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5章 帰還
80 それぞれの居場所
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ヴァンホーテ侯爵家の客人として迎えられたオデットとリュカ、そしてジゼルは、侯爵や執事のエドガーの配慮のおかげで、何の不安もなくランブイユでの研究を進めていた。
モントロー公爵領で地道に行っていた土壌改良の実験結果がここでも大いに役立って、思いのほか早く、ランブイユの地でも問題なく収穫できる作物が増えそうだ。
魔法は確かに素敵だし、魅力的だとリュカは思う。
でも、思っていた以上に万能でもないことを、魔法がそこここで用いられているランブイユでリュカは思い知った。
何より、人が生きるのに不可欠な作物を育てることには向いていないのだから。
最初リュカは、生まれ育ったメロビング王国を離れて、他国であるランブイユ王国に行くのが不安で仕方なかった。
でも、実際に来てみたら、そんな不安はどこかへ吹き飛んでしまった。師匠であるオデットと、姉のジゼルが一緒だということもあったが、毎日が新しいことの発見に満ちていて、一日が終わってしまうのが惜しかったし、眠りにつけば次の朝が来るのが待ちきれなかったからだ。
見たことのない景色、見たことのない魔法や魔道具……侯爵家で客としてもてなされている驚きよりも、初めて見聞きするものすべてに興味を惹かれ、それらを知りたいと言う意欲に満ちた日々。
ヴァンホーテ侯爵はほぼ毎日、リュカたち三人と食事の席を共にしていた。
その食事の席で、リュカは侯爵にその日に知った新たなことを、目をキラキラさせて話すのが日課だった。侯爵も、そんなリュカの話が好ましいらしく、にこやかに耳を傾ける。時には相槌を打ったり、問いかけたりもしながら。
侯爵はたびたび、アルシオン陛下と共に実験農場にも訪れていた。すでに戴冠式を終え、アルは正式にランブイユの国王となっていたのだ。
陛下とその側近たちがオデットから研究の進捗報告を受けている傍ら、侯爵はリュカに声をかける。侯爵との会話はいつも楽しくて、リュカはつい時間を忘れてしまう。
(お父さんがいたら、こんな感じなのかな?)
リュカはふと、そんなことを考えるようにもなっていた。
◆◆◆
レイラは、絶えず床に打ち付けられるような体の痛みと、酷く湿った獣臭さに目を覚ました。息を吸いたくないほどの、醜悪な臭い。
だいぶ前に、地下牢に繋がれた記憶はある。
だが、そこで何日過ごしたのかは朧気だ。
最初は抵抗して、投獄されてもなお、金切り声で自分は悪くないと叫び続けた。「黙れ!」と何度か牢番から怒鳴られ、遂には轡を嵌められた。それでも四肢をばたつかせて暴れていると、やがて何かの薬を無理やり喉に押し込められた。途端に意識が飛んで、気がついたのが、今。
でも、頭が割れるように痛い。意識もはっきりしない。あの薬のせいだろうか。
辛うじてわかるのは、自分が囚人や奴隷、捕らえた魔物を運搬する、頑丈な鉄格子に囲まれた馬車に乗せられ、移動しているということだ。
ガタンッ! ガタンッ!
体が飛び跳ねるような容赦のない揺れ。全身が固い床に叩きつけられる。
馬車を操る二人の男の会話が、耳に入ってきた。
「昨日処刑された……クレモ男爵って言ったっけ? あれは聞いてて、何だか気の毒でもあったよ」
「ああ、一人娘の散財を埋め合わせるために、禁制の魔物の取引に手を出して、挙句にランブイユに手を貸す売国罪で処刑されたんだろ?」
「そうだよ。その娘ってやつが見栄っ張りで派手好き、その上、性悪だっていうんだから、親なら当然なのか、そんな娘で運が悪かったというべきなのか……」
「その娘、冷血公爵様の婚約者のご令嬢を殺そうとしたって話も聞いたぞ」
「へえ……そりゃ本当に、性悪だな」
ぼんやりとする意識の中、奴隷を監視する兵たちの雑談を聞き流していた。
「あれ? そう言えば、この奴隷女、その公爵家から引き取ったんだよな」
「ああそうだ、あの公爵家、普通じゃないところがあるからなあ。無事に目的地まで行けるかは、わからん。もし、襲撃されたら、逃げるからな」
「わかってるって。訳あり奴隷を引き取るって言うのは、そういうこともつきものだからな。そこは俺だって心得てるって」
鉄格子の隙間から見える景色が、森の中に変わった。
「おい、何だか嫌な気配がするぜ」
「うん。ちょうどモントロー領を出たからなあ。来るならこの辺り、ってとこか……」
「おいおい、やなこと言うなよ……」
ビュンッ!
矢が飛んできて、男たちの座る御者台に突き刺さった。
「逃げるぞっ!」
慌てて男たちは馬車を止め、森の中に逃げ去った。
すると、矢をつがえたままこちらに向かってくる、数人のマント姿の者たち。その中の一人が弓を捨て、剣を抜いた。
「義姉上は殺すなと言ったけれどね、僕はそんな生ぬるい罰では許せないんだよ。モントロー領を汚したお前を処刑する!」
抵抗する間もなく、レイラは剣に貫かれた。
その体からジュールが剣を引き抜くと、みるみるうちに床に血だまりが広がる。レイラの体は、その血だまりの中に溺れるように沈んでいった。
◆◆◆
カルメンの元から逃げ出してきたロベルは、わずかに持っていた数枚の銀貨で馬車に乗り、隣の領地にたどり着いた。銀貨を使い果たしてしまったその後は、あてどもなく、徒歩で森の中をさまよっていた。
そこで偶然、奴隷を乗せた馬車が数人の男に襲われるのを目撃して、物陰に身を潜めた。
奴隷を剣の一撃で串刺しにした男は、血の付いた剣を平然と着ていたマントで拭う。脱げたフードから覗いたその顔に、足が震えた。
「あの男は……」
間違いない、あれはモントロー公爵の弟。普通じゃない、あんなに何の感情もないかのように人を殺すだなんて……。
殺されたのが、どんな奴なのかは知らない。知ろうとも思わない。
でも、あいつに見つかったら、今度こそ僕も殺される……。
夢中で駆け出したロベルは、気づけば森を抜け、切り立つ崖の上に立っていた。
逃げ道を失って焦るロベルの耳に、がさりと近くの茂みが音を立てた。
逃げないと……。
そう思って動いた途端、足元の崖が崩れた。為す術もなく、ロベルは崖下に落ちていく。
「うわーーーーーっ!」
ロベルの悲鳴に驚いて、茂みから一匹のウサギが飛び出してきたかと思うと、森の中に姿を消した。
◆◆◆
今から私とノルマンは、馬車に乗って王都に向かおうとしていた。
ランブイユの国王となったアルが、メロビングの国王陛下との会談のために来訪する。
ランブイユ国王として、農業をはじめとするメロビングからの支援に感謝の意を表し、ランブイユからも最先端の魔道具の輸出や、優れた装飾技術を伝えるにあたっての重要な交渉のため、直々の公式訪問だ。
そして、その交渉の場に同席する者として、フレデリク殿下の采配により、ノルマンとその婚約者である私が王宮に呼ばれた。
「ちょうど今、届いたものです。発たれる前に間に合ってよかったです」
馬車に乗り込んだ私たちに、モルガンが二通の手紙を手渡した。
一通はリュカとジゼルから私に宛てたもの。もう一通は、ヴァンホーテ侯爵から、私とノルマンに宛てられたものだ。
動き出した馬車の中で、まずはリュカたちからの手紙を開いてみる。そこにはリュカの少し幼い文字で、ランブイユでの暮らしに慣れ、侯爵家の皆がよくしてくれると書かれていた。最後の一文には、ジゼルの几帳面な文字で、私とノルマンへの感謝が綴られていた。
そして次にヴァンホーテ侯爵からの手紙を、ノルマンが開いた。
高い教養を感じさせる美しい文字で綴られた内容は、私たちに嬉しい驚きをもたらすものだった。
「リュカとジゼルの姉弟が、ヴァンホーテ侯爵家の臣下である男爵家の養子となることを承諾したようだ。侯爵が、リュカの利発さと、弟想いのジゼルをいたく気に入ってのことらしい。ゆくゆくはそこから、ヴァンホーテ侯爵家の養子とする腹づもりのようだな」
ヴァンホーテ侯爵は、早くに妻を病で亡くしていた。その妻との間に子はなく、後継として養子にしていたアルシオンも王族籍に復帰してから、独り身で暮らしていたと聞く。
「リュカとジゼルも同意しているなら、喜ばしいことですね。リュカも侯爵家の庇護を受ければ、思う存分、好きな研究に打ち込むことができますし、ジゼルもそんな弟を見ているのが何よりでしょうから」
「そうだな。それにジゼルはどうやら、剣術に興味があるらしい。侯爵家の騎士たちに、空いた時間に稽古をつけてもらっていると書かれているぞ。その騎士たちに言わせると、なかなか筋がいいそうだ」
「ジゼルがですか? それは意外でした……二人とも、ランブイユで居場所が見つかったみたいですね。でも、これで、ラファエル様がランブイユに出かける立派な理由もできましたね……」
馬車で八日間の道のりを経て、私たちはようやく王都に入った。
ひとまずは王都のモントロー家の屋敷で旅の疲れをとり、サルグミン家の屋敷に出向いて両親とお兄様にノルマンを紹介し……泣いたり笑ったり忙しい私の家族を相手に、見たことのないほど右往左往するノルマンに、冷血公爵の噂の欠片も見当たらない。
そうして目まぐるしい数日が過ぎて、いよいよランブイユ王国のアルシオン陛下との会談に臨む日となった。
モントロー公爵領で地道に行っていた土壌改良の実験結果がここでも大いに役立って、思いのほか早く、ランブイユの地でも問題なく収穫できる作物が増えそうだ。
魔法は確かに素敵だし、魅力的だとリュカは思う。
でも、思っていた以上に万能でもないことを、魔法がそこここで用いられているランブイユでリュカは思い知った。
何より、人が生きるのに不可欠な作物を育てることには向いていないのだから。
最初リュカは、生まれ育ったメロビング王国を離れて、他国であるランブイユ王国に行くのが不安で仕方なかった。
でも、実際に来てみたら、そんな不安はどこかへ吹き飛んでしまった。師匠であるオデットと、姉のジゼルが一緒だということもあったが、毎日が新しいことの発見に満ちていて、一日が終わってしまうのが惜しかったし、眠りにつけば次の朝が来るのが待ちきれなかったからだ。
見たことのない景色、見たことのない魔法や魔道具……侯爵家で客としてもてなされている驚きよりも、初めて見聞きするものすべてに興味を惹かれ、それらを知りたいと言う意欲に満ちた日々。
ヴァンホーテ侯爵はほぼ毎日、リュカたち三人と食事の席を共にしていた。
その食事の席で、リュカは侯爵にその日に知った新たなことを、目をキラキラさせて話すのが日課だった。侯爵も、そんなリュカの話が好ましいらしく、にこやかに耳を傾ける。時には相槌を打ったり、問いかけたりもしながら。
侯爵はたびたび、アルシオン陛下と共に実験農場にも訪れていた。すでに戴冠式を終え、アルは正式にランブイユの国王となっていたのだ。
陛下とその側近たちがオデットから研究の進捗報告を受けている傍ら、侯爵はリュカに声をかける。侯爵との会話はいつも楽しくて、リュカはつい時間を忘れてしまう。
(お父さんがいたら、こんな感じなのかな?)
リュカはふと、そんなことを考えるようにもなっていた。
◆◆◆
レイラは、絶えず床に打ち付けられるような体の痛みと、酷く湿った獣臭さに目を覚ました。息を吸いたくないほどの、醜悪な臭い。
だいぶ前に、地下牢に繋がれた記憶はある。
だが、そこで何日過ごしたのかは朧気だ。
最初は抵抗して、投獄されてもなお、金切り声で自分は悪くないと叫び続けた。「黙れ!」と何度か牢番から怒鳴られ、遂には轡を嵌められた。それでも四肢をばたつかせて暴れていると、やがて何かの薬を無理やり喉に押し込められた。途端に意識が飛んで、気がついたのが、今。
でも、頭が割れるように痛い。意識もはっきりしない。あの薬のせいだろうか。
辛うじてわかるのは、自分が囚人や奴隷、捕らえた魔物を運搬する、頑丈な鉄格子に囲まれた馬車に乗せられ、移動しているということだ。
ガタンッ! ガタンッ!
体が飛び跳ねるような容赦のない揺れ。全身が固い床に叩きつけられる。
馬車を操る二人の男の会話が、耳に入ってきた。
「昨日処刑された……クレモ男爵って言ったっけ? あれは聞いてて、何だか気の毒でもあったよ」
「ああ、一人娘の散財を埋め合わせるために、禁制の魔物の取引に手を出して、挙句にランブイユに手を貸す売国罪で処刑されたんだろ?」
「そうだよ。その娘ってやつが見栄っ張りで派手好き、その上、性悪だっていうんだから、親なら当然なのか、そんな娘で運が悪かったというべきなのか……」
「その娘、冷血公爵様の婚約者のご令嬢を殺そうとしたって話も聞いたぞ」
「へえ……そりゃ本当に、性悪だな」
ぼんやりとする意識の中、奴隷を監視する兵たちの雑談を聞き流していた。
「あれ? そう言えば、この奴隷女、その公爵家から引き取ったんだよな」
「ああそうだ、あの公爵家、普通じゃないところがあるからなあ。無事に目的地まで行けるかは、わからん。もし、襲撃されたら、逃げるからな」
「わかってるって。訳あり奴隷を引き取るって言うのは、そういうこともつきものだからな。そこは俺だって心得てるって」
鉄格子の隙間から見える景色が、森の中に変わった。
「おい、何だか嫌な気配がするぜ」
「うん。ちょうどモントロー領を出たからなあ。来るならこの辺り、ってとこか……」
「おいおい、やなこと言うなよ……」
ビュンッ!
矢が飛んできて、男たちの座る御者台に突き刺さった。
「逃げるぞっ!」
慌てて男たちは馬車を止め、森の中に逃げ去った。
すると、矢をつがえたままこちらに向かってくる、数人のマント姿の者たち。その中の一人が弓を捨て、剣を抜いた。
「義姉上は殺すなと言ったけれどね、僕はそんな生ぬるい罰では許せないんだよ。モントロー領を汚したお前を処刑する!」
抵抗する間もなく、レイラは剣に貫かれた。
その体からジュールが剣を引き抜くと、みるみるうちに床に血だまりが広がる。レイラの体は、その血だまりの中に溺れるように沈んでいった。
◆◆◆
カルメンの元から逃げ出してきたロベルは、わずかに持っていた数枚の銀貨で馬車に乗り、隣の領地にたどり着いた。銀貨を使い果たしてしまったその後は、あてどもなく、徒歩で森の中をさまよっていた。
そこで偶然、奴隷を乗せた馬車が数人の男に襲われるのを目撃して、物陰に身を潜めた。
奴隷を剣の一撃で串刺しにした男は、血の付いた剣を平然と着ていたマントで拭う。脱げたフードから覗いたその顔に、足が震えた。
「あの男は……」
間違いない、あれはモントロー公爵の弟。普通じゃない、あんなに何の感情もないかのように人を殺すだなんて……。
殺されたのが、どんな奴なのかは知らない。知ろうとも思わない。
でも、あいつに見つかったら、今度こそ僕も殺される……。
夢中で駆け出したロベルは、気づけば森を抜け、切り立つ崖の上に立っていた。
逃げ道を失って焦るロベルの耳に、がさりと近くの茂みが音を立てた。
逃げないと……。
そう思って動いた途端、足元の崖が崩れた。為す術もなく、ロベルは崖下に落ちていく。
「うわーーーーーっ!」
ロベルの悲鳴に驚いて、茂みから一匹のウサギが飛び出してきたかと思うと、森の中に姿を消した。
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今から私とノルマンは、馬車に乗って王都に向かおうとしていた。
ランブイユの国王となったアルが、メロビングの国王陛下との会談のために来訪する。
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そして、その交渉の場に同席する者として、フレデリク殿下の采配により、ノルマンとその婚約者である私が王宮に呼ばれた。
「ちょうど今、届いたものです。発たれる前に間に合ってよかったです」
馬車に乗り込んだ私たちに、モルガンが二通の手紙を手渡した。
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動き出した馬車の中で、まずはリュカたちからの手紙を開いてみる。そこにはリュカの少し幼い文字で、ランブイユでの暮らしに慣れ、侯爵家の皆がよくしてくれると書かれていた。最後の一文には、ジゼルの几帳面な文字で、私とノルマンへの感謝が綴られていた。
そして次にヴァンホーテ侯爵からの手紙を、ノルマンが開いた。
高い教養を感じさせる美しい文字で綴られた内容は、私たちに嬉しい驚きをもたらすものだった。
「リュカとジゼルの姉弟が、ヴァンホーテ侯爵家の臣下である男爵家の養子となることを承諾したようだ。侯爵が、リュカの利発さと、弟想いのジゼルをいたく気に入ってのことらしい。ゆくゆくはそこから、ヴァンホーテ侯爵家の養子とする腹づもりのようだな」
ヴァンホーテ侯爵は、早くに妻を病で亡くしていた。その妻との間に子はなく、後継として養子にしていたアルシオンも王族籍に復帰してから、独り身で暮らしていたと聞く。
「リュカとジゼルも同意しているなら、喜ばしいことですね。リュカも侯爵家の庇護を受ければ、思う存分、好きな研究に打ち込むことができますし、ジゼルもそんな弟を見ているのが何よりでしょうから」
「そうだな。それにジゼルはどうやら、剣術に興味があるらしい。侯爵家の騎士たちに、空いた時間に稽古をつけてもらっていると書かれているぞ。その騎士たちに言わせると、なかなか筋がいいそうだ」
「ジゼルがですか? それは意外でした……二人とも、ランブイユで居場所が見つかったみたいですね。でも、これで、ラファエル様がランブイユに出かける立派な理由もできましたね……」
馬車で八日間の道のりを経て、私たちはようやく王都に入った。
ひとまずは王都のモントロー家の屋敷で旅の疲れをとり、サルグミン家の屋敷に出向いて両親とお兄様にノルマンを紹介し……泣いたり笑ったり忙しい私の家族を相手に、見たことのないほど右往左往するノルマンに、冷血公爵の噂の欠片も見当たらない。
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