ。」
屈託のない笑顔を見せる黄杏を、女人の前だと言うのに、抱き締める信志。
「今日は、夕食を残さず食べたか?」
「はい。」
「足りない物など、なかったか?」
そんな事を聞く信志に、黄杏はクスクスと笑う。
「ん?」
「いえ。まるで父上みたいに、心配なさるのですね。」
「父上みたいに……」
信志の胸が、少しだけチクっとする。
「すみません。嫌ですよね、父と一緒にされたら。」
黄杏は、信志の腕からスルリと抜けると、お酒の用意を始めた。
この1ヶ月の間、信志がひたすら通いつめた事で、黄杏も信志の行動が、手に取るように分かるのだ。
「すっかりそなたは、私の妃だな。」
「そうですか?これでも、まだまだ知らない事ばかりです。」
「1ヶ月で全てを知られては、私の方が困る。」
そしてまた可笑しそうに笑う黄杏。
信志は一日の中で、この時間が何よりも、好きだった。
黄杏の笑顔を酒の肴にして、他愛のない話を聞き、少し酔うと、黄杏と一緒に湯殿に入り、寝る前には情を交わして、その可愛い寝息を聞きながら、眠りにつく。
信志に、今までの人生の中で、至福の時が訪れていた。
そんな事が起こっているとは、汁ほどにも分からない紅梅は、1ヶ月以上王を独り占めしている黄杏を、憎らしく思っていた。
たまたま湯殿に入っている時、王よりも先に湯殿に着いた黄杏と、鉢合わせした。
王の情愛を一身に浴びているせいか、黄杏の肌艶は、羨ましいほどによかった。
「紅梅様……」
しかも、自分の顔を見て、立ち去ろうとした黄杏。
「ご遠慮なさらずに、一緒に入りましょうよ、黄杏さん。」
親切そうに、声を掛けた。
「あの……」
「私達、同じ年でしょう。恥ずかしい事なんてないわよ。」
その言葉に、すっかり気を許した黄杏は、そっと湯船の中に入ってきた。
「奥様から聞いたわ。黄杏さん、王のお気に入りなんですってね。」
「そんな事は……」
謙遜しているが、顔は嬉しくて嬉しくて、仕方がないという表情だった。
「ちらっと見えたけれど、黄杏さんって、いい身体してるわよね。さすが、王が夢中になるのも、分かる。」
「いえいえ。紅梅さんだって、いい身体してるじゃないですか。」
照れながら答える黄杏は、紅梅の心の奥に、静かに嫉妬の炎を燃やした。
「ねえ、黄杏さん。」
「はい。」
「なぜ王は、妃が3人いるのに、また新しい妃を、迎えようと思われたのかしら。」
急に難しい質問をされて、黄杏は困る。
「……なかなか、お子様ができないからでしょうか。」
「そうね。」
紅梅は、ニヤッとして、黄杏に近づく。
「じゃあ黄杏さんは、私達にはもうお子は産めないって、思ってらっしゃる?」
「いいえ、そんな事は、思っていません!」
意地悪い質問にも、正直に答える黄杏。
分かっている。
王は、そういう可愛らしい黄杏に、心引かれたのだ。
「そう?でも黄杏さんは、そう思ってらっしゃるから、王を自分の元へ、通わせ続けているんでしょう?」
「えっ……」
湯気を境に、攻守が逆転する。
「私や青蘭さんだって、まだお子を諦めたわけじゃないのよ。奥様だって、本当はまだお子を産めるはずなのに……」
悲しげな顔をしながら、紅梅はちらっと、黄杏を見た。
作戦通り、黄杏の顔は、湯に浸かっていると言うのに、青白くなっている。
「黄杏さん。王の妃は、あなた一人ではないのよ。みんなから、お子を授かる機会を、奪ってはいけないと、私は思うの。」
「でも……王が、通って来て下さるから……」
紅梅は優しく、黄杏の腕を掴んだ。
「通って下さる日が続いた時には、ご自分から他の妃の元へ通い下さいと、仰るのが妃の心得と言うものよ。」
「紅梅……さん……」
「私だって、3日続けて王が通って下さったら、他の妃の名前を出すわ。もちろん、黄杏さんの名前もね。」
黄杏の目に、涙が溜まりそうになっている。
紅梅の目は、勝ち誇ったかのように、強かに輝いていた。
「分かっているわよね。この宮殿では、王を独り占めできない事を。」
黄杏は紅梅の、優しさの中にある嫉妬を、見抜いていた。
王を自分に取られたと思い、奪い返そうとしているのだ。
そして、この瞬間。
紅梅も、王を慕っているのだと言う事を、改めて知る黄杏。
一人一人、妃の置かれている立場は、違うだろう。
だがここは、その一人一人違う4人の妃同士が、たった一人しかいない王の心を奪い合う、戦場なのだと黄杏は思い知らされた。
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