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6.財政悪化
④
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弱弱しくうなだれるクリフを前に、私はかつての優しい彼を思い出していた。
「どうしたの? 何かあったの?」
気づけば私はそっと彼に近づき、声をかけていた。
するとクリフは、迷いながらも私に手を伸ばした。
その震える指先を、私は思わず握っていた。
「私は……王妃選びを間違えたらしい。」
ぽつりとこぼれた言葉に、私は目を瞬いた。
宝石に身を包み、民の苦しみには目もくれないセシリーの姿が脳裏に浮かぶ。
「それは……贅沢思考のセシリーが嫌になったってこと?」
問いかけると、クリフはふいに私の腕を引き寄せ、胸元に顔をうずめてきた。
「それだけじゃない。セシリーは……私のことを、愛していないんだ。」
私は息を呑んだ。
あれほど愛し合っていたように見えた二人の間に、そんな溝があるなんて。
私には、思いもよらない事実だった。
「セシリーが私に想いを寄せていたかのように見せていたのは、王妃になり贅沢な暮らしをしたいが為だった。決して私を愛してなどいなかった。」
クリフの言葉には、深い痛みが滲んでいた。
私は何も言えず、ただその苦しみを受け止めた。
「一目惚れなど信じた私が馬鹿だった。立場を失ってもなお、国を守ろうとするアーリンこそ、王妃に相応しい。」
その言葉が胸の奥に届いて、じんわりと熱を帯びる。
私は王妃になりたくて国を救おうとしているのではない。
けれど、そう言われることが、こんなにも嬉しく、そして切なかった。
誰だって、一瞬で恋に落ちれば、それを“運命”だと信じたくなる。
クリフもきっと、セシリーとの出会いを、運命だと信じて疑わなかったのだろう。
だからこそ、その幻想が崩れた今、彼の心には深い虚しさだけが残っていた。
「国王。王妃に相応しいと仰っていただいて、誠に感謝しています。」
私はそっとクリフを抱きしめた。
かつて愛した人。その温もりは懐かしく、けれど今は違う意味を持っていた。
「ですが、あなたが選んだセシリーを信じて下さい。」
そう言って身を離そうとした瞬間——
「そうだ、アーリンを王妃にすればいいんだ。」
驚いて振り返ると、クリフの目はまっすぐに私だけを見つめていた。
「何を馬鹿な……国王の配偶者から王妃の立場を奪うことはできません。」
私が否定すると、クリフはふっと笑いながら言い放った。
「セシリーとは離婚する!」
その瞳には狂気にも似た執着が宿っていた。私は思わず息を呑む。
「なあ、アーリン。また私たちは愛し合おう。」
――違う。私はもう、あの頃の私じゃない。
私の心は、グレイブにある。
けれど、今のクリフはそれを理解しようとしていない。
ただ私だけを、必死に求めているのだ。
「どうしたの? 何かあったの?」
気づけば私はそっと彼に近づき、声をかけていた。
するとクリフは、迷いながらも私に手を伸ばした。
その震える指先を、私は思わず握っていた。
「私は……王妃選びを間違えたらしい。」
ぽつりとこぼれた言葉に、私は目を瞬いた。
宝石に身を包み、民の苦しみには目もくれないセシリーの姿が脳裏に浮かぶ。
「それは……贅沢思考のセシリーが嫌になったってこと?」
問いかけると、クリフはふいに私の腕を引き寄せ、胸元に顔をうずめてきた。
「それだけじゃない。セシリーは……私のことを、愛していないんだ。」
私は息を呑んだ。
あれほど愛し合っていたように見えた二人の間に、そんな溝があるなんて。
私には、思いもよらない事実だった。
「セシリーが私に想いを寄せていたかのように見せていたのは、王妃になり贅沢な暮らしをしたいが為だった。決して私を愛してなどいなかった。」
クリフの言葉には、深い痛みが滲んでいた。
私は何も言えず、ただその苦しみを受け止めた。
「一目惚れなど信じた私が馬鹿だった。立場を失ってもなお、国を守ろうとするアーリンこそ、王妃に相応しい。」
その言葉が胸の奥に届いて、じんわりと熱を帯びる。
私は王妃になりたくて国を救おうとしているのではない。
けれど、そう言われることが、こんなにも嬉しく、そして切なかった。
誰だって、一瞬で恋に落ちれば、それを“運命”だと信じたくなる。
クリフもきっと、セシリーとの出会いを、運命だと信じて疑わなかったのだろう。
だからこそ、その幻想が崩れた今、彼の心には深い虚しさだけが残っていた。
「国王。王妃に相応しいと仰っていただいて、誠に感謝しています。」
私はそっとクリフを抱きしめた。
かつて愛した人。その温もりは懐かしく、けれど今は違う意味を持っていた。
「ですが、あなたが選んだセシリーを信じて下さい。」
そう言って身を離そうとした瞬間——
「そうだ、アーリンを王妃にすればいいんだ。」
驚いて振り返ると、クリフの目はまっすぐに私だけを見つめていた。
「何を馬鹿な……国王の配偶者から王妃の立場を奪うことはできません。」
私が否定すると、クリフはふっと笑いながら言い放った。
「セシリーとは離婚する!」
その瞳には狂気にも似た執着が宿っていた。私は思わず息を呑む。
「なあ、アーリン。また私たちは愛し合おう。」
――違う。私はもう、あの頃の私じゃない。
私の心は、グレイブにある。
けれど、今のクリフはそれを理解しようとしていない。
ただ私だけを、必死に求めているのだ。
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