3 / 123
3 ノアの思惑
しおりを挟む
ノアは自身の妻であるレイチェルが住む北の外れにある邸に向かう道すがら、あとどれくらいこんなバカなことを繰り返せばいいのだろうかと考えていた。
十七歳になったばかりのレイチェルと婚約し、その一年後に結婚。様々な都合を優先した結果領地の外れにある邸に閉じ込めたが、年に一度でもこの距離は面倒だ。父である侯爵の手前、誕生日を祝う為と十九歳になったレイチェルと顔を合わせてからその後、行ったところで姿すら見ていない。今年は二十二になる、そろそろ手ぐらいは付けておかないと不味い気もする。
最初の子はレイチェルとの間に儲けろと侯爵から言われている以上、いつかはしなくてはならない。それを履行しない限り侯爵としての後継指名はないと言われてもいる。しかし、愛人二人と比べてしまうとまだ子供のようなレイチェルに結婚当時欲情しなかったのも事実。刺激のない北の外れに住んでいるレイチェルでは、今も変わらずあの時のままだろう。だったらノアよりも年上のアナベルとナタリアとの艶事の方が楽しいに決まっている。引き合いに出すまでもなく、レイチェルではノアを満足はおろか多少なりとも楽しませることも出来ないはずだ。
結婚前から今に至るまで、ノアにとって房事は子作りではなく楽しむ為のもの。初夜だってつまらない夜をレイチェルと過ごすくらいなら、端から行う必要はないと考え、実行した。だからアナベルとナタリアには結婚式の前から、当日の夜にはレイチェルの元へは行かないと宣言していたのだ。喜んだ二人はその夜心ゆくまでノアを楽しませてくれたのは言うまでもない。
結婚後の最初の誕生日、一九歳のレイチェルには月のものがきていた。それを聞いて、レイチェルも子を成せる体なのかと思ったが、子を成すための行為に励みたいとは思わなかった。アナベル達ならばノアに対して花が咲くような笑みを見せるというのに、レイチェルにはその欠片もなくただ凛としているだけなのだ。組み敷いたところで、同じような雰囲気ならば女にする前に自分の男がやる気を無くすのではないかと思った。
その後二年というか、二回の訪問では顔を合わせてすらいない。まだ侯爵は元気だが、そろそろレイチェルに種付けをすべきだろうとノアは最近考えていた。三晩で孕めば効率的だが、そうもいかないだろう。今年は本邸に呼び寄せなくてはいけないかと思うと、邸内のそれぞれの両翼に住むアナベルとナタリアの機嫌がどうなるのか。一層のこと本妻であるレイチェルを離れに住まわせれば二人は機嫌が良くなるのではないかとまで思えてくる。
様々な問題はあるが、レイチェルが一人産めばあとは全て上手くいくようにノアは思った。そう、北の外れの邸に到着するまでは。
十七歳になったばかりのレイチェルと婚約し、その一年後に結婚。様々な都合を優先した結果領地の外れにある邸に閉じ込めたが、年に一度でもこの距離は面倒だ。父である侯爵の手前、誕生日を祝う為と十九歳になったレイチェルと顔を合わせてからその後、行ったところで姿すら見ていない。今年は二十二になる、そろそろ手ぐらいは付けておかないと不味い気もする。
最初の子はレイチェルとの間に儲けろと侯爵から言われている以上、いつかはしなくてはならない。それを履行しない限り侯爵としての後継指名はないと言われてもいる。しかし、愛人二人と比べてしまうとまだ子供のようなレイチェルに結婚当時欲情しなかったのも事実。刺激のない北の外れに住んでいるレイチェルでは、今も変わらずあの時のままだろう。だったらノアよりも年上のアナベルとナタリアとの艶事の方が楽しいに決まっている。引き合いに出すまでもなく、レイチェルではノアを満足はおろか多少なりとも楽しませることも出来ないはずだ。
結婚前から今に至るまで、ノアにとって房事は子作りではなく楽しむ為のもの。初夜だってつまらない夜をレイチェルと過ごすくらいなら、端から行う必要はないと考え、実行した。だからアナベルとナタリアには結婚式の前から、当日の夜にはレイチェルの元へは行かないと宣言していたのだ。喜んだ二人はその夜心ゆくまでノアを楽しませてくれたのは言うまでもない。
結婚後の最初の誕生日、一九歳のレイチェルには月のものがきていた。それを聞いて、レイチェルも子を成せる体なのかと思ったが、子を成すための行為に励みたいとは思わなかった。アナベル達ならばノアに対して花が咲くような笑みを見せるというのに、レイチェルにはその欠片もなくただ凛としているだけなのだ。組み敷いたところで、同じような雰囲気ならば女にする前に自分の男がやる気を無くすのではないかと思った。
その後二年というか、二回の訪問では顔を合わせてすらいない。まだ侯爵は元気だが、そろそろレイチェルに種付けをすべきだろうとノアは最近考えていた。三晩で孕めば効率的だが、そうもいかないだろう。今年は本邸に呼び寄せなくてはいけないかと思うと、邸内のそれぞれの両翼に住むアナベルとナタリアの機嫌がどうなるのか。一層のこと本妻であるレイチェルを離れに住まわせれば二人は機嫌が良くなるのではないかとまで思えてくる。
様々な問題はあるが、レイチェルが一人産めばあとは全て上手くいくようにノアは思った。そう、北の外れの邸に到着するまでは。
261
あなたにおすすめの小説
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
【本編完結・番外編不定期更新】
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
生まれ変わり令嬢は、初恋相手への心残りを晴らします(と意気込んだのはいいものの、何やら先行き不穏です!?)
夕香里
恋愛
無実の罪をあえて被り、処刑されたイザベル。目を開けると産まれたての赤子になっていた。
どうやら処刑された後、同じ国の伯爵家にテレーゼと名付けられて生まれたらしい。
(よく分からないけれど、こうなったら前世の心残りを解消しましょう!)
そう思い、想い人──ユリウスの情報を集め始めると、何やら耳を疑うような噂ばかり入ってくる。
(冷酷無慈悲、血に飢えた皇帝、皇位簒だ──父帝殺害!? えっ、あの優しかったユースが……?)
記憶と真反対の噂に戸惑いながら、17歳になったテレーゼは彼に会うため皇宮の侍女に志願した。
だが、そこにいた彼は17年前と変わらない美貌を除いて過去の面影が一切無くなっていて──?
「はっ戯言を述べるのはいい加減にしろ。……臣下は狂帝だと噂するのに」
「そんなことありません。誰が何を言おうと、わたしはユリウス陛下がお優しい方だと知っています」
徐々に何者なのか疑われているのを知らぬまま、テレーゼとなったイザベルは、過去に囚われ続け、止まってしまった針を動かしていく。
これは悲恋に終わったはずの恋がもう一度、結ばれるまでの話。
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
前世と今世の幸せ
夕香里
恋愛
【商業化予定のため、時期未定ですが引き下げ予定があります。詳しくは近況ボードをご確認ください】
幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。
しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。
皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。
そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。
この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。
「今世は幸せになりたい」と
※小説家になろう様にも投稿しています
旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう
おてんば松尾
恋愛
王命により政略結婚したアイリス。
本来ならば皆に祝福され幸せの絶頂を味わっているはずなのにそうはならなかった。
初夜の場で夫の公爵であるスノウに「今日は疲れただろう。もう少し互いの事を知って、納得した上で夫婦として閨を共にするべきだ」と言われ寝室に一人残されてしまった。
翌日から夫は仕事で屋敷には帰ってこなくなり使用人たちには冷たく扱われてしまうアイリス……
(※この物語はフィクションです。実在の人物や事件とは関係ありません。)
陛下を捨てた理由
甘糖むい
恋愛
美しく才能あふれる侯爵令嬢ジェニエルは、幼い頃から王子セオドールの婚約者として約束され、完璧な王妃教育を受けてきた。20歳で結婚した二人だったが、3年経っても子供に恵まれず、彼女には「問題がある」という噂が広がりはじめる始末。
そんな中、セオドールが「オリヴィア」という女性を王宮に連れてきたことで、夫婦の関係は一変し始める。
※改定、追加や修正を予告なくする場合がございます。ご了承ください。
誓いを忘れた騎士へ ―私は誰かの花嫁になる
吉乃
恋愛
「帰ってきたら、結婚してくれる?」
――あの日の誓いを胸に、私は待ち続けた。
最初の三年間は幸せだった。
けれど、騎士の務めに赴いた彼は、やがて音信不通となり――
気づけば七年の歳月が流れていた。
二十七歳になった私は、もう結婚をしなければならない。
未来を選ぶ年齢。
だから、別の男性との婚姻を受け入れると決めたのに……。
結婚式を目前にした夜。
失われたはずの声が、突然私の心を打ち砕く。
「……リリアナ。迎えに来た」
七年の沈黙を破って現れた騎士。
赦せるのか、それとも拒むのか。
揺れる心が最後に選ぶのは――
かつての誓いか、それとも新しい愛か。
お知らせ
※すみません、PCの不調で更新が出来なくなってしまいました。
直り次第すぐに更新を再開しますので、少しだけお待ちいただければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる