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まさかの⑩
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「できそうにない? どうしてですか?! メリリース様がこんな扱いをされるなんて、許せません!」
まさかの返答に、私はメリリース様の顔をまじまじと見る。メリリース様は困ったように目を伏せた。
「……ところで、仕事のあてはあるのかしら?」
メリリース様が変えた話題に、私は苦笑するしかない。メリリース様でも、こんな弱気なことってあるのね。
「知識だけはあるので……薬師になろうかと思っているんですが……この国では、勝手に薬師をしてもいいものでしょうか?」
私が身に着けてきた知識を役立てようと思うと、それが一番実用的で、生活していけるような気がしている。
ただ、前世の日本では、資格がないと薬剤師の仕事はできなかったけど、この国がどんなシステムなのかはまだ、わからないから。
「薬師……それは、国の試験を受けなければならないのよ。しかも、指定された学校に通う必要があるし、貴族の推薦が必要なの」
「指定された学校?! ……それに、貴族の推薦……ですか……」
そっちの学校に行くためには、ノーフォーク家に連絡入れないといけない、よね?
貴族の推薦は……、ハワード先生に頼めば何とかなるかもしれないけど……ハワード先生はどこに今いるんだろう? ノーフォーク家の人たちが、違う学校に行くことを許可してくれる気は全然しないし、他に貴族の宛はないし……。
「難しそうかしら?」
メリリース様の言葉に、私は頷く。少なくとも、オールコック王国は学校にわざわざ行く必要はなくて、許可さえ得られれば薬師としての仕事ができたんだけど……。
「そう……ですね。別の学校に入ることに、許しを得られないと思いますし……」
「他に、仕事になりそうな特技とかは、ないかしら?」
「……色々と身には着けましたが……薬草の知識は豊富ですし、薬師が一番生活が安定しそうかと思って……」
特技……。
……そういえば、忘れてたけど、今年の終わりくらいには、聖女認定されるイベントが起こるはずなんだよね……。
聖女って、特技?
いや、でも聖女になれば、この国の貴族の後ろ盾がついて、そういう学校にも行けるかも?
「あの、メリリース様、この国では、聖女の伝説などはありますか?」
オールコック王国では、聖女の伝説があって、だからこそ、私は皇太子の婚約者になれたようなものだ。
ディル王国で、そんな伝説がなければ、聖女認定されるイベントがあっても、騒ぎにしかならない可能性もあるし……。
色々本は漁ってみてたけど、そこは調べきれなかったな……。
メリリース様が不思議そうに首をかしげる。
「聖女の伝説? ある、けれど? ……それが、今の話とどうつながるのかしら?」
よし!
それなら行けるかも!
「ちなみに、どんな伝説なんですか?」
その内容によって、メリリース様への説明も変わってくるかもしれないし!
「あまりいい話ではないのよ」
メリリース様の声は、戸惑った声だった。
あれ?
「いい話、ではない?」
「ええ。神託を受けた聖女が、愚かな人間たちを見限り、この世界を終わらせたって伝説なの。そんな内容だから、記録には残さないようにされているんだけど、口伝えでは伝わっているのよ?」
……ある意味、正確な伝説!
多分じゃなくて、その伝説間違いないと思う!
……いや、これって、まずい?
ディル王国に留学してきたの、間違ってた?!
それこそ、ざまぁに一直線?
……それこそ、神様の思うつぼ?
「あの……もし聖女が出現したとしたら、この国では、忌み嫌われてしまったりします?」
私がおずおずと尋ねると、メリリース様がハッとした表情になる。
「もしかして……キャサリン様は、聖女、なの?」
正解です!
……なんて、今の話聞いて、言えるわけないし!
「え、いや……違います……」
私はメリリース様から目をそらす。
「キャサリン様、私の目を見て下さる?」
がしり、と力強くメリリース様から肩をつかまれて、私はおずおずとメリリース様に視線を向けた。
「……違います」
今は、まだ。
嘘は、ついてない。
「キャサリン様、私って、信頼できないかしら?」
ぐっ。
メリリース様、それは、ずるいです……。
「……いえ、信頼してます……」
「それなら、話してくださらない?」
……メリリース様に嫌われるとか、嫌だな……。
私はうつむく。
「さっき、キャサリン様は言ってくださったでしょう? 私がどんな人間でもいつも一緒にいてくれると。私も、その言葉をお返しするわ。キャサリン様が、どんな人でも、私はあなたのそばにいるわ。たとえ、聖女だったとしても」
涙があふれる。
前世から生きてきた中で、一番うれしい言葉だ。
見上げたメリリース様の瞳は、真剣だった。
……言おう。
「……私は、あと1年もすれば、聖女としての神託を受けるのです。ですから、まだ聖女ではなくて……メリリース様に嘘はついていないんです」
「あと、1年? どうして、そんな未来のことがわかるのです?」
メリリース様の表情が戸惑う。
……そうだよね。聖女なんだ、じゃなくて、聖女になるんだ、って告白されるとか、思わないよね。
「私の話を、聞いてくださいますか?」
全部、メリリース様に聞いてもらおう。
……信じてくれるだろうか?
まさかの返答に、私はメリリース様の顔をまじまじと見る。メリリース様は困ったように目を伏せた。
「……ところで、仕事のあてはあるのかしら?」
メリリース様が変えた話題に、私は苦笑するしかない。メリリース様でも、こんな弱気なことってあるのね。
「知識だけはあるので……薬師になろうかと思っているんですが……この国では、勝手に薬師をしてもいいものでしょうか?」
私が身に着けてきた知識を役立てようと思うと、それが一番実用的で、生活していけるような気がしている。
ただ、前世の日本では、資格がないと薬剤師の仕事はできなかったけど、この国がどんなシステムなのかはまだ、わからないから。
「薬師……それは、国の試験を受けなければならないのよ。しかも、指定された学校に通う必要があるし、貴族の推薦が必要なの」
「指定された学校?! ……それに、貴族の推薦……ですか……」
そっちの学校に行くためには、ノーフォーク家に連絡入れないといけない、よね?
貴族の推薦は……、ハワード先生に頼めば何とかなるかもしれないけど……ハワード先生はどこに今いるんだろう? ノーフォーク家の人たちが、違う学校に行くことを許可してくれる気は全然しないし、他に貴族の宛はないし……。
「難しそうかしら?」
メリリース様の言葉に、私は頷く。少なくとも、オールコック王国は学校にわざわざ行く必要はなくて、許可さえ得られれば薬師としての仕事ができたんだけど……。
「そう……ですね。別の学校に入ることに、許しを得られないと思いますし……」
「他に、仕事になりそうな特技とかは、ないかしら?」
「……色々と身には着けましたが……薬草の知識は豊富ですし、薬師が一番生活が安定しそうかと思って……」
特技……。
……そういえば、忘れてたけど、今年の終わりくらいには、聖女認定されるイベントが起こるはずなんだよね……。
聖女って、特技?
いや、でも聖女になれば、この国の貴族の後ろ盾がついて、そういう学校にも行けるかも?
「あの、メリリース様、この国では、聖女の伝説などはありますか?」
オールコック王国では、聖女の伝説があって、だからこそ、私は皇太子の婚約者になれたようなものだ。
ディル王国で、そんな伝説がなければ、聖女認定されるイベントがあっても、騒ぎにしかならない可能性もあるし……。
色々本は漁ってみてたけど、そこは調べきれなかったな……。
メリリース様が不思議そうに首をかしげる。
「聖女の伝説? ある、けれど? ……それが、今の話とどうつながるのかしら?」
よし!
それなら行けるかも!
「ちなみに、どんな伝説なんですか?」
その内容によって、メリリース様への説明も変わってくるかもしれないし!
「あまりいい話ではないのよ」
メリリース様の声は、戸惑った声だった。
あれ?
「いい話、ではない?」
「ええ。神託を受けた聖女が、愚かな人間たちを見限り、この世界を終わらせたって伝説なの。そんな内容だから、記録には残さないようにされているんだけど、口伝えでは伝わっているのよ?」
……ある意味、正確な伝説!
多分じゃなくて、その伝説間違いないと思う!
……いや、これって、まずい?
ディル王国に留学してきたの、間違ってた?!
それこそ、ざまぁに一直線?
……それこそ、神様の思うつぼ?
「あの……もし聖女が出現したとしたら、この国では、忌み嫌われてしまったりします?」
私がおずおずと尋ねると、メリリース様がハッとした表情になる。
「もしかして……キャサリン様は、聖女、なの?」
正解です!
……なんて、今の話聞いて、言えるわけないし!
「え、いや……違います……」
私はメリリース様から目をそらす。
「キャサリン様、私の目を見て下さる?」
がしり、と力強くメリリース様から肩をつかまれて、私はおずおずとメリリース様に視線を向けた。
「……違います」
今は、まだ。
嘘は、ついてない。
「キャサリン様、私って、信頼できないかしら?」
ぐっ。
メリリース様、それは、ずるいです……。
「……いえ、信頼してます……」
「それなら、話してくださらない?」
……メリリース様に嫌われるとか、嫌だな……。
私はうつむく。
「さっき、キャサリン様は言ってくださったでしょう? 私がどんな人間でもいつも一緒にいてくれると。私も、その言葉をお返しするわ。キャサリン様が、どんな人でも、私はあなたのそばにいるわ。たとえ、聖女だったとしても」
涙があふれる。
前世から生きてきた中で、一番うれしい言葉だ。
見上げたメリリース様の瞳は、真剣だった。
……言おう。
「……私は、あと1年もすれば、聖女としての神託を受けるのです。ですから、まだ聖女ではなくて……メリリース様に嘘はついていないんです」
「あと、1年? どうして、そんな未来のことがわかるのです?」
メリリース様の表情が戸惑う。
……そうだよね。聖女なんだ、じゃなくて、聖女になるんだ、って告白されるとか、思わないよね。
「私の話を、聞いてくださいますか?」
全部、メリリース様に聞いてもらおう。
……信じてくれるだろうか?
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