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14 ラスボスチックな自覚はあります
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◆ラスボスチックな自覚はあります
「クロウには、ここで仕事をしてもらう」
そう言い、セドリックは二階のある部屋を示した。
階段を上った陛下は、左手の方へ歩いていったが。この部屋は、右手に歩いていった、突き当りにある部屋だった。
セドリックが両開きの木製のドアを開け放つと、白を基調にした家具と暖炉がまず目に入る、素敵なサロンで。そのきらびやかさに、ぼくは目を丸くした。
暖炉の枠の部分が陶器でできている。今は火が消えているが、その暖炉の前には、金細工が施されている白地のカウチと椅子の応接セットが置かれていて。
照明はシャンデリアだ。
床にはえんじ色の絨毯が敷かれていて。部屋の中央部分が広く開いている。
それはおそらく、仕事道具などを置くための、取りなしだろう。
見るからに、普段は上流階級と相対する応接室として使用されるべき部屋である。これほどに豪華絢爛な部屋を、仕事部屋として提供してもらえるとは思わず。恐縮しきりだ。
「このような素敵な部屋を、仕事部屋として使って良いのですか?」
「陛下のご指示だ」
セドリックは短く答え。そして続きの間のドアを開けた。
「サロンの扉は、基本、開けっ放しにするように。そして、寝食はこちらの部屋を使用しろ」
続きの間は、おそらく、客の従者が待機するための部屋なのだろう。そこに、ベッドやワードローブや小机が運び込まれている。
しかし、洗面、バス、トイレ付きなので。全然不自由ないよ。
ワーカーホリック気味のぼくとしては『仕事を終えたらすぐベッド』的環境は大歓迎だ。
チョンが隠れるにしても、独立したバスルームがあるから悪くないじゃん?
「至れり尽くせりで、助かります。これはコート掛けですか?」
部屋の隅に、ブリブリした感じに彫刻がされている木の棒があって。それを指差すと、セドリックはうなずいた。ぼくはさっそくマントを脱いで、いそいそ、そこに引っかける。
「中も、黒いんだな」
手提げかばんを部屋に運び入れたセドリックに言われ、ぼくは己の姿に視線を向ける。
マントの下に着ていたのは、黒のスーツに、黒シャツ。首に巻く、ふわりとしたスカーフタイだけ、クリーム色だ。
この世界のタイは、前世のような幅広の紐の物は流行ではなく。スカーフをふわりと巻いて、装飾品で留めるようなスタイルや。もっと甘めにリボンタイというのが主流だった。
ネクタイ、流行らすか? シオンとか、似合いそうじゃね?
マントを脱いで。座る場所がなくなり、ぼくの頭にしがみつくチョンを、ベッドの上におろしながら。セドリックに答えを返した。
「はい。服の色目をダーク系にしていると、糸くずがついていたらすぐにわかって良いのです。糸くずをつけたまま接客するのは失礼ですからね。ぼくは好んで黒を身につけているんですよ」
ゲーム中に、クロウのことを、陰気な黒い服の、前髪長くて仕事を舐めた仕立て屋、と内心馬鹿にしていたが。すまない。ちゃんと、すべてに理由があったのだな?
今、自分がクロウになり。イケていないのはわかっていながら、仕事的にはこのスタイルがベストなので。
ゲーム内のクロウを罵ってしまったことを、謝りたい気分だ。
「しかし、このマントはいささかやり過ぎだろ」
セドリックはコート掛けに掛けたマントの裾を指先でつまんで、めくってビラビラする。
おっ、お目が高い。よくぞ聞いてくれました。
「陛下にお会いするのに、失礼のないよう、社交界で流行のデザインを取り入れているのです。袖先から、裾まで、一枚の布でつながっているのですよ? たっぷりとしたドレープのスカートが、ご婦人方には人気でして、それをコートに応用したのです。素敵なシルエットでしょう? 襟には刺繍も施してあり、男性物でありながら、おしゃれ心も忘れない逸品に仕立て上げました」
ま、この大きな襟の総黒尽くめは、悪役を彷彿させるから。ラスボスチックな自覚はあります。
「ふーん、これもおまえが作った物なのか。へぇ。…まぁ、わかりました。お疲れでしょう? 夕食の時間までしばしお休みください。食事は時間になったら、給仕がこちらに運んできますので。あと…貴方はこの部屋の中だけでお過ごしになるのが良いでしょう。城内をうろうろしているのを見咎められたら、スパイを疑われ、斬られるかも。ま、疑われるような行動をしたら、斬られても文句は言えませんよね?」
暗に、目障りなら斬るとセドリックに言われ。ぼくは…。
さすがアイキンの世界だと感心したのだ。
そうだ。モブだとはいえ、アイキンの世界なのだもの。成敗は付き物だよね?
でも、こうして忠告してくれるのだから、優しいじゃないか?
「ありがとうございます、セドリック様。御忠告に従います」
モブだからと油断していた、浅はかなぼくの目を覚ましてくれたセドリックには、深く感謝しよう。
思いを込めて返事をすると、彼は少し目を丸くして。なにやら気まずそうな顔つきで、サロンを出て行ってしまった。
「なんだ、あの赤髪といい、王といい、嫌ぁな感じのやつばっかりだな?」
チョンはベッドの上で、目を吊り上げてシャーシャー言っている。猫だけに。
ちなみに、ぼくは。チョンのときの声は、四歳当時の可愛い声に聞こえている。
勝手に脳内変換しているのかな?
シオンの声は、前世で、低く男らしい声が評判だった若手声優、みたいに聞こえている。
アイキンは、声優もアニメ会社も贅沢使いしていたからなぁ。
シオンはメインキャラじゃなかったが。絶対腐ったスタッフが。
モブの弟くんは絶対イケボよ、モブとは違うのよぉ。
って言いながら。妄想で声を当てていたに違いない。
それはともかく。
甲高い声の子猫が、生意気な感じで言うのが、たまらなく可愛いんじゃっ。
「赤髪じゃなくて、セドリック様。国王のことは、ちゃんと陛下と呼びなさい。ふたりとも、この国と国民を守ってくださる尊い方だ。敬意を払わなければならないよ?」
メロメロのデロデロに可愛がってやりたいところだが、注意するべきところは注意するよ。お兄ちゃんだからな。
ベッドに腰かけ、ぼくはチョンの背中を撫でながら言い含める。
こういうことは、子供の頃からきっちり指導しておくべきなのだ。
シオンが大人になったとき、陛下の御前に呼ばれることがあるかもしれない。公爵子息としてではなくても、今のぼくのように、思いがけない事態だってあるかもしれないんだから。
ま、ぼくはうまくできなかったけれど。
だからこそ、弟が失敗しないようにしたいではないか?
「しかし。兄上のことを醜いなどと…王様だとて、僕は許せません」
「それは仕方がないだろう、僕はモブだもの」
「モブではありません。僕の兄上は、誰よりもお美しいのだから」
「はいはい。美しいと言えば、陛下のお美しさが暴力的で、僕は心の中で二リットルほど吐血をしたよ」
そう、美しいというのは、陛下のような人のことを言うのだ。
いずれチョンの美的感覚は矯正しなければならないな、とぼくは心に誓う。
まぁ、この城にいたら、美男美女が目白押しだろうから、チョンの美意識も自然に塗り替わっていくことだろう、とは思うけど。
とにもかくにも、この城に来て、ぼくは第一成敗を回避したっ。
許しなく、目を合わせるという無作法をしてしまったとき。もう駄目かと思ったが。
怒られることもなく、仕事部屋まではたどりつけた。
無事、仕事を始めることができそうなのは、喜ばしいことだった。
今日は、船に乗ったり、坂を上ったりで、インドア派のぼくとしては、体力をかなり消耗した一日であったが。
それよりも、陛下の御尊顔を拝見し、俄然、創作意欲が湧いてきてしまった。
あんなに、きらびやかな方なのだもの。もっと艶やかな刺繍にしたい。
ぼくは荷解きをして、仕事着である黒のタートルシャツとズボンに着替えると。仕事道具の入った手提げかばんを持ち上げた。
「兄上、仕事をするのですか? もう少し、お休みをされては?」
「いいや、時間は限られているし。僕は、陛下のお衣装を満足のいく出来に仕上げたいから。まだまだ手を入れたいんだ」
疲労よりも、ウキウキ気分が勝ったぼくは、サロンの方へ戻った。それにシオンもついてくる。
「兄上、でしたら、暖炉に火を入れてください。僕はこちらに陣取ります」
チョンは、暖炉の方を向いた猫足のチェアに飛び乗り、そこにちょこんとお座りする。かっわいいっ。
「わかったよ。猫は暖炉が大好きだものな」
「猫だからではありません。人でも、炎を見れば、ほんわかするものです」
「はいはい。時間が来たら、ちゃんとベッドに行くんだぞ? もしも人型のときに部屋に誰かが来るようだったら、バスルームに隠れろよ。なにがあっても…僕が危険だと思っても。絶対に出てきたら駄目だからな?」
「兄上が危険なら、出て行くに決まっているじゃありませんか。僕は兄上のボディガードなのですから」
目の縁をつやつやさせる小さな黒猫は、可愛いボディーガード。
でも、ここは成敗渦巻く危険な王城だから。ぼくになにがあっても。チョンの命だけは救えるように手立てをしておかないとならないなと考える。
一番は、アイリスに頼めたら良い。チョンの好感度がありそうだったから。
でもアイリスは、後宮にいることが多いだろうから、頼みに行くことができないかも。
あと頼めそうなのは、動物に優しそうなセドリックかな。
ぼくが死んだら、チョンを本土に返してと。機会があったらお願いしよう。そうしよう。
「チョンを信用している。でも、チョンが出てくる場面は、最終手段だよ。基本、人型の姿は決して見られてはならない。わかったな?」
「抜かりありません、兄上」
暖炉に火を入れ、部屋が温かくなってくると。チョンは椅子の上で丸くなって寝た。
その様子を目端で見ながら、ぼくはトルソーの位置を決めたり、仕事道具を並べたりと、仕立ての準備を始めた。
「クロウには、ここで仕事をしてもらう」
そう言い、セドリックは二階のある部屋を示した。
階段を上った陛下は、左手の方へ歩いていったが。この部屋は、右手に歩いていった、突き当りにある部屋だった。
セドリックが両開きの木製のドアを開け放つと、白を基調にした家具と暖炉がまず目に入る、素敵なサロンで。そのきらびやかさに、ぼくは目を丸くした。
暖炉の枠の部分が陶器でできている。今は火が消えているが、その暖炉の前には、金細工が施されている白地のカウチと椅子の応接セットが置かれていて。
照明はシャンデリアだ。
床にはえんじ色の絨毯が敷かれていて。部屋の中央部分が広く開いている。
それはおそらく、仕事道具などを置くための、取りなしだろう。
見るからに、普段は上流階級と相対する応接室として使用されるべき部屋である。これほどに豪華絢爛な部屋を、仕事部屋として提供してもらえるとは思わず。恐縮しきりだ。
「このような素敵な部屋を、仕事部屋として使って良いのですか?」
「陛下のご指示だ」
セドリックは短く答え。そして続きの間のドアを開けた。
「サロンの扉は、基本、開けっ放しにするように。そして、寝食はこちらの部屋を使用しろ」
続きの間は、おそらく、客の従者が待機するための部屋なのだろう。そこに、ベッドやワードローブや小机が運び込まれている。
しかし、洗面、バス、トイレ付きなので。全然不自由ないよ。
ワーカーホリック気味のぼくとしては『仕事を終えたらすぐベッド』的環境は大歓迎だ。
チョンが隠れるにしても、独立したバスルームがあるから悪くないじゃん?
「至れり尽くせりで、助かります。これはコート掛けですか?」
部屋の隅に、ブリブリした感じに彫刻がされている木の棒があって。それを指差すと、セドリックはうなずいた。ぼくはさっそくマントを脱いで、いそいそ、そこに引っかける。
「中も、黒いんだな」
手提げかばんを部屋に運び入れたセドリックに言われ、ぼくは己の姿に視線を向ける。
マントの下に着ていたのは、黒のスーツに、黒シャツ。首に巻く、ふわりとしたスカーフタイだけ、クリーム色だ。
この世界のタイは、前世のような幅広の紐の物は流行ではなく。スカーフをふわりと巻いて、装飾品で留めるようなスタイルや。もっと甘めにリボンタイというのが主流だった。
ネクタイ、流行らすか? シオンとか、似合いそうじゃね?
マントを脱いで。座る場所がなくなり、ぼくの頭にしがみつくチョンを、ベッドの上におろしながら。セドリックに答えを返した。
「はい。服の色目をダーク系にしていると、糸くずがついていたらすぐにわかって良いのです。糸くずをつけたまま接客するのは失礼ですからね。ぼくは好んで黒を身につけているんですよ」
ゲーム中に、クロウのことを、陰気な黒い服の、前髪長くて仕事を舐めた仕立て屋、と内心馬鹿にしていたが。すまない。ちゃんと、すべてに理由があったのだな?
今、自分がクロウになり。イケていないのはわかっていながら、仕事的にはこのスタイルがベストなので。
ゲーム内のクロウを罵ってしまったことを、謝りたい気分だ。
「しかし、このマントはいささかやり過ぎだろ」
セドリックはコート掛けに掛けたマントの裾を指先でつまんで、めくってビラビラする。
おっ、お目が高い。よくぞ聞いてくれました。
「陛下にお会いするのに、失礼のないよう、社交界で流行のデザインを取り入れているのです。袖先から、裾まで、一枚の布でつながっているのですよ? たっぷりとしたドレープのスカートが、ご婦人方には人気でして、それをコートに応用したのです。素敵なシルエットでしょう? 襟には刺繍も施してあり、男性物でありながら、おしゃれ心も忘れない逸品に仕立て上げました」
ま、この大きな襟の総黒尽くめは、悪役を彷彿させるから。ラスボスチックな自覚はあります。
「ふーん、これもおまえが作った物なのか。へぇ。…まぁ、わかりました。お疲れでしょう? 夕食の時間までしばしお休みください。食事は時間になったら、給仕がこちらに運んできますので。あと…貴方はこの部屋の中だけでお過ごしになるのが良いでしょう。城内をうろうろしているのを見咎められたら、スパイを疑われ、斬られるかも。ま、疑われるような行動をしたら、斬られても文句は言えませんよね?」
暗に、目障りなら斬るとセドリックに言われ。ぼくは…。
さすがアイキンの世界だと感心したのだ。
そうだ。モブだとはいえ、アイキンの世界なのだもの。成敗は付き物だよね?
でも、こうして忠告してくれるのだから、優しいじゃないか?
「ありがとうございます、セドリック様。御忠告に従います」
モブだからと油断していた、浅はかなぼくの目を覚ましてくれたセドリックには、深く感謝しよう。
思いを込めて返事をすると、彼は少し目を丸くして。なにやら気まずそうな顔つきで、サロンを出て行ってしまった。
「なんだ、あの赤髪といい、王といい、嫌ぁな感じのやつばっかりだな?」
チョンはベッドの上で、目を吊り上げてシャーシャー言っている。猫だけに。
ちなみに、ぼくは。チョンのときの声は、四歳当時の可愛い声に聞こえている。
勝手に脳内変換しているのかな?
シオンの声は、前世で、低く男らしい声が評判だった若手声優、みたいに聞こえている。
アイキンは、声優もアニメ会社も贅沢使いしていたからなぁ。
シオンはメインキャラじゃなかったが。絶対腐ったスタッフが。
モブの弟くんは絶対イケボよ、モブとは違うのよぉ。
って言いながら。妄想で声を当てていたに違いない。
それはともかく。
甲高い声の子猫が、生意気な感じで言うのが、たまらなく可愛いんじゃっ。
「赤髪じゃなくて、セドリック様。国王のことは、ちゃんと陛下と呼びなさい。ふたりとも、この国と国民を守ってくださる尊い方だ。敬意を払わなければならないよ?」
メロメロのデロデロに可愛がってやりたいところだが、注意するべきところは注意するよ。お兄ちゃんだからな。
ベッドに腰かけ、ぼくはチョンの背中を撫でながら言い含める。
こういうことは、子供の頃からきっちり指導しておくべきなのだ。
シオンが大人になったとき、陛下の御前に呼ばれることがあるかもしれない。公爵子息としてではなくても、今のぼくのように、思いがけない事態だってあるかもしれないんだから。
ま、ぼくはうまくできなかったけれど。
だからこそ、弟が失敗しないようにしたいではないか?
「しかし。兄上のことを醜いなどと…王様だとて、僕は許せません」
「それは仕方がないだろう、僕はモブだもの」
「モブではありません。僕の兄上は、誰よりもお美しいのだから」
「はいはい。美しいと言えば、陛下のお美しさが暴力的で、僕は心の中で二リットルほど吐血をしたよ」
そう、美しいというのは、陛下のような人のことを言うのだ。
いずれチョンの美的感覚は矯正しなければならないな、とぼくは心に誓う。
まぁ、この城にいたら、美男美女が目白押しだろうから、チョンの美意識も自然に塗り替わっていくことだろう、とは思うけど。
とにもかくにも、この城に来て、ぼくは第一成敗を回避したっ。
許しなく、目を合わせるという無作法をしてしまったとき。もう駄目かと思ったが。
怒られることもなく、仕事部屋まではたどりつけた。
無事、仕事を始めることができそうなのは、喜ばしいことだった。
今日は、船に乗ったり、坂を上ったりで、インドア派のぼくとしては、体力をかなり消耗した一日であったが。
それよりも、陛下の御尊顔を拝見し、俄然、創作意欲が湧いてきてしまった。
あんなに、きらびやかな方なのだもの。もっと艶やかな刺繍にしたい。
ぼくは荷解きをして、仕事着である黒のタートルシャツとズボンに着替えると。仕事道具の入った手提げかばんを持ち上げた。
「兄上、仕事をするのですか? もう少し、お休みをされては?」
「いいや、時間は限られているし。僕は、陛下のお衣装を満足のいく出来に仕上げたいから。まだまだ手を入れたいんだ」
疲労よりも、ウキウキ気分が勝ったぼくは、サロンの方へ戻った。それにシオンもついてくる。
「兄上、でしたら、暖炉に火を入れてください。僕はこちらに陣取ります」
チョンは、暖炉の方を向いた猫足のチェアに飛び乗り、そこにちょこんとお座りする。かっわいいっ。
「わかったよ。猫は暖炉が大好きだものな」
「猫だからではありません。人でも、炎を見れば、ほんわかするものです」
「はいはい。時間が来たら、ちゃんとベッドに行くんだぞ? もしも人型のときに部屋に誰かが来るようだったら、バスルームに隠れろよ。なにがあっても…僕が危険だと思っても。絶対に出てきたら駄目だからな?」
「兄上が危険なら、出て行くに決まっているじゃありませんか。僕は兄上のボディガードなのですから」
目の縁をつやつやさせる小さな黒猫は、可愛いボディーガード。
でも、ここは成敗渦巻く危険な王城だから。ぼくになにがあっても。チョンの命だけは救えるように手立てをしておかないとならないなと考える。
一番は、アイリスに頼めたら良い。チョンの好感度がありそうだったから。
でもアイリスは、後宮にいることが多いだろうから、頼みに行くことができないかも。
あと頼めそうなのは、動物に優しそうなセドリックかな。
ぼくが死んだら、チョンを本土に返してと。機会があったらお願いしよう。そうしよう。
「チョンを信用している。でも、チョンが出てくる場面は、最終手段だよ。基本、人型の姿は決して見られてはならない。わかったな?」
「抜かりありません、兄上」
暖炉に火を入れ、部屋が温かくなってくると。チョンは椅子の上で丸くなって寝た。
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