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11話 太ってるわけじゃないよ。大きいだけだよ。
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ミリアさんをお腹に寝かせたまま、三人の様子を眺める。どうやらかなり本格的に料理をしてくれるようで、それぞれが協力して調理準備を整えていく。
そんな中で目を引いたのは、ガレフさんが袋から取り出した前世でよく見たカセットコンロのようなもの。熱心に見ていたら、その視線に気づいたミリアさんが得意げな様子で口を開いた。
「あれが気になりますか? あれは魔導コンロというもので、結晶を燃料として熱を発生させる道具なんです。私達のような冒険者はほぼ持っているものですよ」
「ちょっとミリア、それは少し語弊があるわ。いい? アヤメ。これは結構高価な魔導具の一つなの。だからこれを持っていると言うことは、冒険者として立派に生活出来ているという証拠。一種のステータスになるものなのよ。冒険者全員が持っている訳じゃないの。分かった?」
アリーシャさんの補足説明に取り敢えず分かったと頷いておく。でもなんだか色々と知らない単語のオンパレードだったね?
冒険者っていうのは多分、魔物を倒したりして生活する人達の事かな。そして魔導具っていうのは良く分かんないけど、お高いものだっていうのは分かった。となるとそれを持っているアリーシャさん達は、中々に優秀な冒険者という事になるのかな?
「しっかし何を作るかな……」
「オーク肉があったでしょ。あれでステーキとかは? アヤメの大きさからしてかなり食べるでしょうし」
「だな。俺達はスープでいいだろ。おーいガレフ、水汲んできてくれ」
「分かった」
成程。安全地帯には水も湧いているから、こういう時に重宝するね。水は生きる為に絶対必要なものだし、だからって大量の水を常に持ち歩くのは現実的じゃないから。まぁあの不思議な袋なら何とかなりそうではあるけれど……そういえばあれってどれだけ入るんだろ。
「アヤメは良い匂いがしますね…フワフワして、つい眠くなっちゃいます」
「ミリアはそのまま寝てなさい。出来たら起こすわ」
「いえ、このまま起きていますよ。皆さんの調理する姿が好きですから」
「……まぁいいわ」
多分アリーシャさんとしては怪我人だから寝かせたかったんだろうね。こうして見るとミリアさんがお姉さんどころか寧ろ末っ子に感じてしまう不思議。動物が絡んでるからこうなってるだけなのか、そもそも本質がこうなのか。……本質に思えて仕方が無いね。
手際良くアリーシャさんとガレフさんが食材である野菜などを切っていき、リンダさんは分厚い分厚いステーキ肉…オーク肉って言ってたっけ? それに丁寧に下味を付けていく様子を眺める。焼いてないのにもう美味しそうに見える…じゅるり。
「あらあら。アヤメは待ちきれませんか? なら……はい、どうぞ」
「ワウ?」
いつの間にかヨダレを垂らしていた私を見かねて、ミリアさんが何かを差し出して来た。それは茶色い塊のようなもので、スンスンと匂いを嗅ぐと何処か香ばしい香りがした。
「オーク肉の燻製ですよ。保存食なので塩味が強いですが…やっぱり駄目でしょうか……いやでもアヤメなら……」
ほうほう燻製ですか。いざ差し出してみてちょっと心配そうに眉を下げたミリアさんだったけど、戻される前にパクッと噛み付く。
「あっ……美味しいですか…?」
「ガウッ!」
普通に美味しかったのでベロベロとミリアさんの顔を舐めて次を催促する。そもそもの話人間の料理を食べさせようとしているんだから、塩分の心配なんて今更だよね。
というか次頂戴。あんなちっぽけな肉片じゃ全然足りないから。
「ちょっ、アヤメ、待って…っ!」
「あら。なんだか楽しそうな事になってるわね」
「アリーシャ…っ」
「はいはいアヤメ。私があげるからそれくらいにしなさいな」
(わぁい!)
さっきより大きな燻製をアリーシャさんが出てきたので、今度はちゃんとじっくりと噛んで味わう。味はかなり強い塩味があるけれど、基本は豚と同じ感じがするね。ポークジャーキーみたいな感じ。
でもふと思ったのは、オーク肉ってどうやって手に入れるんだろって事。だって倒した魔物は少し放置したら結晶に変わっちゃうし……あ、でも倒して直ぐなら食べられるか。蜥蜴がそうだったもんね。
と言うことは倒して直ぐに捌けば肉としてゲット出来るって事なのかな? でもそんな暇ある?
「アリーシャ、料理の方は良いのですか?」
「私の場合は後は煮込みだけだからね。ガレフだけで十分よ。そろそろリンダも肉を焼くところね」
その言葉と共に漂ってきた美味しそうな匂いに、思考の海に沈んでいた私の意識が戻ってきた。ジュージューと音を立ててフライパンの中でお肉が踊るその光景に、思わずごくりと喉を鳴らす。
「楽しみです」
「……ミリア。言っておくけど、貴方はスープだけだからね?」
今にも鼻歌を歌い出しそうになっていたミリアさんがアリーシャさんの言葉を聞いて、ガーンという効果音が聞こえてきそうな程に口をポカンと開けて目を点にする。うん、まぁ……妥当ではあるよ。血を作る為にお肉はいるけど、だからって重いものは流石に負担だろうしね。
スープはスープでちゃんとお肉と野菜がいっぱいの具沢山スープになっているから、それだけでもミリアさんには十分だろう。
「ひ、一口だけでも…っ」
「ダーメ。そもそも私達だって食べるつもりがないもの」
「……え?」
「アヤメの分に決まっているでしょう。余ったら食べてもいいけど……多分余らないだろうし」
そう言いながらアリーシャさんが私の方を見て、つられてミリアさんも私を見る。それはもうジーッと。……いやん。
そんな中で目を引いたのは、ガレフさんが袋から取り出した前世でよく見たカセットコンロのようなもの。熱心に見ていたら、その視線に気づいたミリアさんが得意げな様子で口を開いた。
「あれが気になりますか? あれは魔導コンロというもので、結晶を燃料として熱を発生させる道具なんです。私達のような冒険者はほぼ持っているものですよ」
「ちょっとミリア、それは少し語弊があるわ。いい? アヤメ。これは結構高価な魔導具の一つなの。だからこれを持っていると言うことは、冒険者として立派に生活出来ているという証拠。一種のステータスになるものなのよ。冒険者全員が持っている訳じゃないの。分かった?」
アリーシャさんの補足説明に取り敢えず分かったと頷いておく。でもなんだか色々と知らない単語のオンパレードだったね?
冒険者っていうのは多分、魔物を倒したりして生活する人達の事かな。そして魔導具っていうのは良く分かんないけど、お高いものだっていうのは分かった。となるとそれを持っているアリーシャさん達は、中々に優秀な冒険者という事になるのかな?
「しっかし何を作るかな……」
「オーク肉があったでしょ。あれでステーキとかは? アヤメの大きさからしてかなり食べるでしょうし」
「だな。俺達はスープでいいだろ。おーいガレフ、水汲んできてくれ」
「分かった」
成程。安全地帯には水も湧いているから、こういう時に重宝するね。水は生きる為に絶対必要なものだし、だからって大量の水を常に持ち歩くのは現実的じゃないから。まぁあの不思議な袋なら何とかなりそうではあるけれど……そういえばあれってどれだけ入るんだろ。
「アヤメは良い匂いがしますね…フワフワして、つい眠くなっちゃいます」
「ミリアはそのまま寝てなさい。出来たら起こすわ」
「いえ、このまま起きていますよ。皆さんの調理する姿が好きですから」
「……まぁいいわ」
多分アリーシャさんとしては怪我人だから寝かせたかったんだろうね。こうして見るとミリアさんがお姉さんどころか寧ろ末っ子に感じてしまう不思議。動物が絡んでるからこうなってるだけなのか、そもそも本質がこうなのか。……本質に思えて仕方が無いね。
手際良くアリーシャさんとガレフさんが食材である野菜などを切っていき、リンダさんは分厚い分厚いステーキ肉…オーク肉って言ってたっけ? それに丁寧に下味を付けていく様子を眺める。焼いてないのにもう美味しそうに見える…じゅるり。
「あらあら。アヤメは待ちきれませんか? なら……はい、どうぞ」
「ワウ?」
いつの間にかヨダレを垂らしていた私を見かねて、ミリアさんが何かを差し出して来た。それは茶色い塊のようなもので、スンスンと匂いを嗅ぐと何処か香ばしい香りがした。
「オーク肉の燻製ですよ。保存食なので塩味が強いですが…やっぱり駄目でしょうか……いやでもアヤメなら……」
ほうほう燻製ですか。いざ差し出してみてちょっと心配そうに眉を下げたミリアさんだったけど、戻される前にパクッと噛み付く。
「あっ……美味しいですか…?」
「ガウッ!」
普通に美味しかったのでベロベロとミリアさんの顔を舐めて次を催促する。そもそもの話人間の料理を食べさせようとしているんだから、塩分の心配なんて今更だよね。
というか次頂戴。あんなちっぽけな肉片じゃ全然足りないから。
「ちょっ、アヤメ、待って…っ!」
「あら。なんだか楽しそうな事になってるわね」
「アリーシャ…っ」
「はいはいアヤメ。私があげるからそれくらいにしなさいな」
(わぁい!)
さっきより大きな燻製をアリーシャさんが出てきたので、今度はちゃんとじっくりと噛んで味わう。味はかなり強い塩味があるけれど、基本は豚と同じ感じがするね。ポークジャーキーみたいな感じ。
でもふと思ったのは、オーク肉ってどうやって手に入れるんだろって事。だって倒した魔物は少し放置したら結晶に変わっちゃうし……あ、でも倒して直ぐなら食べられるか。蜥蜴がそうだったもんね。
と言うことは倒して直ぐに捌けば肉としてゲット出来るって事なのかな? でもそんな暇ある?
「アリーシャ、料理の方は良いのですか?」
「私の場合は後は煮込みだけだからね。ガレフだけで十分よ。そろそろリンダも肉を焼くところね」
その言葉と共に漂ってきた美味しそうな匂いに、思考の海に沈んでいた私の意識が戻ってきた。ジュージューと音を立ててフライパンの中でお肉が踊るその光景に、思わずごくりと喉を鳴らす。
「楽しみです」
「……ミリア。言っておくけど、貴方はスープだけだからね?」
今にも鼻歌を歌い出しそうになっていたミリアさんがアリーシャさんの言葉を聞いて、ガーンという効果音が聞こえてきそうな程に口をポカンと開けて目を点にする。うん、まぁ……妥当ではあるよ。血を作る為にお肉はいるけど、だからって重いものは流石に負担だろうしね。
スープはスープでちゃんとお肉と野菜がいっぱいの具沢山スープになっているから、それだけでもミリアさんには十分だろう。
「ひ、一口だけでも…っ」
「ダーメ。そもそも私達だって食べるつもりがないもの」
「……え?」
「アヤメの分に決まっているでしょう。余ったら食べてもいいけど……多分余らないだろうし」
そう言いながらアリーシャさんが私の方を見て、つられてミリアさんも私を見る。それはもうジーッと。……いやん。
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