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悪役令嬢、再び押し倒される
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「お世話になった先生方やクラスメイト
に、お別れの挨拶はできた?」
王宮へ帰る馬車の中で、殿下が私に問いか
けた。
「はい。」
「そう。じゃぁ明日からはお妃修行に集中
できるね。」
そう言いながら殿下は、満面の笑顔で私の
手を握った。
お妃修行…。
とは言っても私は第二王子の妃だから、世
継ぎの妃ほど大変なものではないだろうけ
ど…。
「そういえば、アンセル殿下のご婚約って
どうなってるんですか?」
他国の姫や、貴族の令嬢との縁談話はまだ
聞いたことがない。
「ああ、兄上は世継ぎだからね。色々難し
いんだよ。婚約者候補が何人かいたことも
あったんだけど、ちょっとした争いになっ
てね。」
なるほど。
本来なら、第二王子の婚約者では満足でき
なかったセセリアも、その争いに参戦して
いたんだろうな。
今の私なら、世継ぎの妃なんて面倒くさく
て絶対嫌だけど。
「アンセル殿下には意中の令嬢はいらっ
しゃらないんですかね?」
学院生活の中で、そういった相手は見受け
られなかったけど、私が知らなかっただけ
かもしれない。
「好きな人はいたみたいだけど…。」
「ええ!?そうなんですか?全然知らなか
った…。」
私って本当に他人の恋愛事情に疎いんだ。
アイリスに好きな人がいることも気づかな
かったし。
「その相手って、学院の生徒ですか?だと
したら、私はアンセル殿下の恋愛の邪魔に
なっていたのでは!?」
カイン殿下の頼みとはいえ、毎日私を昼食
に誘うのは、想いを寄せる相手がいるアン
セル殿下にとってはマイナスになっていた
はずだ。
申し訳なさで凹む私を見て、カイン殿下は
笑いを堪えている。
「大丈夫。セセリアが気にする必要はない
よ。好きな人っていっても、兄上の片想い
だから。」
片想い?
ゲームの中では人気ナンバーワンで、誰か
らも好かれるアンセル殿下が?
意外すぎてにわかには信じがたいが、聖女
アイリスに心を奪われなかったのも、それ
ならば納得はいく。
「それから、セセリアと昼食を過ごすこと
は兄上にもメリットがあったんだよ。」
「メリット…ですか?」
「そう。下心があって僕ら王族に近づく輩
は多いからね。でもセセリアと一緒なら声
はかけ辛いだろう?」
ああ、そういうことか。
私は私で殿下の虫よけになっていたのね。
まぁ役に立っていたならいいけど。
「兄上は背負っているものが大きいから
好きな人と一緒になるのは難しいかもしれ
ないな。そう思うと僕は第二王子でよかっ
たよ。愛するセセリアと結婚できるんだか
らね。」
そう言うとカイン殿下は握っていた私の手
に口づけをした。
「兄上の話はこれでおしまい。それじゃぁ
さっきの続きをしようか。」
「さっきの続き…?」
なにかあったっけ?
グルグルと頭のなかで、今までのことを思
い返した。
「あ!」
思い当たることが一つあった。
行きの馬車の中で、殿下に押し倒されたん
だった!
そう思った瞬間、私の体は横になってい
た。
に、お別れの挨拶はできた?」
王宮へ帰る馬車の中で、殿下が私に問いか
けた。
「はい。」
「そう。じゃぁ明日からはお妃修行に集中
できるね。」
そう言いながら殿下は、満面の笑顔で私の
手を握った。
お妃修行…。
とは言っても私は第二王子の妃だから、世
継ぎの妃ほど大変なものではないだろうけ
ど…。
「そういえば、アンセル殿下のご婚約って
どうなってるんですか?」
他国の姫や、貴族の令嬢との縁談話はまだ
聞いたことがない。
「ああ、兄上は世継ぎだからね。色々難し
いんだよ。婚約者候補が何人かいたことも
あったんだけど、ちょっとした争いになっ
てね。」
なるほど。
本来なら、第二王子の婚約者では満足でき
なかったセセリアも、その争いに参戦して
いたんだろうな。
今の私なら、世継ぎの妃なんて面倒くさく
て絶対嫌だけど。
「アンセル殿下には意中の令嬢はいらっ
しゃらないんですかね?」
学院生活の中で、そういった相手は見受け
られなかったけど、私が知らなかっただけ
かもしれない。
「好きな人はいたみたいだけど…。」
「ええ!?そうなんですか?全然知らなか
った…。」
私って本当に他人の恋愛事情に疎いんだ。
アイリスに好きな人がいることも気づかな
かったし。
「その相手って、学院の生徒ですか?だと
したら、私はアンセル殿下の恋愛の邪魔に
なっていたのでは!?」
カイン殿下の頼みとはいえ、毎日私を昼食
に誘うのは、想いを寄せる相手がいるアン
セル殿下にとってはマイナスになっていた
はずだ。
申し訳なさで凹む私を見て、カイン殿下は
笑いを堪えている。
「大丈夫。セセリアが気にする必要はない
よ。好きな人っていっても、兄上の片想い
だから。」
片想い?
ゲームの中では人気ナンバーワンで、誰か
らも好かれるアンセル殿下が?
意外すぎてにわかには信じがたいが、聖女
アイリスに心を奪われなかったのも、それ
ならば納得はいく。
「それから、セセリアと昼食を過ごすこと
は兄上にもメリットがあったんだよ。」
「メリット…ですか?」
「そう。下心があって僕ら王族に近づく輩
は多いからね。でもセセリアと一緒なら声
はかけ辛いだろう?」
ああ、そういうことか。
私は私で殿下の虫よけになっていたのね。
まぁ役に立っていたならいいけど。
「兄上は背負っているものが大きいから
好きな人と一緒になるのは難しいかもしれ
ないな。そう思うと僕は第二王子でよかっ
たよ。愛するセセリアと結婚できるんだか
らね。」
そう言うとカイン殿下は握っていた私の手
に口づけをした。
「兄上の話はこれでおしまい。それじゃぁ
さっきの続きをしようか。」
「さっきの続き…?」
なにかあったっけ?
グルグルと頭のなかで、今までのことを思
い返した。
「あ!」
思い当たることが一つあった。
行きの馬車の中で、殿下に押し倒されたん
だった!
そう思った瞬間、私の体は横になってい
た。
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