【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco

文字の大きさ
89 / 718
学院編:オヴェルニー学院

【109話】シリル戦

しおりを挟む
おかしい、とアーサーはすぐに分かった。対戦相手のシリルは、アーサーと戦う前からブルブルと震えている。なにかに怯えているようだ。

「シリルくん?どうしたの?体調よくないの?」

心配したアーサーが声をかけると、シリルはびくりと体を強張らせた。そして独り言かのように小さい声で何かを呟いている。

「仕方ないんだ…言うこと聞かないと…」

「?」

《よーい、はじめ!!》

試合開始の合図が鳴り、アーサーとシリルは剣を構えた。シリルは「うわあああ!」と叫びながらアーサーに突進した。大声に面食らったアーサーは一瞬反応が遅れ、シリルの剣先が頬にかすった。ピッと血が飛んだが、たいした傷ではない。

しかしその瞬間、アーサーの体中から汗が噴き出した。眩暈、吐き気、そして、体の痺れ。アーサーはふらついた体を剣で支えながら、自分の体の容態を冷静に診た。久々に摂取した大好きなものに思わず顔がほころんでしまう。

「…うん、毒だね」

「うううっ!」

シリルは必死の表情でアーサーに向かってきた。アーサーは震える足で攻撃を躱す。剣を振り上げようとしたが、感覚のなくなった手であの重い剣は振ることができなかった。途中ですっぽりと手から剣が抜け、床に落ちる。

ガランガラン、と音を立てて床で揺れている剣を全員が見た。みなが驚いて静まり返っている。リリー寮の生徒たちは顔を真っ青にした。

《ど…どうしたんでしょうかアーサー選手。連戦で疲れてしまったか?!握力がなくなっているようだ!剣を落としてしまった…!これはピンチ!!》

《シリル選手チャンスだがどうする?おお、剣を振るがアーサー選手、かろうじて躱しました。しかし苦しそうな模様、先ほどの軽やかさがありません》

《…おっとアーサー選手、鼻血を出していますね。さっきの攻防で顔をぶつけてしまったのでしょうか》

実況を聞いて慌てて鼻を擦ると、どす黒い血が袖に付着した。体内からも何かがこみ上げてくる。口に逆流してきたそれを飲み込み、シリルに小声で話しかけた。喉が焼けて声がうまく出てこない。

「毒は…禁止だって言ってなかったっけ…?」

「し、仕方ないんだ…!こうでもしないと…僕は…僕の家族が…」

シリルは今にも泣きそうな声をしていた。相変わらず剣を握っている手はガタガタと震えている。アーサーはシリルの言葉を聞いて今シリルの身に何が起きているのか理解した。

「ああ…なるほど」

この毒の症状、幼少時代に何度も受けたことがある。懐かしささえ感じた。間違いなく王族が使う猛毒だ。シリルの様子とこの猛毒で、シリルがウィルク王子に脅されていることは明白だ。アーサーは観客に座っている王子をぎろりと睨みつける。

「生徒を脅してこんなことさせるなんて。さすがにおいたが過ぎるよ、ウィルク」

「な、なんで平気そうに喋ってられるんだよ…!立っていられないほどの猛毒だぞ、これは!」

アーサーは自分の口に指を当て、シリルに向かって「シー」と言った。

「そんなこと喋ったら不正がバレちゃうよ。僕は大丈夫だから、普通に戦って」

「な…」

(ウィルクはシリルを脅してる。シリルの口ぶりから、家族を巻き込まれてるはずだ。僕が勝ったらシリルに何をされるか分からない)

アーサーは感覚のなくなった両手で剣を握った。猛毒をくらっているのに一見平気そうに見えるアーサーが恐ろしく感じたシリルは、アーサー向かって剣を突き出した。アーサーは目を瞑りぼそりと呟いた。

「ダフ、ごめんね」

(しまった!剣筋を計算してなかった!このままだとアーサーに剣をはらわれる…!)

シリルが剣を突き出した位置は、ちょうどアーサーが剣を構えている場所だった。アーサーは構えている剣の角度をわずかに変えてシリルの剣を受け止めようとした。しかしアーサーの剣はシリルの攻撃に耐え切れず手から吹き飛んでしまう。武器を失ったアーサーの腹に、シリルが全力で剣を突き刺した。

「うっ」

アーサーの背中から剣先がのぞいている。剣に付着していた毒がさらにアーサーを蝕み口から大量の血が零れ落ちた。

(血でよかった…!これだったら刺されたからだってみんなは思うはずだ。吐しゃ物だったら怪しまれてた)

アーサーを応援していた女子生徒たちが「きゃぁぁぁ!!」と悲鳴を上げた。ジュリア姫は指を噛みながら顔をしかめている。ライラは親友の兄が大けがをおっているところを見たくなくてチャドに顔を押し付けている。チャドとノアは恐る恐るモニカを見た。彼らはモニカが泣きわめくかと思っていたが、モニカは泣きも騒ぎもせずじっとアーサーの様子を見ていた。モニカにとって兄が瀕死の状態になることは見慣れたことだと彼らは知らない。

(シリルの一太刀をくらってから体がふらついた。そのあとアーサーは笑ったわ。アーサーが体力切れなんて起こすわけない。じゃあ剣を落としたのは…?それに鼻血…。まさか…)

「ああ、だからあんなに嬉しそうに笑ったのね。あのバカ」

モニカはそう言って観客席から飛び出した。

◇◇◇
腹部に受けた傷を治療するために救急チームが駆け付けたが、毒を受けていることがバレたくなかったのでアーサーは平気そうに振舞った。

「大丈夫です!治療は必要ありません」

「大丈夫なわけないでしょう!!おなかに剣が刺さっているのよ!!」

「あっ、剣返さないとね。はい、シリル」

アーサーはそう言って体から剣を引き抜いてシリルに返した。傷口から大量の血が噴き出し救急チームの人たちが絶叫した。

「ぎゃああ!!あんた何してんのよ!!回復する前に剣抜いたらだめでしょうが!!」

「あの!本当に大丈夫ですから!!」

「アーサー!!」

競技場の入り口でモニカが兄の名前を呼んだ。アーサーはホッとして逃げるようにモニカの元へ走り去った。救急チームの人が「ちょっとあなた!!本当に死んじゃうわよ!!」と追いかけてくる。

「本当に大丈夫なんですって!!僕の妹回復魔法使えるんで!!」

「なんですって?!」

「だから妹に治してもらいますから!!さよなら!!」

「ちょっと待ちなさい!!ちょっとーーー!!」

競技場には、「死んじゃっても知らないからね!」と怒っている救急チームと、呆けて座り込んでいるシリルが残された。

「わざと…剣の角度を変えた…まるで僕が剣をはじき落とせるように…」

《なんとーーーー!!!まさかのアーサー選手!第一試合で敗戦!!》

《体力切れ…でしょうか。アーサー選手、思うように体が動いていなかったようでしたね。悔しいでしょうね》

《ということでシリル選手の勝利!!おめでとう!!では次の試合に参りましょう!次はー…》

◇◇◇

「はぁっ…はぁっ…ケホっ…」

競技場から離れた庭の隅で、モニカに介抱されたアーサーが吐血している。全身の感覚を失っていて指一本動かせないほど毒が体中に回ってしまっていた。肌も変色してきている。その上シリルに受けた腹の傷もある。出血量もひどい。意識を保っていることが不思議なほどだった。

「まったく。毒を受けてあんな嬉しそうな顔して。このバカ」

モニカが回復魔法をかけながらアーサーの頭をぺちんと叩いた。アーサーは「えへへ」と掠れた声で笑う。

「これ、僕だから大丈夫だったけど…他の子だったらやばかったんじゃないかな…ゲボッ」

アーサーがモニカのスカートの上に大量の血を吐き出した。生暖かい血がモニカの太ももを伝う。

「こんな血を吐いて、鼻血流して、体中真っ黒に変色して何が大丈夫よ!この毒…私の毒魔法よりずっと強い…」

モニカは涙を溜めながら必死に歌を歌う。猛毒と外傷の同時治癒は魔力のコントロールができるようになったモニカでもかなり時間を要した。

「シリル…どうしてこんなことを…!許せない…」

「いや、彼も被害者だ…。シリルはウィルクに脅されてたみたい。どんな手を使ってでも勝てとでも言われたんじゃない?」

「ああ…だからわざと負けたのね」

「…ばれちゃったか」

「分かるわよ…不自然に剣の角度を変えたんだもの」

「さすがだね、モニカ」

「だめ。失血がひどいわ。増血薬を…ああ、アーサーのアイテムボックスの中だわ」

「ある程度治してくれたら大丈夫だから。エリクサーを飲めば…ってそれもアイテムボックスの中だ」

「アーサー!!!」

背後から大声がしてモニカはびくりと振り返った。血相を変えたダフが二人のもとへ駆け寄ってくる。

「ああ!ここにいたのか!治癒もしてもらわずに競技場を出て行くから何事かと思ったが…」

「モニカ!僕の姿をダフに見せないで!毒だってバレちゃう…!」

アーサーはモニカに小声でそう言って妹の服の中に潜り込んで顔を隠した。

「アーサー。俺は耳が良いから聞こえてるぞ。だから隠さなくていい」

「えっ…」

ダフはモニカの服を引っ張り上げてアーサーの顔を見た。胸元まで服を捲られたモニカが「きゃー!なにしてんのよぉ!!」と顔を真っ赤にしてダフの頬に平手打ちをした。ダフは痛がりもせず変色して血まみれのアーサーの顔に手を添えた。

「やっぱり毒か。お前の様子がおかしかったからまさかとは思ったが…」

「ダフ!このことは誰にも言わないで!!シリルは悪くないんだ!」

「ああ。俺もシリルがこんなことするやつじゃないことを知ってる。あいつは俺の次に剣を愛している男だ。姑息な真似をして勝とうとなんてしない。きっと裏で何かあったはずだ。おそらく3回戦で…いや、それ以上は言わない方が良いな。…だが、お前がシリルを庇ってくれるとは思わなかったぞ。救急チームに世話を受けなかったのも、シリルが毒を使ったことを隠すためか?」

アーサーは肯定も否定もせず微笑んだ。それを見てダフも泣きそうな顔をしてかすかに笑う。

「お前がわざと負けたのもシリルを守るためだな」

「…ごめんねダフ。試合を軽んじたわけじゃないんだ」

「分かってる。3回戦までのお前の戦いをずっと見ていた。素晴らしかった。お前は自分の命を危険に晒してまでシリルを守ろうとした。なにを謝ることがあるんだ」

「ありがとう…ダフ」

「しかし…それでもシリルがやったことは許されないことだ。しかるべき処置はとったほうがいいと思うが」

「ううん。もとはと言えば僕が悪いんだ。僕がシリルを巻き込んでしまったんだよ。彼は被害者でしかない。だから誰にも言わないで。お願い」

ダフはしばらく黙り込んだ。アーサーとシリル、二人の気持ちを考えているのだろう。アーサーはその間も必死にシリルは悪くないと主張した。最終的にダフは頷いた。

「…分かった。そこまで言うなら黙ってよう。まあ俺たちが黙っていようがシリルは自分のしたことを先生に報告するだろうがな」

「えっ?」

「あいつはそういうやつだ。不正なんてものを一番嫌うやつだ」

「報告したら怒られちゃうよ…」

「怒られるどころじゃない。退学は免れない」

「そ、そんなのだめ!!ダフ!!シリルを説得して!僕はそんなこと望んでないよ!!本当にシリルは悪くないんだ!!」

それまで会話に入らず治癒に専念していたモニカから氷魔法があふれ出した。彼女が座っているまわりの芝が凍り付く。突然の氷魔法にダフは驚き、アーサーは妹が激怒していることを察して「ひぅっ」とびくついた。モニカは回復魔法を続けながらダフに話しかけた。

「ダフさん。シリルを説得してくださいな。自分のしたことを誰にも言わないって。じゃないとあんまりだわ。脅されて、愛する剣を汚されて、挙句の果てに退学ですって?そんなこと私が許さないわ」

ダフが「だが…」と躊躇っていたら、更に氷魔法が溢れ出て半径5メートルの芝がカチカチに凍り付いた。その上近くに立っていた木に雷が落ちて倒れたのでダフは慌てて首を縦に振った。それを見たモニカはにっこりと笑ってお礼を言ったが、目は全く笑っていなかった。

妹が暴走しかけていることに危険を感じ、アーサーはダフにこの場から離れるよう言った。ダフは最後にアーサーとギュッとハグをしてから去っていった。きっとシリルに会いに行くのだろう。
ダフがいなくなった途端庭に強風が吹き荒れ、学院の傍にある森に豪雨が降り始め雷が5本同時に落ちた。アーサーはビクビクしながらモニカの膝の上で大人しく回復魔法を受けていた。

「あの子はアーサーの命だけじゃなくシリルの人生までも無茶苦茶にするところだったわ。そんなことが許されるかしら。王子というだけでそこまで人をバカにできるものかしら。ねえアーサー。これってとっても恥ずかしいことだわ。悲しいことだわ。彼は私たちの弟よ。なんとかしなきゃいけない。ここままじゃだめ」

「僕になにしたっていい。でも、人を巻き込んでぐちゃぐちゃにするのはダメだ。このままあの子が王位についたことを考えたらゾッとする。僕、こんなにはらがたったのははじめてだ」

「私もよ」

モニカの回復魔法のおかげでアーサーはほとんど完治した。ひどい貧血はまだ治っておらず顔色も悪いが、体の感覚がもとに戻ったアーサーは立ち上がって伸びをした。先ほどの戦いに思いを馳せて口元を緩めている。アーサーの心の声がそのまま口に出てしまった。

「うーん、それにしても、久々の毒は…なかなか良かったなあ…シリルに頼んで、あの毒、もう一回…」

「アーサー?それ以上言ったらどうなるか分かってる?」

「あれっ?!僕いま口に出してた?」

「モロに出てたわよ…。はあ、アーサーのここだけは、本当に理解できないわ…」
しおりを挟む
感想 494

あなたにおすすめの小説

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“  瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  だが、死亡する原因には不可解な点が…  数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、 神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。