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ナイトランク冒険者チーム"ブルーローズ"を護衛として雇ったことで、ファレノ商会との取引をフィナたちに任せる事が出来るようになった。
護衛もいる事だし、フィナは見た目以上に賢い子だ。きっと上手くやってくれるだろう。
それに何かトラブルがあっても、無線機を持たせているからそれで俺をすぐ呼べるようになっている。
「ではコウヤ様、いってきますね!」
フィナが荷物満載のリアカーを引きながら、元気よくそう言う。
ティアナ達孤児院の年長組の3人も、同様にリアカーを引いている。
その周囲を警戒するように、シアン、ラクル、セキの3人が取り囲んでいる。
「シアンさん、子供たちを頼みました」
「お任せ下さい」
以前はフィナと俺の2人で荷物を運んでいたのが、倍の4人になったことで取引額は倍増した。
更に護衛を雇った事もあり、商会への往復を1日2回に増やしたので、更に取引額は増えた。
その為、ほっといても俺の手元にはお金がドンドン増えていくようになっていた。
また取引をフィナ達に任せたことで出来た空き時間を利用し、俺は色々と新しい事を手を出し始めた。
その一つが、栄養ドリンクの研究だ。
孤児院を買ってから俺は、年長組の3人に対し、フィナと同じ栄養ドリンクの服用をお願いしていた。
以前、フィナに栄養ドリンクを飲ませた際に、明らかに彼女の腕力が増強される現象が確認された。
その一方で同じように飲んでいた俺には、特に大きな変化は感じられなかった。
そこでティアナたち孤児院の年長組の3人に協力してもらい、その効果がフィナだけに発揮されるモノなのかどうか検証することにしたのだ。
結論から言うと、栄養ドリンクの効果は3人全員に対しても大いにあった。
数日間の服用で、明らかな腕力の向上が確認された。
そこで俺は次の段階として、毎日継続して服用した場合の効果の確認と他の種類の栄養ドリンクではどうなるか、の2事項について検証を行うことにした。
これには年長組の3人だけでなく、ブルーローズのメンバーにも協力して貰う事になった。
「うんうん、この栄養ドリンクって凄いね! ホント研究しがいがあるなぁ~」
ディジーが、栄養ドリンクを舐めるように見回している。
ちなみに護衛として雇ったブルーローズのメンバーのうち、彼女だけは俺の助手として、一緒に栄養ドリンクの研究を行うことになった。
彼女の勢いと熱意に押されてのことだ。
「うーん、やっぱり、飲めば飲むだけ効果が出てるのは間違いないね! 1週間前とは明らかに数値が異なってるもの!」
「そうだな。どこまでその効果が続くのか、まだしばらくは要観察だな」
検証の結果、腕力の増強効果は飲めば飲むだけ、上乗せされていることが判明した。
服用を一時停止しても、腕力が衰えるなどといったこともなく恒久的な強化のようだ。
こうなると、1日に複数本服用した場合についても検証したい所だが、パッケージに禁止と書かれている以上、副作用などが怖いので今は止めておいた。
「コウヤ、これ見てよ! こっちの成分が入った栄養ドリンクだと、敏捷性が増強しているよ!」
「……確かにな。これは他の成分についても検証しなくちゃな」
次に俺達が取り掛かったのは、栄養ドリンクの種類による効果の違いの検証だ。
この辺りから、俺は検証をディジーにほとんど任せるようになっていた。
彼女は、俺がギフトの力で呼び出したPCに入っている表計算ソフトで、データをどんどんと纏めていく。
この世界の人間に文字が読めるか心配だったが、どうもこのPC、俺の〈全言語翻訳〉のギフトが有効になっているらしく、俺が許可を出した相手なら文字などが自動翻訳されて読めるらしい。
それでも、PCや表計算ソフトの概念自体を理解できるか心配だったが、それは杞憂に終わった。
僅かな説明でディジーは直ぐに理解を示し、あっという間に使いこなすようになったのだ。
……こいつ天才か?
それから皆の協力とディジーの頑張りによって、研究は順調に進む。
その結果、判明したのは以下のような事実だ。
まず、各種能力を増強するのに、有効だと判明した成分は、タウリン、ブロムヘキシン、インドメタシン、リゾチウム、キトサンの5つだ。
それぞれの成分にどういった効果があるかというと、タウリン含有の栄養ドリンクは腕力増強の効果が、ブロムヘキシン含有のモノだと体の頑丈さが、インドメタシン含有だと敏捷性が増強されることが分かった。
それからリゾチウム含有のモノだと魔力が、キトサン含有のモノだと魔法に対する抵抗力の上昇がそれぞれ確認された。
特に後者2つについては、ディジーの協力が無ければ、まず分からなかっただろう。
俺は栄養ドリンクと魔法の関連など考えもしなかったので、それに気付けたのは完全にディジーのお手柄だ。
「飲んだだけで魔力が上がるなんて凄いよ! しばらくボクはこれを毎日飲むね!」
魔導師でもあるディジーは、自身の魔力不足で悩んでいたらしく、この発見に物凄く喜んでいた。
これら得られたデータを元に、更に研究を進めつつも、各人の希望に乗っ取った投与を始めていた。
フィナとセキには各種栄養ドリンクを均等に投与し、バランス良い強化を行っている。
ロイドとシアンには、タウリンとインドメタシン含有の栄養ドリンクをメインに投与し、近接戦闘能力を主に高めている。
ティアナとラクルには、ブロムヘキシンとキトサンをメインとし、防御能力を高める事を目指した。
魔法の才能を持つスノウとディジーの2人には、リゾチウムで魔力を更に高めている。
現在は副作用などに注意しつつ、慎重に経過を見守っているところだ。
ちなみに、最近になってようやく判明したのだが、俺自身に対しても栄養ドリンクの効果は一応はあるようだった。
ただ、ギフトのせいもあって俺の能力は元々がかなり高い為、変化を実感するには時間が掛かるだけのようだ。
「やっぱここ、異世界なんだよなぁ……」
俺はデータを確認しながらそんな事を独り呟く。
日本では普通に飲まれていたはずの栄養ドリンクで、まるでゲームの強化アイテムのような効果が出ているのだ。
世界が違う言葉が違うという以前に、多分物理法則からどこか違うのだろうなと、俺はそんなことを思っていた。
護衛もいる事だし、フィナは見た目以上に賢い子だ。きっと上手くやってくれるだろう。
それに何かトラブルがあっても、無線機を持たせているからそれで俺をすぐ呼べるようになっている。
「ではコウヤ様、いってきますね!」
フィナが荷物満載のリアカーを引きながら、元気よくそう言う。
ティアナ達孤児院の年長組の3人も、同様にリアカーを引いている。
その周囲を警戒するように、シアン、ラクル、セキの3人が取り囲んでいる。
「シアンさん、子供たちを頼みました」
「お任せ下さい」
以前はフィナと俺の2人で荷物を運んでいたのが、倍の4人になったことで取引額は倍増した。
更に護衛を雇った事もあり、商会への往復を1日2回に増やしたので、更に取引額は増えた。
その為、ほっといても俺の手元にはお金がドンドン増えていくようになっていた。
また取引をフィナ達に任せたことで出来た空き時間を利用し、俺は色々と新しい事を手を出し始めた。
その一つが、栄養ドリンクの研究だ。
孤児院を買ってから俺は、年長組の3人に対し、フィナと同じ栄養ドリンクの服用をお願いしていた。
以前、フィナに栄養ドリンクを飲ませた際に、明らかに彼女の腕力が増強される現象が確認された。
その一方で同じように飲んでいた俺には、特に大きな変化は感じられなかった。
そこでティアナたち孤児院の年長組の3人に協力してもらい、その効果がフィナだけに発揮されるモノなのかどうか検証することにしたのだ。
結論から言うと、栄養ドリンクの効果は3人全員に対しても大いにあった。
数日間の服用で、明らかな腕力の向上が確認された。
そこで俺は次の段階として、毎日継続して服用した場合の効果の確認と他の種類の栄養ドリンクではどうなるか、の2事項について検証を行うことにした。
これには年長組の3人だけでなく、ブルーローズのメンバーにも協力して貰う事になった。
「うんうん、この栄養ドリンクって凄いね! ホント研究しがいがあるなぁ~」
ディジーが、栄養ドリンクを舐めるように見回している。
ちなみに護衛として雇ったブルーローズのメンバーのうち、彼女だけは俺の助手として、一緒に栄養ドリンクの研究を行うことになった。
彼女の勢いと熱意に押されてのことだ。
「うーん、やっぱり、飲めば飲むだけ効果が出てるのは間違いないね! 1週間前とは明らかに数値が異なってるもの!」
「そうだな。どこまでその効果が続くのか、まだしばらくは要観察だな」
検証の結果、腕力の増強効果は飲めば飲むだけ、上乗せされていることが判明した。
服用を一時停止しても、腕力が衰えるなどといったこともなく恒久的な強化のようだ。
こうなると、1日に複数本服用した場合についても検証したい所だが、パッケージに禁止と書かれている以上、副作用などが怖いので今は止めておいた。
「コウヤ、これ見てよ! こっちの成分が入った栄養ドリンクだと、敏捷性が増強しているよ!」
「……確かにな。これは他の成分についても検証しなくちゃな」
次に俺達が取り掛かったのは、栄養ドリンクの種類による効果の違いの検証だ。
この辺りから、俺は検証をディジーにほとんど任せるようになっていた。
彼女は、俺がギフトの力で呼び出したPCに入っている表計算ソフトで、データをどんどんと纏めていく。
この世界の人間に文字が読めるか心配だったが、どうもこのPC、俺の〈全言語翻訳〉のギフトが有効になっているらしく、俺が許可を出した相手なら文字などが自動翻訳されて読めるらしい。
それでも、PCや表計算ソフトの概念自体を理解できるか心配だったが、それは杞憂に終わった。
僅かな説明でディジーは直ぐに理解を示し、あっという間に使いこなすようになったのだ。
……こいつ天才か?
それから皆の協力とディジーの頑張りによって、研究は順調に進む。
その結果、判明したのは以下のような事実だ。
まず、各種能力を増強するのに、有効だと判明した成分は、タウリン、ブロムヘキシン、インドメタシン、リゾチウム、キトサンの5つだ。
それぞれの成分にどういった効果があるかというと、タウリン含有の栄養ドリンクは腕力増強の効果が、ブロムヘキシン含有のモノだと体の頑丈さが、インドメタシン含有だと敏捷性が増強されることが分かった。
それからリゾチウム含有のモノだと魔力が、キトサン含有のモノだと魔法に対する抵抗力の上昇がそれぞれ確認された。
特に後者2つについては、ディジーの協力が無ければ、まず分からなかっただろう。
俺は栄養ドリンクと魔法の関連など考えもしなかったので、それに気付けたのは完全にディジーのお手柄だ。
「飲んだだけで魔力が上がるなんて凄いよ! しばらくボクはこれを毎日飲むね!」
魔導師でもあるディジーは、自身の魔力不足で悩んでいたらしく、この発見に物凄く喜んでいた。
これら得られたデータを元に、更に研究を進めつつも、各人の希望に乗っ取った投与を始めていた。
フィナとセキには各種栄養ドリンクを均等に投与し、バランス良い強化を行っている。
ロイドとシアンには、タウリンとインドメタシン含有の栄養ドリンクをメインに投与し、近接戦闘能力を主に高めている。
ティアナとラクルには、ブロムヘキシンとキトサンをメインとし、防御能力を高める事を目指した。
魔法の才能を持つスノウとディジーの2人には、リゾチウムで魔力を更に高めている。
現在は副作用などに注意しつつ、慎重に経過を見守っているところだ。
ちなみに、最近になってようやく判明したのだが、俺自身に対しても栄養ドリンクの効果は一応はあるようだった。
ただ、ギフトのせいもあって俺の能力は元々がかなり高い為、変化を実感するには時間が掛かるだけのようだ。
「やっぱここ、異世界なんだよなぁ……」
俺はデータを確認しながらそんな事を独り呟く。
日本では普通に飲まれていたはずの栄養ドリンクで、まるでゲームの強化アイテムのような効果が出ているのだ。
世界が違う言葉が違うという以前に、多分物理法則からどこか違うのだろうなと、俺はそんなことを思っていた。
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