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旅の終わり
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「由比さんには本当に、感謝しかありません。ありがとうとお伝えください」
「は、はい。必ず、お伝えいたします」
関根さんは、まだ何か言いたげな様子。でも、心配しないでほしい。私は後悔などしていないし、思い残すこともない。あの時、死んでもいいとすら思ったのだから。
それに、彼と私はこれきりのご縁だし、無問題である。
(これっきりのご縁、か……)
それでも、一つだけ確かめておきたかった。今となっては、どうでもいいことだけど。
「あの、関根さん。最後に教えてください。もし、差し支えなければ」
「な、なんでしょう」
「由比さんは、独身ですか?」
「……」
我ながら、間の抜けた質問だと思う。
でも、関根さんは答えてくれた。戸惑いながらも、まっすぐ真面目に。
「はい。CEOは独身です。婚約の話等も、聞いておりません」
「そう、ですか」
バカみたいだけど、ホッとした。彼が独身だろうと、私には関係ないのに。でも、やっぱりホッとしてしまった。
「引き留めてしまって、すみません。関根さんには、いろいろとお世話になりました」
「いえ、そんな。大月様にはご迷惑をおかけしてばかりで、申しわけなく思っております。総支配人からも、後ほどご挨拶をさせていただきますので……」
「あ、あの、それはもう、本当に結構ですので」
もしかしたら、総支配人は由比さんのお目付役とか、そういった立場なのかもしれない。そういえば昨夜、彼のことを「おぼっちゃま」と呼んでいた。きっと、由比家と縁故があり、彼が子どものころから、よく知っているのだろう。
「チェックアウトは11時でございます。それまで、どうぞごゆるりと、お過ごしくださいませ」
「はい、ありがとうございます」
関根さんがいなくなると、静けさが際立った。でも、これでいい。
私はもともと、一人きりなのだから。
「チェックアウトまで、館内で過ごそうかな。もう一度温泉に入って、湖を見ながらお茶して、憧れのホテルを満喫しよう」
王子様との恋は、一生の思い出。
『まゆき』に来て、本当に良かった。由比さんと出会えて良かった。
本当に……
こうして、独身最後の旅が終わった。
「は、はい。必ず、お伝えいたします」
関根さんは、まだ何か言いたげな様子。でも、心配しないでほしい。私は後悔などしていないし、思い残すこともない。あの時、死んでもいいとすら思ったのだから。
それに、彼と私はこれきりのご縁だし、無問題である。
(これっきりのご縁、か……)
それでも、一つだけ確かめておきたかった。今となっては、どうでもいいことだけど。
「あの、関根さん。最後に教えてください。もし、差し支えなければ」
「な、なんでしょう」
「由比さんは、独身ですか?」
「……」
我ながら、間の抜けた質問だと思う。
でも、関根さんは答えてくれた。戸惑いながらも、まっすぐ真面目に。
「はい。CEOは独身です。婚約の話等も、聞いておりません」
「そう、ですか」
バカみたいだけど、ホッとした。彼が独身だろうと、私には関係ないのに。でも、やっぱりホッとしてしまった。
「引き留めてしまって、すみません。関根さんには、いろいろとお世話になりました」
「いえ、そんな。大月様にはご迷惑をおかけしてばかりで、申しわけなく思っております。総支配人からも、後ほどご挨拶をさせていただきますので……」
「あ、あの、それはもう、本当に結構ですので」
もしかしたら、総支配人は由比さんのお目付役とか、そういった立場なのかもしれない。そういえば昨夜、彼のことを「おぼっちゃま」と呼んでいた。きっと、由比家と縁故があり、彼が子どものころから、よく知っているのだろう。
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「はい、ありがとうございます」
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私はもともと、一人きりなのだから。
「チェックアウトまで、館内で過ごそうかな。もう一度温泉に入って、湖を見ながらお茶して、憧れのホテルを満喫しよう」
王子様との恋は、一生の思い出。
『まゆき』に来て、本当に良かった。由比さんと出会えて良かった。
本当に……
こうして、独身最後の旅が終わった。
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