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休日
18話 どっちの布団で寝るか問題
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薄雪とふたりでまったりとお酒を飲んでいると、あっという間に深夜が近づいてきた。月曜日のことを考えると胃が痛くなってくる。日曜日の夜は早く寝るに限る。私はのろのろと和室に布団をふたつ敷いた。
「薄雪。布団敷いたんでここで寝てくださいね」
「ありがとうございます」
「ちょっと花雫!僕の分はぁ?!」
「え?綾目は私と一緒に寝るのよ。いつも一緒に寝てたじゃん」
「あ、そういうことか。でも花雫寝相わるいからなあ…。薄雪さまと寝ていい?」
「え?!だめだめ!!ミルちゃんが傍にいてくれないと私眠れないの知ってるでしょ?!」
「知ってるけどぉ…。花雫は僕がいなかったら月曜がいやすぎてグスグス泣き出すんだもん…。でも薄雪さまの布団でいても花雫と近いよ。隣じゃん」
「やだぁーっ!!ミルちゃんは私の布団で寝るのぉぉぉっ!!」
「僕だっていやだぁぁぁっ!!久しぶりに薄雪さまのおそばで眠りたいぃぃぃっ!!」
「そんなこと言わないでミルちゃぁぁぁぁんっ!!!」
ミルちゃんがいない一人ぼっちの布団なんて耐えられない!!寂しすぎて死んじゃうよぉぉぉっ!!薄雪のばかぁぁぁっ私からミルちゃんとらないでぇええっ!!
汚い叫び声をあげながらしがみつく私から逃れようと、綾目は私をゲシゲシと足で蹴っていた。一緒にお風呂に入って恐怖心も薄まったのか今や薄雪にべったりだ。おもしろくない。ミルちゃんはわたしのミルちゃんでしょぉ?!
恨みたっぷりの目で薄雪を睨みつけると、薄雪は「おやおや」と呟きながらクスクス笑った。
「そんなに綾目と離れたくないのですか花雫」
「わたしからミルちゃんとりやがってぇ…」
「ふむ。だったら良い案があります」
「なんでしょう」
「3人がひとつの布団で眠ればいいのですよ」
「…はい?」
「そうしたら、あなたは綾目と一緒に眠れる。綾目は私と一緒に眠れる。私は花雫と一緒に眠れます。これで全て解決でしょう」
「いや待って。どこが良い案?」
「良くないですか?」
「よくないでしょ!わたしとあなたは出会って2日ですよ?!どうして同じ布団で寝なきゃいけないの?!えっまさか元からそのつもりで…。ぎゃーーーだから男っていやなのよぉぉぉっ!!!」
「ほう。ヒトは男女が同じ布団に入ったら性行為をするという決まりがあるのですか。面白い」
「おもしろかぁないっつーの!」
「ご安心ください。私はあやかし。性行為せずとも眷属を増やすことができるので、私にそういった欲求はありません。大人の男性と同じ布団で眠ることがいやであれば、私も少年の姿になりましょうか?それとも少女っぽい姿がよろしいでしょうか」
「そ、そもそも3人でひとつの布団ってせますぎますし!」
「幼子になれば万事解決です」
「ひょ」
薄雪が扇子を広げくるりとまわる。すると綾目とおなじ背丈の少女の姿になった。薄雪と同じ髪色と瞳の色の、おかっぱ姿の女の子。その姿を見て綾目は少し嫌な顔をした。
「う…蕣(むくげ)の姿ですか…」
「か…」
「か?」
「かわいいいいーーーーー!!!」
「ん"っ」
けだるげな表情なのにくりくりした目。幼くてつやつやした肌。今にも折れそうな細い手足。少女に化けた薄雪がかわいすぎて、私は思いっきり抱きしめた。薄雪は衝撃にうめき声を上げたけど、嫌がる素振りはなくわたしの腕の中でじっとしている。
「お気に召したようですね。これなら同じ布団で眠ってもいいですか?」
「はい!!!少女かわいい!!ぜひお願いします!!ええ!!是非一緒に寝ましょう!!」
「花雫。一応言っておくね。コレは蕣っていう薄雪さまの眷属の姿なんだ。コレは女の子に見えるけど、実は男の子だよ」
「えぇ?!男の娘ってことですかぁ?!最高では?!」
「あー・・・花雫もそういうの好きなタイプ…」
「よかった。では寝ましょうか、花雫。もう深夜を過ぎてしまいました」
「え!うそ、早く寝なきゃ!」
こうして私たちはひとつの布団に潜りこんだ。誰が誰の隣で寝るかでしばらく小競り合いをした結果、わたしが真ん中で、薄雪に背中を向けて綾目を抱きしめながら眠った。薄雪は私の腰に腕を置いて、背中におでこをくっつけて寝ている。かわいい少年二人に挟まれて寝るなんてこんな幸せな時間を過ごせるなんて、いま私は人生で一番しあわせかもしれない。
◇◇◇
花雫が寝静まった頃、薄雪はこっそりと元の姿に戻った。そっと起き上がると綾目と目が合った。
「花雫は眠っているかい?」
「はい」
花雫は綾目を抱きながら穏やかな寝息を立てている。薄雪は小さく微笑み、花雫をうしろから抱きしめ再び目を瞑った。
「薄雪。布団敷いたんでここで寝てくださいね」
「ありがとうございます」
「ちょっと花雫!僕の分はぁ?!」
「え?綾目は私と一緒に寝るのよ。いつも一緒に寝てたじゃん」
「あ、そういうことか。でも花雫寝相わるいからなあ…。薄雪さまと寝ていい?」
「え?!だめだめ!!ミルちゃんが傍にいてくれないと私眠れないの知ってるでしょ?!」
「知ってるけどぉ…。花雫は僕がいなかったら月曜がいやすぎてグスグス泣き出すんだもん…。でも薄雪さまの布団でいても花雫と近いよ。隣じゃん」
「やだぁーっ!!ミルちゃんは私の布団で寝るのぉぉぉっ!!」
「僕だっていやだぁぁぁっ!!久しぶりに薄雪さまのおそばで眠りたいぃぃぃっ!!」
「そんなこと言わないでミルちゃぁぁぁぁんっ!!!」
ミルちゃんがいない一人ぼっちの布団なんて耐えられない!!寂しすぎて死んじゃうよぉぉぉっ!!薄雪のばかぁぁぁっ私からミルちゃんとらないでぇええっ!!
汚い叫び声をあげながらしがみつく私から逃れようと、綾目は私をゲシゲシと足で蹴っていた。一緒にお風呂に入って恐怖心も薄まったのか今や薄雪にべったりだ。おもしろくない。ミルちゃんはわたしのミルちゃんでしょぉ?!
恨みたっぷりの目で薄雪を睨みつけると、薄雪は「おやおや」と呟きながらクスクス笑った。
「そんなに綾目と離れたくないのですか花雫」
「わたしからミルちゃんとりやがってぇ…」
「ふむ。だったら良い案があります」
「なんでしょう」
「3人がひとつの布団で眠ればいいのですよ」
「…はい?」
「そうしたら、あなたは綾目と一緒に眠れる。綾目は私と一緒に眠れる。私は花雫と一緒に眠れます。これで全て解決でしょう」
「いや待って。どこが良い案?」
「良くないですか?」
「よくないでしょ!わたしとあなたは出会って2日ですよ?!どうして同じ布団で寝なきゃいけないの?!えっまさか元からそのつもりで…。ぎゃーーーだから男っていやなのよぉぉぉっ!!!」
「ほう。ヒトは男女が同じ布団に入ったら性行為をするという決まりがあるのですか。面白い」
「おもしろかぁないっつーの!」
「ご安心ください。私はあやかし。性行為せずとも眷属を増やすことができるので、私にそういった欲求はありません。大人の男性と同じ布団で眠ることがいやであれば、私も少年の姿になりましょうか?それとも少女っぽい姿がよろしいでしょうか」
「そ、そもそも3人でひとつの布団ってせますぎますし!」
「幼子になれば万事解決です」
「ひょ」
薄雪が扇子を広げくるりとまわる。すると綾目とおなじ背丈の少女の姿になった。薄雪と同じ髪色と瞳の色の、おかっぱ姿の女の子。その姿を見て綾目は少し嫌な顔をした。
「う…蕣(むくげ)の姿ですか…」
「か…」
「か?」
「かわいいいいーーーーー!!!」
「ん"っ」
けだるげな表情なのにくりくりした目。幼くてつやつやした肌。今にも折れそうな細い手足。少女に化けた薄雪がかわいすぎて、私は思いっきり抱きしめた。薄雪は衝撃にうめき声を上げたけど、嫌がる素振りはなくわたしの腕の中でじっとしている。
「お気に召したようですね。これなら同じ布団で眠ってもいいですか?」
「はい!!!少女かわいい!!ぜひお願いします!!ええ!!是非一緒に寝ましょう!!」
「花雫。一応言っておくね。コレは蕣っていう薄雪さまの眷属の姿なんだ。コレは女の子に見えるけど、実は男の子だよ」
「えぇ?!男の娘ってことですかぁ?!最高では?!」
「あー・・・花雫もそういうの好きなタイプ…」
「よかった。では寝ましょうか、花雫。もう深夜を過ぎてしまいました」
「え!うそ、早く寝なきゃ!」
こうして私たちはひとつの布団に潜りこんだ。誰が誰の隣で寝るかでしばらく小競り合いをした結果、わたしが真ん中で、薄雪に背中を向けて綾目を抱きしめながら眠った。薄雪は私の腰に腕を置いて、背中におでこをくっつけて寝ている。かわいい少年二人に挟まれて寝るなんてこんな幸せな時間を過ごせるなんて、いま私は人生で一番しあわせかもしれない。
◇◇◇
花雫が寝静まった頃、薄雪はこっそりと元の姿に戻った。そっと起き上がると綾目と目が合った。
「花雫は眠っているかい?」
「はい」
花雫は綾目を抱きながら穏やかな寝息を立てている。薄雪は小さく微笑み、花雫をうしろから抱きしめ再び目を瞑った。
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