国外追放されたくないので第二王子の胃袋を掴んだら溺愛されました!

和栗かのこ

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悪役令嬢、不安になる

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「母上と兄上が僕に隠れてなにか企んで
る。」

不満げにカイル殿下が言った。

「セセリア、最近母上の部屋に呼ばれる
ことが増えたみたいだけど、何か聞いて
ない?」

「いえ…お茶をご一緒するだけで、特に
なにも聞いていませんが…。」

嘘をついてしまった。

王妃様に口止めされてるとはいえ、殿下
を騙すのは心が痛い。

「多分、兄上の縁談についてなんじゃない
かと思うんだけど、僕だけ仲間外れにされ
るのは面白くないな。」

殿下にはドキドキさせられることが多い
けど、こんな風に子供みたいに拗ねた顔も
するんだなぁ。

なんだかその姿が可愛らしくて、思わず
顔がほころんでしまった。

「まぁ、兄上が結婚してくれないと僕達も
結婚できないから、母上が動いてくれるの
は有難いけど、相手が誰なのかわからない
のはすっきりしない。」

それは私も同じです。
一番肝心な、相手が誰だかは教えてもらっ
てないんだから。

そう考えると、殿下についた嘘の罪も多少
軽くなる気がする。

「アンセル殿下には好きな方がいらっしゃ
るってお聞きしましたが、その方ではない
のですか?」

「それはないね。前にも言ったけど、あれ
は完全に片想いだから。」

「でも、好きな方がいらっしゃるのに、他
の方と結婚しなきゃいけないのはお可哀そ
うですね。」

ゲームの中では一番人気で、誰からも好か
れるアンセル殿下が、好きな相手と結ばれ
ないとは皮肉なものだ。

「そうだね。だけど王族や貴族の結婚って
そういうものだろ?僕たちのように両想い
になることの方が稀なんじゃないかな。」

両想い…本当にそうなんだろうか。

もちろん殿下のことは好きだけど、殿下が
私を想ってくれているのと同じように、私
も殿下を想っている、と胸をはって言える
自信は正直まだない。

「ああ、そうだ。言い忘れていたけど、実
は明日から数日、西の領地の視察に行かな
ければならないんだ。」

「西の領地って、最近大雨で川が氾濫した
ところですよね?」

「うん。領民にも被害が出たという報告が
あって、父上の命で僕が視察に行くことに
なったんだ。」

王宮に来てから、毎日殿下と過ごしていた
から、数日とはいえ会えなくなるのは少し
心細いな。

「…そう…ですか。それは重要な任務です
ね。がんばってください。」

不安な気持ちを抑えながら、無理に笑顔を
作った私の頬に、殿下が優しく触れた。

「数日でもセセリアと離れるのは辛いな。
セセリアの顔、よく見せて。」

殿下の瞳に見つめられ、全身が熱くなる。

ダメだわ…。
このシチュエーション、何度経験しても
ドキドキしてしまう。

「緊張してるの?可愛いね。」

動揺する私を見て、殿下は明らかに楽しん
でいる。

「大好きだよ、セセリア。」

そう言うと、殿下は私の髪に愛おしげに口
づけした。
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