21 / 43
第四章
皇太子妃殿下のお茶会
しおりを挟むお茶会は和やかに進んでいた。
最初に好きなお茶の種類を聞かれたが、やはり、ここは紅茶で有名なベルダ産のバーバラだろう。
ミルクはセルディア産のガイス牛のミルクを、なんて…ああ、なんて、こういうのめんどうくさい。
基本お茶会は次回から、パスと言う事にして頂きたい。カタニーから付け焼刃で、お茶会のマナーを聞いたが、初めての参加者はまずは好みのお茶の種類やそれに入れるミルク等を聞かれるらしい。
だいたいは、前世のアフタヌーンティーのマナーと似たようなものだろうか、前世、イギリスでは必ずアフタヌーンティーの時、最初に食べるのは、ケーキスタンドの下段のサンドイッチで、それはきゅうりのサンドイッチを用意するだとか、聞いたような気がするが、その時はキュウリがない季節には昔はどうしていたのだろうかとか思ったのを覚えている。
あっちの世界は時代と共に野菜も季節感がうすれ、なんでもいつでも食べられる世界に変わって行ったがここでは違う、それに代わるのがこの世界では前世ピンチョスと呼ばれていた串で刺されたオープンサンドイッチの小さい奴みたいな物だ。
名前はルガトと呼ばれているが、まあ食べやすいし、中に挟む物に決まった定義はないようだ。
種類も豊富だし、楽しめる。
お茶も、何杯おかわりしてもべつに構わないらしいし、トイレ事情も普通に西洋トイレ風で魔石が仕込んであり、水が流れる。貴族はトイレの水を流す位の魔力は持っていると言う前提なので、これは庶民の暮らしでは、むずかしい。庶民はいわゆるぽっちゃんトイレと言う事になる。
ドレスはコルセットを閉めなくても良く、柔らかい素材のパニエがスカート部分に使われている位なので、脱着が楽だし、座るのも普通に一人で座れるので良い。だからトイレも自分で入れる。(トイレはとても広い、小部屋という感じ)
中世の前世の世界の様に、ガチガチのドレス文化で壺をトイレにしていなくて心底良かったと思う。
だから、きつい香水を付ける文化もない。
お茶会用にティーガウンと呼ばれるもっと楽なドレスの型を着ても良いらしく、子供を産んだ女性などは好んで着るようになってきているのだそうだ。そういうのがゆるい世界っていいなと思う。ストレスは少ない方がいいよね。
本日のお茶会は、他の高位貴族のお嬢様方も招かれ、8人参加していた。
そう言えば、アレン様から本日身に付けている装飾品には身を守る為の魔法がエンチャントされていると言われた。
お茶会も中盤にさしかかり、皆さま様々なお話をして下さる。興味深い話もあればゴシップ系の話も出る。そのうち紅茶の飲みすぎか中途で化粧室へ行く者が入れ替わり立ち代わりとなり、化粧室も近場にいくつも用意されているので、連れションならぬ、ご一緒に状態で、別に行きたくもないのにしつこく化粧室に誘われ、席を立つこととなった。
「エミリアン様は、確かハッサ様の遠縁になられるのですよね」
「そうですね、ハッサ公爵家の傍系のハッサ家で、ゼルダ地方になります」
「まあ、とても遠い領地ですわね、なにか有名な特産物等はございますの?」
「これといったものではございませんが、ブドウと小麦が多く採れます」
「まあ、そうですの、ではワインなどもありますのね」
この、ご令嬢は、クルド侯爵家の令嬢で、はじめから食いつき気味で根ほり葉ほり聞いてきて、コバンザメのようにまとわりついてくる感があり、正直うざかった。
それに、化粧室にもしつこく誘ってくるし、他の意図があるとしか思えないんだよね。
だから、まあ気を付けていた訳だけど、化粧室の行きかえりもこれと言ったイベントもなかった。
お茶の席に戻ると新しいお茶がメイドによって運ばれてきていた。
「もう戻って来られると思い、メイドにたのんでおりましたのよ」
と隣の席のファウンズ伯爵令嬢から言われた。
「まあ、お気遣いありがとうございます」
とりあえず、お礼を言ってそのお茶を一口含むとめっちゃ嫌な味がして、すぐにナフキンを口に当て吐き出した。
急に眩暈がしたが、ネックレスとイヤリングの宝石が突然眩く輝き、色が水色から紫色に変化し、直後、眩暈が治った。
その様を見ていた皇太子妃殿下が、素早く室内に居た侍従に目配せをすると、部屋のドアが開きに兵士が突然十名入って来た。
ご令嬢方は、驚いて立ち上がったが、隣にいたファウンズ伯爵令嬢は何故か部屋から走り出ようとした。
それを兵士に止められ、慌てて手足を振り回して暴れている。
「今、お茶に毒が使われました。ここにいらっしゃる皆様のボディーチェックをさせて頂きます」
妃殿下の声に皆騒然とする。
なんか、クルド侯爵令嬢もきょどってる。そうですよね、あなたグルでしたよね。物的証拠はなくとも状況証拠ってやつもあるんですよ。
まあ、私は被害者だし、もう帰ってもいいんですかね?皇太子妃殿下は事が起こるの待ってました?待ってましたよね。
いつの間にか、皇太子殿下と筆頭魔術師様まで部屋に居た。
アレン様は、すぐに傍までやって来て「大丈夫か?」とか言うので、「大丈夫じゃないです」と言うと突然横抱きにされ、部屋から連れ出された。
いやもう、本当は大丈夫ですけど、念のため自分に自分で治癒魔法かけましたし。
別室のソファーに連れて行かれ、座らされて、身に付けている装身具の色合いを見て、眉を寄せている。
「色が真紫に変わっている。これは猛毒を使っているな直ぐに吐き出して良かった」
「自分で治癒魔法かけましたし、もう大丈夫ですから。クルド侯爵令嬢もグルでしたよ。捕まえて下さいね」
「わかっている。どちらの家もすでに兵を送り屋敷を調べている」
「相手は呪術師と言ってましたけど、そっちの方は大丈夫なんですか?」
「すでに、呪術返しを受けて強い呪術は使えないはずだ。使えば命が削られるからな」
「今日はお前はもう、連れて帰る。あまり顔色が良くない」
一応心配もしてくれていたようだ。でも抱っこは嫌だやめてくれ。
44
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたのでファンシーショップ始めました。 ― 元婚約者が、お人形さんを側室にしようとして大恥をかきました ―
鷹 綾
恋愛
隣国の王子から「政略的にも個人的にも魅力を感じない」と婚約破棄された、ファンタジア王国第三女王タナー。
泣きも怒りもせず、彼女が考えたのは――「いつか王宮の庇護がなくなっても困らない生き方」だった。
まだ八歳。
それでも先を見据え、タナーは王都の片隅で小さなファンシーショップを開くことを決意する。
並ぶのは、かわいい雑貨。
そして、かわいい魔法の雑貨。
お茶を淹れてくれるクマのぬいぐるみ店員《テイデイ・バトラー》、
冷めないティーカップ、
時間になると小鳥が飛び出すアンティーク時計――。
静かに広がる評判の裏で、
かつての元婚約者は「お人形さんを側室にしようとして」赤っ恥をかくことに。
ざまぁは控えめ、日常はやさしく。
かわいいものに囲まれながら、女王は今日も穏やかにお店を開けています。
---
この文面は
✔ アルファポリス向け文字数
✔ 女子読者に刺さるワード配置
✔ ネタバレしすぎない
✔ ほのぼの感キープ
を全部満たしています。
次は
👉 タグ案
👉 ランキング用超短縮あらすじ(100字)
どちらにしますか?
【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
※表紙 AIアプリ作成
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる