どうも、卵から生まれた魔人です。

べす

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12、兄さんの攻略

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三人共復活した所で、僕は兄さんの部屋に向かう。
扉をノックして声を掛ければ、兄さんはすぐに自ら扉を開け僕を抱き締めた。

「レヴィたん!やっと来てくれた!酷いじゃないか、兄さんを後回しにするなんて!」

イザードに事前に話して兄さんには部屋で待機するよう伝えていたのだが、どうやらかなり焦れていたらしい。
僕はそんな兄さんを少しだけ押して身体を離すと、無表情で顔を見上げた。

「兄さん、僕疲れてるんだ。早くソファーに座らせて。」

「あぁ、ごめんね!おいで、美味しい菓子も用意してあるから!」

幼子の様に手を引かれソファーに座らせられると、兄さんも横にピッタリくっついた状態で腰掛ける。
そのままテーブルに置いてあった菓子を手に取ると、一口齧ってから僕の口へと運んだ。

「…兄さん、毒味はいいよ。むしろそれ僕がするべきじゃない?」

「ダメダメ!可愛いレヴィたんに何かあったら兄さんは心臓が止まってしまうからね!ほら、あーんして。よく噛んでお食べ。」

これは予想以上に過保護だな…。

小さく口を開けて咀嚼すれば、兄さんが至近距離でうっとり僕の顔を覗き込む。
どうにも食べ辛く別の方向を向いたが、今度は僕を凝視している三人の視線に気付きウンザリした。

「…兄さん、菓子はもういいから。それより、兄さんの新しい侍従を連れて来たよ。アベルとマベルだ。」

二人が頭を下げるのを見ると、兄さんは顔を顰める。

「…イザードの兄弟じゃないか。確かこの双子はイザードと並んでレヴィたんに心酔していた筈だろう。何故俺の従者に?」

兄さんの言葉に僕はそこまでなのかと若干引きながらも、兄さんの手を握り上目遣いで説明した。

「ほら、兄さんは僕の特別な人だから、下手な人選で余計な負担を掛けたくなかったんだ。イザードの兄弟なら他の魔人より信頼出来るし、僕が頼んだんだよ。それとも他に従者候補が居るの?」

少し眉を下げて見せれば、兄さんはブンブンと首を横に振る。

「そんなもの居るもんか!レヴィたんが俺の為を想って選んでくれたのなら、勿論俺に否は無いよ!あぁ、嬉しいな…レヴィたんの口から俺が特別だと聞けるなんて…この日をずっと夢見てたんだ。」

そう言って目尻を下げる兄さんに、僕は自分が魅了持ちなのではと錯覚しそうになる。
しかしそれならそれで僕には都合が良いだけだ。

アベルとマベルを上手く使って兄さんを監視しつつ、ラルの周りに魔人絡みの被害が及ばない様にコントロールしよう。
本当は僕がここに戻るのがラルにとっては一番いいのかもしれないが、僕が我慢できない。
僕はラルとこのまま神殿で暮らすんだ。

しかしそれを叶えるには大きな障害がある。
それは、兄さんの僕への執着が強すぎる事だ。

「兄さん、僕ね、暫くはこのままラルと一緒に暮らしたいんだ。ほら、ラルは僕を育ててくれたでしょ?僕は見ての通り鳥に近いし、親鳥代わりのラルが側に居てくれないと不安で不安ですぐに体調を崩してしまうんだ。…優しい兄さんは、僕の望んでる事なら勿論叶えてくれるよね?」

半分は嘘だが兄さんは僕の言う事なら何でも信じてくれそうだし、気付かないだろう。

とにかくラルと離れたくない僕は、兄さんの想いに浸け込み胸に縋って頬を擦り付ける。
それにまんまと引っ掛かかった兄さんは僕をギュッと抱き締めると、「ハァッ可愛い…ッ!」と腹の底から声を出した。

「勿論!レヴィたんの一番の理解者はこの俺だからね…!そんなに育ての親が必要なら、仕方が無い…。兄さんは凄く、凄ーく寂しいけど、我慢するよ。でも、どの位待てば兄さんと暮らせそう?」

僕はうーんと考え込む仕草をすると、申し訳無さそうな表情を作る。

「そうだな、百年位かな?僕達の寿命は千年単位だから、百年なんてすぐだもの。兄さんなら待てるよね?」

「ひゃ、百年…!」

兄さんは頬を歪ませると、暫くして「その間、俺にも会いに来てくれるんだよね…?」と恐る恐る聞いてきた。

「うん、勿論会いに来るよ。」

「そ、それなら、何とか…うん…。」

言質を取った僕はすぐに「ありがとう、兄さん!」と抱き着くと、ヘロヘロと崩れ落ちる兄さんを置いてすぐにラルの元へと戻った。
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