【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco

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エピローグ

三年後:王政撤廃

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 あの戦争から三年の月日が経った。アーサーとモニカは今日、二十歳となる。

 ふかふかの布団から、くせ毛がぴょこぴょこはみ出ている。しばらくすると、アーサーが欠伸をしながら顔を出した。
 上半身に重みを感じる。布団をめくると、いつの間にか忍び込んでいたモニカが寝息を立てていた。

「もう。この歳で一緒に寝るのはまずいよモニカ」
「んん~? いいじゃない別にぃ……」
「はあ。僕だって男なんだけどなあ」

 ため息を吐いたアーサーの喉には、ぽっこりと膨れたのどぼとけ。今では一般的な成人男性と同じくらい低い声となった。いつの間にかモニカの背をぐんと追い抜かし、今では誰が見ても立派な青年だ。

 二十歳になったモニカは艶やかな女性に成長していた。長い手足と長いまつ毛が、大人になったモニカのチャームポイントになっている。

 モニカがあまりに美しく育ってしまったため、アーサーは妹と一緒に寝ることを嫌がり始めた。
 もちろん今ではお風呂も一緒に入っていないのだが、モニカはそれが気に食わないようだ。
 だからモニカは、ときどきこうしてアーサーのベッドに潜り込むのだった。

 アーサーとモニカが謁見の間に入ると、すでに正装をしたサンプソンとカトリナが待っていた。
 双子は二人に挨拶のハグをする。

 アーサーの背中を撫でながら、サンプソンが労いの言葉を向けた。

「アーサー。三年間お疲れ様」
「うん。大変だったね」
「ああ、大変だった」
「これからはこの国をよろしく頼むよ、サンプソン」
「必ず良い国にすると誓う」

 この三年間、双子とサンプソンとカトリナは、乱れた国を整えると同時に王政撤廃の準備をしていた。
 王族撤廃に反対する貴族の説得や、貴族がいなくなったあとの領地の管理をどうするかなどは、アーサーの手に余る大仕事だった。サンプソンやオーヴェルニュ侯爵など、信頼できる貴族が助けがなかったらできなかっただろう。

 そして先日おこなったバンスティン国初の選挙で、サンプソンが国のトップに選ばれた。
 ちなみに王政廃止後の貴族は、議員として国に力を貸してくれることになる予定だ。
 そこまで体制を整えるのはそう簡単なことではないだろうが、サンプソンは時間がかかっても国を良い方向に変えていくつもりだ。

 そして今日、アーサーが国王という役目を終え、サンプソンが国のトップとなる。

「まだやることが残っているのに、任せてごめんね」
「大丈夫さ。もうほとんどやることは固まっているから。君たちはまた自由に暮らすといいよ」
「うん。ありがとう」

 モニカはカトリナに抱きついて離れない。

「カトリナァ……。また遊びに来てもいい?」
「もちろんいいわよォ。むしろ遊びにきてほしいわ」
「えへへ、よかったぁ。……って、あれ? カトリナ、おなかぽっこりしてない?」
「ええ。赤ちゃんがいるからァ」
「……えぇぇぇ! きゃー! おめでとうー!!」
「ありがとう」
「お名前は決まってるの!?」
「ええ、三年前から決まっているわ」
「えー! 教えて教えてー!」
「ふふ。この子が生まれたときのお楽しみよォ」

 カトリナとモニカの会話を聞いていたアーサーとサンプソンは、嬉しそうにクスクス笑った。
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