俺の武術は異世界でも最強だと証明してやる!

ぽりまー

文字の大きさ
57 / 58
6章ーMr.Freedom

57話

しおりを挟む
 詩音は腰を低く落とし、腕を脱力させてフラフラと揺らす。

 そして詩音は不規則な足捌きでバルクに近づいていく。

「馬鹿な真似を。……その気持ち悪い動きを止めろぉ!」

 痺れを切らしたバルクは詩音にパンチを繰り出す。

「島原流、猿象形」

 パンチの下に潜り込んだ。そして左足をバルクの腕に引っ掛けて回り、腕の上に乗る。

「なっ……貴様ァ馬鹿にしてるのか!!」
「これも技だぜ」

 バルクは腕の上の詩音をはたき落とそうとする。だが詩音は、左足を解き、向かってくる腕を避けながら腕を掛ける。そして腕を軸に再度回りながら浴びせ蹴りした。

 あびせ蹴りした足は頭部を蹴ったが、振り抜く事はなくそのまま絡ませまた回る。そして今度はバルクの肩の上に腰掛けた。

「どうする? この状況、1発アンタ終わりだぜ。降参してくれても良いんだぞ」
「ふざけたことを……何でもないわこんなもの!」

 バルクは両腕で挟むように思い切り詩音を叩こうとする。だが詩音はバルクの耳を叩き、鼓膜を破り、バルクは痛みで怯み、その隙に詩音は離脱した。

 ここで、島原流、猿象形とは幕末以降の欧米やヨーロッパ諸国と多く関わるようになった時代に編み出された自分よりも大きくパワーのある相手専用の技である。高い木を手足、尻尾を使って縦横無尽に駆ける姿をヒントに作られた。手足を相手の腕や蹴り足に巻き付け、相手の周りを三次元的に動き回り撹乱する。本来はそこから寝技や頭部への打撃につなげていく。そして相手のうでだけではなく、周りの建造物にも応用が効き、これらも駆使して翻弄する。当時は大いに活躍した本技だが、現在は日本人も高身長化しており、この技が活躍する機会が少なくなってしまい、マイナーな技になってしまった。

「左耳が聞こえないな。鼓膜をやられたか。だがこれで私が不覚をとる事はない!」

 バルクはモストマスキュラーポーズを取る。全身に力が入り筋肉が硬直する。

「私のマスキュラーポーズによって固められた筋肉は誰にも破られない。さあ、君はその最強の技とやらでどう破って見せてくれるのかな?」
「そのポーズのままなんだろ? だったらどうするも何も」

 詩音は構えるのを辞め、普段のように立った。

「攻撃する気が無いならこっちも何もする必要が無いだろ」

 バルクはポーズを保ったまま言った。

「なるほど、確かにな。だがそれは弱者の護身である武の落とし穴だ。賊が襲ってきた時や、喧嘩に巻き込まれたとき、そう言う時に使われるもので相手に戦意が無ければ自分も拳を握る必要が無い。だが戦場いくさばでは通用しない考え、そして今この状況においても全く通用しない甘い考えだ! 何もしないままではこの戦いは終わらない。何も変わらないのだ!!!」
「その通りだ。だからちゃんと攻撃するよ。それに、今まで出してきたのは戦場で使われてきたものではあるが確かに護身に過ぎないものばかりだった。まあ、今までの技も十分殺傷力があるんだけどね」

 詩音は再度構え直す。今度は軽く膝を曲げて、全身脱力し小さく左右に揺れている。

「けどこれからやるのは島原流でも裏の技、護身とかじゃなく本気で人ぶっ殺す事のみ考えて作られた殺人術を見せてやる」

 島原流の裏。剣術の裏の型は跡継ぎ選別においてクレアが披露していたが、本来徒手の武術である島原流は徒手が一番技の種類が多く、その分殺傷能力の高い技や惨い技も多いとされる。古来、島原流はそこまで広く伝えられた技では無かったが、更にその裏は限られた人間しか会得していなかったという。そして裏を会得した者は戦や忍の界隈において誰も敵わなかったという逸話がある。

 現代においては、マイナーかつ会得できる者が限られている為、島原流の継ぎ手が居なかった。また詩音の性格を鑑みて大丈夫だと判断されたため、詩音に裏の習得が許された。だがいわゆる表の島原流ですら会得が難しいが、裏となれば免許皆伝まで上り詰めることは困難を極める。詩音は持っていた才能もあるが日々の死んだ方が楽だと思えるような修行を重ね、会得することができたのだ。

「行くぜ。島原流、蛇長鞭」

 ふらふらと体を揺らしながら近づいていく。バルクまで3歩まで来た瞬間、左足を大きく前に出し地面を滑る。観客からはまるでいきなり詩音が伸びたように見えたという。

 上半身をねじり、滑りながら回転していく。この際前身は脱力したまま。そして手をしならせ、回転を利用して更に手の末端の速度を加速させていく。

 この速さをそのまま、まるで鞭のように平手でバルクの太腿を打った。

 平手は皮膚をえぐり、鞭に打たれたような跡がバルクの肌に残る。

 尚も詩音は体のくねりを止めず、更に打ち込む。次にバルクの足に自分の足を絡ませ、素早く回転し、バルクの足をポールダンスの様に巻き付きながら登っていく。そして大きな背中に平手打ち。

 それからも、バルクから離れ、巻き付くことを繰り返しながら平手の鞭を打ち続ける。
 
 島原流、蛇長鞭。裏に数えられる技であり、全身を脱力させ、鞭のようにしならせて敵の皮膚を打つ。そして極限まで柔軟性を高めた体を駆使して、敵に巻き付きゼロ距離で鞭を放つ。名前は漢字の通り攻撃が鞭に見えること、また身のこなしや敵に巻き付き距離をゼロにする戦い方が蛇に見えたため蛇長鞭と名付けられた。

 もともと力のない者が強者と対峙した際の護身術として編み出された。どんなに力の強い大男でも、皮膚を打たれるという攻撃は激痛で等しく弱点となりえたからだ。それを殺人術へ昇華させたのが本技。相手に絡みつき何度も何度も打つことで、纏わりつかれるストレスと痛みのショックで死に至らしめる。裏の中では殺傷力の低い技だが、敵が硬い場合、防具を着用している場合、そして死ぬ手前で加減して生け捕りにする際などに非常に効果的だった。

 バルクも例外ではなく、尋常でない痛みが連続で襲いかかり、纏わりついてくることからのストレスがかかる。バルクがマスキュラーポーズの壁を崩してしまうのにそれほど時間がかからなかった。

 バルクは耐えきれなくなり、ポーズを解いて絡んでいる詩音を振り払おうとする。

 だが詩音はバルクの筋肉の硬直が緩んだ隙を見逃さなかった。すぐさまバルクに絡んでいるのを解き、正面に着地する。そして左拳に力を込める。

「島原流、撞木」

 詩音はバルクの脱力した腹筋めがけて渾身の突きを放った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...