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4、飛ぶのは辛いよ
しおりを挟むそれから数日間、僕はラルにより強制的に飛行練習を課せられる。
スパルタなラルに机から落とされながら必死に練習した甲斐あってか、僕は何とかふよふよとだが飛べるようになった。
「うーん、ま、これが今の限界か。で、お前どこでトイレしてんだよ、正直に言え。」
言葉が通じないと言うのは不便なもので、ラルには僕が排便しないということが伝わらない。
なまじ与えられた食事を平らげてしまうせいで疑惑は大きくなりいい加減外に放り出されそうなので、僕は今日にでも何とかジェスチャーか何かでラルにトイレは不要だと伝える必要があった。
しかしいざ身振り手振りで伝えようと試みた所で扉をノックする音が聞こえ、城からの使者がやってくる。
途端にラルは先程の態度から一転一瞬で猫を被ると、自分の顔を最大限活かした儚げな雰囲気を作り出した。
「ラル神官、休憩中申し訳ありません。」
「構いませんよ、何かありましたか?」
どこか焦燥感漂う使者の様子から、何事だろうと僕も耳を澄ます。
「実は、王都近郊の森にて魔獣が大量発生し、こちらに向かっているようなのです。原因は不明、現在は騎士達が足止めしていますが、神殿からも応援を要請したく…」
「魔獣が王都に向かっている…?どうして急に…」
僕の様な言葉を理解する魔獣も居るが、知能が低い魔獣は獣に近く本能のまま行動する。
そうなると、王都に何か目的があるのだろうか…
考えているだけではどうにもならないと思ったのか、ラルはすぐに森へと向かう事にしたようだ。
使者を引き連れ神官達に声を掛けると、魔法に特化した者達を中心に集め準備を整え、馬に乗り早速森へと出発した。
「いいか、危ないから勝手に飛び出るなよ。お前みたいなチビは飛び出した途端魔獣に食われちまうからな?」
了解の意を示す為キリッとした表情でお尻に力を入れると、「本当に分かってんのかよ…」とラルに心配される。
そうこうしているうちに森へと着いた僕達は、馬を森の入り口に置き戦闘中の騎士達を補助する為森の中へと進んだ。
「もう少し奥か…。それにしても、やけに静かだな。」
ラルの言う通り、森に入れば多少なりとも遭遇するだろうと予想していた魔獣は、暫く歩いてみても一向に姿を見せない。
そのあまりの静けさは、逆に不気味な程だった。
「!あっ、居ました!」
更に歩き続けていると、ついに一匹の熊のような魔獣に出くわす。
神官達が唸る魔獣を前に戦闘態勢になった所で、僕と熊はパッと目が合った。
…ん?何だ?あいつソワソワしだしたぞ…
僕がじっと観察していると、熊はオロオロと視線を彷徨わせ狼狽える。
そのままいきなり僕の元までスライディングし地面に頭を下げたかと思うと、辺り一帯が黒い煙に包まれた。
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