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騎士学校編
第38話 運命
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「代表戦、開始!」
エリアスが先に動き、ダリオンに迫った。彼のスピードと攻撃力は圧倒的で、ダリオンは必死に防御しつつ反撃の機会を窺う。
一瞬の隙をつきダリオンが全力が反撃に転じるも、エリアスはそれを予期していたかのようにすぐに防御し、逆に攻撃を仕掛けてきた。
その瞬間、ダリオンが動いた。彼のスキル【時間操作】が発動し、2秒間だけ時間が停止した。もちろん、それは見ていた僕には感じられない事だが、エリアスが不意打ちを受けたかのように倒れたことで何となく察せた。
エリアスは膝をつき、敗北を認めるかのように剣を地面に突き刺すと、観客席からは歓声が上がり、僕たちの勝利を祝福する声が響き渡った。
「代表戦、インヒター王国騎士学校の勝利!」
僕たちは歓声に包まれながら、勝利の喜びを分かち合った。エリシアの予言と、チーム全員の努力が実を結んだ瞬間だった。
「やったね、エリシア。君の予言のおかげだ」
「もっと褒めてくれても良いですのよ?」
勝利の余韻に浸っていると、シャイン大帝国海軍操練所の補欠枠にいた選手が近づいてきた。
「兄さ――あっ」
「やぁ」
顔は整っているが、これでもかと曲がった背骨が弱々しさを醸し出している青年。
「初めまして。私はリューク・ウィンドスピア」
ウィンドスピア……ってことは。
「えっと、私の実の兄ですわ」
「「「エリシアのお兄さん!?!」」」
聞けばウィンドスピア家は元々、シャイン大帝国の騎士として名を馳せた御家柄なのだそう。それから何世代かした後、ちょうど2人の曾祖父の時代にインヒター王国へと移り、貴族としての地位を得た――ということらしい。
かなり珍しい話だし、興味深々に聞いていたのだが、彼らはそこまで話したくは無いようで。
「それにしても見事な戦いだった、バルトくん。ダリオンくんも素晴らしい使い手だな」
「ありがとうございます、リュークさん。貴方のチームも強かったです」
リュークは穏やかに微笑んで頷いた。
「エリシアの予言はあれど、戦い抜いた君たちの姿勢に敬意を表する。次は実戦で、戦友として戦えるのを楽しみにしているよ」
リュークと固く握手を交わし、別れた。
少し悲しそうな表情を浮かべるエリシア。その時の僕はまだ、この兄妹の大きな謎とそこに隠れた陰謀に気づくわけもなかった。
「今日《こんにち》、この良き日に皆様に見届けられ、ひと回り成長した我々は騎士として――(中略)」
「「「カンパーイ!!」」」
長かった騎士学校での生活が終わりを迎えようとしていることに、僕たちはどこか寂しさを感じていた。厳しい規則と辛い訓練ばかりの毎日だったが、その毎日は充実感があり、まるで自分の存在がこの世界、この場所に明確に存在していることを再度感じさせてくれるほどに。
これから僕たちは卒業後の進路を言い渡される。読み上げるのは騎士学校理事のシュリア・リッチ・インヒター第一王女だ。
「親愛なる卒業生の皆さん、
本日はこの素晴らしい日を迎え、皆さんの努力と成果を祝うことができ、大変光栄に思います。皆さんは厳しい訓練と学びを経て、今日ここに立っています。その成長と決意に、私は心から敬意を表します。
しかし、忘れてはならないのは、我々が守るべきものはただの名誉や栄光ではないということです。人々の平和と安全、そして信頼を守るために存在しているのです。皆さんがこれから直面する困難や試練にも屈せず、真の騎士としての道を歩むことを期待しています」
魔導放送で流れた彼女の声は、一つ一つが重く、それでいて爽やかで清々しい演説だった。
決意を新たにしたところで、名前と所属が読み上げられる。
「Aクラス……主席、アレクシオス・ヴァルキリオンは王国聖騎士団へ」
まずはAクラスから。
主席のアレクは最年少での聖騎士団入団となるらしい。
あらかじめの事前調査では「どこでもいい」と書いてしまった僕だが、ここにきて「安全で平和な所」と書くべきだったと後悔している。
「続いてBクラス……」
ついにきた、僕たちの番だ。
「主席、イシュクルテ・ヴューズベルトは王国近衛騎士団へ」
流石はイシュクルテだ。親父のコネとは言わせないほどの実力で近衛騎士団への入団を決めた。
「次席、フィンリス・サルヴェールは銀の騎士団へ」
【銀の騎士団】とは王国の象徴としての戦う精鋭部隊であり、王族や貴族の式典の警備の他、国家間の戦争の際は一番槍を任せられる。誇り高く忠誠心が高くなければやっていけないだろう。
「続いて―― ダリオン・エルドリスは王国憲兵団へ」
憲兵団はその名の通り、軍内部の規律を維持し、犯罪や汚職を取り締まる専門組織だ。軍の嫌われ者と言って過言ではない。
そうして、クラスの半数が呼ばれ、やっと僕の番が来た。しかし、入学試験次席がここまで落ちるとは。
「バルト・クラストは海洋騎士団へ」
あらあら、まさか配属が地元とはね。
エリアスが先に動き、ダリオンに迫った。彼のスピードと攻撃力は圧倒的で、ダリオンは必死に防御しつつ反撃の機会を窺う。
一瞬の隙をつきダリオンが全力が反撃に転じるも、エリアスはそれを予期していたかのようにすぐに防御し、逆に攻撃を仕掛けてきた。
その瞬間、ダリオンが動いた。彼のスキル【時間操作】が発動し、2秒間だけ時間が停止した。もちろん、それは見ていた僕には感じられない事だが、エリアスが不意打ちを受けたかのように倒れたことで何となく察せた。
エリアスは膝をつき、敗北を認めるかのように剣を地面に突き刺すと、観客席からは歓声が上がり、僕たちの勝利を祝福する声が響き渡った。
「代表戦、インヒター王国騎士学校の勝利!」
僕たちは歓声に包まれながら、勝利の喜びを分かち合った。エリシアの予言と、チーム全員の努力が実を結んだ瞬間だった。
「やったね、エリシア。君の予言のおかげだ」
「もっと褒めてくれても良いですのよ?」
勝利の余韻に浸っていると、シャイン大帝国海軍操練所の補欠枠にいた選手が近づいてきた。
「兄さ――あっ」
「やぁ」
顔は整っているが、これでもかと曲がった背骨が弱々しさを醸し出している青年。
「初めまして。私はリューク・ウィンドスピア」
ウィンドスピア……ってことは。
「えっと、私の実の兄ですわ」
「「「エリシアのお兄さん!?!」」」
聞けばウィンドスピア家は元々、シャイン大帝国の騎士として名を馳せた御家柄なのだそう。それから何世代かした後、ちょうど2人の曾祖父の時代にインヒター王国へと移り、貴族としての地位を得た――ということらしい。
かなり珍しい話だし、興味深々に聞いていたのだが、彼らはそこまで話したくは無いようで。
「それにしても見事な戦いだった、バルトくん。ダリオンくんも素晴らしい使い手だな」
「ありがとうございます、リュークさん。貴方のチームも強かったです」
リュークは穏やかに微笑んで頷いた。
「エリシアの予言はあれど、戦い抜いた君たちの姿勢に敬意を表する。次は実戦で、戦友として戦えるのを楽しみにしているよ」
リュークと固く握手を交わし、別れた。
少し悲しそうな表情を浮かべるエリシア。その時の僕はまだ、この兄妹の大きな謎とそこに隠れた陰謀に気づくわけもなかった。
「今日《こんにち》、この良き日に皆様に見届けられ、ひと回り成長した我々は騎士として――(中略)」
「「「カンパーイ!!」」」
長かった騎士学校での生活が終わりを迎えようとしていることに、僕たちはどこか寂しさを感じていた。厳しい規則と辛い訓練ばかりの毎日だったが、その毎日は充実感があり、まるで自分の存在がこの世界、この場所に明確に存在していることを再度感じさせてくれるほどに。
これから僕たちは卒業後の進路を言い渡される。読み上げるのは騎士学校理事のシュリア・リッチ・インヒター第一王女だ。
「親愛なる卒業生の皆さん、
本日はこの素晴らしい日を迎え、皆さんの努力と成果を祝うことができ、大変光栄に思います。皆さんは厳しい訓練と学びを経て、今日ここに立っています。その成長と決意に、私は心から敬意を表します。
しかし、忘れてはならないのは、我々が守るべきものはただの名誉や栄光ではないということです。人々の平和と安全、そして信頼を守るために存在しているのです。皆さんがこれから直面する困難や試練にも屈せず、真の騎士としての道を歩むことを期待しています」
魔導放送で流れた彼女の声は、一つ一つが重く、それでいて爽やかで清々しい演説だった。
決意を新たにしたところで、名前と所属が読み上げられる。
「Aクラス……主席、アレクシオス・ヴァルキリオンは王国聖騎士団へ」
まずはAクラスから。
主席のアレクは最年少での聖騎士団入団となるらしい。
あらかじめの事前調査では「どこでもいい」と書いてしまった僕だが、ここにきて「安全で平和な所」と書くべきだったと後悔している。
「続いてBクラス……」
ついにきた、僕たちの番だ。
「主席、イシュクルテ・ヴューズベルトは王国近衛騎士団へ」
流石はイシュクルテだ。親父のコネとは言わせないほどの実力で近衛騎士団への入団を決めた。
「次席、フィンリス・サルヴェールは銀の騎士団へ」
【銀の騎士団】とは王国の象徴としての戦う精鋭部隊であり、王族や貴族の式典の警備の他、国家間の戦争の際は一番槍を任せられる。誇り高く忠誠心が高くなければやっていけないだろう。
「続いて―― ダリオン・エルドリスは王国憲兵団へ」
憲兵団はその名の通り、軍内部の規律を維持し、犯罪や汚職を取り締まる専門組織だ。軍の嫌われ者と言って過言ではない。
そうして、クラスの半数が呼ばれ、やっと僕の番が来た。しかし、入学試験次席がここまで落ちるとは。
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あらあら、まさか配属が地元とはね。
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