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不安
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『トマト2つで100円!大特価!出血大サービス!』
赤と黄色の派手なポップが段ボールに貼られている。皆木はトマト4つをかごに入れてポップを眺めた。
(4つで200円。税込みだと……216円。税金たか!ダイトッカは安いってこと。でもなんで出血してんだ?トマトが血みたいだから?)
初瀬の元に来て皆木の識字は飛躍的に向上したが、読めてもよくわからない言い回しはいまだに多い。あとで初瀬に聞いてみようと思いながら、皆木は肉コーナ―へ向かった。今日は初瀬の好きな鶏の照り焼きを作ろうと鼻歌交じりに鶏肉を選んでいると、ケータイが鳴った。スマホではなくガラケーだ。連絡手段を何も持っていなかった皆木に初瀬が買い与えたもので、連絡先は初瀬しか入っていない。
「あ、もしもし。ハセさん?」
『買い物終わったか』
「もうちょっとでレジ行くとこ。なんか買っとくものありました?」
『いや大丈夫だ。今から俺は出かける。帰りは待たなくていい』
「え、仕事っすか。今日は夜空いてるんじゃなかったでしたっけ」
今は18時過ぎだ。怪我が治り仕事に復帰した初瀬は巻き返すようにタスクをこなし、毎日忙しく過ごしていた。今日は久しぶりに夜何もないと知っていたので、皆木はふたりで夕飯を食べられると密かに楽しみにしていたのだ。
『私用だよ。お前は買い物から帰ったら飯食って寝ろ。俺の分はいらない』
「ええ~!せっかくハセさんとふたりで飯食えると思ってたのに。一緒に食べたいからオレ待ってます」
『帰りが何時になるかわからないから無理だ』
皆木は初瀬に好意を告白してから、好きだというのを全く隠さなくなっていた。しかし初瀬は初瀬で、皆木の告白を受けたにも関わらず態度に変化はなく、少しは意識してくれるかと思っていた皆木はヤケクソ気味になっていた。
「ハセさんのこと好きだから言ってんですよ、オレは」
『駄々こねんな。無理なもんは無理だ』
「はぁ~あ、わかりましたよ。ただ今日ハセさんの好きな鶏の照り焼き作る予定なんで、残しとくから食べてください」
『……わかった。帰ったら食うよ』
好物が出るとわかり素直になった初瀬に、皆木は多めの肉を手に取った。できれば一緒に食べたかったが仕方ない。
「ところでまた危ないことしに行くんじゃないっすよね?もう怪我するようなことは──」
『ヤクザの仕事は元から危ねえよ。気にするな。じゃあな』
皆木の問いに答えることはなく、初瀬は通話を切ってしまった。暗くなった画面を見て皆木はため息を吐く。
「ったくよ~、絶対危ないことする気じゃん」
初瀬は最近このような外出が増えていた。おそらく組の仕事ではなく、愛人などに会いに行っているわけでもない。皆木に詳細を明かさず同行もさせない謎の用事だ。初瀬が大怪我をして帰ってきた晩のことが忘れられない皆木は、初瀬の行動がずっと気になっていた。また怪我をされては嫌だというのはもちろん、もし万が一初瀬が死んでしまったらどうしようという不安が頭を巡るのだ。これは初瀬への気持ちが勝るほどに強まる不安であった。
「……やっぱ、聞いてみるしかねえか。心配だし」
考えていてもわからないと自分に見切りをつけた皆木は、足早にレジに向かう。初瀬のカードで支払いを済ませ、マンションへの帰り道を駆け足で辿った。
赤と黄色の派手なポップが段ボールに貼られている。皆木はトマト4つをかごに入れてポップを眺めた。
(4つで200円。税込みだと……216円。税金たか!ダイトッカは安いってこと。でもなんで出血してんだ?トマトが血みたいだから?)
初瀬の元に来て皆木の識字は飛躍的に向上したが、読めてもよくわからない言い回しはいまだに多い。あとで初瀬に聞いてみようと思いながら、皆木は肉コーナ―へ向かった。今日は初瀬の好きな鶏の照り焼きを作ろうと鼻歌交じりに鶏肉を選んでいると、ケータイが鳴った。スマホではなくガラケーだ。連絡手段を何も持っていなかった皆木に初瀬が買い与えたもので、連絡先は初瀬しか入っていない。
「あ、もしもし。ハセさん?」
『買い物終わったか』
「もうちょっとでレジ行くとこ。なんか買っとくものありました?」
『いや大丈夫だ。今から俺は出かける。帰りは待たなくていい』
「え、仕事っすか。今日は夜空いてるんじゃなかったでしたっけ」
今は18時過ぎだ。怪我が治り仕事に復帰した初瀬は巻き返すようにタスクをこなし、毎日忙しく過ごしていた。今日は久しぶりに夜何もないと知っていたので、皆木はふたりで夕飯を食べられると密かに楽しみにしていたのだ。
『私用だよ。お前は買い物から帰ったら飯食って寝ろ。俺の分はいらない』
「ええ~!せっかくハセさんとふたりで飯食えると思ってたのに。一緒に食べたいからオレ待ってます」
『帰りが何時になるかわからないから無理だ』
皆木は初瀬に好意を告白してから、好きだというのを全く隠さなくなっていた。しかし初瀬は初瀬で、皆木の告白を受けたにも関わらず態度に変化はなく、少しは意識してくれるかと思っていた皆木はヤケクソ気味になっていた。
「ハセさんのこと好きだから言ってんですよ、オレは」
『駄々こねんな。無理なもんは無理だ』
「はぁ~あ、わかりましたよ。ただ今日ハセさんの好きな鶏の照り焼き作る予定なんで、残しとくから食べてください」
『……わかった。帰ったら食うよ』
好物が出るとわかり素直になった初瀬に、皆木は多めの肉を手に取った。できれば一緒に食べたかったが仕方ない。
「ところでまた危ないことしに行くんじゃないっすよね?もう怪我するようなことは──」
『ヤクザの仕事は元から危ねえよ。気にするな。じゃあな』
皆木の問いに答えることはなく、初瀬は通話を切ってしまった。暗くなった画面を見て皆木はため息を吐く。
「ったくよ~、絶対危ないことする気じゃん」
初瀬は最近このような外出が増えていた。おそらく組の仕事ではなく、愛人などに会いに行っているわけでもない。皆木に詳細を明かさず同行もさせない謎の用事だ。初瀬が大怪我をして帰ってきた晩のことが忘れられない皆木は、初瀬の行動がずっと気になっていた。また怪我をされては嫌だというのはもちろん、もし万が一初瀬が死んでしまったらどうしようという不安が頭を巡るのだ。これは初瀬への気持ちが勝るほどに強まる不安であった。
「……やっぱ、聞いてみるしかねえか。心配だし」
考えていてもわからないと自分に見切りをつけた皆木は、足早にレジに向かう。初瀬のカードで支払いを済ませ、マンションへの帰り道を駆け足で辿った。
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