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2-35 闇落ちクロウ(イアンside)
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◆闇落ちクロウ(イアンside)
七月に入り。学園の卒業と、我とクロウの結婚式が、もうすぐ目の前に見えてきて。ウズウズと、心が浮き立っている。
学園生活は、クロウが公女によって、穴に落された事件、以外は。何事もなく。穏便に過ぎ去ろうとしていた。
我が、一番に悩ましく思っていた、魔法の制御は、習得できなかったものの。
クロウと過ごす、のほほんとした時間や。
友と談笑しながらのランチや。
学園内の生徒たちの雰囲気、有力貴族子息との顔つなぎなど。
楽しいこと、身になることなど、体験できて良かったと思うことは、数多くあり。
有意義なときを過ごせた、と言える。
先日、クロウとも、互いに踏み込んだ、深い話をした。
我は、彼の優秀さを、王家が食い潰すことになりはしないか、それを心配していた。
でも、クロウは。我のそばにいさせてほしいと願い。
その願いを、我は全力で叶えると心に誓った。
クロウが幸せだと感じられること、それが一番なのだと。改めて、深く納得できて。良かったと思う。
それよりも、クロウは世継ぎのことを、ずっと心配していたようなのだ。
彼を伴侶にすると決めたとき、それが答えだと、我は一方的に思っていたのだが。
結果的に、クロウの心を、長く悩ませてしまったみたいで。それは、申し訳なかった。
いずれは養子をとる。
もしくは、シャーロットを後継に。
我は、クロウ以外の伴侶は娶らない。
という旨は。宰相や政治を司る有力貴族が、公女を我にあてがおうと画策していた、それを知ったときに。彼らには伝えていた。
血族を重んじる。または王家の強大な魔力を当てにする、貴族連中は。そのことに、それなりに苦言を呈したが。それでも、クロウを貶めるようなことを言う者は、いなかった。
我とクロウが、愛し合う気持ち。それを、尊重しているわけではない。
政治を扱う者は、打算的である。
しかし、クロウは。あの、バジリスク公爵の息子であるのだ。
クロウの父である公爵は。アルガル公国のように…いや、それ以上に。独立国家を営むことが出来るほどの、膨大な財力と行動力、政治力、発言力を有しているのだ。
クロウには、甘々で、ヨワヨワな父親だが。
敵に回ったら怖い人物だというのは。カザレニア国の誰もが知るところだ。
その子息であるクロウと、我の婚姻は。公爵をカザレニア国につなぐためにも、有益なのだった。
公女との結婚などよりも。実は、クロウとの婚姻の方が、余程、重要事項なのである。
ただ、王家の血脈が…となっただけのことで。
それは、クロウにはどうにも解決できない話ではあるが。
それでも、水面下で画策されていたのは。クロウと我の結婚を無くして、公女と結婚させる、というような話ではなかったのだ。
そんなことをしたら、公爵の逆鱗に触れてしまうからな。
もしも公女が、クロウと我と、仲の良いお友達になったら。側室に迎えてもいい、なんて話になったらいいなぁ…という。
まぁ。我にもクロウにも、失礼な話なのだが。
ジジイどもが夢見ていたのは、そのような、お花畑の話だったようだ。
今回の公女の暴走により、この話は完全に白紙になった。
謁見の間で、公爵のこめかみに青筋が浮いていたのを見た、御歴歴どもは。そりゃあ、肝を冷やしたことだろう。これを機に、余計なお世話は御免こうむりたいところだな。
ところで、クロウの魔法についても。我のそばにあってほしい、理由のひとつである。
学園で。魔法については、いろいろと試行錯誤したが。
王家直系の我は、魔力の純度が高いようで。
炎の大小は操れるものの。濃い魔力で生み出された炎は、たとえそれがほんの小さな種火であろうと、己の力で消すことは出来ない。
そのため、クロウ及び純度の高い水魔法使いであるバジリスク家の者でなくては、我の炎は鎮火出来ないのだ。
我は、クロウなくして成り立たない者なのである。
消えない炎は。実は。全く使えない能力だと、我は思っている。
外敵が戦争を仕掛けてくれば、その威力は、敵を跳ね除けることが出来る。敵側には脅威なのだろうが。
もう、武力で制圧して、という時代ではない。
これからは、政治力と情報力が武器になる時代なのだ。
そんな中で、ただただ強大なだけの魔力は、ただただ持て余すだけの代物である。
シャーロットは、我と比べれば、幾分、能力は劣るが。自分で炎が消せる。
それくらいの魔力が、これからは丁度いいのではないだろうか?
一方で、そう思いながら。
シャーロットがカッツェ・オフロと結婚したら、それもいい組み合わせだと思う。
オフロ家は、炎系の王家の男系で血脈をつないでいる家系だ。
シャーロットと結婚したら、その子供は王家直系であり、男系でもある。きっと我に近しい炎の魔法が使えることだろう。
しかし、カッツェは。クロウに懸想しているから。難しいかな?
まぁ、クロウはやらないがな。
シャーロットは、今のところはシオンと仲が良い。
シオンは王家男系の血脈であるが、水魔法使いなので。ふたりの子は、魔力が相殺されてしまうかもしれない。
しかし、逆に。クロウのように小器用に魔力を扱えたら?
炎と水と、異なる魔法を扱えたとしたら。
他者には消せない炎を出して、それを自分で消火する。最強の、初めての事例の魔法使いが、生まれるかもしれない。
これは、本当に。もしもの話で。結果論になるだろうがな。
しかし、シオンは。クロウにべったりで。
ふたりともに、まだ恋愛という段階ではなさそうだ。
どのようになったとしても。シャーロットを王位に据えて、王家直系でつなぐか。
王家男系の血脈で、炎魔法を有する者を養子にとって、王家男系でつなぐか。
我らの後継問題は、その方向で行く感じかな。
とにかく。我は。クロウ以外を娶らない。それは絶対である。
どの顛末に至るか。それは、シャーロットの今後の恋次第だ。
彼女は、まだ十四歳だし。焦って後継を決めることもないだろう?
まぁ、そのようなことを、クロウと話して。
彼も安堵したのか。珍しく、彼の方からキスしてきてくれて。嬉しかった。
まさか、涙するほど、心を痛めていたとは思わなくて。
もっと早く話していればよかったな? すまない。
でも、クロウも。もっと我を信用してほしい。
我は生涯、クロウだけなのだから。
クロウは、謙虚なところがあるから。まだ、自分が我に目いっぱい愛されているという自覚がないのかもしれないな。
もっと愛して。
愛で溺れさせないとならないな?
我がクロウしか見えていないと、自覚するくらいに。
そして、我らがいち早く卒業する、その記念のダンスパーティーが、学園の施設で行われる日になった。
今日で、クロウとの、のほほん学園生活が終わってしまうと思うと。なにやら寂しい気になる。
正午に行われた、卒業証書授与式。
真っ白い制服のクロウが、なにやらいつも以上に愛らしく。
この制服姿が見納めだと思うと。口惜しいので。しっかり目に焼き付ける。
たまに、アイリスが言っている、心のシャッターを切る、というやつだな。シャッターがなにかはわからないが。
その後、夕方から始まるパーティーの準備を、我は休憩室でした。
クロウに、事前に渡された衣装は。黒地の、詰め襟タイプの礼装だ。
襟元にも、上衣の前面にも、ツタのはびこる模様が銀糸で刺繍されていて。それだけで、とても豪華なのだが。
肩の房飾りを通す、シンプルな造形の黒マントもあって。
ブーツなど、足先まで黒一色なのに、キラキラ光る装飾がところどころになされていて、上品かつ華麗な装いだった。
我の支度は、ラヴェルがする。
今宵は、ダンスパーティーなので。父兄や、従者や侍女が学園内に入っても良いことになっている。
「クロウの支度は、誰がしているのだ? 警護はちゃんとついているのか?」
ラヴェルにたずねると。彼は言った。
「クロウ様のお支度は、アイリス様が。国一番の美人に仕上げると、意気込んでおられましたよ? でもクロウ様はすでに国一番の美人ですけど。あ、警護はシオン様とベルナルド様がついておられます」
「そうか。では、姫を迎えに行こう」
そうして、休憩室を出ると。カッツェがすぐ背後につき。
遠巻きに、セドリックとシヴァーディ、その他、影たちが、我の後ろを守護している。
今宵は、外からの客人も学園に入ってくるので。警備が厳重になる。
クロウが支度しているという教室に、カッツェに案内されて向かう。
寮生は、自室で支度を行うが。
通いの者は、五組にひとつの教室が、貸し出されていて。
クロウと、シャーロットとアイリスとマリーは、同じ教室でドレスの着付けを行っているようだった。
その教室の前には。前と後ろの扉の前で、それぞれ、シオンとベルナルドが警護している。
ふたりとも、クロウと公女を接触させない、という気合に満ちているように見えた。
すでに、黒地の正装を着込んでいるふたりに。目で挨拶して。我は教室に入った。
三人の、色とりどりのドレス姿が、まず目に飛び込み。
そして、その中心に。漆黒のドレスをまとった淑女が立っていた。
彼女は、我が入ってきたのを認め、ゆっくりと振り返る。
深紅の口紅を引き、重めの目蓋も紅色のアイシャドウで彩られている。
黒真珠の瞳は、いつものような精彩がないが。なにかに取り憑かれているかのようなその表情が、どこか神秘的に見える。
黒髪は、短さをカバーする、三つ編みの付け毛がふんだんに使われていて、綺麗に結い上げられているように見えた。
彼女は、胸に光る大粒な黒水晶を示すように、胸に両手を当て。陶酔するように目を閉じた。
「君のためなら、悪にも染まる…」
そして、背中を向けて。腰に手を当てると、振り返るように、我を流し見て、告げた。
「闇落ちクロウ、こーーーーりんっ」
我は彼女の、熱く、鋭い視線に、貫かれる。
まるで矢が射られたかのように、心臓が一瞬、止まった。
その切れ長の目の色っぽさ。凛とした、ちょっときつめの表情に、我は見惚れる。
引き結んでいた深紅の唇が、この世で一番美しいのは私、とばかりに。自信ありげに笑みをかたどるのに。
一瞬後には、ふにゃっとほどけた。
そして彼女は、その麗しい顔を、両手で覆ってしまう。
「無理ぃ…ぼくは、作り手なのです。レイヤーなんか、したことがないのですぅ、陛下が呆れていらっしゃいますぅ」
泣き言を言うクロウを励ます、アイリスとマリー。
「大丈夫ですわ、クロウ様。ちゃんとできていましたわ?」
「そうですわ、闇落ちハルルンの再来で、素敵でしたわ。心のシャッター切りまくりでしたわぁ」
その様子を、シャーロットが半目で見ている。
「なんなのです? そのハルルンってのわっ。私もこの前、調子に乗ってやりましたけどぉ。なんか、なんだか、やらなくちゃならない空気感だったから、やりましたけどぉ」
彼女たちの茶番は、ともかく。
我は、吸い寄せられるように、クロウのそばに向かい。彼の前で、床に膝をついた。
いや、つかずにはいられない。
その美しさに、我は自然と頭が垂れた。
いつものぽやっとした、ほんのり笑顔で刺繍している、クロウも可愛いが。
こうして、キリッとした表情で、流し目とか。
可愛いより綺麗が際立つ、この感じも、好きだなぁ。
純真、優美な、可愛い系クロウが。妖艶美麗、静謐華麗な美人系クロウに…サナギがチョウに変化したかのごとく見事なメタモルフォーゼを遂げている。
クロウ。そのような表情も出来るのだな?
彼の別の一面を見せられ、我は、ズブズブに魅了された。
「へ、陛下?」
王が、他者に頭を下げることは、本来許されない。
だから、クロウも我が跪いたことに、驚いて。声をあげたのだ。
それでも。ここはクロウをたたえて、そうしたかったのだ。
「クロウ、手を」
戸惑うように、目を泳がせたクロウは。おずおずと、二の腕の長さのある、黒いレースの手袋に包まれた手を差し出す。
我はその甲に、恭しくくちづけた。
「我の婚約者が、あまりにも美しく、魅惑的だから。このまま誰にも見せずに攫ってしまいたくなる」
クロウのドレスの前面は、我の衣装と同じ柄の刺繍がなされていて。本当に、一対のように仕上がっていた。
背中が空き過ぎで、白くてなめらかで、肩甲骨にあるほくろや、背筋のなまめかしいラインがあらわなのが。ちょっと、いただけないが。
スカートのフリルが、黒と赤で構成されていて。我のマントの内側が赤だったり。胸ポケットに赤いハンカチの差しがあったりで。お揃いなのが嬉しい。
「イアン様、お立ちになってください。恥ずかしいです」
クロウは、口紅やアイシャドウが赤色で派手に見えるが。それほど、濃い化粧をしているわけではなかった。
オドオドオロオロするのは、いつものクロウ。
我が愛する、クロウであった。
一瞬、瞳に精彩がないと感じたのは、闇落ちクロウの演技だったのだろう。
今はもう、黒真珠の瞳がキラキラにきらめいている。
演技力もあるのだな? クロウ。
「立ったら、ギュッてして、いいか?」
たずねたら、アイリスが怒った。
「駄目です、陛下。胸のパットがずれたり、セットした髪が崩れたりしないように。今日はダンスのみで、我慢してください?」
舌打ちはしないものの、そのような気持ちで、不満げに立ち上がると。
クロウがヘラリと笑った。
「イアン様、このブローチ、ありがとうございました。思ったよりキラキラで。驚きましたが」
クロウの胸を飾る黒水晶は、クロウのリクエストで、我が贈ったものだ。
コブシ大の、水晶としては大きなサイズではあるが。
それでも、元々水晶は安価なので。水晶だけでは、国王の贈り物としては物足りない。
そこで、なめらかな表面の黒水晶の周りを、細かいダイヤモンドで囲った。
黒水晶は、クロウの瞳のように。漆黒でありながら、つるつるで。さらにダイヤの輝きが水晶に反射してピカピカだ。
黒衣のドレスの胸元で、艶やかに光り輝いている。
謙虚で慎ましいクロウは。この程度の物でも気後れするようだが。
国王の婚約者として。美しいもので、その身を飾ってもらいたいのだ。
「気に入ってくれたなら、嬉しいぞ。あぁ、それにしても、本当に可愛いなぁ。女装しているからではないぞ? だが、変わった趣向のクロウを見られるのは、なかなかに良いことだ。たまになら、悪くない」
背中が空いている分、首でドレスの前面を止める仕様になっている。しかしそれゆえ、剥き出しの肩や。首の細さが強調されて。華奢なクロウの体つきが、目にまぶしい。
そうして、熱い眼差しをクロウに向けていると。
クロウは。あの。いつもの『お可哀想に』という顔をした。
「ふふ、また我を、お可哀想に…と思っているな?」
たずねると、クロウは。いえ、とは言うが。微妙な顔つきで我を見やる。
クロウは、自分の容姿が美しいことを、まだ知らないのだ。
「それでも構わない。我の目には、おまえが世界一美しく、可愛く、映っている。だから、お可哀想なこの目で、いいのだ」
そう言うと。クロウは、ほのぼのとした陽だまりの笑顔を浮かべて、言った。
「なら。陛下が、お可哀想な御目目で良かったです。そうでなかったら、ぼくなんか。フォーマル、ノーブル、エレガントなスペシャル陛下の視界の端にも入れないでしょうからね?」
なにを馬鹿なことを。この教室にいる男どもは、みんな、おまえの姿に目を奪われているというのに。
でも、それは言わず。
我は、クロウの着付けが崩れない程度にやんわりと、彼の肩を抱いた。
この美しい男は、我のものだから。
七月に入り。学園の卒業と、我とクロウの結婚式が、もうすぐ目の前に見えてきて。ウズウズと、心が浮き立っている。
学園生活は、クロウが公女によって、穴に落された事件、以外は。何事もなく。穏便に過ぎ去ろうとしていた。
我が、一番に悩ましく思っていた、魔法の制御は、習得できなかったものの。
クロウと過ごす、のほほんとした時間や。
友と談笑しながらのランチや。
学園内の生徒たちの雰囲気、有力貴族子息との顔つなぎなど。
楽しいこと、身になることなど、体験できて良かったと思うことは、数多くあり。
有意義なときを過ごせた、と言える。
先日、クロウとも、互いに踏み込んだ、深い話をした。
我は、彼の優秀さを、王家が食い潰すことになりはしないか、それを心配していた。
でも、クロウは。我のそばにいさせてほしいと願い。
その願いを、我は全力で叶えると心に誓った。
クロウが幸せだと感じられること、それが一番なのだと。改めて、深く納得できて。良かったと思う。
それよりも、クロウは世継ぎのことを、ずっと心配していたようなのだ。
彼を伴侶にすると決めたとき、それが答えだと、我は一方的に思っていたのだが。
結果的に、クロウの心を、長く悩ませてしまったみたいで。それは、申し訳なかった。
いずれは養子をとる。
もしくは、シャーロットを後継に。
我は、クロウ以外の伴侶は娶らない。
という旨は。宰相や政治を司る有力貴族が、公女を我にあてがおうと画策していた、それを知ったときに。彼らには伝えていた。
血族を重んじる。または王家の強大な魔力を当てにする、貴族連中は。そのことに、それなりに苦言を呈したが。それでも、クロウを貶めるようなことを言う者は、いなかった。
我とクロウが、愛し合う気持ち。それを、尊重しているわけではない。
政治を扱う者は、打算的である。
しかし、クロウは。あの、バジリスク公爵の息子であるのだ。
クロウの父である公爵は。アルガル公国のように…いや、それ以上に。独立国家を営むことが出来るほどの、膨大な財力と行動力、政治力、発言力を有しているのだ。
クロウには、甘々で、ヨワヨワな父親だが。
敵に回ったら怖い人物だというのは。カザレニア国の誰もが知るところだ。
その子息であるクロウと、我の婚姻は。公爵をカザレニア国につなぐためにも、有益なのだった。
公女との結婚などよりも。実は、クロウとの婚姻の方が、余程、重要事項なのである。
ただ、王家の血脈が…となっただけのことで。
それは、クロウにはどうにも解決できない話ではあるが。
それでも、水面下で画策されていたのは。クロウと我の結婚を無くして、公女と結婚させる、というような話ではなかったのだ。
そんなことをしたら、公爵の逆鱗に触れてしまうからな。
もしも公女が、クロウと我と、仲の良いお友達になったら。側室に迎えてもいい、なんて話になったらいいなぁ…という。
まぁ。我にもクロウにも、失礼な話なのだが。
ジジイどもが夢見ていたのは、そのような、お花畑の話だったようだ。
今回の公女の暴走により、この話は完全に白紙になった。
謁見の間で、公爵のこめかみに青筋が浮いていたのを見た、御歴歴どもは。そりゃあ、肝を冷やしたことだろう。これを機に、余計なお世話は御免こうむりたいところだな。
ところで、クロウの魔法についても。我のそばにあってほしい、理由のひとつである。
学園で。魔法については、いろいろと試行錯誤したが。
王家直系の我は、魔力の純度が高いようで。
炎の大小は操れるものの。濃い魔力で生み出された炎は、たとえそれがほんの小さな種火であろうと、己の力で消すことは出来ない。
そのため、クロウ及び純度の高い水魔法使いであるバジリスク家の者でなくては、我の炎は鎮火出来ないのだ。
我は、クロウなくして成り立たない者なのである。
消えない炎は。実は。全く使えない能力だと、我は思っている。
外敵が戦争を仕掛けてくれば、その威力は、敵を跳ね除けることが出来る。敵側には脅威なのだろうが。
もう、武力で制圧して、という時代ではない。
これからは、政治力と情報力が武器になる時代なのだ。
そんな中で、ただただ強大なだけの魔力は、ただただ持て余すだけの代物である。
シャーロットは、我と比べれば、幾分、能力は劣るが。自分で炎が消せる。
それくらいの魔力が、これからは丁度いいのではないだろうか?
一方で、そう思いながら。
シャーロットがカッツェ・オフロと結婚したら、それもいい組み合わせだと思う。
オフロ家は、炎系の王家の男系で血脈をつないでいる家系だ。
シャーロットと結婚したら、その子供は王家直系であり、男系でもある。きっと我に近しい炎の魔法が使えることだろう。
しかし、カッツェは。クロウに懸想しているから。難しいかな?
まぁ、クロウはやらないがな。
シャーロットは、今のところはシオンと仲が良い。
シオンは王家男系の血脈であるが、水魔法使いなので。ふたりの子は、魔力が相殺されてしまうかもしれない。
しかし、逆に。クロウのように小器用に魔力を扱えたら?
炎と水と、異なる魔法を扱えたとしたら。
他者には消せない炎を出して、それを自分で消火する。最強の、初めての事例の魔法使いが、生まれるかもしれない。
これは、本当に。もしもの話で。結果論になるだろうがな。
しかし、シオンは。クロウにべったりで。
ふたりともに、まだ恋愛という段階ではなさそうだ。
どのようになったとしても。シャーロットを王位に据えて、王家直系でつなぐか。
王家男系の血脈で、炎魔法を有する者を養子にとって、王家男系でつなぐか。
我らの後継問題は、その方向で行く感じかな。
とにかく。我は。クロウ以外を娶らない。それは絶対である。
どの顛末に至るか。それは、シャーロットの今後の恋次第だ。
彼女は、まだ十四歳だし。焦って後継を決めることもないだろう?
まぁ、そのようなことを、クロウと話して。
彼も安堵したのか。珍しく、彼の方からキスしてきてくれて。嬉しかった。
まさか、涙するほど、心を痛めていたとは思わなくて。
もっと早く話していればよかったな? すまない。
でも、クロウも。もっと我を信用してほしい。
我は生涯、クロウだけなのだから。
クロウは、謙虚なところがあるから。まだ、自分が我に目いっぱい愛されているという自覚がないのかもしれないな。
もっと愛して。
愛で溺れさせないとならないな?
我がクロウしか見えていないと、自覚するくらいに。
そして、我らがいち早く卒業する、その記念のダンスパーティーが、学園の施設で行われる日になった。
今日で、クロウとの、のほほん学園生活が終わってしまうと思うと。なにやら寂しい気になる。
正午に行われた、卒業証書授与式。
真っ白い制服のクロウが、なにやらいつも以上に愛らしく。
この制服姿が見納めだと思うと。口惜しいので。しっかり目に焼き付ける。
たまに、アイリスが言っている、心のシャッターを切る、というやつだな。シャッターがなにかはわからないが。
その後、夕方から始まるパーティーの準備を、我は休憩室でした。
クロウに、事前に渡された衣装は。黒地の、詰め襟タイプの礼装だ。
襟元にも、上衣の前面にも、ツタのはびこる模様が銀糸で刺繍されていて。それだけで、とても豪華なのだが。
肩の房飾りを通す、シンプルな造形の黒マントもあって。
ブーツなど、足先まで黒一色なのに、キラキラ光る装飾がところどころになされていて、上品かつ華麗な装いだった。
我の支度は、ラヴェルがする。
今宵は、ダンスパーティーなので。父兄や、従者や侍女が学園内に入っても良いことになっている。
「クロウの支度は、誰がしているのだ? 警護はちゃんとついているのか?」
ラヴェルにたずねると。彼は言った。
「クロウ様のお支度は、アイリス様が。国一番の美人に仕上げると、意気込んでおられましたよ? でもクロウ様はすでに国一番の美人ですけど。あ、警護はシオン様とベルナルド様がついておられます」
「そうか。では、姫を迎えに行こう」
そうして、休憩室を出ると。カッツェがすぐ背後につき。
遠巻きに、セドリックとシヴァーディ、その他、影たちが、我の後ろを守護している。
今宵は、外からの客人も学園に入ってくるので。警備が厳重になる。
クロウが支度しているという教室に、カッツェに案内されて向かう。
寮生は、自室で支度を行うが。
通いの者は、五組にひとつの教室が、貸し出されていて。
クロウと、シャーロットとアイリスとマリーは、同じ教室でドレスの着付けを行っているようだった。
その教室の前には。前と後ろの扉の前で、それぞれ、シオンとベルナルドが警護している。
ふたりとも、クロウと公女を接触させない、という気合に満ちているように見えた。
すでに、黒地の正装を着込んでいるふたりに。目で挨拶して。我は教室に入った。
三人の、色とりどりのドレス姿が、まず目に飛び込み。
そして、その中心に。漆黒のドレスをまとった淑女が立っていた。
彼女は、我が入ってきたのを認め、ゆっくりと振り返る。
深紅の口紅を引き、重めの目蓋も紅色のアイシャドウで彩られている。
黒真珠の瞳は、いつものような精彩がないが。なにかに取り憑かれているかのようなその表情が、どこか神秘的に見える。
黒髪は、短さをカバーする、三つ編みの付け毛がふんだんに使われていて、綺麗に結い上げられているように見えた。
彼女は、胸に光る大粒な黒水晶を示すように、胸に両手を当て。陶酔するように目を閉じた。
「君のためなら、悪にも染まる…」
そして、背中を向けて。腰に手を当てると、振り返るように、我を流し見て、告げた。
「闇落ちクロウ、こーーーーりんっ」
我は彼女の、熱く、鋭い視線に、貫かれる。
まるで矢が射られたかのように、心臓が一瞬、止まった。
その切れ長の目の色っぽさ。凛とした、ちょっときつめの表情に、我は見惚れる。
引き結んでいた深紅の唇が、この世で一番美しいのは私、とばかりに。自信ありげに笑みをかたどるのに。
一瞬後には、ふにゃっとほどけた。
そして彼女は、その麗しい顔を、両手で覆ってしまう。
「無理ぃ…ぼくは、作り手なのです。レイヤーなんか、したことがないのですぅ、陛下が呆れていらっしゃいますぅ」
泣き言を言うクロウを励ます、アイリスとマリー。
「大丈夫ですわ、クロウ様。ちゃんとできていましたわ?」
「そうですわ、闇落ちハルルンの再来で、素敵でしたわ。心のシャッター切りまくりでしたわぁ」
その様子を、シャーロットが半目で見ている。
「なんなのです? そのハルルンってのわっ。私もこの前、調子に乗ってやりましたけどぉ。なんか、なんだか、やらなくちゃならない空気感だったから、やりましたけどぉ」
彼女たちの茶番は、ともかく。
我は、吸い寄せられるように、クロウのそばに向かい。彼の前で、床に膝をついた。
いや、つかずにはいられない。
その美しさに、我は自然と頭が垂れた。
いつものぽやっとした、ほんのり笑顔で刺繍している、クロウも可愛いが。
こうして、キリッとした表情で、流し目とか。
可愛いより綺麗が際立つ、この感じも、好きだなぁ。
純真、優美な、可愛い系クロウが。妖艶美麗、静謐華麗な美人系クロウに…サナギがチョウに変化したかのごとく見事なメタモルフォーゼを遂げている。
クロウ。そのような表情も出来るのだな?
彼の別の一面を見せられ、我は、ズブズブに魅了された。
「へ、陛下?」
王が、他者に頭を下げることは、本来許されない。
だから、クロウも我が跪いたことに、驚いて。声をあげたのだ。
それでも。ここはクロウをたたえて、そうしたかったのだ。
「クロウ、手を」
戸惑うように、目を泳がせたクロウは。おずおずと、二の腕の長さのある、黒いレースの手袋に包まれた手を差し出す。
我はその甲に、恭しくくちづけた。
「我の婚約者が、あまりにも美しく、魅惑的だから。このまま誰にも見せずに攫ってしまいたくなる」
クロウのドレスの前面は、我の衣装と同じ柄の刺繍がなされていて。本当に、一対のように仕上がっていた。
背中が空き過ぎで、白くてなめらかで、肩甲骨にあるほくろや、背筋のなまめかしいラインがあらわなのが。ちょっと、いただけないが。
スカートのフリルが、黒と赤で構成されていて。我のマントの内側が赤だったり。胸ポケットに赤いハンカチの差しがあったりで。お揃いなのが嬉しい。
「イアン様、お立ちになってください。恥ずかしいです」
クロウは、口紅やアイシャドウが赤色で派手に見えるが。それほど、濃い化粧をしているわけではなかった。
オドオドオロオロするのは、いつものクロウ。
我が愛する、クロウであった。
一瞬、瞳に精彩がないと感じたのは、闇落ちクロウの演技だったのだろう。
今はもう、黒真珠の瞳がキラキラにきらめいている。
演技力もあるのだな? クロウ。
「立ったら、ギュッてして、いいか?」
たずねたら、アイリスが怒った。
「駄目です、陛下。胸のパットがずれたり、セットした髪が崩れたりしないように。今日はダンスのみで、我慢してください?」
舌打ちはしないものの、そのような気持ちで、不満げに立ち上がると。
クロウがヘラリと笑った。
「イアン様、このブローチ、ありがとうございました。思ったよりキラキラで。驚きましたが」
クロウの胸を飾る黒水晶は、クロウのリクエストで、我が贈ったものだ。
コブシ大の、水晶としては大きなサイズではあるが。
それでも、元々水晶は安価なので。水晶だけでは、国王の贈り物としては物足りない。
そこで、なめらかな表面の黒水晶の周りを、細かいダイヤモンドで囲った。
黒水晶は、クロウの瞳のように。漆黒でありながら、つるつるで。さらにダイヤの輝きが水晶に反射してピカピカだ。
黒衣のドレスの胸元で、艶やかに光り輝いている。
謙虚で慎ましいクロウは。この程度の物でも気後れするようだが。
国王の婚約者として。美しいもので、その身を飾ってもらいたいのだ。
「気に入ってくれたなら、嬉しいぞ。あぁ、それにしても、本当に可愛いなぁ。女装しているからではないぞ? だが、変わった趣向のクロウを見られるのは、なかなかに良いことだ。たまになら、悪くない」
背中が空いている分、首でドレスの前面を止める仕様になっている。しかしそれゆえ、剥き出しの肩や。首の細さが強調されて。華奢なクロウの体つきが、目にまぶしい。
そうして、熱い眼差しをクロウに向けていると。
クロウは。あの。いつもの『お可哀想に』という顔をした。
「ふふ、また我を、お可哀想に…と思っているな?」
たずねると、クロウは。いえ、とは言うが。微妙な顔つきで我を見やる。
クロウは、自分の容姿が美しいことを、まだ知らないのだ。
「それでも構わない。我の目には、おまえが世界一美しく、可愛く、映っている。だから、お可哀想なこの目で、いいのだ」
そう言うと。クロウは、ほのぼのとした陽だまりの笑顔を浮かべて、言った。
「なら。陛下が、お可哀想な御目目で良かったです。そうでなかったら、ぼくなんか。フォーマル、ノーブル、エレガントなスペシャル陛下の視界の端にも入れないでしょうからね?」
なにを馬鹿なことを。この教室にいる男どもは、みんな、おまえの姿に目を奪われているというのに。
でも、それは言わず。
我は、クロウの着付けが崩れない程度にやんわりと、彼の肩を抱いた。
この美しい男は、我のものだから。
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