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第3部 見捨てられた令嬢、伯爵邸で咲く
④
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朝食が終わり、私は自室に戻ったものの、ふと手持ち無沙汰な自分に気づいた。
「伯爵夫人として、私は今、何をすべきなのだろう?」
結婚式を終えたばかりで、周囲は私を労わってくれていたが、じっとしているのは性に合わなかった。
思い切って、侍女のマリーナに声をかけてみた。
「ねえ、マリーナ。伯爵夫人として、私は何をすればいいのかしら?」
するとマリーナは、いつものようにきびきびとした声で答えた。
「お世継ぎを儲けることでございます。」
あまりに即答だったため、私は思わず咳き込みそうになった。
「……それ以外には?」
「そうですね。使用人の管理などでしょうか。」
確かに、それは理解できた。
だが、グレイバーン家の使用人たちは皆優秀だ。
廊下ですれ違えば丁寧にお辞儀をし、掃除は隅々まで行き届いている。
何より、時おり厨房や中庭から聞こえる笑い声に、私は安心する。
彼女たちは、仕事を楽しんでいるのだ。
――それは、伯爵家の気風そのものなのかもしれない。
この家で、私にできることを探そう。そんな風に、自然と思えた。
「お母様は、普段は何をされているの?」
ふとした疑問から、私はマリーナに尋ねた。
すると、彼女は珍しく口ごもった。
「ああ、ええっと……」
その戸惑いに、私は眉をひそめた。
「どうしたの? もしかして……お母様、浮気でもしているのかしら?」
思わず冗談めかして言ってしまったが、マリーナの真剣な表情に冗談では済まない気配を感じた。
「い、いえっ、そんなことは! ただ……本当は伯爵夫人には言うなとおっしゃっていたのですが……」
彼女はそっと声を落としながら、打ち明けてくれた。
「お母様は、毎朝、図書室へ行かれております。そこで、グレイバーン家の仕事について、勉強をされているのです。」
「えっ……勉強?」
「はい。税の取りまとめや、街道整備の資料、交易都市の記録などを。とても熱心に……。」
私は驚いた。
あの優しく上品なお母様が、陰で家のために尽力されていたなんて。
――だからこそ、あれほど温かくて、威厳のある夫人なのだと、胸の奥がじんとした。
私は静かに図書室の扉を開けた。
お母様が中にいないことは、マリーナが事前に確認してくれている。
だが、それでも少しだけ緊張していた。
重厚な木の扉の向こうには、想像をはるかに超える数の書物が並んでいた。
「伯爵夫人として、私は今、何をすべきなのだろう?」
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するとマリーナは、いつものようにきびきびとした声で答えた。
「お世継ぎを儲けることでございます。」
あまりに即答だったため、私は思わず咳き込みそうになった。
「……それ以外には?」
「そうですね。使用人の管理などでしょうか。」
確かに、それは理解できた。
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「お母様は、普段は何をされているの?」
ふとした疑問から、私はマリーナに尋ねた。
すると、彼女は珍しく口ごもった。
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その戸惑いに、私は眉をひそめた。
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「い、いえっ、そんなことは! ただ……本当は伯爵夫人には言うなとおっしゃっていたのですが……」
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「えっ……勉強?」
「はい。税の取りまとめや、街道整備の資料、交易都市の記録などを。とても熱心に……。」
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私は静かに図書室の扉を開けた。
お母様が中にいないことは、マリーナが事前に確認してくれている。
だが、それでも少しだけ緊張していた。
重厚な木の扉の向こうには、想像をはるかに超える数の書物が並んでいた。
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