どうも、卵から生まれた魔人です。

べす

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7、【魔の国にて】

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魔の国の一室。
ガーガリアムはベッドに寝そべりレヴィウスの卵の殻をパズルの様に組みながら、ハッと顔を上げた。

「今、レヴィたんに呼ばれたような…。」

レヴィウスが居なくなってから十日。
その間魔獣の召喚が盛んな二つの人間の国を調べたがレヴィウスは見つからず、腹いせにその国を跡形もなく消し去った。
今日はレヴィウスの専属侍従であった筈のイザードが三つ目となる国へと偵察に向かったが、今回に限りガーガリアムは魔の国に残っている。

「殿下、如何されました?これはあまりお気に召しませんかしら?」

扇情的な下着でガーガリアムの股間を撫でるのはガーガリアムの専属侍従であるルルだ。
本当であればガーガリアムもイザードと一緒にレヴィウスを探しに行く予定だったが、今日はルルに激しく止められ残らざるを得なかった。

「別に、いつも通り何とも思わん。それより早く降りろ。何度も言うが、俺はレヴィたん以外に欲情しないのだ。そんな事をしても無駄だぞ。」

ルルは専属侍従であると同時に、エンベによってガーガリアムの閨の相手もする様に命じられている。
それはガーガリアムがどうにか雌に興味を示さないかと講じた策だったが、ルルはそれ以前にガーガリアムに夢中だった。

「そんな事を仰らずに…一度試してみれば案外ハマるかもしれませんよ?」

そう言って下着も脱ごうとするルルに、ガーガリアムはうんざりした様にため息を吐く。

「いらんと言っている。…全く、何故お前の様な者が俺の専属侍従などになったのか。同じ侍従であれば、いささか盲目的ではあるが仕事に真面目なイザードの方がよほど良い。」

その言葉にルルはビキリとこめかみに青筋を立てた。
ルルは本来ガーガリアムの専属侍従になれる予定では無かった。
それと言うのも専属侍従は基本的には同性が担うもので、それをエンベが無理矢理押し切り魔人の中でも蠱惑的な容姿を持つルルをガーガリアムに宛てがったからである。

「それだけ私が優秀だと言う事。レヴィウス殿下がいかに魅力的であろうと、子を作ることは出来ますまい。その点私であれば殿下の欲も、義務も全て満たすことが出来ますもの。強い者はより強い血筋を残し魔の国を存続させなければ。」

ルルはそう言って全ての布を取り去ると、ガーガリアムにしなだれかかる。
しかしガーガリアムはルルの身体をベッドからぞんざいに落とし、蔑むような目で見下した。

「馬鹿め、そんな義務などクソ食らえだ。魔人がどれだけ居ると思っている。何も俺だけが励まずとも、これから先強い者ならいくらでも産まれて来るだろう。いつまでここにいる気だ。早く出ていけ。」

ガーガリアムが扉を指差すのと同時に、「殿下ーっ!」とイザードが部屋に飛び込んで来る。
そこでイザードは二人の様子をハッと目に止め、何とも言えない顔で立ち止まった。

「…ルル、また殿下を誘惑していたのか?無駄だと言っているだろう…。それより仕事をしろ。」

「!煩いわね、これも大事な仕事のうちよ!」

イザードに食って掛かるルルなど無視し、ガーガリアムは「イザード、何だ?レヴィたんの事か?」と前のめりになる。

「はいっ、レヴィウス殿下が見つかりました!」

「何っ!?やはり私も行けば良かった…っ!すぐに迎えに行くぞ!」

ガーガリアムはイザードの報告を聞きベッドから飛び起きると、そのまま転移でレヴィウスの元へと飛ぼうとした。
しかしそれをイザードは慌てて制止する。

「い、いけません殿下!今はまだその時では無いのです!」

「あ?どういう事だ。」

そこでイザードはつい先程の出来事を説明し、何とかガーガリアムを引き止める。
ガーガリアムはイザードの話を聞きギリギリと歯軋りすると、近くにあったテーブルをバキリと破壊した。

「レヴィウスが人間の神官に懐いて離れないだと?しかも、俺がまだ見た事のない幼体の状態でそいつに四六時中付いて回っていると…許せん!」

付いて回っていると言うかラルが居ないと基本的に何も出来ない上監督責任上あまり一人で野放しに出来ないからなのだが、ガーガリアムにしてみればどちらも同じ事だった。

「ええ、ええ。本当に。しかし、レヴィウス殿下はそれはそれは愛らしゅうございました。先程など、私の通信人形を自分の寝床に引き入れ、一緒にお眠りになり…」

「な、何!?通信人形を置いてきたのか!早く繋げ!」

イザードの肩を掴みガクガク揺さぶるガーガリアムに、イザードは至極無念そうに首を横に振った。

「それが、忌々しい事にあの神官に燃やされてしまいまして…。しかし、ご安心下さい!実はガーガリアム殿下に似せた映像人形も入れておいたのです!そちらは映像しかご覧頂けませんが、上手くすればレヴィウス殿下の姿が…」

「早く!早く見せろ!」

ガーガリアムに急かされイザードが映像人形を起動させると、空中に浮かんだ画面いっぱいに真珠色の羽毛が映る。
それを見たガーガリアムは口を手で覆い、緩んだ顔で歓喜の声を上げた。

「な、な、な…こ、この状態は、俺の人形を抱き締めて居るのでは…!?なんて愛らしい…!見ろ、イザード!あの柔らかそうな羽毛を…あれに思う存分顔を埋めてクンクンしたい…ッ!」

「ええ、ええ。分かります、分かりますとも。しかし実物はこれ以上に愛らしいのですよ。」

二人で画面に釘付けになっている後ろで、ルルは一人歯噛みする。
そのままそっと部屋を抜け出ると、イザードの転移の痕跡を辿り魔の国から姿を消したのだった。
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