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素行
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与えた軽食を丸のみするように食べた皆木を風呂へ連れていく。「綺麗に使え。汚くしたらぶん殴る」と言うと、風呂に入れると浮かれていた皆木が「ええ~、ハセさん潔癖?」とダルそうにこぼしたのでそのまま殴って脱衣所に置いてきた。
シャワーの流れる音を耳で確認し、初瀬はリビングの棚からウィスキーの瓶を取り出して煽った。普段は思考が乱れるので一人で飲むことはほとんどないが、組長の思いつきに振り回された日は多少飲まなければやっていられない。
「仕事増やしやがって……クソが」
瓶から口を離して独り言ちる。初瀬に人間味がないからこそできる手口で、落ち目だった兼城組は勢力を拡大できたのだ。感謝こそあれ、苦言を呈される筋合いはない。今まで初瀬の非道なやり口を黙認してきたくせに、今さら命を育てて情を知れなど矛盾もいいところだ。
組長に直接言えない文句を胸の内で消化した初瀬は、もう一口酒を飲んでから瓶を棚に閉まった。皆木を自宅に住まわせるなら、確認しなければならないことがある。着ていたジャケットを脱いでネクタイを緩めると、初瀬はソファに横になった。まだそこまで遅い時間ではないが、精神疲労のせいか瞼が重くなってくる。
その状態で数分経ったところで、風呂を上がった皆木がリビングに入ってきた。
「風呂出ましたよ~ハセさん。ハセさん?……え、寝てんの?」
初瀬は起きていたが目を瞑ったまま皆木を無視した。素行の悪さを確認するためだ。主が寝ているとなれば盗みを働くのかどうかで、今後の躾が変わってくる。素行次第では躾する前に殺すしかないが。
「……あのさぁ」
「……」
皆木がソファに近づいて声をかけてくる。それでも寝たふりを続けると、しばらくの無言の後に衣擦れの音がした。物色でも始める気かと思った時、先ほどよりも近くに気配を感じた。
「起きてんだろ?無視すんなよ、ハセ~。なぁ、おい若頭」
ソファのすぐ横に座り込んだらしい皆木が、耳元でタメ口を叩く。それでもダル絡みをスルーすると再び沈黙が訪れた。本気で起こしてくるのか、金目のモノを探しに行くのか、それとも逃げるか。どれにどう対処しようかと想定していると、初瀬のへそあたりに指が触れた。
「……寝てんならフェラしちゃおっかなあ」
本当に寝ているのか確かめるための冗談かと思ったが、皆木は本当に初瀬のベルトを外そうとしており──その手つきは慣れたものであと3秒もすれば完全にベルトを外されるところだった──、初瀬は無言で上体を起こすと「ほら起きてんじゃん」とヘラヘラ笑う皆木の頭を平手でぶん殴った。拳じゃなかったのは優しさではなく、こんなバカげたことで自分の手が痛くなるのが嫌だったからだ。
「ッいってえ!」
「呼び捨てすんじゃねえ。敬語も使え。ぶっ殺すぞ」
「っ、この~……!暴力野郎……!」
「なんだよ、殺されたいのか」
外したネクタイを皆木の首に巻こうと近づくと、皆木はぶんぶんと頭を振って離れた。
「ウソ!ウソです、ハセサンと呼びます!今のはちょっとしたネタで──」
シャワーの流れる音を耳で確認し、初瀬はリビングの棚からウィスキーの瓶を取り出して煽った。普段は思考が乱れるので一人で飲むことはほとんどないが、組長の思いつきに振り回された日は多少飲まなければやっていられない。
「仕事増やしやがって……クソが」
瓶から口を離して独り言ちる。初瀬に人間味がないからこそできる手口で、落ち目だった兼城組は勢力を拡大できたのだ。感謝こそあれ、苦言を呈される筋合いはない。今まで初瀬の非道なやり口を黙認してきたくせに、今さら命を育てて情を知れなど矛盾もいいところだ。
組長に直接言えない文句を胸の内で消化した初瀬は、もう一口酒を飲んでから瓶を棚に閉まった。皆木を自宅に住まわせるなら、確認しなければならないことがある。着ていたジャケットを脱いでネクタイを緩めると、初瀬はソファに横になった。まだそこまで遅い時間ではないが、精神疲労のせいか瞼が重くなってくる。
その状態で数分経ったところで、風呂を上がった皆木がリビングに入ってきた。
「風呂出ましたよ~ハセさん。ハセさん?……え、寝てんの?」
初瀬は起きていたが目を瞑ったまま皆木を無視した。素行の悪さを確認するためだ。主が寝ているとなれば盗みを働くのかどうかで、今後の躾が変わってくる。素行次第では躾する前に殺すしかないが。
「……あのさぁ」
「……」
皆木がソファに近づいて声をかけてくる。それでも寝たふりを続けると、しばらくの無言の後に衣擦れの音がした。物色でも始める気かと思った時、先ほどよりも近くに気配を感じた。
「起きてんだろ?無視すんなよ、ハセ~。なぁ、おい若頭」
ソファのすぐ横に座り込んだらしい皆木が、耳元でタメ口を叩く。それでもダル絡みをスルーすると再び沈黙が訪れた。本気で起こしてくるのか、金目のモノを探しに行くのか、それとも逃げるか。どれにどう対処しようかと想定していると、初瀬のへそあたりに指が触れた。
「……寝てんならフェラしちゃおっかなあ」
本当に寝ているのか確かめるための冗談かと思ったが、皆木は本当に初瀬のベルトを外そうとしており──その手つきは慣れたものであと3秒もすれば完全にベルトを外されるところだった──、初瀬は無言で上体を起こすと「ほら起きてんじゃん」とヘラヘラ笑う皆木の頭を平手でぶん殴った。拳じゃなかったのは優しさではなく、こんなバカげたことで自分の手が痛くなるのが嫌だったからだ。
「ッいってえ!」
「呼び捨てすんじゃねえ。敬語も使え。ぶっ殺すぞ」
「っ、この~……!暴力野郎……!」
「なんだよ、殺されたいのか」
外したネクタイを皆木の首に巻こうと近づくと、皆木はぶんぶんと頭を振って離れた。
「ウソ!ウソです、ハセサンと呼びます!今のはちょっとしたネタで──」
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