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5章 ドラマ撮影開始まで
『鷲尾の家族に乾杯』の放送 6
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画面内の俺が翔太の家である着付け屋に到着する。
『お姉ちゃん!凛さんが着物着たいんだって!』
『凛さん?凛さんって誰……ってええっ!リン様っ!』
『お、お邪魔します……』
俺の姿を見て、ピンク色の着物を着た高校生くらいの女の子が驚きの声を上げる。
「おぉ!めっちゃ可愛い子が出てきた!」
「氷鶴さんって言うんだ。俺たちに丁寧な対応をしてくれて、とても良い子だったぞ」
画面内に現れた翔太の姉である氷鶴さんのことを簡単に紹介する。
『な、なんでリン様がいるのよ!?』
『下校途中に出会ったんだ!そしたら着付けがしたいってことになったから連れてきた!』
『リ、リン様を連れてくるなら一言言いなさいよ!変な格好をしてるかもしれないじゃない!』
『えぇー、そんなことで連絡しなくてもいいじゃん』
『良くないっ!』
「いきなり姉弟喧嘩が始まったね」
「目の前で繰り広げられたから滅茶苦茶焦ったぞ。しかも喧嘩の原因は俺だったし」
当時の心境を振り返りつつ寧々の言葉に返答する。
そのタイミングで俺が氷鶴さんの前に立ち、口を開く。
『だ、大丈夫ですよ。変なところなんてありませんから。とても似合ってて可愛いですよ』
『かっ、可愛い……』
すると、先ほどまで怒っていた氷鶴さんが“ボッ”と顔を一瞬で赤くする。
『リ、リン様がアタシのことを可愛いって……うぅ~』
そして悶え始める。
その姿はキリッとした氷鶴さんからは想像もつかない姿をしており、とても可愛いらしい。
『おぉ、さすが凛さん。学校で『難攻不落の氷姫』と呼ばれてるお姉ちゃんをデレデレにするなんて』
『カッコいい異名が付いてるなぁ』
そんな氷鶴さんの側で、俺と翔太の会話が聞こえてきた。
すると隣の寧々がジトーっとした目で口を開く。
「ねぇお兄ちゃん。可愛い女の子を見てストレートに口説き堕とすのは辞めた方がいいよ?」
「だ、だから口説いたわけじゃないんだって!」
俺は声をあげて反論する。
確かに氷鶴さんは芸能界で活躍できるほど可愛い女の子だが、口説き堕とすために「可愛い」と言ったわけではない。
ケンカを鎮めるため、氷鶴さんへ「可愛い」と言っただけだ。
しかし寧々からのジト目は収まらない。
「ふーん。まぁ、お兄ちゃんは無自覚女たらしだからね。仕方ないか」
そう言って俺から視線を外してテレビの方を向く。
「いや、それで納得されても困るんだが……」
無自覚女たらしではないため、その理由で納得されることに異論を唱えたいが、聞く耳を持ってくれない寧々。
そのタイミングで画面が切り替わり、復活した氷鶴さんが画面に映る。
『で、ではさっそく着付けをしたいと思います』
『よろしくお願いします、氷鶴さん』
俺が氷鶴さんに頭を下げてお願いする。
『お姉ちゃん、肌着や足袋を持ってきたよ!』
『ありがとう。じゃあリン様に着替えの手順を教えて』
『分かったー!』
俺の言葉が良かったのか、氷鶴さんと翔太は喧嘩することなくやり取りをしている。
『――って感じで着替えるんだよ!』
『なるほど。じゃあ、着替えるか』
翔太から説明を受けた俺はカメラマンたちに着替え部屋から出るようお願いをする。
俺が着替えている間は氷鶴さんが場を繋いでくれたようで、氷鶴さんが丁寧に自分の店のことを紹介している。
そして、店の紹介が終わったタイミングで着物に着替えた俺が画面に現れる。
「おぉーっ!お兄ちゃん、カッコいいよ!」
「そ、そうか?」
「うん!絶対、この番組を視聴してる全ての女性がお兄ちゃんの姿に釘付けだよ!」
「そ、それは言い過ぎだと思うが……ありがとう。翔太が俺に似合う着物を選んでくれたおかげだな」
寧々から大絶賛された俺は頬をかきながら言う。
今の俺は紺色の着物に白色の帯を巻き、紺色の羽織をまとっており、自分で言うのもなんだが似合っていると思う。
『ど、どうかな?似合ってるといいんだけど……』
そんなやり取りをしている間に画面内の俺が氷鶴さんへ質問していた。
『………』
しかし、氷鶴さんは顔を赤くして俺のことを見つめるだけで、一向に返答をしない。
『氷鶴さん?』
『ふぁいっ!』
“ビクッ”となりながら変な声を上げる氷鶴さん。
『どうかな?初めて着たから似合ってるといいんだけど……』
不安そうな顔で俺が氷鶴さんへ問いかける。
『………です』
『ん?』
『とてもカッコイイです!』
そう言って氷鶴さんが走り去る。
「見た!?氷鶴さんが走り去る時の顔!全国放送しちゃダメなくらい乙女の顔だったよ!」
「乙女の顔なのかは知らないが、すごく緩んだ表情で走り去って行ったな」
俺のもとから立ち去る時の氷鶴さんは、顔を赤くして緩み切った表情をしていた。
その姿はとても可愛かったため、きっと今回の放送で氷鶴さんの名前は全国に広まっただろう。
「ホント、お兄ちゃんは罪な男だね~」
「肘で脇腹をつつくな」
隣でニヤニヤしながら俺の脇腹をつついてくる寧々に一言ツッコミを入れて、俺はテレビへと視線を戻す。
そのタイミングで画面が切り替わり、氷鶴さんたちの着付け屋が画面に映し出される。
――夏目さんが氷鶴さんと翔太くんの実家である着付け屋を訪れてから数日後、スタッフが再訪問してみました。
そして、俺が訪れた数日後の氷鶴さんたちが放送された。
『お姉ちゃん!凛さんが着物着たいんだって!』
『凛さん?凛さんって誰……ってええっ!リン様っ!』
『お、お邪魔します……』
俺の姿を見て、ピンク色の着物を着た高校生くらいの女の子が驚きの声を上げる。
「おぉ!めっちゃ可愛い子が出てきた!」
「氷鶴さんって言うんだ。俺たちに丁寧な対応をしてくれて、とても良い子だったぞ」
画面内に現れた翔太の姉である氷鶴さんのことを簡単に紹介する。
『な、なんでリン様がいるのよ!?』
『下校途中に出会ったんだ!そしたら着付けがしたいってことになったから連れてきた!』
『リ、リン様を連れてくるなら一言言いなさいよ!変な格好をしてるかもしれないじゃない!』
『えぇー、そんなことで連絡しなくてもいいじゃん』
『良くないっ!』
「いきなり姉弟喧嘩が始まったね」
「目の前で繰り広げられたから滅茶苦茶焦ったぞ。しかも喧嘩の原因は俺だったし」
当時の心境を振り返りつつ寧々の言葉に返答する。
そのタイミングで俺が氷鶴さんの前に立ち、口を開く。
『だ、大丈夫ですよ。変なところなんてありませんから。とても似合ってて可愛いですよ』
『かっ、可愛い……』
すると、先ほどまで怒っていた氷鶴さんが“ボッ”と顔を一瞬で赤くする。
『リ、リン様がアタシのことを可愛いって……うぅ~』
そして悶え始める。
その姿はキリッとした氷鶴さんからは想像もつかない姿をしており、とても可愛いらしい。
『おぉ、さすが凛さん。学校で『難攻不落の氷姫』と呼ばれてるお姉ちゃんをデレデレにするなんて』
『カッコいい異名が付いてるなぁ』
そんな氷鶴さんの側で、俺と翔太の会話が聞こえてきた。
すると隣の寧々がジトーっとした目で口を開く。
「ねぇお兄ちゃん。可愛い女の子を見てストレートに口説き堕とすのは辞めた方がいいよ?」
「だ、だから口説いたわけじゃないんだって!」
俺は声をあげて反論する。
確かに氷鶴さんは芸能界で活躍できるほど可愛い女の子だが、口説き堕とすために「可愛い」と言ったわけではない。
ケンカを鎮めるため、氷鶴さんへ「可愛い」と言っただけだ。
しかし寧々からのジト目は収まらない。
「ふーん。まぁ、お兄ちゃんは無自覚女たらしだからね。仕方ないか」
そう言って俺から視線を外してテレビの方を向く。
「いや、それで納得されても困るんだが……」
無自覚女たらしではないため、その理由で納得されることに異論を唱えたいが、聞く耳を持ってくれない寧々。
そのタイミングで画面が切り替わり、復活した氷鶴さんが画面に映る。
『で、ではさっそく着付けをしたいと思います』
『よろしくお願いします、氷鶴さん』
俺が氷鶴さんに頭を下げてお願いする。
『お姉ちゃん、肌着や足袋を持ってきたよ!』
『ありがとう。じゃあリン様に着替えの手順を教えて』
『分かったー!』
俺の言葉が良かったのか、氷鶴さんと翔太は喧嘩することなくやり取りをしている。
『――って感じで着替えるんだよ!』
『なるほど。じゃあ、着替えるか』
翔太から説明を受けた俺はカメラマンたちに着替え部屋から出るようお願いをする。
俺が着替えている間は氷鶴さんが場を繋いでくれたようで、氷鶴さんが丁寧に自分の店のことを紹介している。
そして、店の紹介が終わったタイミングで着物に着替えた俺が画面に現れる。
「おぉーっ!お兄ちゃん、カッコいいよ!」
「そ、そうか?」
「うん!絶対、この番組を視聴してる全ての女性がお兄ちゃんの姿に釘付けだよ!」
「そ、それは言い過ぎだと思うが……ありがとう。翔太が俺に似合う着物を選んでくれたおかげだな」
寧々から大絶賛された俺は頬をかきながら言う。
今の俺は紺色の着物に白色の帯を巻き、紺色の羽織をまとっており、自分で言うのもなんだが似合っていると思う。
『ど、どうかな?似合ってるといいんだけど……』
そんなやり取りをしている間に画面内の俺が氷鶴さんへ質問していた。
『………』
しかし、氷鶴さんは顔を赤くして俺のことを見つめるだけで、一向に返答をしない。
『氷鶴さん?』
『ふぁいっ!』
“ビクッ”となりながら変な声を上げる氷鶴さん。
『どうかな?初めて着たから似合ってるといいんだけど……』
不安そうな顔で俺が氷鶴さんへ問いかける。
『………です』
『ん?』
『とてもカッコイイです!』
そう言って氷鶴さんが走り去る。
「見た!?氷鶴さんが走り去る時の顔!全国放送しちゃダメなくらい乙女の顔だったよ!」
「乙女の顔なのかは知らないが、すごく緩んだ表情で走り去って行ったな」
俺のもとから立ち去る時の氷鶴さんは、顔を赤くして緩み切った表情をしていた。
その姿はとても可愛かったため、きっと今回の放送で氷鶴さんの名前は全国に広まっただろう。
「ホント、お兄ちゃんは罪な男だね~」
「肘で脇腹をつつくな」
隣でニヤニヤしながら俺の脇腹をつついてくる寧々に一言ツッコミを入れて、俺はテレビへと視線を戻す。
そのタイミングで画面が切り替わり、氷鶴さんたちの着付け屋が画面に映し出される。
――夏目さんが氷鶴さんと翔太くんの実家である着付け屋を訪れてから数日後、スタッフが再訪問してみました。
そして、俺が訪れた数日後の氷鶴さんたちが放送された。
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