どうも、卵から生まれた魔人です。

べす

文字の大きさ
3 / 21

3、【魔の国にて】

しおりを挟む

「はぁ~俺の可愛いレヴィたん!今日もいい子で寝んねしてまちたかー?」

そう言って真っ黒な髪と灰色の肌を持つ下半身が蛇の男は、腕に抱いた真珠色の卵に何度もキスをした。

卵は同じ母親が生んだものではあったが、魔人や魔獣に血縁だと言う認識は皆無。
しかし魔の国で生まれた特別な一対の卵は、先に孵化した第一王子であるガーガリアムによって己の半身として大事に大事に温められていた。

「殿下、いくら大切な弟君様とは言え、こうも卵を行く先々に持って歩くのはいかがなものかと思いますぞ。」

そう言ってガーガリアムを嗜めるのは先代の時代から相談役としてその身を城に置く、首から下が人で顔がカメレオンのエンベだ。

「エンベ、レヴィたんはただの弟ではない。私の大切な半身で、伴侶でもあるのだ。そんなレヴィたんが孵化した時、俺が側に居なくてどうする!心細くて泣いてしまうかもしれないではないか!」

ギュッと卵を抱き頬擦りしながら話すガーガリアムに、エンベはうんざりした様に首を横に振った。

「殿下…何度も申し上げておりますが、殿下のお相手も、まだ見ぬ弟君様のお相手も雌でなければならないとあれほど…」

「黙れ!お前こそ何度言えば分かるのだ!相手は弟以外要らぬ!俺は半身である弟にしか愛情が沸かないのだ、それはきっと弟も同じ。強い種を残せと言うなら、母上と父上に直接頼め。」

無茶なガーガリアムの提案にエンベは溜め息を吐くと、頭を下げてその場を辞した。

「…はぁ。レヴィたん…お前はいつになったら出てきてくれるのだ?俺は寂しい…こんな事なら、もっと卵の中にいればよかった。」

エンベが居なくなり再び卵にキスしていたガーガリアムだったが、ふとパリパリと音が聞こえてハッとする。
慌てて卵を見れば少しずつ亀裂が大きくなっていて、もう割れるまであと少しという所だった。

「わ、割れる!卵が割れるぞ!レヴィたん、頑張れ!俺はもう外でレヴィたんを待っているぞ!レヴィたんが出て来たらすぐに抱き締めてやるからな!」

満面の笑みで卵が割れる様子を見詰めていたガーガリアムだったが、卵が完全に割れ中が見えた瞬間的、浮かべていた笑みが消える。

「…は?レヴィたん?あれ、おい、レヴィたんが居ない…中身が空だ。…どういう事だ!!??」

物凄い怒声で叫んだからかさっき辞した筈のエンベが再び戻ってきて、割れた卵とその中身に驚愕した。

「エンベ!これはどういう事だ!?割れる前までは確かにレヴィたんの気配があったのだ!それが、卵が割れた瞬間消失した!」

怒りの余り尻尾で周りの置物や壁を次々破壊するガーガリアムを、エンベは何とか宥めながら考え込む。

「…これは、どこかに転送されてしまったようですな…。」

「転送…バカな!それは人間どもが魔獣相手にする召喚とやらだろう!?レヴィたんは魔人だぞ!人間ごときが召喚出来るわけがない!」

「えぇ、分かっております。しかし、弟君様は生まれて間もない状態でございました。それに、殿下をお助けする為今は殆ど力を失った状態…その様な状態の魔人であれば、あるいは…。」

「ふざけるな!レヴィたんは俺のものだ!」

ガーガリアムは怒りに任せて魔力を暴走させ、周りに集まってきていた使用人達を吹っ飛ばした。

「殿下、お気を確かに!まだ人間に召喚されたと決まった訳では…」

「ではどうだと言うのだ!現にレヴィたんはここには居ない。これが怒らずいられるか!俺は人間どもを皆殺しにしてもレヴィたんを取り戻す!」

こうしてレヴィウスの知らぬ間に兄であるガーガリアムは人間に憎悪を募らせ、弟への想いを更に拗らせていくのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布
BL
完璧っぽいエリート騎士×無自覚な愛され系

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話

処理中です...