髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部

文字の大きさ
78 / 169
5章 ドラマ撮影開始まで

『鷲尾の家族に乾杯』の放送 5

しおりを挟む
 寧々の頭を少し撫でた俺はテレビに視線を戻すと、俺が200人くらいの女性陣を引き連れて『恋占いの石』に到着していた。

『ん?何をやってるんだ?』

 2つの石の間を目をつぶって歩く、20代くらいの女性を発見して首を傾げる。
 そして石の後ろに移動して側に置かれている看板を読み、『恋占いの石』についての説明文を復唱する。

『へー、一方の石からもう一方の石へ目を閉じたまま辿り着けば恋が叶うのか』

 そう呟いた時、目を閉じて歩いている女性が俺の目の前にある石に辿り着く。

『やったっ!無事辿り着けた!』
『おめでとうございます』
『ありがとうございます……ってリン様ぁぁっ!』

 無事辿り着けた女性が盛大に驚く。

『無事、迷わず辿り着けましたね』
『は、はい……』

 俺がそう言うと、女性が頬を染めて頷く。

『貴女の恋が叶うことを願ってますよ』

 そう言って女性に笑顔を向ける。

『はぅぅ~。リン様の顔が目の前に……』
『ちょっ!』

 またしても倒れそうになった女性を慌てて支える。

「息をするように女の子を気絶させるね。もはやお兄ちゃんの笑顔は殺人兵器だよ」
「俺は誰も殺してねぇよ」

 隣で訳の分からないことを言っている寧々にボソッとツッコむ。
 その後、倒れた女性の介抱をスタッフにお願いする俺が映った後、1人の女性が画面に映る。

『あ、あのぉ……リン様?』
『どうしましたか?』
『そ、その……もしよろしければ恋占いに挑戦する私の手助けをしてほしいのですが……』
『いいですよ。俺でよければ手伝わせてください』
『わーっ!ありがとうございます!』

 とのことで、お願いしてきた女性の手助けを行う。

『そう!そのままです!あっ、ちょっと左に逸れました!』

 等々、声を出して誘導を始める。

『あと3歩!……はいっ!おめでとうございます!』

 俺は無事に辿り着くことができた女性へ労いの言葉をかける。

『あ、ありがとうございます……』
『いえいえ!アナタの恋が無事叶う事を願ってますよ!』

 そして満面の笑みで伝える。

『は、はいっ!ありがとうございました!』

 そう言って頭を下げた女性が立ち去る。

『ど、どうだった!リン様は!?』
『超イケメン!間近でリン様の笑顔を見れるだけで幸せになれるよ!叶えたい恋がどーでも良くなるほどにっ!』
『羨ましいっ!私もリン様にお願いしよっ!』

 そんな会話が聞こえた後、たくさんの女性たちが俺のもとに集まる。

『リン様っ!私にも手助けをお願いします!』
『あっ、ズルいっ!私が先にお願いしようと思ったのに!』
『私もリン様からの手助けが欲しいです!』

 そしてみんなから、先ほどの女性にしたことを求められる。

『わ、分かりました……』

 俺は周囲にいる女性たちの迫力に負けて引き受ける。
 その後、数人の女性にアドバイスを行う様子が放送され、その度に女性陣から黄色い声をもらう。
 その映像を見た寧々がジト目で俺のことを見る。

「お兄ちゃん。清水寺って女の子たちをはべらかせてイチャイチャする場所じゃないからね?」
「……返す言葉もありません」

 女性たちに囲まれてウハウハしているわけではないが、そのように見えるため返す言葉がない。
 その後は、隣に座る寧々からのジト目に耐えながら視聴を続けた。



 『恋占いの石』を後にした俺が清水寺の本堂へ向かい、清水寺の観光を終える。

『さて、どこに行こうか……』

 そんなことを呟きながら、画面内の俺が周辺の街をぶらぶら歩く。

 すると…

『あー!夏目凛だー!』

 ランドセルを背負った男の子と出会う。

『お、もう学校は終わったのか?』
『うん!それより、凛さんはこんなところで何してるのー?』
『俺は今、『鷲尾の家族に乾杯』って番組の撮影中なんだ』
『おー!その番組なら婆ちゃんがいつも見てるぞ!』
『ははっ、ありがとう』

 そんな何気ない会話を小学生と行う。

『あ、そうだ。俺、京都を観光するのが初めてで行き先に悩んでるんだ。何かオススメの場所はあるかな?』
『んー、あっ!なら、着物の着付け体験はどうかな!?』
『着物か。そういえば着たことないな』
『ウチの家が着物の着付け屋さんをしてるんだ!せっかく京都に来たんだったら着物は着た方がいいと思うよ!』
『そうだな……よし、着てみるか!』
『うん!あ、僕のことは翔太って呼んで!』
『あぁ。よろしくな、翔太』

 そんな会話をした後、画面内の俺が翔太と一緒に歩き出す。

「えっ!お兄ちゃん、着物を着たの!?」
「あぁ。着たことなかったからな。いい機会だし着てみたんだ」
「おぉー!お兄ちゃんの着物姿、楽しみだよ!」

 俺の着物姿を見るのが楽しみなのか、顔が生き生きとしている。

「ははっ。期待していいと思うぞ。翔太の姉である氷鶴ひづるさんからカッコいいって褒められたからな」

 そんな会話をしながら、俺たちはテレビを視聴した。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

髪を切った俺が芸能界デビューした結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 妹の策略で『読者モデル』の表紙を飾った主人公が、昔諦めた夢を叶えるため、髪を切って芸能界で頑張るお話。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...