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6、お世話は大変
しおりを挟む神殿に戻った僕達は、三人がかりで運んで貰った僕のお世話セットをラルの自室に運ぶ。
大量の荷物が運び込まれ部屋の三分の一が埋まってしまったラルは、嫌そうな顔でそれを見ていた。
「うげえ…思った通り邪魔だわ…。お前魔人なんだから空間魔法とか使えないの…って、無理か…。どうするかな…。」
本気で悩み始めたラルを横目に、僕は荷物の中をゴソゴソ漁る。
その中に不気味な人形を見付け、僕はぎょっとしながらもそれを引っ張りだしラルのベッドに放り投げた。
「あっ!?おい、お前要らないからって変なもん寄越すな!何だよこの趣味の悪い人形…気持ち悪いな…。」
どうやらラルもお気に召さなかったらしい。
しかし捨てれば呪われそうなその見た目は、僕の寝床に嫌がらせの如く無理矢理詰められた。
「ガフッ!」
「お前のだろ。責任取って自分で引き取れよ。」
文句を言いつつ疲れたので仕方無くそのまま寝床に入りウトウトし始めると、『レヴィウス殿下!』とイザードの声がして飛び起きる。
慌てて周りを見回すもイザードの姿は無く、その代わり人形の目がギョロギョロと動いた。
「ガフ…」
『おや、もしやお休み中でしたか?…ハッ、イザード特製通信人形と一緒に…?何て愛らしい!作製者としてこんなに嬉しい事は御座いません!』
この人形イザードの手作りなの?趣味悪…。
僕が人形と睨み合っていると、それに気付いたラルが人形が喋っている事に目を剥き人形を外に放り投げる。
思わずあっと思っていると、人形はちょうど外で枯れ葉を燃やしていた焚き火に着地し、勢い良く燃え始めた。
『ギャアァア!』
「ヒッ、怖!あの人形悲鳴上げたぞ!?…やっぱ魔人が寄越すような人形は普通じゃねぇな…。」
イザード怒るぞ…しーらない。
僕が知らん振りしていると、他にももう一体あったとラルが嫌そうに指で摘んで持ってくる。
それは下半身が真っ黒な蛇の魔人の人形で、僕は慌ててそれが欲しいとラルに訴えた。
「ん?これは気に入ったのか?…またおかしな人形じゃねーよな…?」
ラルが人形を僕の寝床に突っ込むと、僕はそれをクッション代わりにお尻の下に敷く。
それを見てラルは溜息を吐くと、「上にお前の事報告してくる。」と部屋を出ていった。
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