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28 支え
しおりを挟むシェリルはドレッサーに映った自分になんだか惚れ惚れしてしまう。
明らかに顔色が変わって血色がよくなり頬や手先もふっくらとしていてなんとも大人の女性らしい、この歳になってもまさかこんな変化があるだなんて思っても見なかった。
ドレッサーから少し距離を取って腰のあたりまで映るようにすると腰のふくらみも以前より増えていて、すとんとした子供のような体型とは離れたものになっている。
……それでもとてもグラマラスとはいかないけれど、以前に比べたら違いを感じることも多くなったもの。とてもいい変化よね。
例えば、長時間固い椅子に座っていても腰が痛くなりにくくなったし、日課の散歩の時間も伸びて快適に外を楽しめるようになった。
それもこれもしっかりとした療養期間を作って、健康に気を使った結果だろう。
それをきっとクライドも嬉しく思ってくれると思うと、さらに嬉しい気持ちになって笑みがこぼれる。
「ふふっ、シェリル様ったらそれほどそのドレスがお気に召したのですか?」
そうしていると朝食を下げに行っていたアシュリーが戻ってきて、鏡の前でニコニコとしているシェリルにそう声をかける。
「……ええ」
そういうわけではなかったのだが、彼女からすると今日という日に特段なにかがあるわけではないので健康になったことをしみじみと喜んでいるとは思わなかっただろうと想像して否定せずに頷いた。
「こうしたきちんとした装いをして、一日を過ごすことはウォルフォード伯爵であった時には難しいことでしたから、お気に入りのドレスを見つけることができることをわたくしはとても嬉しく思います」
しかし、当たらずとも遠からずといった感じで彼女も感慨深く思っているのか、そんなことを口にする。
たしかにあの頃は、寝込んでいることも多く素敵なドレスをレジナルドから差し入れられたとしても着る機会は少なかった。
おのずとお気に入りの物を見つけるということもなかったので、そういった趣向をシェリルが持つことができたことそれは、こうして役目を抜けて健康になったたまものだとアシュリーは思ったらしい。
「近い形のものを多めに仕立てるように商人には話をしておきますね」
「機会があったらでいいわ。……でもたしかにこれからは王族との交流なんかも増えて衣装がたくさん必要になるかもしれないからお願いね」
「ええ、もちろん。今までの貢献に対してウィルトン伯爵という地位を与えられてそれだけにとどまらず、元ウォルフォード伯爵としても王族に貢献し人脈を広げていくシェリル様をわたくしは全力でサポートいたしますよ」
アシュリーは自慢げに言ってシェリルの少しアレンジメントを加えたゆったりと縛っている髪に少しだけ手を加えて直し、笑みを浮かべる。
心強い彼女の言葉に、こういう人たちが自分を支えてくれているからこそ、自分はもっている力を存分に発揮することができることを再確認した。
「そうだ。そろそろクライド様が戻ってこられる頃ではありませんか? 本日は出迎えに間に合いそうですが」
アシュリーはハッと思いだし、時間を確認して提案する。もちろんそのつもりで準備をしていたのでシェリルは「ええ、エントランスへ向かうわ」と返して、二人で部屋を出たのだった。
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